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あれから二週間程が経ち、テオフィル様は毎日僕に愛を囁き続けていた。
・・・心の中で、だけど。
あの日の翌日のお茶会で、お菓子がとんでもない量用意されていたのは今思い出してもビックリだった。
心の声からテオフィル様の考えを読み解くと、もっと沢山食べる僕の姿を見たかった、そして喜んで欲しかった、とのことだった。
・・・何ですか、それは。
テオフィル様、お茶目ですね。
でも余らせるのも勿体無いし、作ってくれる人も、それを運ぶ人も大変だろうから、一生懸命テオフィル様に説明(説得)して、何とか量を減らしてもらうことに成功した。
お菓子の量が激増する前から、元々人間の僕には量が多かったし、ちょうど良い機会だったと思う。
また説明する時に噛んじゃったけどテオフィル様は【 可愛い可愛い可愛い 】の連呼だったし、喜んでくれるなら多少噛むくらいはもういっか、って思ってしまった。
「明日から一週間ほど、隣国に行く。その間、茶会はできない。」
【 ルカに一週間も会えないなんて、死んでしまう。だが、隣国の末の王子(ニ歳)も相性の良い相手を探し始めたと聞いたし、ルカには会わせたくない。万が一にでもルカが他の男に興味を持っては大変だ。ああ・・・しかし、ルカに一週間も・・・ああ・・・ 】
「そ、そうですか。えっと・・・お体には十分気をつけて、ください。」
「・・・・・・ああ。何かあれば遠慮せずアードラーに言うといい。」
【 ルカが・・・!ルカが私の身を案じてくれた・・・!その言葉だけで私はどんな苦行にでも耐えることができる!ルカ・・・愛している・・・! 】
「・・・・・・ひゃい・・・」
今日も変わらず顔が熱い。小さく手で顔を仰いでみてもあまり意味がない。
僕は幼少期から赤面症だ、と小さな嘘をつかせてもらった。
本当はそんなことないんだけど・・・、だって、毎回めちゃくちゃ心配されるから。
「実はテオフィル様からの愛の言葉が筒抜けで、照れてるだけでーす!」なんて本音、とてもじゃないけど言えない。
そう言えば、あの蝶にしばらく会えてはないんだけど、蝶はテオフィル様のこと《あの子》って言っていた。
テオフィル様なら蝶が一体何者なのか知ってるかも。隣の国に行く前に聞いてみてもいいかな・・・!?
「あ、の!テオフィル様、お、お聞きしたいことがあるのですが・・・よろしいでしょうか?」
「何だ。分かることであれば答えよう。」
【 ルカが今日も私と話をしてくれる。嬉しい。可愛い。好き。 】
「あ、りがとうございます!あの・・・先日、金色の縦縞の入った、青・・・いや、紺色・・・?の、これくらいの羽を持った蝶を見た、んですが、何かご存知ですか・・・?」
「・・・・・・見た?君が、か?」
「え?は、はいっ。見ま、した。」
「・・・・・・・・・ほう。」
【 ルカに我が王家の守護霊が見えた・・・?となると、ルカに気を許して姿をあちらから見せたことになる。我々の前にも滅多に姿を現さないというのに・・・。だが紺の羽に金の縦縞・・・間違いなく守護霊だろう。さすが私の番、私のルカ。エイヴァ様にまで気に入られたのか。これはすぐにでも父上に報告しなければ。 】
「・・・・・・(わーお)・・・」
あの蝶、まさかの守護霊だったの?
守護霊って、あの御伽噺に出てくる物凄い力を持った存在だよね・・・?
確かにめちゃくちゃ幻想的で綺麗な蝶だったから、守護霊って言われても妙に納得(喋ってたし)だけど、まさか守護霊のせいでこんな展開になってるなんて言いにくいなー、言えないなー。
しかも守護霊と話したって、騒ぎになりそうだし、これは墓場まで持って行く案件ってことで。
よし、決まり。終了!
「と、とても、綺麗な蝶だったので、テ、テオフィル様にも見せたかったなー・・・なんて、あ、あははは・・・」
「・・・・・・そうか。」
【 ルカがそんな風に思ってくれたなんて、嬉しくて、涙が出そうだ。 】
「・・・次見かけたら、テオフィル様に絶対お知らせ、します。」
僕がそう言うと、テオフィル様は初めて微笑んだ。
ふわり、と音をつけたいくらい優しい顔で。
その顔を見た途端、僕は胸の辺りがぎゅーーっとなって、無意識に押さえていると、またテオフィル様から死ぬほど心配された。(心の声付きで)
そして僕はテオフィル様の笑顔を見た瞬間、急速に自分の気持ちを自覚した。
僕、テオフィル様のこと、もしかして、もしかしなくても、好きになっている。
でも自覚したところでここからどうすればいいのかわからない。
恋なんて、したことがなかったから。
僕が自分の気持ちにソワソワする中、テオフィル様は(渋々)隣国へと旅立っていった。
・・・心の中で、だけど。
あの日の翌日のお茶会で、お菓子がとんでもない量用意されていたのは今思い出してもビックリだった。
心の声からテオフィル様の考えを読み解くと、もっと沢山食べる僕の姿を見たかった、そして喜んで欲しかった、とのことだった。
・・・何ですか、それは。
テオフィル様、お茶目ですね。
でも余らせるのも勿体無いし、作ってくれる人も、それを運ぶ人も大変だろうから、一生懸命テオフィル様に説明(説得)して、何とか量を減らしてもらうことに成功した。
お菓子の量が激増する前から、元々人間の僕には量が多かったし、ちょうど良い機会だったと思う。
また説明する時に噛んじゃったけどテオフィル様は【 可愛い可愛い可愛い 】の連呼だったし、喜んでくれるなら多少噛むくらいはもういっか、って思ってしまった。
「明日から一週間ほど、隣国に行く。その間、茶会はできない。」
【 ルカに一週間も会えないなんて、死んでしまう。だが、隣国の末の王子(ニ歳)も相性の良い相手を探し始めたと聞いたし、ルカには会わせたくない。万が一にでもルカが他の男に興味を持っては大変だ。ああ・・・しかし、ルカに一週間も・・・ああ・・・ 】
「そ、そうですか。えっと・・・お体には十分気をつけて、ください。」
「・・・・・・ああ。何かあれば遠慮せずアードラーに言うといい。」
【 ルカが・・・!ルカが私の身を案じてくれた・・・!その言葉だけで私はどんな苦行にでも耐えることができる!ルカ・・・愛している・・・! 】
「・・・・・・ひゃい・・・」
今日も変わらず顔が熱い。小さく手で顔を仰いでみてもあまり意味がない。
僕は幼少期から赤面症だ、と小さな嘘をつかせてもらった。
本当はそんなことないんだけど・・・、だって、毎回めちゃくちゃ心配されるから。
「実はテオフィル様からの愛の言葉が筒抜けで、照れてるだけでーす!」なんて本音、とてもじゃないけど言えない。
そう言えば、あの蝶にしばらく会えてはないんだけど、蝶はテオフィル様のこと《あの子》って言っていた。
テオフィル様なら蝶が一体何者なのか知ってるかも。隣の国に行く前に聞いてみてもいいかな・・・!?
「あ、の!テオフィル様、お、お聞きしたいことがあるのですが・・・よろしいでしょうか?」
「何だ。分かることであれば答えよう。」
【 ルカが今日も私と話をしてくれる。嬉しい。可愛い。好き。 】
「あ、りがとうございます!あの・・・先日、金色の縦縞の入った、青・・・いや、紺色・・・?の、これくらいの羽を持った蝶を見た、んですが、何かご存知ですか・・・?」
「・・・・・・見た?君が、か?」
「え?は、はいっ。見ま、した。」
「・・・・・・・・・ほう。」
【 ルカに我が王家の守護霊が見えた・・・?となると、ルカに気を許して姿をあちらから見せたことになる。我々の前にも滅多に姿を現さないというのに・・・。だが紺の羽に金の縦縞・・・間違いなく守護霊だろう。さすが私の番、私のルカ。エイヴァ様にまで気に入られたのか。これはすぐにでも父上に報告しなければ。 】
「・・・・・・(わーお)・・・」
あの蝶、まさかの守護霊だったの?
守護霊って、あの御伽噺に出てくる物凄い力を持った存在だよね・・・?
確かにめちゃくちゃ幻想的で綺麗な蝶だったから、守護霊って言われても妙に納得(喋ってたし)だけど、まさか守護霊のせいでこんな展開になってるなんて言いにくいなー、言えないなー。
しかも守護霊と話したって、騒ぎになりそうだし、これは墓場まで持って行く案件ってことで。
よし、決まり。終了!
「と、とても、綺麗な蝶だったので、テ、テオフィル様にも見せたかったなー・・・なんて、あ、あははは・・・」
「・・・・・・そうか。」
【 ルカがそんな風に思ってくれたなんて、嬉しくて、涙が出そうだ。 】
「・・・次見かけたら、テオフィル様に絶対お知らせ、します。」
僕がそう言うと、テオフィル様は初めて微笑んだ。
ふわり、と音をつけたいくらい優しい顔で。
その顔を見た途端、僕は胸の辺りがぎゅーーっとなって、無意識に押さえていると、またテオフィル様から死ぬほど心配された。(心の声付きで)
そして僕はテオフィル様の笑顔を見た瞬間、急速に自分の気持ちを自覚した。
僕、テオフィル様のこと、もしかして、もしかしなくても、好きになっている。
でも自覚したところでここからどうすればいいのかわからない。
恋なんて、したことがなかったから。
僕が自分の気持ちにソワソワする中、テオフィル様は(渋々)隣国へと旅立っていった。
応援ありがとうございます!
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