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小さなミネラルウォーター
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並ぶ時間はマジで苦痛だったが(もちろんあいつらのせいで)、アトラクションはもう最高だった。
何度でも言う、最高だった。
「リディもカナもハーレイも好きぃ~~~!」
「推しが立体的!最高だった!」
「結構揺れたけど、楽しかったねえ!」
「モンスターも歴代出てきためちゃ強いやつばっかだったな!」
「運営よく分かってる~♡」
「揺れる系は強いから更に楽しかった~」
例のあいつらとは乗る機材が違ったから、乗り場でバイバイ。
出口からぴょんぴょん飛び跳ねる花に、リュックをぶんぶん引っ張られながらも2人で大盛り上がりだった。
やっぱり好きなものを共有できるのっていいよな、しかも双子で。
母さん、父さんありがとう。
俺が感謝を捧げていると、後ろから「うえぇ~きもちわりぃ~」と唸る声が聞こえる。
振り返ると例のあいつら。
唸ってるのは特にうるさかった両耳ピアス男だ。
明るい茶髪で両サイドは刈り上げてある。
「俺、揺れるの無理~・・・足ぶらぶらだしよぉ、騙したなぁ・・・おえ~~」
「いや、誰も騙してねぇし。人の話聞いてなかったんだろ、侑。歩けるか?」
「ちょい・・・待って陸・・・水欲しい・・・口ん中気持ちわりぃ・・・うう・・・」
「水ぅ?自販機あったか?この辺。もうちょい歩いたとこならあったけど、ちょっと待っとけ。」
「ううう・・・急ぎでぇ・・・頼むぅ・・・」
侑と呼ばれた男はその大きな体を縮こませ、出口付近で座り込んでいた。
どうやら相当酔ったらしい。
・・・・・・酔いの辛さは俺にもよく分かる。
子どもの頃、無理矢理花に落下系の絶叫アトラクションに乗せられ・・・・・・酔ったどころではなかった。即、吐いた。
瞬時に思い出してしまい、口の中が酸っぱくなる。
俺は「あ、」と、自分のリュックをゴソゴソと漁る。
手に取ったのは飛行機の中でもらった小さな容器に入ったミネラルウォーター。
機内のドリンクサービスで花はコンソメスープを飲んでいたが、俺はその時あまり喉が渇いてなかった。
持ち運べるならそのうち飲むだろう、とペットボトル容器に入った水を貰ったのである。
それを手に持ち、俺はそいつらの元へ駆け寄った。
「おい、これ。開けてないし、今朝飛行機で貰ったやつだから。気持ち悪いんだろ?やるよ。」
「うううぇ・・・?さっきの可愛い、弟さんじゃん・・・うう・・・ありがとうございますぅ・・・うえ」
「・・・・・・いいんすか。ありがとうございます・・・」
「別にいいよ、こんくらい。貰い物だし。」
「マジで・・・可愛いっすね・・・」
「・・・あいつは年下興味ないから無理だと思うけど。」
「いや、お姉さんのことじゃなくて、」
「楽しいの分かるけどもうあんま騒ぐなよ。それと俺、高校生じゃなくてもう27だから。じゃあな。」
「「「・・・・・・・・・はぁぁあ!?27ぁ!?」」」
「全然見えねぇーーー」と叫ぶ大学生を無視して、俺は花のところへ戻ってさっさとグッズ売り場に向かう。
そんな俺の後ろ姿をじぃっと見つめる男がいたこともに気づかないまま。
何度でも言う、最高だった。
「リディもカナもハーレイも好きぃ~~~!」
「推しが立体的!最高だった!」
「結構揺れたけど、楽しかったねえ!」
「モンスターも歴代出てきためちゃ強いやつばっかだったな!」
「運営よく分かってる~♡」
「揺れる系は強いから更に楽しかった~」
例のあいつらとは乗る機材が違ったから、乗り場でバイバイ。
出口からぴょんぴょん飛び跳ねる花に、リュックをぶんぶん引っ張られながらも2人で大盛り上がりだった。
やっぱり好きなものを共有できるのっていいよな、しかも双子で。
母さん、父さんありがとう。
俺が感謝を捧げていると、後ろから「うえぇ~きもちわりぃ~」と唸る声が聞こえる。
振り返ると例のあいつら。
唸ってるのは特にうるさかった両耳ピアス男だ。
明るい茶髪で両サイドは刈り上げてある。
「俺、揺れるの無理~・・・足ぶらぶらだしよぉ、騙したなぁ・・・おえ~~」
「いや、誰も騙してねぇし。人の話聞いてなかったんだろ、侑。歩けるか?」
「ちょい・・・待って陸・・・水欲しい・・・口ん中気持ちわりぃ・・・うう・・・」
「水ぅ?自販機あったか?この辺。もうちょい歩いたとこならあったけど、ちょっと待っとけ。」
「ううう・・・急ぎでぇ・・・頼むぅ・・・」
侑と呼ばれた男はその大きな体を縮こませ、出口付近で座り込んでいた。
どうやら相当酔ったらしい。
・・・・・・酔いの辛さは俺にもよく分かる。
子どもの頃、無理矢理花に落下系の絶叫アトラクションに乗せられ・・・・・・酔ったどころではなかった。即、吐いた。
瞬時に思い出してしまい、口の中が酸っぱくなる。
俺は「あ、」と、自分のリュックをゴソゴソと漁る。
手に取ったのは飛行機の中でもらった小さな容器に入ったミネラルウォーター。
機内のドリンクサービスで花はコンソメスープを飲んでいたが、俺はその時あまり喉が渇いてなかった。
持ち運べるならそのうち飲むだろう、とペットボトル容器に入った水を貰ったのである。
それを手に持ち、俺はそいつらの元へ駆け寄った。
「おい、これ。開けてないし、今朝飛行機で貰ったやつだから。気持ち悪いんだろ?やるよ。」
「うううぇ・・・?さっきの可愛い、弟さんじゃん・・・うう・・・ありがとうございますぅ・・・うえ」
「・・・・・・いいんすか。ありがとうございます・・・」
「別にいいよ、こんくらい。貰い物だし。」
「マジで・・・可愛いっすね・・・」
「・・・あいつは年下興味ないから無理だと思うけど。」
「いや、お姉さんのことじゃなくて、」
「楽しいの分かるけどもうあんま騒ぐなよ。それと俺、高校生じゃなくてもう27だから。じゃあな。」
「「「・・・・・・・・・はぁぁあ!?27ぁ!?」」」
「全然見えねぇーーー」と叫ぶ大学生を無視して、俺は花のところへ戻ってさっさとグッズ売り場に向かう。
そんな俺の後ろ姿をじぃっと見つめる男がいたこともに気づかないまま。
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