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第18章

第522話 捜査官にまさかの……?

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 次の日――

 今日もエールデさんからの呼び出しがあり登庁。

「今日はどうしたんですか?」
「部隊長の顔合わせをしておこうと思いましてお呼びしました」

 応接室には、昨日は居なかった二人の姿が。

「私と共に捜査官の任に就いている二人の副長です」
「エトラックです! よろしくお願いいたします!」
「カーデュアルと申します。以後お見知りおきを」
「この二人と、私、フリアマギアの四人で四ヶ所のゼロ距離ドアを見張ります」

 一人は熱血系で顔にトラ柄が走っている。亜人に見えるが多分変身タイプの獣人ウェアアニマルトラ獣人ウェアタイガーってところかな?
 もう一人は丁寧なエリートタイプの穏やかイケメン。見た目は人間に近いから何の種族か分からんが……魔力の質はアランドラ隊長に似てるから竜人の可能性がある。 (アランドラについては第337話などを参照)

「よろしくお願いします」
「二人には通信シールを既に配ってあります。以後、決行日が分かるまで、我々は行商人に扮して町のあちこちで情報収集します」
「私はどうすれば良いでしょうか?」
「普段通りに生活してください。我々からの連絡があった時にご助力いただけると助かります」
「分かりました」

 ということで、ほんの十数分の顔合わせは終わった。

   ◆

 日課のパトロール。
 強盗団の話を聞いてしまっているから、行商人に目が行ってしまう。

「行商人の格好でカモフラージュしてるって言うけど、全部本物の行商人に見える……誰が捜査官か分からないわ……」

 それと同時に、見た目でもうガラが悪そうな悪人ヅラの者もちらほら。

「今度は全員が強盗団に見えるわ……」

 見た目で判断するのは良くないとは思っているが、イカつい風貌のヒトを目にするとどうしても威圧感を感じてしまう。
 話してみると、表情が柔らかかったり、おっさんなのに笑顔が可愛かったりすることもあるが、普段の顔は眉間にシワを寄せてる者も割りと多い。
 それに付け加えて、この世界は牙があったりツノがあったり、鋭いツメを持っていたり、悪魔のような羽を持つ種族なんかもいるため、それらのパーツが威圧感を更に増幅している。
 中には精悍せいかんな顔立ちとイカつい顔面のヒトが隊商を組んでいたりして、『あ、あそこ捜査官と強盗団が一緒に居る』なんて妄想をしたりとかも。

「う~ん……各国からヒトが訪れるようになって活気が出て来たのは良いけど、小競り合いが増えたのは懸念材料になっちゃったな……」

 原住民のトロルたちには『今までの方が良かった!』なんて言われてしまう時が来てしまうかもしれない……
 町の発展も一長一短だ……良かれと思ってやっていても、ある部分ではどうしても悪いところが流入してしまう……
 できる限り悪い方向へ行かないように、アンテナは広げておかないとな。
 幸いなことに私には悪人サーチ能力があるカイベルが居るから、極悪人とかは捕まえて現地へ送還できるし。

 魔界でもかなり発展している水の国首都トリトナ雷の国首都トールズは、発展しているながらも比較的犯罪率は少ないように思う。アルトレリアの町もあれを参考にしたいところだ。

「とりあえずは、樹の国から来た目の前の巨悪を捕まえるのが最優先事項だ」

   ◆

 パトロールを終え、我が家に帰ったところ――

「アルトラ様」

 帰ってすぐにカイベルが話しかけてくるのは珍しいな。

「どうしたの?」
「今、カーデュアル氏と会議をしてきたのですか?」

 カイベルの口から『氏』付けってのはあまり聞いたことないな。敵対者以外は大体『様』付けなのに。
 それに普段なら捜査官の官長である『エールデ様と会議ですか?』と聞いてくるのに、何でその部下を名指しで?

「してきたけど、それがどうかした?」
「はい。カーデュアル氏の過去を検索しましたが、この方、内通者です」
「えっ!?」
「強盗団と繋がっています」
「ホ、ホントに!? エールデさんは副長って言ってたけど!?」
「相当に頭がキレるようで、結構悪どいことでお金を稼いでるようですね。にも関わらず自身に害が及ばないように上手く立ち回っています。穏やかな表情は仮面と考えて良いでしょう」

 捜査官側に内通者が居るとは……
 しかも、頭良さそうでエリート然としていた方が内通者とはね……

「彼の所為で、冤罪が三件、未解決事件が四件出ています。未解決事件はいずれも強盗団の犯行のもみ消しで、冤罪は無関係の他人に罪をなすり付けたもののようです。これによって強盗団が盗んだ金額の一割を受領していたようですね」

 犯罪のもみ消し!? 他人への罪のなすり付け!? 反社組織から賄賂の受け取り!?

「超悪いヤツじゃん!」
「それだけではありません。どうやら直接ヒトも殺してるようです」
「ヒトも殺してる!? それは作戦でやむを得ずとかじゃなくて!?」
「用済みになって、生きていては困る強盗団員を密かに始末していたようです。死んだ理由は強盗団側には『守護志士との抗争でやられたから弔った』、守護志士側には『強盗団の一人を始末した』と双方に嘘を伝えているようですね。大森林は広大で行方不明者も捜し難くヒトが死んでも動植物、虫などが分解してしまうので犯行も明るみにならないようです。加えてカーデュアル氏は守護志士ですので、腕は立ちますから武術方面でもかなり優秀なようで」

 超!悪いヤツじゃん!!
 アルトレリアに滞在してる間に悪いことしてないでしょうね……?

「ってことは、エールデさんの作戦はバレてる?」
「はい。連中はドア一対でも手に入れられれば良いと考えているようです。何せエールデ様判断でも闇オークションで数百億エレノルで売れると見込んでいますからね。決行当日は我々の動きを撹乱しに来るでしょう」
「エールデさんに知せた方が良いかな?」
「どれほど上手く隠していても振る舞いの端々に違和感は出るものです。ましてや何度も繰り返していれば犯行は徐々に大胆になってきますからほころびは大きくなっていきます。エールデ様も薄々感づいてると思いますし、冤罪を作り出しているなら悪い噂も聞き及んでいるでしょう。知らせれば耳を傾けてくれると思います」

 くそぉ……警察の上位組織に所属してるのにもかかわらず、ゼロ距離ドア売って莫大なお金を得ようとしてたってことかぁ……!!
 それよりも何よりも、邪魔なヒトを平気で殺害したり、捜査撹乱させて迷宮入りさせたりするのは許せない!

「ちょっと行って来る!」
「あ、伝えに行くのは少々お待ちください。現状では説得に足る証拠がありません。私に考えがあります」
「…………分かった」

   ◆

 次の日――

「アルトラ様、証拠がご用意できました。フリアマギア様にお会いになる時に、これを見せると良いでしょう」

 四枚の写真を渡された。

「これって……いつ撮ったの?」

 写真にはカーデュアルが強盗団の潜伏先と思われる場所を訪れている様子が写されている。
 『周囲を警戒してキョロキョロしているらしき写真』、『建物内に呼び込む男と顔を合わせた直後の写真』、『玄関先で薄ら笑いを浮かべた男としゃべっている写真』、『「怪しまれるから早く中に入れろ!」とでも言うように表情にちょっと怒気を含んだ写真』、それと建物遠景の五枚。
 日が落ちている時間らしく周囲は薄暗くて見にくいが、流石カイベル。ばっちり顔が分かるように撮影されている。
 建物内に呼び込んでいる男は、一昨日エールデさんに見せられた写真で見た記憶のある顔だ。

「昨日作戦前の顔合わせがありましたし、強盗団の方でも少し動きが活発になっていたので、昨日今日くらいに密会すると踏んでいました。撮ったのは昨日アルトラ様が戻って六時間ほど経った後です」
「ってことは、これ昨日なの?」
「はい」
「エールデさんが『潜伏先が割れてる』って言ってたけど、同じ場所?」
「いえ、捜査官がまだ把握していない別の潜伏先ですね」

 二ヶ所以上あるのか……そりゃそうか。

 アルトレリアも来訪者が増えたことにより、商人たちが停泊し易いように簡易宿泊施設や賃貸物件が増えた。多分、そのうちの一つだろう。

「恐らく強奪作戦も二、三日、遅くとも五日のうちには決行されるのではないかと予想されます」
「そう……分かった、写真ありがとう。二人に会ってくるわ」

   ◆

 そして今日も嬉々としてゼロ距離ドアを調べているフリアマギアさんのところに向かい、腕を引く。

「フリアマギアさん! ちょっと来てください!!」
「ど、どうしたんですか急に!?」

 と、一瞬驚いた顔をしたが、私が地獄の門前広場に引き込む行動で真顔になった。すぐに何かを察したらしい。
 いつも彼女に帯同している、クリストさんとパトリックさんに――

「あ、二人は私の研究道具を見張っておいて」

 ――と声をかけ、ゼロ距離ドアをくぐった。

「……何か……作戦に不都合があったんですね?」
「はい、すぐにエールデさんを応接室に呼び出してもらえますか? 部下は連れてこないように言って」
「部下が一緒だと不都合なんですか?」
「はい、これを見てください」
「…………これは……!?」

 例の写真を見せると少しだけ驚いた表情を見せたが、すぐに元の表情に戻り、

「すぐにエールデに連絡を取ります!」

   ◆

 本日二度目の応接室。
 私とフリアマギアさんで待つ。

「遅れて申し訳ありません。非常事態がありましたか?」
「はい、部下は連れて来てませんよね?」
「一人で来いとフリアマギアに言われましたので」
「この作戦、強盗団側に作戦が筒抜けかもしれません」
「なぜ……そう思ったのですか?」
「あなたの部下を悪く言ってしまうので、先に謝っておきます、まずはすみません。そして本題です、昨日顔合わせでカーデュアルさんに会った時に何か嫌な感覚を受けたので、個人的に私の部下に探らせたところ、強盗団とカーデュアルさんが密会しているとの目撃情報を得ました」
「……嫌な感覚……ですか。なぜそう思ったのですか?」
「彼の顔を見て、何だか嫌な予感がしたんですよね。私、少し勘が良いんですよ」

 まあ……カイベルありきの勘の良さだが……

「しかし他人からの情報だけで部下を問い詰めることはできません」
「ではコレをご覧ください」

 カイベルから渡された写真を机に叩きつけた。

「これは……確かにカーデュアルのようだ……こっちの男は私の持ってきた写真の中に居たな……本当に強盗団と繋がっていたわけか……」
「疑ってはいたんですか?」
「………………はい。大分前から黒い噂が伝え聞こえていましたので……ただ、いつもあの柔和な表情をしていて、決定的な証拠も出てこないので、恥ずかしながら積極的に調べようとはしませんでした。申し訳ありません、私の監督不行き届きだったようです。ではすぐにでも作戦から外して……」
「エールデさん、それはオススメしません」

 フリアマギアさんが止めに入った。

「強盗団と繋がっているということは、彼からの情報が入らない状態になった場合に、どういう行動を起こすでしょうか?」
「……!! ……そうか……警戒して作戦を取りやめる可能性が高いな。俺たちがアルトレリアに潜入していることが筒抜けだというなら今回は強奪を実行することなく解散するだろう。そしてほとぼりが冷めた頃に再び盗みに来る可能性が高いだろうな。そうなると再度の追跡は難しくなる」
「そういうことですので、カーデュアルさんをどうにかするのは強盗団の件が終わってからです。ただカーデュアルさんには行方をくらまされないように監視を付けておいた方が良いでしょうね」
「優先するべきは強盗団の一斉捕縛ということですね」

 しかし、『捕縛』という単語を聞いて、エールデさんが呆気あっけに取られた顔をした。

「捕縛? そういえば我々の方針を話していませんでしたね。捕縛は余裕がある場合のみ行います。基本的には殺しも容認です」
「えっ!?」

 いやいやいやいや、この地が血にまみれてしまうじゃないか!

「つ、捕まえに来たんじゃないんですか!?」
「理想はそうですが、あくまで理想です。――」

 あ! そういえばユグドの大森林に入る直前、トリニアさんに強盗と遭遇した時の対処法を聞いたら、『殺しちゃっても良い』とか言ってたな…… (第307話参照)
 樹の国ではそういう考えのヒトが多いのか……
 何とか血まみれにしない方法は無いだろうか……?

「――と、樹の国では考えるところですが、やはり他国を犯罪者の血で汚して帰るわけにはいきませんからね、出来得る限り捕縛を優先します。そのためのフリアマギアですから」

 フリアマギアさんの方を見ると、ニッコリと笑った。
 何か考えがあるってことか。

 ホッ……流石に正門とか麦畑とか川の上流を血で汚されたくない。

「しかし、強盗団が終わった後にカーデュアルを逮捕するにしてもこれだけではまだ証拠としては弱い」
「じゃあ、逃走防止と証拠固めを含めて部下の方に監視をさせましょう。その際は録音付きで」
「そうだな、信用置ける三人ほどに伝えて監視してもらうか」
「では肝心の強盗団についての対処ですね。作戦が漏れているとなると妨害工作が予想されます。どう来ると思いますか?」

 答えるのはフリアマギアさん。

「私なら三対あるドアのいずれか二対に手下を集中させて、手薄になった残りの一対をいただきますね。我々の予測ですら数百億ですから、その一対さえ盗れれば働きとして十分ですので」
「しかし、短時間で岩から取り外すには頭目の巨人の力が必要なんですよね? それをさせないために私が強制転移させる予定なんですよ? 作戦が漏れてるならそこも対処してくると言うことですか?」
「してくると思います」
「空間転移魔法を封じるってどうやるんですか? 封じる手段なんて考えもつきませんけど……」

 例え出口の無い場所へ閉じ込められても出て来られるような魔法なのに……封じる方法があるのか?
 空間の裂け目に直接蓋をする……なんてことできるわけないよなぁ……

「それがあるんですよ封じる方法が。ただ、現状ではごくたまに少量しか流通しないのでに滅多に手に入らないかなりレアなアイテムなので使ってくるかどうか半々ですけど、守護志士が絡んでるなら入手手段はありますからね。私も研究室に一つ持ってます」

 守護志士で入手手段って言うと……押収された品とかだろうか? 犯罪に加担してるなら黙って持ち出す可能性だってあるだろうし。
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