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第18章
第505話 町に図書館ができた!
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本日は、町内に完成したという図書館に来ている。
「おお~~、やっと完成したか~~! これでまたみんなの知力が一段階向上するわ! じゃあみんなよろしくね!」
図書館を作ることは決定していたため、完成前から役所にて図書館員を募集。
更に、数日前から本を運び込む作業員を募集していた。
「今日は何をすれば良いのだ?」
そして本の搬入は力仕事なため、何でも屋のこの男にも来てもらっている。
「今日は各国から寄付してもらった本を、図書館内の本棚へ運び込んでもらう……ところまで行ければ良いんだけど……」
「どういうことだ?」
「冊数が多いからさ」
「それで、その本はどこだ?」
「私が預かってる」
【亜空間収納ポケット】から大量の本を取り出す。
「「「おお!」」」
「ホ、ホントに多いですね……」
「しかも古そうなのから、破れてるのまでありますけど……」
「あ! これなんか後ろ側 (背表紙のこと)擦り切れてますよ!」
「こっちはもうバラバラに分解しそうです!」
「でも新品同様のものもそれなりにありますね」
作業員が口々に本の状況を説明してくれる。
「ま、まあ無料で寄付してもらったものだから、傷みが酷いのもそれなりにあるかもね。そういうので修復できそうなものは修復するから、酷い傷みがあるものはこの中に入れておいてもらえるかしら」
樹魔法で『傷みが酷いもの』ボックスを作った。
「何冊くらいあるんですか?」
「二千? 三千? ……多分五千は無いと思うけど……」
「「「五千冊!?」」」
「そんなにあるんですか!?」
「多過ぎ!!」
「これは何日もかかりそうですね……」
「各国から寄付されたものだからね」
「【亜空間収納ポケット】ってどうなってるんですか?」
「わ、私にも分からないなぁ……」
ホントに分からん。何でこの物量が入ってられるのか……
「その量をどうやって分類するんですか?」
カイベルに事前に分類法を聞いている。
曰く――
◆
今朝方――
「図書館できたらしいから本を運び込みたいんだけど」
「はい、存じています」
「本の分類ってどんな風に分類されてるの?」
「日本では『0 総記』、『1 哲学』、『2 歴史』、『3 社会科学』、『4 自然科学』、『5 技術』、『6 産業』、『7 芸術』、『8 言語』、『9 文学』という風に十進分類法というものを用いて分類されています」
「あら、割と簡単に分類しているのね」
「いえいえ、とんでもない。これが第1次区分で、この下に第2次区分、第3次区分と続きます」
ってことは、ねずみ講のように下へ行くほど子が増えていくってやつか……
「第1次区分で十種類なら、その下は百種類とか二百種類とか?」
「もっとです」
「え? 流石に千種類ってことはないでしょ?」
「十進分類法ですと千種類以上、図書分類コード上では六千八百種類以上にも及びます」
「六千八百!?」
甘く見ていた! 書籍分類を甘く見ていた!
眩暈がする……
「右も左も分からないと思いますし、とりあえず第1次区分だけで分類しておくのが落としどころとして適当ではないでしょうか」
◇
――というような話だった。
「リーディアさん」
「はい」
「じゃあ、ここの館長をお願いね」
「謹んでお受け致します」
館長に就任したのは『リーディア・トロル・ヨームホーン』。二十五歳。
本の無いこの地で、一足早く“読専”をしていた読書家。
本など碌に無いのに何を読んでいたかと言うと、路上販売している同人誌も同然の薄い本。ただし薄いと言ってもエッチなものではない。
個人で作ったものを、路上の狭い一角で自主的に販売していたものだ。現在では書店を構え、この販売に追随するように、色んなヒトが本を作って、そこに委託されているような状態。 (この町の書店の成り立ちについては第213話参照)
特に生態調査部が月一で発行する薄い本は中々読み応えがある。
その販売店の初期からのファンだったのがこのリーディア。
今回図書館が出来るということで、『本が沢山読める!』と、興奮しながら役所の受付に志願して来た。彼女の熱意に気圧されたため館長をお任せしてみることにした。
「よし! 傷みが酷い本も仕分け終わったみたいだし、じゃあみんな、仕分けを開始してもらえるかしら?」
すぐにでも本棚への収納作業……と言いたいところだが、まずは分類開始。
カイベルのアドバイスの通り第1次区分でまとめよう。
カイベルに聞く前の予定では、バラバラでも良いからどんどん収納することを考えていた。
何せ本の無かった旧トロル村の住民は、まだまだ本のなんたるかを知らない者ばかり。
分類ごとに分けるなんて困難の極致と考えたためだ。
しかし、カイベルの話を聞く限りそうも言ってられないようだ。
最初からある程度分類させておかないと、後でやるにはあまりにも膨大に過ぎる。
恐らく最初に分類しておかなかったことを後悔するであろうことは明白、そう考えた。
第1次区分に沿って、十個のボックスを作った。
「本はこんな感じに分類されてるから内容のボックスに入れていって」
と、紙に書いた分類の種類を見せる。
┌───────────────────────────────────┐
0 総記 (情報学、図書館、図書、百科事典、一般論文集、
逐次刊行物、団体、ジャーナリズム、叢書)
1 哲学 (哲学、心理学、倫理学、宗教)
2 歴史 (歴史、伝記、地理)
3 社会科学 (政治、法律、経済、統計、社会、教育、風俗習慣、国防)
4 自然科学 (数学、理学、医学)
5 技術 (工学、工業、家政学)
6 産業 (農林水産業、商業、運輸、通信)
7 芸術 (美術、音楽、演劇、スポーツ、諸芸、娯楽)
8 言語
9 文学
└───────────────────────────────────┘
(『日本十進分類法 - Wikipedia』より引用)
「「「………………」」」
しかし紙を見せた途端に全員沈黙。
「あの……私たちには何が何やら分からないんですけど……」
「そうだよね~、私もほとんど分からんし。本の種類なんて考えたことも無かったよ」
という私の返答に、一同騒然。
「アルトラ様が分からないんじゃどうやって分類すれば良いんですか!?」
「この中で分かりそうなものはある?」
「6番……くらいかなぁ……」
「6番は絵とかですよね? 7なら少しくらいは」
「私も6と7くらいしかないですね……」
そうだよなぁ……この地にはまず図書館が無かったから0番の総記は論外だし。
哲学や宗教もここには無いから1番の哲学も無し。同じ理由で歴史も記されたものが無いから2番の歴史も無い。
経済は多少出来てきたとは言え、政治には至っていないし、法律もまだ無い。よって3番の社会科学も無い。
頭は多少良くなってきているものの4番の自然科学を修めるところまでは達していない。
工学、工業なんかは、多少ドワーフさんたちのお蔭で出来てきているから、この町では5番の技術から下辺りからしかまだ関係しているものが無いと。
「よし! じゃあ仕事を分担して進めましょう。仕分け係を図書館員が、ボックスへの運搬係を運搬作業員が担当して」
「分類が分からない場合はどうしましょう?」
「そうねぇ……じゃあ自分が分かりそうなものだけで良いから分類して。分かりそうもないものは私のところへ持って来て――」
◇
――なんて言ったら、あっという間に本のタワーに囲まれてしまった……
「い、いずれはこうなるかと思ってたけど、タワーに囲まれるの早過ぎる!」
と、とりあえず私が分かりそうなものはどんどん分類していこう。
このままだと本の迷宮に閉じ込められてしまいそうだ。
「『昆虫大百科』……これは流石に私でも分かるわ、0番の総記ボックスへ持って行って」
「分かった」
私の相棒はフレアハルトが担当するようだ。
「『水の国の成り立ち』……これは多分歴史かな? 2番の歴史ボックスへ。『世界の暮らし~ユグドの森探訪~』……う~ん……地理? 風俗習慣? どっちだ?」
開いてみたところ、ユグドの大森林内にある獣人族たちの暮らしについて書いてある。
「多分風俗習慣の方かな? 3番の社会科学ボックスへ。あっ! よく見ると『世界の暮らし』って他にもあるわ。こっちには『世界の暮らし~火の国砂漠の住民~』とか『世界の暮らし~世界一寒い土地で生きる人々~』とか『世界の暮らし~人魚たちの営み~』とかがある。これらは風俗習慣で合ってるみたいだ」
迷った時は同じシリーズを探し出すのも有効かも。
「『統計学の基礎知識』……これは簡単だ、3番ボックス。『エレアースモ魔導機工学』……何コレ? 名前に『魔導』とか入ってきちゃったよ……あ、これも地球に無いやつだ、『エルフが明かせない紋章術学・入門編』」
地球で分類されないやつ来ちゃった……と言うか、この紋章術学の著者、フリアマギアさんだわ……簡単な (?)魔道具の作り方が載ってる。『エルフが明かせない』とか書いてあるのにバンバンバラしてるわ……
これは『魔法』って分類を作るべきなのか? いや、魔界では魔法は常識だから作ったら余計ややこしいことになりそうだ。
分類するとSFとかになるのかしら? いや、機工学って書いてあるから技術の工学に分類されるのかな?
「じゃあ二冊とも5番の技術ボックスへ。『ワイバーン便の運輸革命』……これは6番の産業ボックスへ。『精霊種の受肉に関するあれこれ』……これは多分4番の自然科学ボックスかな? 精霊の生態みたいだし」
どれもこれも興味惹かれそうなタイトルが多い……
私にとってはこの魔界自体が幻想世界だから、地球で考えて常識外れな風俗習慣が多いからだろう。
今後図書館で借りて読むのが習慣化しそうだ。
そんな中――
「ん?」
――とある絵本に目が留まった。
あ~、そういえばカイベル、こんなことも言ってたっけな……
◆
「また、0番から9番に分類しにくいものがあり、図書館ではそれらを別置記号という形で置いてあることがあります」
「別置記号? なんじゃそりゃ?」
「有名なところで言うと『E』の絵本でしょうか。これは『絵本』の頭文字『E』を元にしています。子供は著者名で探したりしないため、『E』という分類を作って、そこへ置くようになったそうです。他にも『子供』の『K』や『児童』の『J』が使われることがあるようです」
「あ~、なるほど。確かに子供の頃に作者の名前なんて気にしなかったわ。絵本を作者名で置いておいても手に取らないってわけね」
「別置記号に関して言うなら、同じように『郷土資料』や『現地ガイドブック』、本として置いておくことのできない『紙芝居』など、分類が難しいものを別置として置かれることが多いようです。なお、この別置記号については図書館によって違っていますので共通とは限りません」
「へぇ~」
◇
つまり、子供のことを考えて、子供が手に取りやすい絵本は別コーナーを設けた方が良いってことか。
それにしてもこの絵本、何だか気になるな……
「………………」
『すももたろう』と魔界文字で書かれている絵本。
「おお~~、やっと完成したか~~! これでまたみんなの知力が一段階向上するわ! じゃあみんなよろしくね!」
図書館を作ることは決定していたため、完成前から役所にて図書館員を募集。
更に、数日前から本を運び込む作業員を募集していた。
「今日は何をすれば良いのだ?」
そして本の搬入は力仕事なため、何でも屋のこの男にも来てもらっている。
「今日は各国から寄付してもらった本を、図書館内の本棚へ運び込んでもらう……ところまで行ければ良いんだけど……」
「どういうことだ?」
「冊数が多いからさ」
「それで、その本はどこだ?」
「私が預かってる」
【亜空間収納ポケット】から大量の本を取り出す。
「「「おお!」」」
「ホ、ホントに多いですね……」
「しかも古そうなのから、破れてるのまでありますけど……」
「あ! これなんか後ろ側 (背表紙のこと)擦り切れてますよ!」
「こっちはもうバラバラに分解しそうです!」
「でも新品同様のものもそれなりにありますね」
作業員が口々に本の状況を説明してくれる。
「ま、まあ無料で寄付してもらったものだから、傷みが酷いのもそれなりにあるかもね。そういうので修復できそうなものは修復するから、酷い傷みがあるものはこの中に入れておいてもらえるかしら」
樹魔法で『傷みが酷いもの』ボックスを作った。
「何冊くらいあるんですか?」
「二千? 三千? ……多分五千は無いと思うけど……」
「「「五千冊!?」」」
「そんなにあるんですか!?」
「多過ぎ!!」
「これは何日もかかりそうですね……」
「各国から寄付されたものだからね」
「【亜空間収納ポケット】ってどうなってるんですか?」
「わ、私にも分からないなぁ……」
ホントに分からん。何でこの物量が入ってられるのか……
「その量をどうやって分類するんですか?」
カイベルに事前に分類法を聞いている。
曰く――
◆
今朝方――
「図書館できたらしいから本を運び込みたいんだけど」
「はい、存じています」
「本の分類ってどんな風に分類されてるの?」
「日本では『0 総記』、『1 哲学』、『2 歴史』、『3 社会科学』、『4 自然科学』、『5 技術』、『6 産業』、『7 芸術』、『8 言語』、『9 文学』という風に十進分類法というものを用いて分類されています」
「あら、割と簡単に分類しているのね」
「いえいえ、とんでもない。これが第1次区分で、この下に第2次区分、第3次区分と続きます」
ってことは、ねずみ講のように下へ行くほど子が増えていくってやつか……
「第1次区分で十種類なら、その下は百種類とか二百種類とか?」
「もっとです」
「え? 流石に千種類ってことはないでしょ?」
「十進分類法ですと千種類以上、図書分類コード上では六千八百種類以上にも及びます」
「六千八百!?」
甘く見ていた! 書籍分類を甘く見ていた!
眩暈がする……
「右も左も分からないと思いますし、とりあえず第1次区分だけで分類しておくのが落としどころとして適当ではないでしょうか」
◇
――というような話だった。
「リーディアさん」
「はい」
「じゃあ、ここの館長をお願いね」
「謹んでお受け致します」
館長に就任したのは『リーディア・トロル・ヨームホーン』。二十五歳。
本の無いこの地で、一足早く“読専”をしていた読書家。
本など碌に無いのに何を読んでいたかと言うと、路上販売している同人誌も同然の薄い本。ただし薄いと言ってもエッチなものではない。
個人で作ったものを、路上の狭い一角で自主的に販売していたものだ。現在では書店を構え、この販売に追随するように、色んなヒトが本を作って、そこに委託されているような状態。 (この町の書店の成り立ちについては第213話参照)
特に生態調査部が月一で発行する薄い本は中々読み応えがある。
その販売店の初期からのファンだったのがこのリーディア。
今回図書館が出来るということで、『本が沢山読める!』と、興奮しながら役所の受付に志願して来た。彼女の熱意に気圧されたため館長をお任せしてみることにした。
「よし! 傷みが酷い本も仕分け終わったみたいだし、じゃあみんな、仕分けを開始してもらえるかしら?」
すぐにでも本棚への収納作業……と言いたいところだが、まずは分類開始。
カイベルのアドバイスの通り第1次区分でまとめよう。
カイベルに聞く前の予定では、バラバラでも良いからどんどん収納することを考えていた。
何せ本の無かった旧トロル村の住民は、まだまだ本のなんたるかを知らない者ばかり。
分類ごとに分けるなんて困難の極致と考えたためだ。
しかし、カイベルの話を聞く限りそうも言ってられないようだ。
最初からある程度分類させておかないと、後でやるにはあまりにも膨大に過ぎる。
恐らく最初に分類しておかなかったことを後悔するであろうことは明白、そう考えた。
第1次区分に沿って、十個のボックスを作った。
「本はこんな感じに分類されてるから内容のボックスに入れていって」
と、紙に書いた分類の種類を見せる。
┌───────────────────────────────────┐
0 総記 (情報学、図書館、図書、百科事典、一般論文集、
逐次刊行物、団体、ジャーナリズム、叢書)
1 哲学 (哲学、心理学、倫理学、宗教)
2 歴史 (歴史、伝記、地理)
3 社会科学 (政治、法律、経済、統計、社会、教育、風俗習慣、国防)
4 自然科学 (数学、理学、医学)
5 技術 (工学、工業、家政学)
6 産業 (農林水産業、商業、運輸、通信)
7 芸術 (美術、音楽、演劇、スポーツ、諸芸、娯楽)
8 言語
9 文学
└───────────────────────────────────┘
(『日本十進分類法 - Wikipedia』より引用)
「「「………………」」」
しかし紙を見せた途端に全員沈黙。
「あの……私たちには何が何やら分からないんですけど……」
「そうだよね~、私もほとんど分からんし。本の種類なんて考えたことも無かったよ」
という私の返答に、一同騒然。
「アルトラ様が分からないんじゃどうやって分類すれば良いんですか!?」
「この中で分かりそうなものはある?」
「6番……くらいかなぁ……」
「6番は絵とかですよね? 7なら少しくらいは」
「私も6と7くらいしかないですね……」
そうだよなぁ……この地にはまず図書館が無かったから0番の総記は論外だし。
哲学や宗教もここには無いから1番の哲学も無し。同じ理由で歴史も記されたものが無いから2番の歴史も無い。
経済は多少出来てきたとは言え、政治には至っていないし、法律もまだ無い。よって3番の社会科学も無い。
頭は多少良くなってきているものの4番の自然科学を修めるところまでは達していない。
工学、工業なんかは、多少ドワーフさんたちのお蔭で出来てきているから、この町では5番の技術から下辺りからしかまだ関係しているものが無いと。
「よし! じゃあ仕事を分担して進めましょう。仕分け係を図書館員が、ボックスへの運搬係を運搬作業員が担当して」
「分類が分からない場合はどうしましょう?」
「そうねぇ……じゃあ自分が分かりそうなものだけで良いから分類して。分かりそうもないものは私のところへ持って来て――」
◇
――なんて言ったら、あっという間に本のタワーに囲まれてしまった……
「い、いずれはこうなるかと思ってたけど、タワーに囲まれるの早過ぎる!」
と、とりあえず私が分かりそうなものはどんどん分類していこう。
このままだと本の迷宮に閉じ込められてしまいそうだ。
「『昆虫大百科』……これは流石に私でも分かるわ、0番の総記ボックスへ持って行って」
「分かった」
私の相棒はフレアハルトが担当するようだ。
「『水の国の成り立ち』……これは多分歴史かな? 2番の歴史ボックスへ。『世界の暮らし~ユグドの森探訪~』……う~ん……地理? 風俗習慣? どっちだ?」
開いてみたところ、ユグドの大森林内にある獣人族たちの暮らしについて書いてある。
「多分風俗習慣の方かな? 3番の社会科学ボックスへ。あっ! よく見ると『世界の暮らし』って他にもあるわ。こっちには『世界の暮らし~火の国砂漠の住民~』とか『世界の暮らし~世界一寒い土地で生きる人々~』とか『世界の暮らし~人魚たちの営み~』とかがある。これらは風俗習慣で合ってるみたいだ」
迷った時は同じシリーズを探し出すのも有効かも。
「『統計学の基礎知識』……これは簡単だ、3番ボックス。『エレアースモ魔導機工学』……何コレ? 名前に『魔導』とか入ってきちゃったよ……あ、これも地球に無いやつだ、『エルフが明かせない紋章術学・入門編』」
地球で分類されないやつ来ちゃった……と言うか、この紋章術学の著者、フリアマギアさんだわ……簡単な (?)魔道具の作り方が載ってる。『エルフが明かせない』とか書いてあるのにバンバンバラしてるわ……
これは『魔法』って分類を作るべきなのか? いや、魔界では魔法は常識だから作ったら余計ややこしいことになりそうだ。
分類するとSFとかになるのかしら? いや、機工学って書いてあるから技術の工学に分類されるのかな?
「じゃあ二冊とも5番の技術ボックスへ。『ワイバーン便の運輸革命』……これは6番の産業ボックスへ。『精霊種の受肉に関するあれこれ』……これは多分4番の自然科学ボックスかな? 精霊の生態みたいだし」
どれもこれも興味惹かれそうなタイトルが多い……
私にとってはこの魔界自体が幻想世界だから、地球で考えて常識外れな風俗習慣が多いからだろう。
今後図書館で借りて読むのが習慣化しそうだ。
そんな中――
「ん?」
――とある絵本に目が留まった。
あ~、そういえばカイベル、こんなことも言ってたっけな……
◆
「また、0番から9番に分類しにくいものがあり、図書館ではそれらを別置記号という形で置いてあることがあります」
「別置記号? なんじゃそりゃ?」
「有名なところで言うと『E』の絵本でしょうか。これは『絵本』の頭文字『E』を元にしています。子供は著者名で探したりしないため、『E』という分類を作って、そこへ置くようになったそうです。他にも『子供』の『K』や『児童』の『J』が使われることがあるようです」
「あ~、なるほど。確かに子供の頃に作者の名前なんて気にしなかったわ。絵本を作者名で置いておいても手に取らないってわけね」
「別置記号に関して言うなら、同じように『郷土資料』や『現地ガイドブック』、本として置いておくことのできない『紙芝居』など、分類が難しいものを別置として置かれることが多いようです。なお、この別置記号については図書館によって違っていますので共通とは限りません」
「へぇ~」
◇
つまり、子供のことを考えて、子供が手に取りやすい絵本は別コーナーを設けた方が良いってことか。
それにしてもこの絵本、何だか気になるな……
「………………」
『すももたろう』と魔界文字で書かれている絵本。
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