476 / 533
第17章 風の国ストムバアル『暴食』の大罪騒乱編
第467話 カゼハナの巣穴・第二ラウンド
しおりを挟む
ところ変わって、属国ヴィントル・カゼハナの巣穴攻略司令本部に戻る――
伝令の騎士が報告を持って来た。
「アスタロト様! ただいま連絡があり、ヴァントウに出現したジャイアントアントの巣穴は殲滅されたとのことです!」
「そうですか! それは良かった! ただ、まだ付近には女王が潜んでいる可能性があります。アーヴェルム国に連絡をし、土中を徹底的に調査するよう命じてください!」
「了解!」
「それで、どの程度の被害状況ですか?」
「それが……かなりの大打撃だそうで、二ヵ国の半数はもう動けない状態とのこと。死者もかなりの数出たそうです……」
「な、なんと……それほどの激戦だったということですか……数も多かったのでしょうか?」
「いえ……たった一匹のアリに半数が戦闘不能にされたとか」
「たった一匹!? まさか!?」
「真偽のほどは定かではありませんが、そう報告を受けています。ですので『残念ながらボレアースへの援軍には向かえない』と、マルク殿からの言伝です」
「そうですか……分かりました。連合軍の方々には労いの連絡を入れておいてください」
「了解しました!」
「さて、私と精鋭は二時間後ボレアースの援軍に出発します。少し身体を休めておいてください」
激戦を予想されていた二ヶ所の巣穴が殲滅されたことにより、少しの心の余裕が生まれる。みな身体を休めようとしたその矢先、上空で感知を担っていた風の精霊テンペティスより凶報となる報せが届く。
「感知部隊テンペティスより報告! 先刻殲滅したカゼハナの巣穴に異変! 何か黒煙の中で動くものが感じられます! もうすぐ地上に出てくる模様!」
黒煙立ち上る巣穴の中から一匹のアリに似たナニカがゆっくりと姿を現す。
「何か出て来たぞ。何だアレは……? 赤黒い体色……?」
「あれもアリか?」
フレアハルトがすかさずアスタロトに訊ねる。
「あれが兵隊アリか?」
「いえ……兵隊アリはあんな姿をしていません。あんなのは見たことがない……」
「と言うより……顔までの上半分は亜人のような姿をしていますが……」
「まさか……あれがベルゼビュート様が言っていた兵隊アリの上位種?」
その姿はヴァントウの巣穴の銀色のアリ同様、異様な姿をしていた。
頭部はアリに酷似したもの、上半身はヒトに違い見た目をしている。ここまではヴァントウのものと似ていたが、下半身が違っていた。
下半身には脚が十二本。主脚四本と副脚八本があり、副脚は腰辺りに付いている。そして身体の色は赤黒い。
「あの下半身……アリと言うよりはクモ、もしくはもっと多脚のムカデとかを想起させますね……」
その直後、赤黒いアリが副脚八本を地面に突き立てた。
と同時に赤黒かった体色が更に赤色に変色していく。
「何だ? 地面に脚を刺して何かしようとしているぞ?」
少し経つと、更に色が変色。赤い体色に光を帯びる。そして赤味はオレンジ色へ、そして徐々に黄色の輝きへと移行しようとしている。
「あの八本の副脚……地面から魔力を吸い上げているのか……?」
その魔力の集積に危機感を感じたフレイムハルトがフレアハルトに声をかける。
「兄上! あれは!」
「ああ、まずいな……アスタロト殿、このカゼハナの周囲に亜人たちはどれくらい住んでいる?」
「今は避難指示を出したため、巣穴の半径五十キロ圏内には我々騎士団員しかいません」
「そうか、それを聞いて安心した。であれば、空間魔術師に頼んで今すぐにこの場の全員を遠くへ避難させてくれ」
「どういうことですか? 一体何が起こると……?」
フレイムハルトが話し始める。
「あの魔力の高まりは我々の使う最強のブレスを使う時の魔力の高まり……火の魔力の高まりによく似ています」
「つまり……あのアリはあなた方と同質の最強のブレスを吐こうとしている前兆だと? そのブレスはどれくらいの威力があるのですか?」
「そうですね……あの山の高さはどの程度ですか?」
フレイムハルトが現在の場所から見える一番高い山を指さす。
「標高ですか? 多分二千メートルほどではないかと思いますが……それが何か?」
「私や兄上なら、あの山ほどの高さなら上三分の一くらいを消し飛ばせます」
「山を三分の一も!? ということは……あれを吐かれれば我々は生きてはいられないということですか?」
「最強のブレスは火に強いレッドドラゴンでも何の防御策も無く直撃すれば生きていられん。普通の亜人なら骨すら残らず消滅するだろうな。しかし、あのアリの口の構造で我々と同じブレスを吐けるとは思えんが……」
「ではどうなると予想していますか?」
「う~ん……」
その時魔力感知を続けていたテンペティスから再び報告が入る。
「アスタロト様! 今度は身体から炎のようなものが出始めました! 口からも火を噴き始めています! それと、アリが居る地面が徐々に溶け溶岩のようになっています!」
「地面が溶けている……? それほどの熱量だということか……? この状況、お二人はどう見ますか?」
「放っておいたらまずいことくらいはひしひしと感じるな」
「フレイムハルト殿の意見はどうですか?」
「目いっぱい魔力を取り込んでから、自爆とか……ですかね?」
……
…………
………………
「「まさか!?」」
「あり得なくはない! 現時点ですら我らの最強のブレスと同等の魔力の高まりを感じる!」
「これがもしアリ自身の魔力許容量を超えたら……恐らくここら一帯どころか数十キロ圏内にいる生物は放射熱で焼死すると予想されます! 現時点の充填量ですら半径二キロや三キロが一瞬で消滅し、五キロほどにいる生物が焼死、または深刻な熱傷、十キロから二十キロほどに熱暴風が吹き荒れる威力です! このままフル充填させたらどれほどの規模になるか分かりません!」
「だとしたら……逃げてしまうのも一つの手だな」
「「「え?」」」
フレアハルトの提案に、この場の全員の思考が一瞬停止する。
「空間魔法で遠くへ逃げてしまえば、ここから五十キロ圏内には誰も住んでおらんのだから穴が開く程度で問題無いであろう?」
「で、できません」
「なぜだ? この近くにはもう亜人が住んでおらんのだろう?」
「あの生物があそこから動かないという保証は無いでしょう!? 移動された先で自爆されたらどんな被害が起こるか分かりません。それに……その規模の破壊があった場合、どのような環境に変貌するかも分かりません! それと……今現在この場に大量の人員を空間転移できる空間魔術師がいません。ここに居るのは……エアリア、ちょっとこちらへ」
「はい!」
エアリアと呼ばれた鳥人族が返事をする。
「現在私に帯同させている空間魔術師見習いのエアリアです。今この場に居るのは小規模人数を移動させられる彼女だけです。カゼハナの殲滅を前提に作戦を考えていましたので、大人数を空間転移できる空間魔術師はボレーアスとヴァントウへ回してしまいました。イルリースと先ほどヴァントウへ雷と樹の国の兵士たちを送って行ったアリアエールが居てくれればもっと大規模に空間転移させられたとは思いますが……」
それを聞いたフレアハルトは顔をしかめる。
「それは厳しい状況だな……今、巣穴から司令本部の範囲にいる人数はどれくらいだ?」
「風の国の精鋭百七十余名、準精鋭五百余名、司令本部に居た百余名と救出されたカゼハナで戦っていた周辺の国から集められた兵士たち五千人余り。そして事後監視のために残ったレッドドラゴンを含む我々五十余名、総勢六千二百余名です。しかもそのうち二千人弱は大怪我を負った兵士たちです」
「つまり何とかせねば六千二百人が消滅するわけだ。それほど大人数だとアルトラでも転移は無理そうだな……」
「生き残るにはあの赤アリがフル充填する前に倒さなければならないようですね」
「しかし、あれを見る限り、半端な熱量では倒せそうもないぞ?」
「フル充填までどの程度と考えていますか?」
アスタロトから聞かれた答えに――
「赤アリの魔力許容量がどの程度か分からんし、アレがここに現れた目的が分からんから何とも言えぬ……」
「目的とは?」
「アレがどの範囲までを壊そうとしているかという目的だ。仮に自爆するというなら、何か壊したいものがあってここに現れたのだと思ってな。あの地面を溶かす熱量から推測するに、壊すためだけに女帝が産み出したような、そういう感覚しか受けぬ。火に特化している我らすらあそこまで破壊に特化してはいない」
――と、答えるフレアハルトだったが、今度は逆にフレイムハルトからアスタロトへと聞き返す。
伝令の騎士が報告を持って来た。
「アスタロト様! ただいま連絡があり、ヴァントウに出現したジャイアントアントの巣穴は殲滅されたとのことです!」
「そうですか! それは良かった! ただ、まだ付近には女王が潜んでいる可能性があります。アーヴェルム国に連絡をし、土中を徹底的に調査するよう命じてください!」
「了解!」
「それで、どの程度の被害状況ですか?」
「それが……かなりの大打撃だそうで、二ヵ国の半数はもう動けない状態とのこと。死者もかなりの数出たそうです……」
「な、なんと……それほどの激戦だったということですか……数も多かったのでしょうか?」
「いえ……たった一匹のアリに半数が戦闘不能にされたとか」
「たった一匹!? まさか!?」
「真偽のほどは定かではありませんが、そう報告を受けています。ですので『残念ながらボレアースへの援軍には向かえない』と、マルク殿からの言伝です」
「そうですか……分かりました。連合軍の方々には労いの連絡を入れておいてください」
「了解しました!」
「さて、私と精鋭は二時間後ボレアースの援軍に出発します。少し身体を休めておいてください」
激戦を予想されていた二ヶ所の巣穴が殲滅されたことにより、少しの心の余裕が生まれる。みな身体を休めようとしたその矢先、上空で感知を担っていた風の精霊テンペティスより凶報となる報せが届く。
「感知部隊テンペティスより報告! 先刻殲滅したカゼハナの巣穴に異変! 何か黒煙の中で動くものが感じられます! もうすぐ地上に出てくる模様!」
黒煙立ち上る巣穴の中から一匹のアリに似たナニカがゆっくりと姿を現す。
「何か出て来たぞ。何だアレは……? 赤黒い体色……?」
「あれもアリか?」
フレアハルトがすかさずアスタロトに訊ねる。
「あれが兵隊アリか?」
「いえ……兵隊アリはあんな姿をしていません。あんなのは見たことがない……」
「と言うより……顔までの上半分は亜人のような姿をしていますが……」
「まさか……あれがベルゼビュート様が言っていた兵隊アリの上位種?」
その姿はヴァントウの巣穴の銀色のアリ同様、異様な姿をしていた。
頭部はアリに酷似したもの、上半身はヒトに違い見た目をしている。ここまではヴァントウのものと似ていたが、下半身が違っていた。
下半身には脚が十二本。主脚四本と副脚八本があり、副脚は腰辺りに付いている。そして身体の色は赤黒い。
「あの下半身……アリと言うよりはクモ、もしくはもっと多脚のムカデとかを想起させますね……」
その直後、赤黒いアリが副脚八本を地面に突き立てた。
と同時に赤黒かった体色が更に赤色に変色していく。
「何だ? 地面に脚を刺して何かしようとしているぞ?」
少し経つと、更に色が変色。赤い体色に光を帯びる。そして赤味はオレンジ色へ、そして徐々に黄色の輝きへと移行しようとしている。
「あの八本の副脚……地面から魔力を吸い上げているのか……?」
その魔力の集積に危機感を感じたフレイムハルトがフレアハルトに声をかける。
「兄上! あれは!」
「ああ、まずいな……アスタロト殿、このカゼハナの周囲に亜人たちはどれくらい住んでいる?」
「今は避難指示を出したため、巣穴の半径五十キロ圏内には我々騎士団員しかいません」
「そうか、それを聞いて安心した。であれば、空間魔術師に頼んで今すぐにこの場の全員を遠くへ避難させてくれ」
「どういうことですか? 一体何が起こると……?」
フレイムハルトが話し始める。
「あの魔力の高まりは我々の使う最強のブレスを使う時の魔力の高まり……火の魔力の高まりによく似ています」
「つまり……あのアリはあなた方と同質の最強のブレスを吐こうとしている前兆だと? そのブレスはどれくらいの威力があるのですか?」
「そうですね……あの山の高さはどの程度ですか?」
フレイムハルトが現在の場所から見える一番高い山を指さす。
「標高ですか? 多分二千メートルほどではないかと思いますが……それが何か?」
「私や兄上なら、あの山ほどの高さなら上三分の一くらいを消し飛ばせます」
「山を三分の一も!? ということは……あれを吐かれれば我々は生きてはいられないということですか?」
「最強のブレスは火に強いレッドドラゴンでも何の防御策も無く直撃すれば生きていられん。普通の亜人なら骨すら残らず消滅するだろうな。しかし、あのアリの口の構造で我々と同じブレスを吐けるとは思えんが……」
「ではどうなると予想していますか?」
「う~ん……」
その時魔力感知を続けていたテンペティスから再び報告が入る。
「アスタロト様! 今度は身体から炎のようなものが出始めました! 口からも火を噴き始めています! それと、アリが居る地面が徐々に溶け溶岩のようになっています!」
「地面が溶けている……? それほどの熱量だということか……? この状況、お二人はどう見ますか?」
「放っておいたらまずいことくらいはひしひしと感じるな」
「フレイムハルト殿の意見はどうですか?」
「目いっぱい魔力を取り込んでから、自爆とか……ですかね?」
……
…………
………………
「「まさか!?」」
「あり得なくはない! 現時点ですら我らの最強のブレスと同等の魔力の高まりを感じる!」
「これがもしアリ自身の魔力許容量を超えたら……恐らくここら一帯どころか数十キロ圏内にいる生物は放射熱で焼死すると予想されます! 現時点の充填量ですら半径二キロや三キロが一瞬で消滅し、五キロほどにいる生物が焼死、または深刻な熱傷、十キロから二十キロほどに熱暴風が吹き荒れる威力です! このままフル充填させたらどれほどの規模になるか分かりません!」
「だとしたら……逃げてしまうのも一つの手だな」
「「「え?」」」
フレアハルトの提案に、この場の全員の思考が一瞬停止する。
「空間魔法で遠くへ逃げてしまえば、ここから五十キロ圏内には誰も住んでおらんのだから穴が開く程度で問題無いであろう?」
「で、できません」
「なぜだ? この近くにはもう亜人が住んでおらんのだろう?」
「あの生物があそこから動かないという保証は無いでしょう!? 移動された先で自爆されたらどんな被害が起こるか分かりません。それに……その規模の破壊があった場合、どのような環境に変貌するかも分かりません! それと……今現在この場に大量の人員を空間転移できる空間魔術師がいません。ここに居るのは……エアリア、ちょっとこちらへ」
「はい!」
エアリアと呼ばれた鳥人族が返事をする。
「現在私に帯同させている空間魔術師見習いのエアリアです。今この場に居るのは小規模人数を移動させられる彼女だけです。カゼハナの殲滅を前提に作戦を考えていましたので、大人数を空間転移できる空間魔術師はボレーアスとヴァントウへ回してしまいました。イルリースと先ほどヴァントウへ雷と樹の国の兵士たちを送って行ったアリアエールが居てくれればもっと大規模に空間転移させられたとは思いますが……」
それを聞いたフレアハルトは顔をしかめる。
「それは厳しい状況だな……今、巣穴から司令本部の範囲にいる人数はどれくらいだ?」
「風の国の精鋭百七十余名、準精鋭五百余名、司令本部に居た百余名と救出されたカゼハナで戦っていた周辺の国から集められた兵士たち五千人余り。そして事後監視のために残ったレッドドラゴンを含む我々五十余名、総勢六千二百余名です。しかもそのうち二千人弱は大怪我を負った兵士たちです」
「つまり何とかせねば六千二百人が消滅するわけだ。それほど大人数だとアルトラでも転移は無理そうだな……」
「生き残るにはあの赤アリがフル充填する前に倒さなければならないようですね」
「しかし、あれを見る限り、半端な熱量では倒せそうもないぞ?」
「フル充填までどの程度と考えていますか?」
アスタロトから聞かれた答えに――
「赤アリの魔力許容量がどの程度か分からんし、アレがここに現れた目的が分からんから何とも言えぬ……」
「目的とは?」
「アレがどの範囲までを壊そうとしているかという目的だ。仮に自爆するというなら、何か壊したいものがあってここに現れたのだと思ってな。あの地面を溶かす熱量から推測するに、壊すためだけに女帝が産み出したような、そういう感覚しか受けぬ。火に特化している我らすらあそこまで破壊に特化してはいない」
――と、答えるフレアハルトだったが、今度は逆にフレイムハルトからアスタロトへと聞き返す。
1
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
公爵令嬢はアホ係から卒業する
依智川ゆかり
ファンタジー
『エルメリア・バーンフラウト! お前との婚約を破棄すると、ここに宣言する!!」
婚約相手だったアルフォード王子からそんな宣言を受けたエルメリア。
そんな王子は、数日後バーンフラウト家にて、土下座を披露する事になる。
いや、婚約破棄自体はむしろ願ったり叶ったりだったんですが、あなた本当に分かってます?
何故、私があなたと婚約する事になったのか。そして、何故公爵令嬢である私が『アホ係』と呼ばれるようになったのか。
エルメリアはアルフォード王子……いや、アホ王子に話し始めた。
彼女が『アホ係』となった経緯を、嘘偽りなく。
*『小説家になろう』でも公開しています。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる