建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~

ヒロノF

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第16章 大使就任とアルトレリア健康計画編

第434話 アルトラの身体に異変!? その2(フレアハルトとの特訓と没収されるおつまみ)

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「まったく、こんなに太りおって! こんな肉ガルムにくれてやれ!」

 ぐあぁ……
 フレアハルトに腹の肉を鷲掴みにされた……セクハラだ!

「しかし不思議だね~、キミが食べ物を大量に摂取しているところは、前々から見ているけどこんなに急激に太るとは」
「信任式が終わってだらけてるのではないか?」
「何でだろうね~」

 ヒョイパクッ、ヒョイパクッ

「コラァッ! 何で体重減らしに来たのに食べ物をつまんでおるのだ! 亜空間から食べ物を出すな! どう考えてもそれが太った原因だろぉが!」
「保管場所が冷蔵庫じゃないから、鍵もかけられないし困りものだね」

 う……これはヤバイ……無意識に食べ物をつまんでいた……
 今の私は無意識に食べ物を求めるような状態なのか……?
 本当に思考回路が太った人のソレになりかけている……

「アルトラ様……亜空間収納ポケットに入っているおつまみを全部出してください」
「えっ!?」

 小腹が空いたら食べようと思ってたのに……

「ポテトチップス六種類にドグライモチップス、フライドポテト、スイートポテトに焼き芋、それと……何だこれは? 糸状のドグライモが乗ったケーキか? (※) こんな美味そうなものまで!? もはやつまみとは呼べないものまで入ってるではないか!」
   (※糸状のドグライモが乗ったケーキ:ドグライモで作ったモンブラン。モンブランはアルトラがリクエストして作ってもらったもの。通称イモンブラン)

「見事に太りそうなイモのお菓子ばかりだね」
「ハンバームちゃんとゴトスに作ってもらってストックを……」
「でかい容器に黒い液体が入っておるがこれは何だ? こんなに大量の醤油……ではないようだな……甘い匂いがする。まだアルトレリアで見たことないが?」
「あ、それはアクアリヴィアで買って来たコーラかな」
「ジュースなのか!? でかっ! 何リットル入っておるのだ!?」
「え~と……多分三十リットル……かな?」

「「三十リットル!?」」

 ゴミ箱用のポリバケツサイズの容器の中になみなみと入ったコーラ。アクアリヴィアに売っていたコーラを大量にぶち込んだもの。
 容器の中に長~~いストローを刺してあって飲みたい時に飲める。亜空間に入れておくと傷まないし、炭酸も抜けない。こうして一つの容器にまとめて入れておくといちいちビンを取り出して飲まなくて良いので便利。一石三鳥のアイディア。

「こんなサイズのドリンク、見たこともないぞ!?」
「あれ? こんなバケツサイズなのにストロー付いてるんだね。ん? これストローなのかい? 物凄く長いじゃないか!? ストローと言うよりプラスチックの管みたいに見える。…………これってもしかして……アルトラ、ちょっと亜空間を閉じて」

 クリューに言われるまま亜空間収納ポケットを閉じる。

「じゃあ、その状態でコーラを飲んでみて」
「クリュー、お主何を言っておるのだ? この状態で? 今亜空間を閉じたではないか。コーラは亜空間の中なのにどうやって飲むのだ?」

 空中にごく小さい空間穴を開けて亜空間収納ポケット内部に繋げ、ストローだけ「にゅっ」と出す、そして飲む!

「おぉっ!? ストローだけ外に出せるのか!?」
「ま、まさか予想した通りの飲み方を実際にしているとは……なんて便利で、そして……なまけ者な飲み方なんだ……コーラは亜空間の中にあるから倒してこぼす危険は無いし、ストローをどこからでも出現させられるってことは、自分が体勢を変えなくても飲めるから寝ながらでも飲むことができるってわけか。よく思いついたね!」
「ふふん……魔界生活で身に付いた生活の知恵よ」

 今多分私、ちょっとドヤ顔してる。

「クリュー、感心してる場合か。アルトラ……そこまでものぐさになったか……怠けることに関して天才的だが、それをやってしまったらレッドドラゴンわれらのことを生産性の無い怠け者だと非難できんぞ?」

 『生産性の無い怠け者』って……わ、私そこまで辛辣なこと一度も言ったことないけど……フレアハルトは同族のことをそんな風に思ってるのかしら?

 ただ……二人のテンションの下がり具合から、呆れられたのはわかった。
 でも別に良いの! この方が便利だし! 寝ながら飲めるし!

「亜空間収納ポケットをもう一度開けろ! これらは全部没収だ。我とクリューとカイベルで休憩中に全部食べる」
「え!? そんな殺生な!!」

 でも、カイベルも食べるなら、亜空間に戻ってくるってことだから、それだけは後で食べられるわね。

「いえ、私は食べなくて結構ですので、お二人だけでお召し上がりください」

 ガーン!!
 じゃあ、全部取り上げられちゃうってこと!?

   ◇

 結局、おつまみは全部没収、地面に広げさせられた……

「広げてみるとこんなに大量に隠し持っておったのだな……」
「普通の亜人ならアルトラ程度の太り方じゃ済まないかもしれないね……」
「いや、別に一度に食べるわけじゃないし……この程度ならそんなに太らないでしょ?」

「「どの口で言ってるんだおるのだ!!」」

 うぅ……二人の叱責がシンクロした……

「他にも食材と調味料があるが、これも没収しておくか?」
「今のアルトラならおつまみ無くなったら、食材にも手を出しそうだね……」
「下手をしたら醤油をそのままじか飲みするかもしれんしな」

 流石にそんなことせんわ……

「しょ、食材と調味料は必要な時にしか手を付けてないから没収は勘弁して! それは一応保存食として取ってあるだけだから、それを取り上げられたら緊急時に食べられなくなって困る!」

 流石の私も保存食にまで手を付けてはいない。

「本当に必要な時しか手を付けてないの?」
「神に誓って手を付けてない! その証拠にカトブレパス肉はもう一年以上前に捕獲したものだから!」

 大事な時くらいにしか消費しないから未だに初めて捕獲したカトブレパスの肉の四分の一体分ほどが亜空間収納ポケット内に残っている。

「じゃあ没収は見逃してあげようか」
「クリューは甘いな」

 良かった~……

「さて、おつまみも取り上げたことですし、火魔法と空間魔法でここに熱空間を作ってください。それと中の攻撃が外へ出ないような処理もお願いします。お二人が使うのは火と闇が多いようなので、その二つを無効化する壁を作ってください」
「熱空間? 暑い空間? 何で?」
「強制的に熱気のある空間で運動します。暑い方が代謝も良くなりますので」
「私は寒い方が代謝が良くなるって聞いたけど……」
「確かに、普通の方ならそうです。普通の方なら寒いと自己防衛本能でシバリング (※)が起こるため、それによってカロリーが消費されます。しかし、アルトラ様は二十度以下が感じられないので、シバリングがほとんど起きません。そのため、寒さより暑さで代謝を良くした方が良いと判断しました。汗をかいて痩せましょう!」
   (※シバリング:寒い時に身体がブルッと震える現象。気温が下がるほど震える頻度が多くなる)

 寒い方が涼しくて良いのに……

「そういうわけですのでアルトラ様、魔力を消費してご自分でこの場の温度をご自身が感じられる三十六度まで上昇させてください」
「はいはい……」

 何も無い無人島の平原に熱空間が誕生した。
 この中暑い……もう汗が出て来た……

 その外側に火と闇を無効化する【属性無効エレメント・レジスト】、【属性吸収エレメント・アブソーブ】を付与。ただ……無効化と言いつつも、この二人は火Lv11と闇Lv11のため、これだけ厳重にしても全部は防げない。
 まあ……無人島だし平原だし周りは海だし、魔法の大部分は軽減できるだろうからそれほど被害が出る心配は無いと思う。

「では、まずはフレアハルト様、その後交代でクリュー様の順番でこの中に入ってアルトラ様の特訓のお相手をお願いします。最後に私がお相手します」
「具体的に何をするのだ?」
「お耳を……」

 三人揃って私には内緒のお話か……

「よしわかった。まずは我からだ。アルトラ、結界内に入れ!」
「はいはい……」
「さっきから『はいはい……はいはい……』と……誰のためにここまで来てやったと思っておるのだ! やる気を出せ! 少しでもその贅肉を減らせ!」

 って言われたって、私自身は望んでないもの……

「では、フレアハルト様は【ファイアブレス】や【レッドコメット】を連発してアルトラ様に攻撃を。アルトラ様はそれを避けてください」
「避ける? 私から手を出しちゃいけないの?」
「はい、避けてください」
「避けるって言ったって、フレアハルトの炎ってもし喰らったら火傷必至なんだけど……」
「弾くのもOKです」

 弾いたって火傷するけど……

「魔法を使うのは?」
「今回は身体を動かすのが主なので基本的にNGです。アルトラ様の場合動くことなくその場で全て相殺できると思いますので。身の危険があった場合のみ許可します」
「え~~……じゃあ防御系は?」
「防御魔法や身体の表面を流れるような魔法は許可します。例えば腕を凍らせて炎を弾くなど。防御魔法も半減させたり無効化・吸収させるものも許可します」
「この二人の魔法、無効化出来ないんだけど……」
「もちろん心得ています。今のアルトラ様の場合、完全無効化できるようでは、その場に立って何もしないだけで動こうとしないと思いますので。ちゃんと避けて身体を動かしてもらいます」

 魔法を無効化させないためにこの二人を呼んだのか……

「さあもう質問はよいか?」
「ちょ、ちょっと待ってもう少し話を……」
「問答無用だ! 行くぞ!」

 と、言った瞬間に顔だけドラゴン化した。

 そんなことまで出来たの!?

 面食らっていると、口に魔力が溜まっていくのが分かった。大技の予感……いきなり最強の攻撃インフェルノ・ブレス!? アスク先生に止められてるのに!?

 ゴオオオォォォ!!

「ひぁぁぁあばばばばっ!!」

 という情けない声を挙げながら必死に横に避けた。
 が、直後に背中を熱波が襲う!

「あっちいぃぃっ!!」

 ひ、久しぶりの熱さだわ!
 当たってもいないのに! 炎が背中を通り過ぎただけで物凄い熱さ!
 まるで『カチカチ山』のタヌキの気持ちだ。

 そんな感想を抱いた直後、少し遠くの方で【インフェルノ・ブレス】が着弾し爆発、爆風と砂塵がこちらへ向かって飛んでくる。

「殺す気!?」
「威力をかなり抑えた【簡易インフェルノ・ブレス】だ。あまり地形を変えてはならんと学んだからな。絶妙に当たらんように気を使ってやったわ! ここからは当てるつもりで小技を連発する。火傷したくなかったら必死に避けて脂肪を燃やせ!」
「ちょ、ちょちょちょ、ちょっと待って!」
「何だ?」
「【インフェルノ・ブレス】は使ったら喉に負担がかかるんじゃないの!?」
「ああ、だから簡易なのだ。負担がかからない程度まで抑えた。さあ続けるぞ!」

 その後、フレアハルトが宣言通り大技を使うことは無く、【ファイアブレス】とその上位の【フレアブレス】を連発。
 しかしその攻撃のバリエーションが中々に豊富で、一直線に火が走ったり、時には首を振って炎の鞭で薙ぎ払ったり、火の玉状にして連射してきたり、首をグルグル回して螺旋状に炎が暴れまわる!
 それを必死に避ける私!
 ブレスだけかと思いきや、時折【レッドコメット】で空から火の玉が降り注いだり、【エクスプロージョン】でフレアハルトを中心に爆発が起きたり、【フレイムトルネード】で炎の竜巻が発生する魔法を発動したりする。

 三十分ほどそれを続け、熱空間の外から声がかかる。

「フレアハルト様、そろそろ終了と致しましょう」
「ああ、そうだな。我も炎を吐き疲れてきたところだ」

 や、やっと終わり?
 くったくたに疲れた……

「では少し休憩と致しましょう」
「はぁ~~~~……」

 熱空間から出て草原にぶっ倒れる。
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