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第15章 火の国ルシファーランド強制招待編
第396話 ラクダが連れ去られた!
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リザードに襲われ、しばらく進んだ後――
「おい、近くに何だかかん高い声で鳴くものがおらぬか?」
「そういえば。鳥の声かな?」
「いえ、窓から見えると思います、近くを付いて来てますよ」
「え? またリザードとか!?」
「見てみたらどうですか? 可愛いですよ」
そう言われて窓から砂漠を見ると、光魔法で照らした範囲内で砂面を飛び跳ねる生物が付いて来ている。
いや! 付いて来ていると言うよりは、砂を泳いでる!!
よく目を凝らしてみると、イルカのような姿をしている。
「何ですかコレ!?」
「砂面を飛び跳ねてますよ!」
「スナメリという、我々砂漠の半魚人のように砂の中を泳ぐ哺乳動物です。人懐っこく、脅威度は低い生物です」
『スナメリ』って、確か地球では海を泳ぐイルカの仲間だった気がするけど……魔界では本当に砂を泳ぐ生物なのね。
「へぇ~、改めて見ても砂の中を泳ぐ生物って不思議だわ。あ、もしかして砂漠を泳ぐサメとかも居たりします?」
砂浜を泳ぐ『サンドシャーク』って映画があったのを思い出した。
「いえ、スナメリは特殊に進化した生物ですので、砂を本当の意味で泳ぐのはスナメリだけです」
「“本当の意味”で? デザートサハギンも砂を泳ぐと聞きましたが、サンドニオさんは違うんですか?」
「我々のはモグラに近いですね。モグラとは多少違いますが砂を掻いて砂の中を移動します。我々とは違ってスナメリは身体が特殊な魔力で包まれており、砂の中を水を泳ぐように移動できます。研究者によれば砂がスナメリに接触している一時だけ“砂を水のような感触”に変質できるそうです。スナメリの身体を離れるとすぐに元の砂の性質に戻るそうですが」
砂面を跳ねてから砂中に沈む様を見てると、まるで水面を跳ねた時のような飛沫が舞っているように見える。
「もしも……サメが特殊進化していた場合は、砂漠渡りが非常に困難になるでしょうね」
確かに……おいそれと砂漠でキャンプはできなくなるし、急に襲って来られても対処のしようもなく食べられてしまうことだろう。しかも陸地だから海のように陸地に上がってしまえば良いというものでもなく、より性質が悪い。
そんなことを考えていたところ、急にスナメリが散開していく。
付いて来るのに飽きて離れていったのかと思ったが、フレアハルトが別の声に気付いた。
「おい、今のとは別の高い声が聞こえぬか?」
「あ、ホントだ。今度の方が鳥っぽい気がする」
と言うやり取りの直後に駱駝車を引いてくれているラクダが一頭消えた!
「え!? うわ!!」
何かにラクダが連れ去られ、ハーネスと繋がっていた駱駝車がゴゴオォォォンという轟音と共に引き倒された!
駱駝車はそのまま砂上を滑り、少し間を置いてハーネスに繋がっていた綱が切れ、フラムキャメルが一頭そのまま連れ去られてしまった!
「痛たたたた……」
「なに? 何が起こったの!?」
「みなさん大丈夫ですか!?」
「はい、怪我はありません!」
上空を見ると、巨大な鳥がラクダを鷲掴みにして飛んでいくのが見えた。
「でかっ! もしかしてあれがデザートオストリッチですか?」
オストリッチという名前からダチョウだと思っていたが……
「いえ、あれは空の盗人と呼ばれる盗賊鷹です! 通常はラクダほど大きい獲物は狙わず、旅人の食べてる食糧を狙ったり、リザードなどの別の生物の死肉を食らうのですが……あれほど大きい個体は中々お目にかかったことがありません。特別大きい個体のようです!」
大きさにして体高十メートルくらいはありそうだ。
本来は日本で言うところのトンビみたいなやつかな? 人が食べてる物を横からかっさらって行く生態が似ている気がする。
でも身体があまりにも大きく成長したから、ラクダなんて大きめの生物を狙ったってわけか。下手したら亜人も食われるほどの大きさ。
「そんなことより早く撃ち落とさないと、次の町までの道中、駱駝車を使えなくなりますよ!」
いざとなったら駱駝車はフレアハルトにドラゴンに変身して運んでもらうか、などと考えていると隣から――
「私に任せてください!」
という声と共に、横に立っていたレイアが上空へ向かってジャンプ、既にかなり遠く離れたところまで飛んで行っていたホークバンディットの背に飛び乗った!?
距離にして五十メートルくらいはありそうなのに……
「レ、レッドドラゴンってあんなにジャンプ力あったんだ……」
腕力は凄いことを知っていたが、脚力まであんなにあるとは……
今回の旅で、私が知らない一面をいくつも見るわ……
レイアに飛び乗られたホークバンディットは、最初は首を振って振り落とそうと抵抗していたものの、飛び乗って少し経って突然――
「ギョエェェェーーー!!」
――という叫び声とも取れる声を発し、フラムキャメルを離してそのまま逃げるように飛び去った。
フラムキャメルは地面に到達する前にアリサが空中でキャッチ。
「アレ? アリサ? 今まで隣に居たのに」
いつの間にかホークバンディットの真下まで移動していたらしい。
砂面だから多少は衝撃が和らぐかもしれないが、彼女が空中でキャッチしてくれなければフラムキャメルは地面に激突して動けなくなっていたかもしれない。
「二人ともナイスコンビプレイ! ところでレイアは鳥の上で何をやったの? さっきの声は何?」
「飛び乗ったら暴れたんで、首を締め上げました。首に指先が刺さるくらいに」
聞くからに痛たそう……
あの叫び声は恐怖から出た声だったわけか。
ドラゴンの力で締め上げられれば命の危機も感じるわ……それで仕方なくラクダを手放したってわけね。
「何はともあれ二人ともお疲れ様」
「「はい」」
そのまま連れ去られたら、ラクダでの砂漠渡りが不可能になるところだった。
「お二方……本当に凄い方たちですね……」
「そうであろうそうであろう」
なぜか今回何もしていないフレアハルトが満足気な顔でうなづく。
「ああ……倒れた駱駝車を立て直さなければなりませんね。これは起こすのに少々骨が折れるかもしれません……」
「問題ありません。わたくしが立て直しますから。レイア、少々わたくしの服を持っていてください」
アリサが着ていた外套と防寒具をレイアに預け、レッドドラゴン形態に変身。
それを見ていたサンドニオさん、レドナルドさん、サンチョさんの三人が徐々に大きくなっていくアリサを見上げながら――
「「「おぉ……」」」
――という小さいが驚きの声を上げた。
アリサは駱駝車を持ち上げ、そのまま走行できる体勢に立て直す。
「どうでしょうか? 破損してたりは大丈夫ですか?」
と、サンチョさんに質問したところ、巨大化したアリサを見て呆けた状態で停止していたため顔をしていたサンチョさんがハッとして、
「あ、ああ……はい、すぐに検査します!」
と駱駝車の検査に入った。
◇
しばらくは検査のため待機。
「あれ? ラクダはどこ行った?」
「また一頭いない!?」
「なぜ今取り返したばかりなのに消えるのだ!?」
周囲を捜索したところ、近くで「ゴロロロロロ」という鳴き声を発し、砂に引きずり込まれかけているラクダを発見!
「ちょ、何コレ!?」
「流砂です! は、早く捕まえてください!! そのままにしておくとどんどん砂へ引き込まれてしまいます!」
「フレアハルト!!」
「分かっておる!」
引きずり込まれるラクダの両前足を持って引っ張ろうとするが……
「アルトラ! まずいぞ、このまま引っ張ると恐らくラクダの身体が引き千切れる」
「え!? そんな!? どうしよう!? サンドニオさん!!」
「砂を掻いて外に出ている身体の範囲を多くすれば……私がやりましょう」
「いや、必要無い。アリサ、頼む」
「了解しました」
フレアハルトが何か考えがあるようで、アリサがなぜか拳を握り込む。
「アルトラ様、少し多めに砂が出ますので、皆様に土バリアをお願いします」
「え? え?」
どういうこと?
言われるままに駱駝車周りに土を通さないバリアを施す。
「フレアハルト様とラクダの周りもお願いします」
「は、はい」
言われるままフレアハルトの周りにもバリアを張る。
それを確認したアリサは――
「はあぁぁぁ!!」
――という掛け声とともに、砂面に拳を叩きつける。
砂面は拳の衝撃により、大量の砂を噴火のごとく巻き上げる。
その直後にラクダを飲み込もうとする動きは停止。どうやら流砂ごと叩き壊してしまったらしい。
「ふぅ」
拳を叩き下ろした場所には、半円状の穴が。
当のアリサは砂まみれ。
バリアは砂を浴びないようにとの配慮か。
それにしても……
「ああ……昨日お風呂入ったのに……」
他人事ながら、なぜか私が悔しさ込み上げる。
「お見苦しい姿をお見せしました」
自身に付いた砂をパッパと振り払う。
「い、いえ……凄いですね……流砂ごと壊してしまうとは……」
「そのまま砂まみれだと気持ち悪くない? 私が洗い流してあげる」
「では、お願いします」
そう言うと、ウロコの服を消し去り裸状態に!
「ちょ、こんな外で裸はダメだって!」
「そ、そうでしたね、申し訳ありません」
すぐに土魔法で囲いを作り、その中に水魔法でシャワーを作って簡易シャワー室を作る。
◇
少しして、砂が洗い流せたようで簡易シャワー室から出て来た。
「アルトラ様、ありがとうございます。汚れも無事落とせました」
ちょうど検査も終わったようで、サンチョさんが駱駝車から出て来る。
「終わりました。少々の破損はあるものの王都へ行くくらいの距離なら問題無いでしょう。重要なソリ部分に破損がありませんので大丈夫だと思います。ところで……騒がしかったようですが何かあったのですか?」
これまでの経緯を説明すると――
「そ、そんなことが? それはお疲れ様でした」
「よし! じゃあラクダも戻って来たし、駱駝車も問題無いとわかったから、改めて出発しましょうか」
「おい、近くに何だかかん高い声で鳴くものがおらぬか?」
「そういえば。鳥の声かな?」
「いえ、窓から見えると思います、近くを付いて来てますよ」
「え? またリザードとか!?」
「見てみたらどうですか? 可愛いですよ」
そう言われて窓から砂漠を見ると、光魔法で照らした範囲内で砂面を飛び跳ねる生物が付いて来ている。
いや! 付いて来ていると言うよりは、砂を泳いでる!!
よく目を凝らしてみると、イルカのような姿をしている。
「何ですかコレ!?」
「砂面を飛び跳ねてますよ!」
「スナメリという、我々砂漠の半魚人のように砂の中を泳ぐ哺乳動物です。人懐っこく、脅威度は低い生物です」
『スナメリ』って、確か地球では海を泳ぐイルカの仲間だった気がするけど……魔界では本当に砂を泳ぐ生物なのね。
「へぇ~、改めて見ても砂の中を泳ぐ生物って不思議だわ。あ、もしかして砂漠を泳ぐサメとかも居たりします?」
砂浜を泳ぐ『サンドシャーク』って映画があったのを思い出した。
「いえ、スナメリは特殊に進化した生物ですので、砂を本当の意味で泳ぐのはスナメリだけです」
「“本当の意味”で? デザートサハギンも砂を泳ぐと聞きましたが、サンドニオさんは違うんですか?」
「我々のはモグラに近いですね。モグラとは多少違いますが砂を掻いて砂の中を移動します。我々とは違ってスナメリは身体が特殊な魔力で包まれており、砂の中を水を泳ぐように移動できます。研究者によれば砂がスナメリに接触している一時だけ“砂を水のような感触”に変質できるそうです。スナメリの身体を離れるとすぐに元の砂の性質に戻るそうですが」
砂面を跳ねてから砂中に沈む様を見てると、まるで水面を跳ねた時のような飛沫が舞っているように見える。
「もしも……サメが特殊進化していた場合は、砂漠渡りが非常に困難になるでしょうね」
確かに……おいそれと砂漠でキャンプはできなくなるし、急に襲って来られても対処のしようもなく食べられてしまうことだろう。しかも陸地だから海のように陸地に上がってしまえば良いというものでもなく、より性質が悪い。
そんなことを考えていたところ、急にスナメリが散開していく。
付いて来るのに飽きて離れていったのかと思ったが、フレアハルトが別の声に気付いた。
「おい、今のとは別の高い声が聞こえぬか?」
「あ、ホントだ。今度の方が鳥っぽい気がする」
と言うやり取りの直後に駱駝車を引いてくれているラクダが一頭消えた!
「え!? うわ!!」
何かにラクダが連れ去られ、ハーネスと繋がっていた駱駝車がゴゴオォォォンという轟音と共に引き倒された!
駱駝車はそのまま砂上を滑り、少し間を置いてハーネスに繋がっていた綱が切れ、フラムキャメルが一頭そのまま連れ去られてしまった!
「痛たたたた……」
「なに? 何が起こったの!?」
「みなさん大丈夫ですか!?」
「はい、怪我はありません!」
上空を見ると、巨大な鳥がラクダを鷲掴みにして飛んでいくのが見えた。
「でかっ! もしかしてあれがデザートオストリッチですか?」
オストリッチという名前からダチョウだと思っていたが……
「いえ、あれは空の盗人と呼ばれる盗賊鷹です! 通常はラクダほど大きい獲物は狙わず、旅人の食べてる食糧を狙ったり、リザードなどの別の生物の死肉を食らうのですが……あれほど大きい個体は中々お目にかかったことがありません。特別大きい個体のようです!」
大きさにして体高十メートルくらいはありそうだ。
本来は日本で言うところのトンビみたいなやつかな? 人が食べてる物を横からかっさらって行く生態が似ている気がする。
でも身体があまりにも大きく成長したから、ラクダなんて大きめの生物を狙ったってわけか。下手したら亜人も食われるほどの大きさ。
「そんなことより早く撃ち落とさないと、次の町までの道中、駱駝車を使えなくなりますよ!」
いざとなったら駱駝車はフレアハルトにドラゴンに変身して運んでもらうか、などと考えていると隣から――
「私に任せてください!」
という声と共に、横に立っていたレイアが上空へ向かってジャンプ、既にかなり遠く離れたところまで飛んで行っていたホークバンディットの背に飛び乗った!?
距離にして五十メートルくらいはありそうなのに……
「レ、レッドドラゴンってあんなにジャンプ力あったんだ……」
腕力は凄いことを知っていたが、脚力まであんなにあるとは……
今回の旅で、私が知らない一面をいくつも見るわ……
レイアに飛び乗られたホークバンディットは、最初は首を振って振り落とそうと抵抗していたものの、飛び乗って少し経って突然――
「ギョエェェェーーー!!」
――という叫び声とも取れる声を発し、フラムキャメルを離してそのまま逃げるように飛び去った。
フラムキャメルは地面に到達する前にアリサが空中でキャッチ。
「アレ? アリサ? 今まで隣に居たのに」
いつの間にかホークバンディットの真下まで移動していたらしい。
砂面だから多少は衝撃が和らぐかもしれないが、彼女が空中でキャッチしてくれなければフラムキャメルは地面に激突して動けなくなっていたかもしれない。
「二人ともナイスコンビプレイ! ところでレイアは鳥の上で何をやったの? さっきの声は何?」
「飛び乗ったら暴れたんで、首を締め上げました。首に指先が刺さるくらいに」
聞くからに痛たそう……
あの叫び声は恐怖から出た声だったわけか。
ドラゴンの力で締め上げられれば命の危機も感じるわ……それで仕方なくラクダを手放したってわけね。
「何はともあれ二人ともお疲れ様」
「「はい」」
そのまま連れ去られたら、ラクダでの砂漠渡りが不可能になるところだった。
「お二方……本当に凄い方たちですね……」
「そうであろうそうであろう」
なぜか今回何もしていないフレアハルトが満足気な顔でうなづく。
「ああ……倒れた駱駝車を立て直さなければなりませんね。これは起こすのに少々骨が折れるかもしれません……」
「問題ありません。わたくしが立て直しますから。レイア、少々わたくしの服を持っていてください」
アリサが着ていた外套と防寒具をレイアに預け、レッドドラゴン形態に変身。
それを見ていたサンドニオさん、レドナルドさん、サンチョさんの三人が徐々に大きくなっていくアリサを見上げながら――
「「「おぉ……」」」
――という小さいが驚きの声を上げた。
アリサは駱駝車を持ち上げ、そのまま走行できる体勢に立て直す。
「どうでしょうか? 破損してたりは大丈夫ですか?」
と、サンチョさんに質問したところ、巨大化したアリサを見て呆けた状態で停止していたため顔をしていたサンチョさんがハッとして、
「あ、ああ……はい、すぐに検査します!」
と駱駝車の検査に入った。
◇
しばらくは検査のため待機。
「あれ? ラクダはどこ行った?」
「また一頭いない!?」
「なぜ今取り返したばかりなのに消えるのだ!?」
周囲を捜索したところ、近くで「ゴロロロロロ」という鳴き声を発し、砂に引きずり込まれかけているラクダを発見!
「ちょ、何コレ!?」
「流砂です! は、早く捕まえてください!! そのままにしておくとどんどん砂へ引き込まれてしまいます!」
「フレアハルト!!」
「分かっておる!」
引きずり込まれるラクダの両前足を持って引っ張ろうとするが……
「アルトラ! まずいぞ、このまま引っ張ると恐らくラクダの身体が引き千切れる」
「え!? そんな!? どうしよう!? サンドニオさん!!」
「砂を掻いて外に出ている身体の範囲を多くすれば……私がやりましょう」
「いや、必要無い。アリサ、頼む」
「了解しました」
フレアハルトが何か考えがあるようで、アリサがなぜか拳を握り込む。
「アルトラ様、少し多めに砂が出ますので、皆様に土バリアをお願いします」
「え? え?」
どういうこと?
言われるままに駱駝車周りに土を通さないバリアを施す。
「フレアハルト様とラクダの周りもお願いします」
「は、はい」
言われるままフレアハルトの周りにもバリアを張る。
それを確認したアリサは――
「はあぁぁぁ!!」
――という掛け声とともに、砂面に拳を叩きつける。
砂面は拳の衝撃により、大量の砂を噴火のごとく巻き上げる。
その直後にラクダを飲み込もうとする動きは停止。どうやら流砂ごと叩き壊してしまったらしい。
「ふぅ」
拳を叩き下ろした場所には、半円状の穴が。
当のアリサは砂まみれ。
バリアは砂を浴びないようにとの配慮か。
それにしても……
「ああ……昨日お風呂入ったのに……」
他人事ながら、なぜか私が悔しさ込み上げる。
「お見苦しい姿をお見せしました」
自身に付いた砂をパッパと振り払う。
「い、いえ……凄いですね……流砂ごと壊してしまうとは……」
「そのまま砂まみれだと気持ち悪くない? 私が洗い流してあげる」
「では、お願いします」
そう言うと、ウロコの服を消し去り裸状態に!
「ちょ、こんな外で裸はダメだって!」
「そ、そうでしたね、申し訳ありません」
すぐに土魔法で囲いを作り、その中に水魔法でシャワーを作って簡易シャワー室を作る。
◇
少しして、砂が洗い流せたようで簡易シャワー室から出て来た。
「アルトラ様、ありがとうございます。汚れも無事落とせました」
ちょうど検査も終わったようで、サンチョさんが駱駝車から出て来る。
「終わりました。少々の破損はあるものの王都へ行くくらいの距離なら問題無いでしょう。重要なソリ部分に破損がありませんので大丈夫だと思います。ところで……騒がしかったようですが何かあったのですか?」
これまでの経緯を説明すると――
「そ、そんなことが? それはお疲れ様でした」
「よし! じゃあラクダも戻って来たし、駱駝車も問題無いとわかったから、改めて出発しましょうか」
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