377 / 531
第14章 アルトラルサンズ本格始動編
第369話 アルトラ邸に新たな仲間
しおりを挟む
しかしその少し後――
『……うぅ……気持ち悪い……お腹痛い……もう亜人のものなんて食べなくて良い……』
どうやら口内くらいまでは機能してるけど、表面的に変身してるだけで生物的な内臓の機能は無いらしい。
そりゃそうか、変異魔法で生体機能全部変えられるんなら、創成魔法にすら干渉できない“生命”に関連する身体構造にまで及んでいることになる。
植物の生態としては、マンドレイクより何倍も大きいマンイーターですら、徐々に徐々に溶かさないと消化できないくらいだから、それより遥かに小さいマンドレイクでは、一かけらの肉ですら消化が難しいのかもしれない。
味覚が機能してるってところが謎だけど、確か単細胞生物のアメーバですら『甘い』と『苦い』を区別できるとされている。だとしたら植物でも甘いとか苦いとか分かってもそれほど不思議は無い。
しかし、この状況どうしよう……普通の生物と違うから、どう対処したら良いか分からない。
「カイベル、これどうすれば良いと思う?」
「ネッココ様は排泄器官が無いので、召し上がったお肉がそのまま体内で同化吸収されるまで待つしかないのではないかと。排泄器官が無いので、毒素を体外に出すことができず滞留している状態です。人間で言うところの食中毒なのに外に出せない状態とでも言いましょうか」
「食中毒を外に出せない!? それって大ごとなんじゃないの!?」
食中毒にかかったことがある人は分かると思う。比較的軽めの症状でも激烈な痛みが一週間くらい続くやつ。人間時代に経験してるけど二度とごめんだわ。
生物なら排泄してしまえば毒素が外に出せるけど、植物の場合はそんな器官が無い。かなり危険な状態なんじゃないだろうか?
「幸い一かけら食べただけですので、症状は軽めです。少しすれば落ち着くでしょう」
「もし大量に食べてた場合どうなってたの?」
「事例が無いので現在の症状から予測するしかありませんが……萎びていって、最終的には死んでいた可能性もあります」
あっぶね……あれ以上食べようとするのを止めておいて良かった……
肉をほんの一かけら食べただけだったのが幸いした。
「少々脱水しているようなので、鉢に寝かせてお水をかけてあげるのがよろしいかと思います。今後固形物は食べず、エキスのみを飲まれるようにした方が良いでしょう。エキスのみであれば適量なら味わえると思います」
「例えば油分とかでも?」
「適量であれば」
用意した鉢に土を入れ、腐葉土を含める。
そこへネッココを寝かしてジョウロで水をかけた。
まだ苦痛に顔を歪めているが、しばらくそのままにしておく他ない。
◇
「こんばんは。今日の夕御飯は何ですか?」
当然のように夕御飯を食べにくるクリュー。
「おや? アルトラ、今日は珍しい生物がいますね。見た目は小人なのに、植物の魂みたいだけど、これは?」
「マンドレイクよ」
「マンドレイクなんですか!? マンドレイクって根っこだったような気がしますが……この小人のような見た目はどういうことですか?」
「それは私の変異魔法。根っこのままだと誰かに擦り卸される可能性があるから姿を変化させてるの」
「何か苦しそうですけど、どういう状況なんですか?」
ここまでの経緯をクリューに説明した。
「ははは、それはまた大変な子を連れて来ちゃったみたいですね」
笑いながら語るクリュー。
「死にそうだし、笑いごとじゃないかもしれないけど……」
「大丈夫ですよ、魂が弱ってないので死ぬことはないと思います」
「そんなことまで分かるの!?」
「ええまあ、以前私が魂が見えてるとお話をしましたよね? 魂の大きさは通常は両手の五本の指を合わせて開いた状態のものより少し大きいくらいの大きさです」
「へぇ~、そうなんだ」
「死が近い者や衰弱している者は魂が収縮するんですよ。死ぬ寸前になると、え~と……そうですね……アルトラに分かりやすいもので例えるとピンポン玉くらいまで縮小します。死んで魂が抜けた後はある程度自由自在に形を変えられます。魂の持つエネルギー次第では、もっと大きくなったり、もっと小さくなったりしますね。特別強い者は人型を取れる者もいます」
死神って人の死期が分かるって言うけど、そういうところを見て死期を悟るのね。
それなら、まあひとまず安心か。
「じゃあ今後この“アルトラ邸”の住人がまた増えるというわけですね」
◇
『沢山集めるくん』のトマト騒動、ネッココ騒動と濃い一日だったその日の夜、お風呂に入る時に気が付いた。
「ゲッ、何これ……下着真っ赤じゃない……」
私の着ている服は闇のドレスになってるけど、下だけは履いているからこれにだけは大量に浴びたトマト汁が染み込んでしまったらしい。
飛び散った液体が少量なら闇が消してくれたけど、流石にあれほど大量に被ると消滅させることができなかったか……
さっきトマト畑に居る間に気付いてればパンパンはたいて追い出したのに!
「これそのまま使うか、廃棄するか迷うなぁ……でも、廃棄するとあと一着しか無いし……」
あと、私のお金で買ったわけではないけど、高かったから勿体ない。
悩んだ末、そのまま続投することにする。
後日カイベルが綺麗にしてくれた。
◇
ネッココの体調不良については、一晩したら治ったらしく、翌日には恍惚の表情で庭で日光浴をしていた。
基本的には日が出ている間は庭に居て、日が落ちたら家の中に入るという生活サイクルになった。
庭の花壇に埋まって寝ているため、小人の亜人が花壇に刺さっているようでたまにギョッとする……
家の中ではリディアの相手をしてくれるようになって、私のプライベートタイムが多くなって助かる。
夜は鉢植えに刺さって寝ている。これも見た目が小人だから違和感が凄い。たまにリディアがトイレに起きた時にその光景を見て大声を上げるが、まあそのうち慣れるでしょう。
ナナトスには後日、ネッココが樹の国から付いて来ていたと報告した。
自分の家に連れて行きたいと言ったが、
『ペット扱いしないで! 私そんな軽い女じゃないわ!』
と、ネッココにフラれてしまったため、我が家に居候することが確定した。
◇
余談だけど、今回の亜空間収納ポケット内を整理したところ、結局のところ手放したのは少量残ってた羊毛と綿、それと食べ残しだった料理だけだった。
中に入っていたものは書きだしてメモにしておいた。これも亜空間収納ポケットに入れておく。いつでも取り出せるからこの方が失くさなくて良い。
ちなみに今回中に入ってたものは――
※【読み飛ばし可】
ガルム八頭
カトブレパス肉四分の一体分ほど
イクシオン肉八分の一体ほど
デンキヒツジ肉四分の一体ほど
岩塩 手のひらに乗るくらいのもの一個
小麦粉、卵、牛乳、各種コーヒーの豆、調理道具、その他食べ物多数。全てアクアリヴィア産
砂糖、塩、味噌、醤油、油などの調味料少々。味噌、醤油、油はアクアリヴィア産
添え物となる野菜や菜っ葉類、根菜類、ユグドマンモン産のキノコ多数、クリスタルシュガーなどのユグドマンモン産の食べ物少数
お米十キロ
鬼栗二つ
潤いの木の実五個
皿、大皿、どんぶりなどの食器類
鍋、飯盒
アクアリヴィアで買った下着上下 一セット
歯ブラシ、タオル、安全カミソリ、石鹸、シャンプー、コンディショナー、トリートメントなどなどアメニティグッズ少々
(メイフィーが持って行って、後々町で生産されるようになった)
便利だと思って携帯している雑貨
(ハサミ、カッター、筆記用具、なぜかトンカチとかノコギリとかも入ってた)
魔力動力式温度計
四千百万エレノル
五十四万三千八百二十ウォル (以前五千万エレノルを両替した時の端数)
樹の国で疑似太陽を創った時の謝礼で貰った二億ツリン
フレアハルト七世 (族長)さんから燃える木と熱に強い木を創った時に貰った一千万ウォル相当の金銀財宝
金塊 (アクアリヴィアで壊してしまったウォルタ邸の部屋の修繕費に充てるために私が創成したもの)
魔道具『沢山集めるくん』
デスキラービーの中和剤カプセル一錠
瓶に入ったバクテリア
☆ハンバーグ定食とオレンジジュース五セット
☆今日カイベルが口に入れた料理(ただし、すぐ後にいただいたので残っていない)
☆少量の羊毛 (メイフィーが持って行った)
☆少量の綿 (メイフィーが持って行った)
☆マンドレイクのネッココ (数日間ずっと亜空間収納ポケットの中に居たらしい)
※【読み飛ばしここまで】
なお、☆印が付いているものは、もう亜空間収納ポケットの中には無い。
ハンバーグ定食とオレンジジュースはメイフィーが三セット持って帰り、二セットはその日のうちに私とリディアが食べた。
羊毛と綿は、メイフィーが持って行って、現在はウサギの寝床になっているらしい。
『……うぅ……気持ち悪い……お腹痛い……もう亜人のものなんて食べなくて良い……』
どうやら口内くらいまでは機能してるけど、表面的に変身してるだけで生物的な内臓の機能は無いらしい。
そりゃそうか、変異魔法で生体機能全部変えられるんなら、創成魔法にすら干渉できない“生命”に関連する身体構造にまで及んでいることになる。
植物の生態としては、マンドレイクより何倍も大きいマンイーターですら、徐々に徐々に溶かさないと消化できないくらいだから、それより遥かに小さいマンドレイクでは、一かけらの肉ですら消化が難しいのかもしれない。
味覚が機能してるってところが謎だけど、確か単細胞生物のアメーバですら『甘い』と『苦い』を区別できるとされている。だとしたら植物でも甘いとか苦いとか分かってもそれほど不思議は無い。
しかし、この状況どうしよう……普通の生物と違うから、どう対処したら良いか分からない。
「カイベル、これどうすれば良いと思う?」
「ネッココ様は排泄器官が無いので、召し上がったお肉がそのまま体内で同化吸収されるまで待つしかないのではないかと。排泄器官が無いので、毒素を体外に出すことができず滞留している状態です。人間で言うところの食中毒なのに外に出せない状態とでも言いましょうか」
「食中毒を外に出せない!? それって大ごとなんじゃないの!?」
食中毒にかかったことがある人は分かると思う。比較的軽めの症状でも激烈な痛みが一週間くらい続くやつ。人間時代に経験してるけど二度とごめんだわ。
生物なら排泄してしまえば毒素が外に出せるけど、植物の場合はそんな器官が無い。かなり危険な状態なんじゃないだろうか?
「幸い一かけら食べただけですので、症状は軽めです。少しすれば落ち着くでしょう」
「もし大量に食べてた場合どうなってたの?」
「事例が無いので現在の症状から予測するしかありませんが……萎びていって、最終的には死んでいた可能性もあります」
あっぶね……あれ以上食べようとするのを止めておいて良かった……
肉をほんの一かけら食べただけだったのが幸いした。
「少々脱水しているようなので、鉢に寝かせてお水をかけてあげるのがよろしいかと思います。今後固形物は食べず、エキスのみを飲まれるようにした方が良いでしょう。エキスのみであれば適量なら味わえると思います」
「例えば油分とかでも?」
「適量であれば」
用意した鉢に土を入れ、腐葉土を含める。
そこへネッココを寝かしてジョウロで水をかけた。
まだ苦痛に顔を歪めているが、しばらくそのままにしておく他ない。
◇
「こんばんは。今日の夕御飯は何ですか?」
当然のように夕御飯を食べにくるクリュー。
「おや? アルトラ、今日は珍しい生物がいますね。見た目は小人なのに、植物の魂みたいだけど、これは?」
「マンドレイクよ」
「マンドレイクなんですか!? マンドレイクって根っこだったような気がしますが……この小人のような見た目はどういうことですか?」
「それは私の変異魔法。根っこのままだと誰かに擦り卸される可能性があるから姿を変化させてるの」
「何か苦しそうですけど、どういう状況なんですか?」
ここまでの経緯をクリューに説明した。
「ははは、それはまた大変な子を連れて来ちゃったみたいですね」
笑いながら語るクリュー。
「死にそうだし、笑いごとじゃないかもしれないけど……」
「大丈夫ですよ、魂が弱ってないので死ぬことはないと思います」
「そんなことまで分かるの!?」
「ええまあ、以前私が魂が見えてるとお話をしましたよね? 魂の大きさは通常は両手の五本の指を合わせて開いた状態のものより少し大きいくらいの大きさです」
「へぇ~、そうなんだ」
「死が近い者や衰弱している者は魂が収縮するんですよ。死ぬ寸前になると、え~と……そうですね……アルトラに分かりやすいもので例えるとピンポン玉くらいまで縮小します。死んで魂が抜けた後はある程度自由自在に形を変えられます。魂の持つエネルギー次第では、もっと大きくなったり、もっと小さくなったりしますね。特別強い者は人型を取れる者もいます」
死神って人の死期が分かるって言うけど、そういうところを見て死期を悟るのね。
それなら、まあひとまず安心か。
「じゃあ今後この“アルトラ邸”の住人がまた増えるというわけですね」
◇
『沢山集めるくん』のトマト騒動、ネッココ騒動と濃い一日だったその日の夜、お風呂に入る時に気が付いた。
「ゲッ、何これ……下着真っ赤じゃない……」
私の着ている服は闇のドレスになってるけど、下だけは履いているからこれにだけは大量に浴びたトマト汁が染み込んでしまったらしい。
飛び散った液体が少量なら闇が消してくれたけど、流石にあれほど大量に被ると消滅させることができなかったか……
さっきトマト畑に居る間に気付いてればパンパンはたいて追い出したのに!
「これそのまま使うか、廃棄するか迷うなぁ……でも、廃棄するとあと一着しか無いし……」
あと、私のお金で買ったわけではないけど、高かったから勿体ない。
悩んだ末、そのまま続投することにする。
後日カイベルが綺麗にしてくれた。
◇
ネッココの体調不良については、一晩したら治ったらしく、翌日には恍惚の表情で庭で日光浴をしていた。
基本的には日が出ている間は庭に居て、日が落ちたら家の中に入るという生活サイクルになった。
庭の花壇に埋まって寝ているため、小人の亜人が花壇に刺さっているようでたまにギョッとする……
家の中ではリディアの相手をしてくれるようになって、私のプライベートタイムが多くなって助かる。
夜は鉢植えに刺さって寝ている。これも見た目が小人だから違和感が凄い。たまにリディアがトイレに起きた時にその光景を見て大声を上げるが、まあそのうち慣れるでしょう。
ナナトスには後日、ネッココが樹の国から付いて来ていたと報告した。
自分の家に連れて行きたいと言ったが、
『ペット扱いしないで! 私そんな軽い女じゃないわ!』
と、ネッココにフラれてしまったため、我が家に居候することが確定した。
◇
余談だけど、今回の亜空間収納ポケット内を整理したところ、結局のところ手放したのは少量残ってた羊毛と綿、それと食べ残しだった料理だけだった。
中に入っていたものは書きだしてメモにしておいた。これも亜空間収納ポケットに入れておく。いつでも取り出せるからこの方が失くさなくて良い。
ちなみに今回中に入ってたものは――
※【読み飛ばし可】
ガルム八頭
カトブレパス肉四分の一体分ほど
イクシオン肉八分の一体ほど
デンキヒツジ肉四分の一体ほど
岩塩 手のひらに乗るくらいのもの一個
小麦粉、卵、牛乳、各種コーヒーの豆、調理道具、その他食べ物多数。全てアクアリヴィア産
砂糖、塩、味噌、醤油、油などの調味料少々。味噌、醤油、油はアクアリヴィア産
添え物となる野菜や菜っ葉類、根菜類、ユグドマンモン産のキノコ多数、クリスタルシュガーなどのユグドマンモン産の食べ物少数
お米十キロ
鬼栗二つ
潤いの木の実五個
皿、大皿、どんぶりなどの食器類
鍋、飯盒
アクアリヴィアで買った下着上下 一セット
歯ブラシ、タオル、安全カミソリ、石鹸、シャンプー、コンディショナー、トリートメントなどなどアメニティグッズ少々
(メイフィーが持って行って、後々町で生産されるようになった)
便利だと思って携帯している雑貨
(ハサミ、カッター、筆記用具、なぜかトンカチとかノコギリとかも入ってた)
魔力動力式温度計
四千百万エレノル
五十四万三千八百二十ウォル (以前五千万エレノルを両替した時の端数)
樹の国で疑似太陽を創った時の謝礼で貰った二億ツリン
フレアハルト七世 (族長)さんから燃える木と熱に強い木を創った時に貰った一千万ウォル相当の金銀財宝
金塊 (アクアリヴィアで壊してしまったウォルタ邸の部屋の修繕費に充てるために私が創成したもの)
魔道具『沢山集めるくん』
デスキラービーの中和剤カプセル一錠
瓶に入ったバクテリア
☆ハンバーグ定食とオレンジジュース五セット
☆今日カイベルが口に入れた料理(ただし、すぐ後にいただいたので残っていない)
☆少量の羊毛 (メイフィーが持って行った)
☆少量の綿 (メイフィーが持って行った)
☆マンドレイクのネッココ (数日間ずっと亜空間収納ポケットの中に居たらしい)
※【読み飛ばしここまで】
なお、☆印が付いているものは、もう亜空間収納ポケットの中には無い。
ハンバーグ定食とオレンジジュースはメイフィーが三セット持って帰り、二セットはその日のうちに私とリディアが食べた。
羊毛と綿は、メイフィーが持って行って、現在はウサギの寝床になっているらしい。
1
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる