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第13章 樹の国ユグドマンモン探検偏
第346話 壊滅的打撃……
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先行させたゴーレムの爆発を合図に、働き蜂の大群が第九コロニーから出て来た。相手側に先制攻撃を許してしまった形だ。
嫌な予感がしていたが、毒針以外を攻撃手段にする個体がいるらしい。
そういえば昨日の最終会議で、戦利品の話をしている時にトリニアさんから『魔力の相互供給』って話が出てきたのを思い出した。 (第340話参照)
『相互供給』ってことは、女王から末端へ、末端から女王へ魔力の伝達があるってことなのだろう。ということは、コロニーの数が多くなれば多くなるほど、女王へ供給される魔力が多くなることになる。
今回の騒動は、今まで世界最多と言われていた六個よりも一.五倍も多い九個ものコロニー。それだけ相互供給は多くなっているはず。
つまり……女王の栄養は満点。トリニアさんからは『魔力濃度地帯で獣が進化して獣人になったと云われている』という話も聞いている。これがもし真実だとするなら、魔力の相互供給が多ければ進化して新たな能力を得た個体を産み出していても不思議ではない。
いずれにせよ、ゴーレムを爆破した個体がいることは間違いない。
ゴーレムの爆破に気を取られていると、今度は別の方向でドオオォォンという爆発音。
「ぎゃあああぁあぁ!!」
「うわぁああぁ!」
「きゃああああぁぁぁ!!」
多くの悲鳴。
何か爆発するものがあるらしいが、何なのか見えない!
一発の爆発を皮切り、多数の爆発が連続して起こる。
「何が起こってるの……?」
困惑していると、何かが飛んできて私の近くの地面に刺さった。
「なに?」
針……に見える。
「その針に近づくな!」
「えっ!?」
その警告の直後、針が爆発。
「きゃあああぁぁぁ!!」
「うわあぁあぁ!」
「ぎゃあああぁぁ!!」
私は無事だったが、近くに居た隊員たちに多数の負傷者が発生。
この針、爆発して周囲を吹き飛ばすようだ。でも火による爆発ではなく、圧縮された空気がバーストするような感じの爆発。
風だけとは言え威力が高い。針が刺さっていた地面を見ると直径二メートルほどの半円状の穴が空いていて、更にその外側直径五メートルくらいの地面が少し窪んでいる。爆心地に近い直径ニメートルの範囲は特に威力が高く、抉るような爆発を起こすらしい。
その範囲内に居た者は激しい風で吹き飛ばされた。
「大丈夫か!?」
一見、ただ吹き飛ばされただけで怪我は軽いように見えるが……
「う……な、何とか……ゲホッゴハッ!」
「吐血!? こんなに大量に!?」
「うぅ……腹が……腹が猛烈に痛い!」
「まさか……内臓が破裂して……?」
衝撃が突き抜けて内蔵にダメージを喰らったか!?
「それに……気分が悪い……ウボアッ!」
血にまみれた吐瀉物を吐きだした。
内蔵に深刻なダメージを負っているのかもしれない。
それに周りに居た者も――
「うっ……! ゲホッゲホッ!」
「どうした!?」
「爆発を喰らってないのに……気分が……」
「そういえば俺も……」
隊員たちの顔色が薄っすら紫色に……!?
何かがおかしい。
まさか……爆風の中にも毒が混じってる?
隊員たちに混乱が広がる中、一人の隊員があることに気付く。
「おい! あれを見ろ!」
その隊員が指さした先は第九コロニーの上層階。
そこには四匹の蜂が居た。
「何だあの蜂?」
「光ってないか?」
「まさかあれが第九コロニーの女王蜂?」
四匹とも体の色が他の蜂と違う。卵を持ってる一匹は白色に黒い縞々の入った身体。あれが恐らく女王だろう。
さっき倒した第五コロニーの女王蜂はあんな体色ではなく、普通の黄色と黒の縞々だった。明らかに異質だ……
残りの三匹は多分親衛蜂かな。この三匹も色が違う。黒い縞々は共通しているが、本来黄色の部分が、それぞれ緑と紫、そのうちの一匹に至っては真っ黒で黒の縞々があるかどうかすら分からない。
周囲にいる歴戦の勇士たちの驚く顔を見ると、あんな色の蜂は今まで見たことがないようだ。
女王蜂は、私たちにも魔力の流動が目に見えているのか、身体の白い部分を光が流れるように移動している。身体がキラキラ輝いていてある意味では神々しくさえ思える。
「何で巣の中にいるはずの女王蜂が出て来たんだ?」
「力を誇示してるとか?」
「いつでも逃げられるようにじゃないか?」
私の考えでは両方ではないかと思う。
力を誇示する性質がある蜂など聞いたこともないが、あの女王は自ら戦場に姿を現すことで他の蜂を鼓舞しているのではないか?
それと同時に、八個のコロニーが潰された今、最後の防衛線である主戦力の三体の親衛蜂が倒された時にいつでもこの場から逃げられるように巣から外に出て来たのだと思う。巣の中に居ると、離脱するのにどうしても遅れが生じてしまうから。
もっとも……卵が付いてるから、あの身重の身体でそう簡単に離脱できるとも思えないが。
「外に出て来たってことはチャンスじゃないか?」
「そうだ! 全員で遠距離魔法を使えば一瞬で終わりなんじゃないか?」
それらの声を聞き、誰か分からなかったがいずれかの隊長が命令を下した。
「総員女王蜂を狙え! 雷魔法用意!」
今この場にいる者たちの中で最も高いところにいる女王に対して、雷魔法は効果的だ。
この巣の周囲には八部隊が勢ぞろいしている。雷魔法使いだけでも強い者弱い者全部含めれば数十人居る。これだけの人数で一斉に浴びせればあっという間にケリが付くだろう。
そう思っていたのだが……
「雷魔法、放て!!」
ゴゴオオォォォン!!
という巨大な轟音と共に、極大の雷の柱が女王に降り注いだ。
かに見えたのだが、何か強い力によって防がれてしまった。
「なっ!? あの人数の雷魔法を無効化した!?」
「どうやって!?」
周囲に雷を纏った蜂が飛んでいる。
「何だあの紫色の蜂、帯電している?」
目に見えるほどの電気がほとばしっている。今の雷魔法の集中で高濃度の電気を蓄えたらしい。
図らずも相手にパワーアップのためのエネルギーを与えてしまったのだと後になって知る。
キュイィィ……というエネルギーを溜めるような音の後に、轟音を響かせながら光の一閃が私の横を通り過ぎた。
「……え?」
一瞬遅れて、大勢の悲鳴。
「ぎゃあぁぁ」
「うわぁあぁぁぁ」
「がぁあぁぁ……」
何が起こったか分からなかった。
あの紫色に光った近衛蜂、一瞬で大勢の兵士たちを吹き飛ばした。
私も肩をかすめたらしく、肩付近の鎧が弾け飛んでいる。
「き、金属製の鎧が一発で……!?」
光が通り過ぎた方を振り返ると、目視しただけで十数人から数十人に上るであろう死傷者。
黒焦げだったり身体の重要器官が無かったり、身体の重要部に穴が開いていたりで明らかに生きてはいないだろうと思われる者、四肢のいずれかが吹き飛んでしまっていたり、重傷ながらまだ会話できている者、それらの救護を行っている者。
私も雷に耐性が無かったら、かすっただけ感電して動けなくなってたかもしれない。
「痛ぇよぉ……」
「くそっ! 血が止まらねぇ!」
「鎧に穴が開いて身体を貫通している!」
「毒も回って来たみたいだ……」
恐ろしく貫通力のある攻撃をされたみたいだ。
しかもきちんと毒まで持っている。電気に毒が混ざってるなんて話なんて聞いたことないぞ!?
恐らく高電圧で射出した毒針が、毒を撒き散らしながら飛んだんだと思う。
「くっ! 退避! 一旦退却だ!」
またキュイィィ……という音。
「ヒィ! ま、また!?」
ま、まずい、もう一度さっきのが来る!
紫色の親衛蜂に電気がほとばしっているのが分かる。今はっきり分かった。これって……電気で発射するレールガンとかいうやつだ! さっきのもこれか!?
「そいつに攻撃させるな! 打ち落とせ!」
誰かの叫んだ声に、全員で紫色の蜂を攻撃しようとするも――
近くにいた緑色の蜂に阻止されることとなる。
緑色の蜂は多数の針を発射。ほとんどは地面に落ちたから、多くの者が油断していると、またしても誰かの叫び声。
「そいつの発射した針に近付くな! 爆発するぞ!」
え!? 緑色の蜂が爆発する針の主!?
既に十数発もの針が地面に刺さっている。
全員が被害を防ぐために退避したところ、固まって動いていたところに向かって、紫の蜂のレールガンが飛ぶ。
「ギャアアァァ!!」
「ウワァァァァ!!」
「キャアァァ!!」
更にさっき刺さった針が連鎖爆発を起こして猛烈な衝撃波と毒の風が吹き荒れパニックが拡大。
トリニアさんからの事前情報では、デスキラービーの発射できる毒針の数は『三から五発程度、稀に六か七発撃つ者もいる、しかも稀なケース』という話を聞いていたが、あの緑の蜂はもう既に数十発撃っている。六や七なんて数はとうに超えている! (第333話参照)
特殊進化した個体だからってことか! あの白い色の女王が生み出したのか?
多数を攻撃できて広範囲を削り取れて牽制までできる緑の蜂に、溜めが必要で一点特化型だが即死級の攻撃をする紫の蜂。相性が良すぎる!
このままじゃ被害だけがどんどん拡大する。
「みなさん、一旦退避してください! すぐにここを離れて!!」
この場の全員に聞こえるように風魔法で振動を増幅して声を拡散する。
先ほど『一旦退避』の号令が出ていたため、切っ掛けを待っていた兵士たちはすんなり退却に転じてくれた。
私は、再び針が発射される前に巣の近くに居た隊員たちに【強制転移】を使い、強制的にエルフヴィレッジへ転移、退却した。
嫌な予感がしていたが、毒針以外を攻撃手段にする個体がいるらしい。
そういえば昨日の最終会議で、戦利品の話をしている時にトリニアさんから『魔力の相互供給』って話が出てきたのを思い出した。 (第340話参照)
『相互供給』ってことは、女王から末端へ、末端から女王へ魔力の伝達があるってことなのだろう。ということは、コロニーの数が多くなれば多くなるほど、女王へ供給される魔力が多くなることになる。
今回の騒動は、今まで世界最多と言われていた六個よりも一.五倍も多い九個ものコロニー。それだけ相互供給は多くなっているはず。
つまり……女王の栄養は満点。トリニアさんからは『魔力濃度地帯で獣が進化して獣人になったと云われている』という話も聞いている。これがもし真実だとするなら、魔力の相互供給が多ければ進化して新たな能力を得た個体を産み出していても不思議ではない。
いずれにせよ、ゴーレムを爆破した個体がいることは間違いない。
ゴーレムの爆破に気を取られていると、今度は別の方向でドオオォォンという爆発音。
「ぎゃあああぁあぁ!!」
「うわぁああぁ!」
「きゃああああぁぁぁ!!」
多くの悲鳴。
何か爆発するものがあるらしいが、何なのか見えない!
一発の爆発を皮切り、多数の爆発が連続して起こる。
「何が起こってるの……?」
困惑していると、何かが飛んできて私の近くの地面に刺さった。
「なに?」
針……に見える。
「その針に近づくな!」
「えっ!?」
その警告の直後、針が爆発。
「きゃあああぁぁぁ!!」
「うわあぁあぁ!」
「ぎゃあああぁぁ!!」
私は無事だったが、近くに居た隊員たちに多数の負傷者が発生。
この針、爆発して周囲を吹き飛ばすようだ。でも火による爆発ではなく、圧縮された空気がバーストするような感じの爆発。
風だけとは言え威力が高い。針が刺さっていた地面を見ると直径二メートルほどの半円状の穴が空いていて、更にその外側直径五メートルくらいの地面が少し窪んでいる。爆心地に近い直径ニメートルの範囲は特に威力が高く、抉るような爆発を起こすらしい。
その範囲内に居た者は激しい風で吹き飛ばされた。
「大丈夫か!?」
一見、ただ吹き飛ばされただけで怪我は軽いように見えるが……
「う……な、何とか……ゲホッゴハッ!」
「吐血!? こんなに大量に!?」
「うぅ……腹が……腹が猛烈に痛い!」
「まさか……内臓が破裂して……?」
衝撃が突き抜けて内蔵にダメージを喰らったか!?
「それに……気分が悪い……ウボアッ!」
血にまみれた吐瀉物を吐きだした。
内蔵に深刻なダメージを負っているのかもしれない。
それに周りに居た者も――
「うっ……! ゲホッゲホッ!」
「どうした!?」
「爆発を喰らってないのに……気分が……」
「そういえば俺も……」
隊員たちの顔色が薄っすら紫色に……!?
何かがおかしい。
まさか……爆風の中にも毒が混じってる?
隊員たちに混乱が広がる中、一人の隊員があることに気付く。
「おい! あれを見ろ!」
その隊員が指さした先は第九コロニーの上層階。
そこには四匹の蜂が居た。
「何だあの蜂?」
「光ってないか?」
「まさかあれが第九コロニーの女王蜂?」
四匹とも体の色が他の蜂と違う。卵を持ってる一匹は白色に黒い縞々の入った身体。あれが恐らく女王だろう。
さっき倒した第五コロニーの女王蜂はあんな体色ではなく、普通の黄色と黒の縞々だった。明らかに異質だ……
残りの三匹は多分親衛蜂かな。この三匹も色が違う。黒い縞々は共通しているが、本来黄色の部分が、それぞれ緑と紫、そのうちの一匹に至っては真っ黒で黒の縞々があるかどうかすら分からない。
周囲にいる歴戦の勇士たちの驚く顔を見ると、あんな色の蜂は今まで見たことがないようだ。
女王蜂は、私たちにも魔力の流動が目に見えているのか、身体の白い部分を光が流れるように移動している。身体がキラキラ輝いていてある意味では神々しくさえ思える。
「何で巣の中にいるはずの女王蜂が出て来たんだ?」
「力を誇示してるとか?」
「いつでも逃げられるようにじゃないか?」
私の考えでは両方ではないかと思う。
力を誇示する性質がある蜂など聞いたこともないが、あの女王は自ら戦場に姿を現すことで他の蜂を鼓舞しているのではないか?
それと同時に、八個のコロニーが潰された今、最後の防衛線である主戦力の三体の親衛蜂が倒された時にいつでもこの場から逃げられるように巣から外に出て来たのだと思う。巣の中に居ると、離脱するのにどうしても遅れが生じてしまうから。
もっとも……卵が付いてるから、あの身重の身体でそう簡単に離脱できるとも思えないが。
「外に出て来たってことはチャンスじゃないか?」
「そうだ! 全員で遠距離魔法を使えば一瞬で終わりなんじゃないか?」
それらの声を聞き、誰か分からなかったがいずれかの隊長が命令を下した。
「総員女王蜂を狙え! 雷魔法用意!」
今この場にいる者たちの中で最も高いところにいる女王に対して、雷魔法は効果的だ。
この巣の周囲には八部隊が勢ぞろいしている。雷魔法使いだけでも強い者弱い者全部含めれば数十人居る。これだけの人数で一斉に浴びせればあっという間にケリが付くだろう。
そう思っていたのだが……
「雷魔法、放て!!」
ゴゴオオォォォン!!
という巨大な轟音と共に、極大の雷の柱が女王に降り注いだ。
かに見えたのだが、何か強い力によって防がれてしまった。
「なっ!? あの人数の雷魔法を無効化した!?」
「どうやって!?」
周囲に雷を纏った蜂が飛んでいる。
「何だあの紫色の蜂、帯電している?」
目に見えるほどの電気がほとばしっている。今の雷魔法の集中で高濃度の電気を蓄えたらしい。
図らずも相手にパワーアップのためのエネルギーを与えてしまったのだと後になって知る。
キュイィィ……というエネルギーを溜めるような音の後に、轟音を響かせながら光の一閃が私の横を通り過ぎた。
「……え?」
一瞬遅れて、大勢の悲鳴。
「ぎゃあぁぁ」
「うわぁあぁぁぁ」
「がぁあぁぁ……」
何が起こったか分からなかった。
あの紫色に光った近衛蜂、一瞬で大勢の兵士たちを吹き飛ばした。
私も肩をかすめたらしく、肩付近の鎧が弾け飛んでいる。
「き、金属製の鎧が一発で……!?」
光が通り過ぎた方を振り返ると、目視しただけで十数人から数十人に上るであろう死傷者。
黒焦げだったり身体の重要器官が無かったり、身体の重要部に穴が開いていたりで明らかに生きてはいないだろうと思われる者、四肢のいずれかが吹き飛んでしまっていたり、重傷ながらまだ会話できている者、それらの救護を行っている者。
私も雷に耐性が無かったら、かすっただけ感電して動けなくなってたかもしれない。
「痛ぇよぉ……」
「くそっ! 血が止まらねぇ!」
「鎧に穴が開いて身体を貫通している!」
「毒も回って来たみたいだ……」
恐ろしく貫通力のある攻撃をされたみたいだ。
しかもきちんと毒まで持っている。電気に毒が混ざってるなんて話なんて聞いたことないぞ!?
恐らく高電圧で射出した毒針が、毒を撒き散らしながら飛んだんだと思う。
「くっ! 退避! 一旦退却だ!」
またキュイィィ……という音。
「ヒィ! ま、また!?」
ま、まずい、もう一度さっきのが来る!
紫色の親衛蜂に電気がほとばしっているのが分かる。今はっきり分かった。これって……電気で発射するレールガンとかいうやつだ! さっきのもこれか!?
「そいつに攻撃させるな! 打ち落とせ!」
誰かの叫んだ声に、全員で紫色の蜂を攻撃しようとするも――
近くにいた緑色の蜂に阻止されることとなる。
緑色の蜂は多数の針を発射。ほとんどは地面に落ちたから、多くの者が油断していると、またしても誰かの叫び声。
「そいつの発射した針に近付くな! 爆発するぞ!」
え!? 緑色の蜂が爆発する針の主!?
既に十数発もの針が地面に刺さっている。
全員が被害を防ぐために退避したところ、固まって動いていたところに向かって、紫の蜂のレールガンが飛ぶ。
「ギャアアァァ!!」
「ウワァァァァ!!」
「キャアァァ!!」
更にさっき刺さった針が連鎖爆発を起こして猛烈な衝撃波と毒の風が吹き荒れパニックが拡大。
トリニアさんからの事前情報では、デスキラービーの発射できる毒針の数は『三から五発程度、稀に六か七発撃つ者もいる、しかも稀なケース』という話を聞いていたが、あの緑の蜂はもう既に数十発撃っている。六や七なんて数はとうに超えている! (第333話参照)
特殊進化した個体だからってことか! あの白い色の女王が生み出したのか?
多数を攻撃できて広範囲を削り取れて牽制までできる緑の蜂に、溜めが必要で一点特化型だが即死級の攻撃をする紫の蜂。相性が良すぎる!
このままじゃ被害だけがどんどん拡大する。
「みなさん、一旦退避してください! すぐにここを離れて!!」
この場の全員に聞こえるように風魔法で振動を増幅して声を拡散する。
先ほど『一旦退避』の号令が出ていたため、切っ掛けを待っていた兵士たちはすんなり退却に転じてくれた。
私は、再び針が発射される前に巣の近くに居た隊員たちに【強制転移】を使い、強制的にエルフヴィレッジへ転移、退却した。
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