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第13章 樹の国ユグドマンモン探検偏
第329話 トゥルーエルフの詰問
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「あ、あんたたちこそなんスか!」
声をかけてきた亜人たちは人間のような見た目だが耳が長い。この湖はエルフヴィレッジにほど近いらしいし、フレデリックさんと容姿が似ている。恐らくあれが真のエルフと呼ばれる亜人たちだろう。
「こいつらも強盗団ッスかね? ロク兄反撃するッスか?」
「……いや待て! 気配が沢山……囲まれてる……とりあえず何しないで様子を見た方が良いかも……それに今『森賊か?』って聞かれた……この亜人たちは多分強盗じゃない……」
「お待ちください! エルフヴィレッジの方々ですか? わたくし水の国の使いでここの空間魔法座標を取得に来たルイスと申します。どうか警戒なさらずに……」
「なにっ!? 空間魔術師!?」
「≪マジック・シール≫!」
間髪入れずにルイスさんに魔法封印を施すエルフと思われる人たち。
どうやら他の者より前に出て話している、気が強そうな男性と、今ルイスさんに向けてマジック・シールを使ったメガネの男性の二人がリーダー格のようだ。
「あっ……な、何をするのですか!?」
「申し訳ありませんが魔法を封印させてもらいました。空間魔術師は逃げられると厄介ですので」
「き、危害を加えるつもりなどありません!」
「善人も悪人も同じことを言うから、俺たちには嘘か誠か判断しようがない。それで、あんた水の国の使いだって言ったな?」
「じゃあ人魚族とかでしょうか?」
「そ、そうです!」
「ですが、陸に居たら脚は魚ではないし、ホントかどうか分かりませんね」
気の強そうな男性がリーダーで、メガネで丁寧に話す方が副リーダーってところかな。
「そこに湖があるから飛び込ませてみれば良いんじゃないか?」
えっ!? 今水中見られたら、私たちがそこにいるのがバレるんだけど……
「そ、そんな程度のことで信じてもらえるのであれば……」
ま、まずいまずい、もっと奥へ移動しよう。
トリニアさんにも声をかけて見つからないように移動する。
「だそうですよ。すんなり応じようとしたということは本物の人魚族ではないでしょうか?」
「いや、そうやって信じさせようとしている可能性だってある、この目で見なければ信用できない。ああ、≪マジック・シール≫は時間経過で効果が消える。人魚族は瞬く間に遠く行けるからな、泳いで逃げようとするんじゃないぞ?」
と言う言葉と共に、多数のエルフたちが弓矢をロクトスとナナトスに向ける。
「……分かりました」
ザパーン
エルフ族に言われるがまま、ローブを着たまま湖に飛び込むルイスさん。
「確かに……脚は尾びれに変化するようだな」
「それじゃあ!」
「残念ながら水の国に由来していて、人魚族ということが分かっただけに過ぎない。人魚族を由来とする森賊も確認されているからな」
「……ううっ……」
「おい、引き上げてやれ」
水から引き上げられるルイスさん。
「空間魔法座標の取得が目的となると、なお用心しないといけない。もし偽物なら大ごとだ」
「森賊であるなら始末しないと、大群で押し寄せられたらどうにもなりませんからね。そうでないのなら完全に身分が分かるまで幽閉ということになりますね」
始末……多分言葉通り殺すんだろう。
この広大な大森林、“生きている森”と言われている通り木が動いて度々道を変えるそうだ。そのため同じ場所に再び訪れるのは中々難しいらしい。
木の精霊や精霊使いなどなら二度同じところに来ることも可能だが、見つからない人里を探してこの森を大群で移動するのも中々骨が折れる。その点空間魔法ならその空間魔法の使い手一人がそこへ辿り着けてしまえば、以後は簡単に大群を送り込める。
つまり空間魔術師以外に見つけられるのと空間魔術師本人に見つけられるのとではリスクに大きな差がある。
そのため悪いヤツに空間魔法座標を取得されてしまうというのは、それだけで大きな危険を孕む。
空間魔術師の多くは国が抱え込むことが多いが、中には国に見い出されず悪の道に堕ちる者がいる可能性だって無いとは言えない。彼らはそういうリスクを考えているんだろう。
「悪いが、現時点ではあんたが本当に水の国の使いかどうか信用できない」
「あ、あああの身分証明カードなら持ってます!」
以前トーマスに見せてもらったような身分証明カードを取り出す。 (第253話参照)
「樹の国首都ならそれで通るのだろうが、これを見せられても俺たちには無い文化だから分からないな。このまま逃がしたら、ここに害を与える者って可能性も否定できない。悪いが拘束させてもらうぞ」
「そ、そんな!」
偶然にもトリニアさんがいない時に見つかってしまうなんて……運が悪い……ナナトス、ホントに正月に超吉出したのか?
いや、もしかしたらどんな状況でも生還できるとか、そういう悪運が超強いのかもしれないけど。
「こっちの二人は見たこともない種族だ。身体の色はゴブリンに似てるな。顔つきは大分温和だし、ツノが無いが」
「とりあえず捕まえて、彼らの言っていることがホントのことかどうかユグドフロントに確認しましょう」
「アルトラ様~~!! トリニアさ~ん!! 近くにいないッスか!? 俺っちたち捕まっちまいますよ~!」
あ、バカ! そんな大声で呼んだって裸だからすぐ出ていけないよ……
あ、私は闇のドレス纏えば良いだけか。でも私一人行ったところでトリニアさんが出て行けないのでは捕まる人数が一人増えるだけだ。
トリニアさんはまだ裸の状態だし、彼女がいなければどうにもならない。とりあえず命の危機は無さそうだし静観かな。
「他にも仲間がいるのですか!?」
「仲間がいるらしいぞ! 近くに居るはずだ、探せ!」
……
…………
………………
「この辺りにはいないようだぞ」
「他の亜人の気配もしない」
「コイツらとは別の魔力も感じられないし、近くに居ないんじゃないか?」
どうやらエルフ族も魔力探知が得意な種族らしい。
姿を隠すなら≪不可視化≫だけで良いかと考えたけど、念のため≪魔力遮断《シャットアウト・スペル》≫も使っておいて正解だった。
「精霊に聞いてみますか?」
メガネの男性が両手を上空に掲げると、木々の中に光を咲かせる花の光とは別の淡い光を放つ球体が沢山現れた。
小声でトリニアさんに話しかける。
「……トリニアさん、淡い光が沢山現れましたけどあれは……?」
「……受肉していない木の下位精霊たちです……彼らエルフはあの下位精霊たちから情報を得ることができます……」
下位精霊を喚び出したエルフは斜め上の光に向かって何やら話している様子。
「精霊の話によると、彼らと同行していた女性が二人いたけど突然消えたそうですよ」
「空間魔法か何かで瞬時に移動したってことか?」
「だとすると空間魔術師が二人いるんですか? 希少な空間魔術師が二人も同行してるなんて国家レベルの人数ですよ?」
「え!? アルトラ様たち置いて行っちゃったんスか!? そんな~~!」
「……そんなわけない……何か理由があって隠れてるんだよ……」
裸だから出るに出られないのよ! 何もこんな近くで会話しなくても良いのに……
置いて行ったとか誤解をしているけど、後でちゃんと説明するしかないか。
「おい! 一緒に居たのは誰だ?」
「き、樹の国のトリニアさんと俺っちたちの国主様ッスけど……」
「国主だって!? 一国の主様がこんな危険な森に何の用だ? それにトリニアって……樹の国政務官の? 何でお前たちのような得体の知れないのと一緒に……」
「さ、さあ? 詳しい役職なんか聞いてないッスから……」
「ぼ、僕も詳しくは存じませんが、き、樹の国とアルトラルサンズ間のプロジェクトで来てるそうですよ」
「アルトラルサンズ? それが国の名前か? どこだそれは?」
まだまだ出来たばかりの国で知名度が皆無に近いとは言え、きっぱりと「知らない」って言われるとちょっと凹むわね……
「要人を招待するなら空間魔法で迎えに行くのが筋だろ」
「今樹の国の王はご病気ですから、空間魔術師も付きっきりにならなければならないのでしょう」
「それは俺も知っている。だが、王専属は仕方ないにしても、空間魔術師は見習いが一人いるって言うじゃないか。そいつに行かせれば良かった話なんじゃないのか?」
「まだ未熟だという理由でお迎えに使うことを見送ったとかでしょうか?」
う~ん……確かに……こんな森歩くくらいなら未熟でもなんでも空間魔術師見習いに来てもらった方が楽なことは違いない。
いや、トリニアさんたちがうちに来た経緯を考えると、まずアクアリヴィアを経由してレヴィに私との橋渡しを頼んだ後にアルトレリアに来たみたいだから、そこまで時間を費やせなかったという可能性もある。
いやいや、そもそもレヴィが同行してたということは、アクアリヴィアからアルトレリアにはルイスさんの魔法で来た可能性が高いし、アクアリヴィアに行くにも木の精霊の移動方法“植物転移法”を使って移動しただけで、アルトレリアに来るまでに空間魔法を一切使ってない可能性すらある。
「……トリニアさん、あの人たちあんなこと言ってますけど……?」
「……申し訳ありません……見習いは木の精霊ではないのでわたくしたちのような植物転移法は使えませんし、まだ訓練を始めて日が浅いため片道ほどの魔力しか使うことができず、使った後に長時間の回復が必要なので今回お迎えには使えないと判断致しました……」
「……それでも一日くらいあれば回復できたんじゃ……? うちなら泊まる用意もできましたよ……?」
「……………………あっ……そ、それもそうですね……そうすればこんな森の中歩かなくても良かったですね……気付いておらず申し訳ありません……」
つまりは、ドリアード姉妹全員が『回復に時間がかかるから、今回は片道の魔力しか使えない見習いでは“使うことができない”』と早とちりしてしまったということか……
「……いえ、今回は水の国女王たっての願いでルイスさんの護衛もありましたので、いずれにせよ森を歩かないといけなかったと思います……」
声をかけてきた亜人たちは人間のような見た目だが耳が長い。この湖はエルフヴィレッジにほど近いらしいし、フレデリックさんと容姿が似ている。恐らくあれが真のエルフと呼ばれる亜人たちだろう。
「こいつらも強盗団ッスかね? ロク兄反撃するッスか?」
「……いや待て! 気配が沢山……囲まれてる……とりあえず何しないで様子を見た方が良いかも……それに今『森賊か?』って聞かれた……この亜人たちは多分強盗じゃない……」
「お待ちください! エルフヴィレッジの方々ですか? わたくし水の国の使いでここの空間魔法座標を取得に来たルイスと申します。どうか警戒なさらずに……」
「なにっ!? 空間魔術師!?」
「≪マジック・シール≫!」
間髪入れずにルイスさんに魔法封印を施すエルフと思われる人たち。
どうやら他の者より前に出て話している、気が強そうな男性と、今ルイスさんに向けてマジック・シールを使ったメガネの男性の二人がリーダー格のようだ。
「あっ……な、何をするのですか!?」
「申し訳ありませんが魔法を封印させてもらいました。空間魔術師は逃げられると厄介ですので」
「き、危害を加えるつもりなどありません!」
「善人も悪人も同じことを言うから、俺たちには嘘か誠か判断しようがない。それで、あんた水の国の使いだって言ったな?」
「じゃあ人魚族とかでしょうか?」
「そ、そうです!」
「ですが、陸に居たら脚は魚ではないし、ホントかどうか分かりませんね」
気の強そうな男性がリーダーで、メガネで丁寧に話す方が副リーダーってところかな。
「そこに湖があるから飛び込ませてみれば良いんじゃないか?」
えっ!? 今水中見られたら、私たちがそこにいるのがバレるんだけど……
「そ、そんな程度のことで信じてもらえるのであれば……」
ま、まずいまずい、もっと奥へ移動しよう。
トリニアさんにも声をかけて見つからないように移動する。
「だそうですよ。すんなり応じようとしたということは本物の人魚族ではないでしょうか?」
「いや、そうやって信じさせようとしている可能性だってある、この目で見なければ信用できない。ああ、≪マジック・シール≫は時間経過で効果が消える。人魚族は瞬く間に遠く行けるからな、泳いで逃げようとするんじゃないぞ?」
と言う言葉と共に、多数のエルフたちが弓矢をロクトスとナナトスに向ける。
「……分かりました」
ザパーン
エルフ族に言われるがまま、ローブを着たまま湖に飛び込むルイスさん。
「確かに……脚は尾びれに変化するようだな」
「それじゃあ!」
「残念ながら水の国に由来していて、人魚族ということが分かっただけに過ぎない。人魚族を由来とする森賊も確認されているからな」
「……ううっ……」
「おい、引き上げてやれ」
水から引き上げられるルイスさん。
「空間魔法座標の取得が目的となると、なお用心しないといけない。もし偽物なら大ごとだ」
「森賊であるなら始末しないと、大群で押し寄せられたらどうにもなりませんからね。そうでないのなら完全に身分が分かるまで幽閉ということになりますね」
始末……多分言葉通り殺すんだろう。
この広大な大森林、“生きている森”と言われている通り木が動いて度々道を変えるそうだ。そのため同じ場所に再び訪れるのは中々難しいらしい。
木の精霊や精霊使いなどなら二度同じところに来ることも可能だが、見つからない人里を探してこの森を大群で移動するのも中々骨が折れる。その点空間魔法ならその空間魔法の使い手一人がそこへ辿り着けてしまえば、以後は簡単に大群を送り込める。
つまり空間魔術師以外に見つけられるのと空間魔術師本人に見つけられるのとではリスクに大きな差がある。
そのため悪いヤツに空間魔法座標を取得されてしまうというのは、それだけで大きな危険を孕む。
空間魔術師の多くは国が抱え込むことが多いが、中には国に見い出されず悪の道に堕ちる者がいる可能性だって無いとは言えない。彼らはそういうリスクを考えているんだろう。
「悪いが、現時点ではあんたが本当に水の国の使いかどうか信用できない」
「あ、あああの身分証明カードなら持ってます!」
以前トーマスに見せてもらったような身分証明カードを取り出す。 (第253話参照)
「樹の国首都ならそれで通るのだろうが、これを見せられても俺たちには無い文化だから分からないな。このまま逃がしたら、ここに害を与える者って可能性も否定できない。悪いが拘束させてもらうぞ」
「そ、そんな!」
偶然にもトリニアさんがいない時に見つかってしまうなんて……運が悪い……ナナトス、ホントに正月に超吉出したのか?
いや、もしかしたらどんな状況でも生還できるとか、そういう悪運が超強いのかもしれないけど。
「こっちの二人は見たこともない種族だ。身体の色はゴブリンに似てるな。顔つきは大分温和だし、ツノが無いが」
「とりあえず捕まえて、彼らの言っていることがホントのことかどうかユグドフロントに確認しましょう」
「アルトラ様~~!! トリニアさ~ん!! 近くにいないッスか!? 俺っちたち捕まっちまいますよ~!」
あ、バカ! そんな大声で呼んだって裸だからすぐ出ていけないよ……
あ、私は闇のドレス纏えば良いだけか。でも私一人行ったところでトリニアさんが出て行けないのでは捕まる人数が一人増えるだけだ。
トリニアさんはまだ裸の状態だし、彼女がいなければどうにもならない。とりあえず命の危機は無さそうだし静観かな。
「他にも仲間がいるのですか!?」
「仲間がいるらしいぞ! 近くに居るはずだ、探せ!」
……
…………
………………
「この辺りにはいないようだぞ」
「他の亜人の気配もしない」
「コイツらとは別の魔力も感じられないし、近くに居ないんじゃないか?」
どうやらエルフ族も魔力探知が得意な種族らしい。
姿を隠すなら≪不可視化≫だけで良いかと考えたけど、念のため≪魔力遮断《シャットアウト・スペル》≫も使っておいて正解だった。
「精霊に聞いてみますか?」
メガネの男性が両手を上空に掲げると、木々の中に光を咲かせる花の光とは別の淡い光を放つ球体が沢山現れた。
小声でトリニアさんに話しかける。
「……トリニアさん、淡い光が沢山現れましたけどあれは……?」
「……受肉していない木の下位精霊たちです……彼らエルフはあの下位精霊たちから情報を得ることができます……」
下位精霊を喚び出したエルフは斜め上の光に向かって何やら話している様子。
「精霊の話によると、彼らと同行していた女性が二人いたけど突然消えたそうですよ」
「空間魔法か何かで瞬時に移動したってことか?」
「だとすると空間魔術師が二人いるんですか? 希少な空間魔術師が二人も同行してるなんて国家レベルの人数ですよ?」
「え!? アルトラ様たち置いて行っちゃったんスか!? そんな~~!」
「……そんなわけない……何か理由があって隠れてるんだよ……」
裸だから出るに出られないのよ! 何もこんな近くで会話しなくても良いのに……
置いて行ったとか誤解をしているけど、後でちゃんと説明するしかないか。
「おい! 一緒に居たのは誰だ?」
「き、樹の国のトリニアさんと俺っちたちの国主様ッスけど……」
「国主だって!? 一国の主様がこんな危険な森に何の用だ? それにトリニアって……樹の国政務官の? 何でお前たちのような得体の知れないのと一緒に……」
「さ、さあ? 詳しい役職なんか聞いてないッスから……」
「ぼ、僕も詳しくは存じませんが、き、樹の国とアルトラルサンズ間のプロジェクトで来てるそうですよ」
「アルトラルサンズ? それが国の名前か? どこだそれは?」
まだまだ出来たばかりの国で知名度が皆無に近いとは言え、きっぱりと「知らない」って言われるとちょっと凹むわね……
「要人を招待するなら空間魔法で迎えに行くのが筋だろ」
「今樹の国の王はご病気ですから、空間魔術師も付きっきりにならなければならないのでしょう」
「それは俺も知っている。だが、王専属は仕方ないにしても、空間魔術師は見習いが一人いるって言うじゃないか。そいつに行かせれば良かった話なんじゃないのか?」
「まだ未熟だという理由でお迎えに使うことを見送ったとかでしょうか?」
う~ん……確かに……こんな森歩くくらいなら未熟でもなんでも空間魔術師見習いに来てもらった方が楽なことは違いない。
いや、トリニアさんたちがうちに来た経緯を考えると、まずアクアリヴィアを経由してレヴィに私との橋渡しを頼んだ後にアルトレリアに来たみたいだから、そこまで時間を費やせなかったという可能性もある。
いやいや、そもそもレヴィが同行してたということは、アクアリヴィアからアルトレリアにはルイスさんの魔法で来た可能性が高いし、アクアリヴィアに行くにも木の精霊の移動方法“植物転移法”を使って移動しただけで、アルトレリアに来るまでに空間魔法を一切使ってない可能性すらある。
「……トリニアさん、あの人たちあんなこと言ってますけど……?」
「……申し訳ありません……見習いは木の精霊ではないのでわたくしたちのような植物転移法は使えませんし、まだ訓練を始めて日が浅いため片道ほどの魔力しか使うことができず、使った後に長時間の回復が必要なので今回お迎えには使えないと判断致しました……」
「……それでも一日くらいあれば回復できたんじゃ……? うちなら泊まる用意もできましたよ……?」
「……………………あっ……そ、それもそうですね……そうすればこんな森の中歩かなくても良かったですね……気付いておらず申し訳ありません……」
つまりは、ドリアード姉妹全員が『回復に時間がかかるから、今回は片道の魔力しか使えない見習いでは“使うことができない”』と早とちりしてしまったということか……
「……いえ、今回は水の国女王たっての願いでルイスさんの護衛もありましたので、いずれにせよ森を歩かないといけなかったと思います……」
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