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第13章 樹の国ユグドマンモン探検偏
第323話 vs森賊
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「ふざけんなよ、この小娘がぁ~!!」
と大声で斬りかかって来たリザードマンの剣を刀で受け、刀身を滑らせて近付き、リザードマンの左わきに移動しつつ返す刀で胴を真一文字に切り裂き、刀を振り抜いた。
「ぎゃあぁ!!」
斬った瞬間、右前方の地面にビチャビチャビチャッという音を立てながら半月状に血がドバッと飛び散る。
「な!? 殺した!?」
「コイツ、躊躇なく胴体を真っ二つに斬りやがった!」
「殺し慣れしてやがるのか!?」
ゲッ……な……なにこの飛び散った血の量……これ……魔道具作り失敗した?
は……初めて亜人を殺しちゃったかも……
そういえばいつもは魔道具の試運転をするのに。今回はぶっつけ本番だった。
殺してしまったかもしれないという衝撃の事実に、身体から血の気が引くと同時に、少しガクガクと震えが来る。
周囲も突然仲間の殺害シーンを見て唖然としている。
再び斬りかかって来られる前に、急いで今斬ったリザードマンを確認すると、胴を斬ったはずなのに傷は無し。この大量の出血量に対して、斬ったところに傷すら無い矛盾した状態。
一応心音を確認。
リザードマンって心臓どこにあるのかしら? 人間と同じく左胸? いやまあ手首で脈を確認すれば良いか。
…………脈はある! 気絶しているだけで死んでるわけではなさそう!
ほっ……セーフ! あ、焦ったぁ……ホントに殺しちゃったかと思った。
血が出るところまで想定してなかったけど、想定の範囲内に収まってくれた。
多分、一度『斬る』という事実がある以上、血が出るのは避けられないのかもしれない。
斬った瞬間に回復するとは言え、斬った時と回復の時の二回分の痛みを負うため、その痛みに耐えきれず気絶したらしい。
本来なら真っ二つになってるところだけど、痛みだけで済ます温情に感謝してもらいたい。
そして、生きていると分かったからには、思う存分刀を振れる。
「見た目で判断するな! コイツ強いぞ! 用心しろ!」
一人の注意喚起により、唖然としていた森賊全員が正気に戻り、再び臨戦態勢になる。
「子供のような見た目なのに戦い慣れてやがる!」
戦い慣れてるはずがない。斬り合いなんて今回初めてだし。自身がダメージを受けないと分かっていなければ、こんな無謀な作戦は実行したりしない。戦場に平然と居られもしないだろう。
それも全部この身体に備わった特性と刀レベルのお蔭だ。
「おい! お前たちぃ、全員出てきな!」
人間に近い姿をした女の掛け声で、更にゾロゾロと顔を表す森賊の面々。
獣人とゴブリンが多い。
獣人・亜人のうち、ライオンのような獣人と一際身体の大きいオーガがリーダーの両脇に副官のように着いた。この二人が副リーダーみたいだ。
ライオンやオーガの方がよほど強そうに見えるのに、あの人間に似た女は更に強いらしい。一体何の亜人なのかしら?
「普段ここを通行する旅人や行商人とは違うようだね。小娘に見えるが、油断したら死ぬと思って本気で行きな!」
周りを囲まれた。
「やっちまいな!」
その合図と共に一斉に斬り掛かって来る森賊の集団。
私の目から見れば、全員動きが凄く遅い。どう動くのか手に取るように分かる。
まずは目の前に居たゴブリン三人、三人が連携してナイフで斬りかかってくるが、一人を殴り飛ばし、もう二人はバックステップで躱して横薙ぎで斬り伏せた。
素早い動きで後ろに回っていた猫獣人と犬獣人に爪で攻撃されるものの、そのまま半円回転して二人同時に横一文字に斬る。
近くに居たドワーフが、巨大なハンマーを振り回すが、動きが遅すぎて当たるはずもなく。脇を通り過ぎつつ胴を斬る。
蛇人は遠くから毒液を放出してきたが、水魔法でバリアを張り毒液で濁った水のバリアを目隠しにして目を逸らせ、その陰から近付いて斬り伏せる。毒液は希釈してそのまま地面に流した。
オークが岩石の弾丸を放って来たが、全て斬り伏せて、走って近付き、大ジャンプからの袈裟斬り。
サハギンは得意の水魔法で霧を作り、目隠ししようとするがこの状況にはもう覚えがある。 (第12話参照)
風魔法を放って霧を散らし、霧に紛れて近寄って来ていたサハギンの肩を突き刺した。
うお! しまった抜けない!
「ギャアアァァァ!! 痛い痛い痛い!! 早く抜いてくれぇ!」
刺さったとは言え随分と大きい悲鳴を出す。この刀、泣くほど痛いのか?
胴体を蹴って刀を抜く。
そのままもう一度斬り伏せようと構えたが、その痛みで意気消沈してしまったらしく、うずくまって動かなくなった。
モノアイは怪力で木を引っこ抜き、それを振り回して攻撃してきたが、攻撃が大振りなため容易に避けやすく。振り回した木に飛び乗って、木の上を走って近寄り、ジャンプして斜めに切り裂いた。
「な、何なんだよコイツは~!? お、俺たちじゃ勝てねぇ!」
さっき追加された亜人たちと獣人たちは、形勢が悪いと見るや逃げ出した。
「おい! お前たち逃げるんじゃないよ!」
リーダーらしき女が逃げるのを防ごうとするが、耳を貸さずそのまま散り散りに逃げていく。
遠くに行かれる前に全員に魔力マーキングを投げつけておいた。
「よし、これで後で追いかけて捕まえられる」
一通り終わって、私の周囲には死体の山 (に見える)、地面は血に塗れている。
「はぁ……逃げたヤツらは後で処刑だね。それにしてもあんた強いねぇ。暗殺者でもやってるのかい? 子供のように見えるけどそのなりで実は百歳超えてるとか? 抵抗されて一人二人殺されたことはあるが、ここまで殺されちまったのは初めてだよ。またメンバーを補充しなきゃいけないねぇ……」
強盗団のほとんどが地面に倒れ伏しているのに、いまだこの態度。強さには相当自信があるようだ。
「はぁ……じゃあお前たち行きな!」
「「おうっ!!」」
巨大な剣を持ったライオン獣人とオーガが同時に飛び掛かって来た。
二人同時の斬撃を、回転しながら横にヒラリと躱す。
ライオン獣人が横薙ぎに払ったが、それもジャンプして回避。オーガが空中の私を狙って縦に斬り下ろしてきたが、それを風魔法の一瞬の噴射で回避。と同時に空中で横回転しつつ剣を持った右手を斬りつけた。
「ぐあぁっ!」
あの右手は少しの間痛みで使えないでしょう。
「くそっ! このちょこまかと!」
ライオン獣人がでたらめに斬撃を繰り出すが、それをステップと刀による受け流しで回避。
「うおおぉぉぉ!!」
という咆哮と共に、横に薙ぎ払われるが、それを再びジャンプで回避。
が、今度は風魔法を使う前に剣を捨てて素手で両肩を捕まえられてしまった。
間髪入れずに左首筋を満身の力を込めて噛まれる。
その直後――
ギャリリィィ!!
――という金属音の後、グギリリという嫌な音を立ててライオン獣人の牙が四本全て根本から折れて飛んで行った。
「がああぁぁ!! 痛ぇぇ!!」
予想外の出来事だったのだろう、私を捕まえておくことも忘れて空中に放り投げ、牙の無くなった口元を抑えてうずくまるライオン獣人。
「な、何なんだお前! 何だこの硬さは!」
「私、特異体質なの。さあ覚悟は良いかしら?」
斬治癒丸を持つ右手を振り上げ――
「くそっ……何て女だ……」
――二人を斬り伏せ、最後にボスの方へ向き直る。
「……まさか、小娘一人に全滅させられるとはね……」
周囲に転がってる森賊の面々を見て――
「全く……役に立たないヤツらだね……なあ! レオノルン?」
と言いながらライオン獣人のタテガミを掴んで首を持ち上げ、睨みつける。
「す、すまない、お嬢……」
あのライオン獣人まだ気絶してなかったのか。レオノルンとかいう名前らしい。まあこれから捕まるヤツの名前なんてどうでも良いか。
「お前も役に立たないね、オルガナ!」
「ぐぁ……!」
と言いながらオーガの腹を足蹴にする。
「……すまん……お嬢……」
こっちも気絶していないとは……この二人は体格にも恵まれているからタフなのかもしれない。
しかし……仲間に対してすらこの態度とこの言い草か……
と大声で斬りかかって来たリザードマンの剣を刀で受け、刀身を滑らせて近付き、リザードマンの左わきに移動しつつ返す刀で胴を真一文字に切り裂き、刀を振り抜いた。
「ぎゃあぁ!!」
斬った瞬間、右前方の地面にビチャビチャビチャッという音を立てながら半月状に血がドバッと飛び散る。
「な!? 殺した!?」
「コイツ、躊躇なく胴体を真っ二つに斬りやがった!」
「殺し慣れしてやがるのか!?」
ゲッ……な……なにこの飛び散った血の量……これ……魔道具作り失敗した?
は……初めて亜人を殺しちゃったかも……
そういえばいつもは魔道具の試運転をするのに。今回はぶっつけ本番だった。
殺してしまったかもしれないという衝撃の事実に、身体から血の気が引くと同時に、少しガクガクと震えが来る。
周囲も突然仲間の殺害シーンを見て唖然としている。
再び斬りかかって来られる前に、急いで今斬ったリザードマンを確認すると、胴を斬ったはずなのに傷は無し。この大量の出血量に対して、斬ったところに傷すら無い矛盾した状態。
一応心音を確認。
リザードマンって心臓どこにあるのかしら? 人間と同じく左胸? いやまあ手首で脈を確認すれば良いか。
…………脈はある! 気絶しているだけで死んでるわけではなさそう!
ほっ……セーフ! あ、焦ったぁ……ホントに殺しちゃったかと思った。
血が出るところまで想定してなかったけど、想定の範囲内に収まってくれた。
多分、一度『斬る』という事実がある以上、血が出るのは避けられないのかもしれない。
斬った瞬間に回復するとは言え、斬った時と回復の時の二回分の痛みを負うため、その痛みに耐えきれず気絶したらしい。
本来なら真っ二つになってるところだけど、痛みだけで済ます温情に感謝してもらいたい。
そして、生きていると分かったからには、思う存分刀を振れる。
「見た目で判断するな! コイツ強いぞ! 用心しろ!」
一人の注意喚起により、唖然としていた森賊全員が正気に戻り、再び臨戦態勢になる。
「子供のような見た目なのに戦い慣れてやがる!」
戦い慣れてるはずがない。斬り合いなんて今回初めてだし。自身がダメージを受けないと分かっていなければ、こんな無謀な作戦は実行したりしない。戦場に平然と居られもしないだろう。
それも全部この身体に備わった特性と刀レベルのお蔭だ。
「おい! お前たちぃ、全員出てきな!」
人間に近い姿をした女の掛け声で、更にゾロゾロと顔を表す森賊の面々。
獣人とゴブリンが多い。
獣人・亜人のうち、ライオンのような獣人と一際身体の大きいオーガがリーダーの両脇に副官のように着いた。この二人が副リーダーみたいだ。
ライオンやオーガの方がよほど強そうに見えるのに、あの人間に似た女は更に強いらしい。一体何の亜人なのかしら?
「普段ここを通行する旅人や行商人とは違うようだね。小娘に見えるが、油断したら死ぬと思って本気で行きな!」
周りを囲まれた。
「やっちまいな!」
その合図と共に一斉に斬り掛かって来る森賊の集団。
私の目から見れば、全員動きが凄く遅い。どう動くのか手に取るように分かる。
まずは目の前に居たゴブリン三人、三人が連携してナイフで斬りかかってくるが、一人を殴り飛ばし、もう二人はバックステップで躱して横薙ぎで斬り伏せた。
素早い動きで後ろに回っていた猫獣人と犬獣人に爪で攻撃されるものの、そのまま半円回転して二人同時に横一文字に斬る。
近くに居たドワーフが、巨大なハンマーを振り回すが、動きが遅すぎて当たるはずもなく。脇を通り過ぎつつ胴を斬る。
蛇人は遠くから毒液を放出してきたが、水魔法でバリアを張り毒液で濁った水のバリアを目隠しにして目を逸らせ、その陰から近付いて斬り伏せる。毒液は希釈してそのまま地面に流した。
オークが岩石の弾丸を放って来たが、全て斬り伏せて、走って近付き、大ジャンプからの袈裟斬り。
サハギンは得意の水魔法で霧を作り、目隠ししようとするがこの状況にはもう覚えがある。 (第12話参照)
風魔法を放って霧を散らし、霧に紛れて近寄って来ていたサハギンの肩を突き刺した。
うお! しまった抜けない!
「ギャアアァァァ!! 痛い痛い痛い!! 早く抜いてくれぇ!」
刺さったとは言え随分と大きい悲鳴を出す。この刀、泣くほど痛いのか?
胴体を蹴って刀を抜く。
そのままもう一度斬り伏せようと構えたが、その痛みで意気消沈してしまったらしく、うずくまって動かなくなった。
モノアイは怪力で木を引っこ抜き、それを振り回して攻撃してきたが、攻撃が大振りなため容易に避けやすく。振り回した木に飛び乗って、木の上を走って近寄り、ジャンプして斜めに切り裂いた。
「な、何なんだよコイツは~!? お、俺たちじゃ勝てねぇ!」
さっき追加された亜人たちと獣人たちは、形勢が悪いと見るや逃げ出した。
「おい! お前たち逃げるんじゃないよ!」
リーダーらしき女が逃げるのを防ごうとするが、耳を貸さずそのまま散り散りに逃げていく。
遠くに行かれる前に全員に魔力マーキングを投げつけておいた。
「よし、これで後で追いかけて捕まえられる」
一通り終わって、私の周囲には死体の山 (に見える)、地面は血に塗れている。
「はぁ……逃げたヤツらは後で処刑だね。それにしてもあんた強いねぇ。暗殺者でもやってるのかい? 子供のように見えるけどそのなりで実は百歳超えてるとか? 抵抗されて一人二人殺されたことはあるが、ここまで殺されちまったのは初めてだよ。またメンバーを補充しなきゃいけないねぇ……」
強盗団のほとんどが地面に倒れ伏しているのに、いまだこの態度。強さには相当自信があるようだ。
「はぁ……じゃあお前たち行きな!」
「「おうっ!!」」
巨大な剣を持ったライオン獣人とオーガが同時に飛び掛かって来た。
二人同時の斬撃を、回転しながら横にヒラリと躱す。
ライオン獣人が横薙ぎに払ったが、それもジャンプして回避。オーガが空中の私を狙って縦に斬り下ろしてきたが、それを風魔法の一瞬の噴射で回避。と同時に空中で横回転しつつ剣を持った右手を斬りつけた。
「ぐあぁっ!」
あの右手は少しの間痛みで使えないでしょう。
「くそっ! このちょこまかと!」
ライオン獣人がでたらめに斬撃を繰り出すが、それをステップと刀による受け流しで回避。
「うおおぉぉぉ!!」
という咆哮と共に、横に薙ぎ払われるが、それを再びジャンプで回避。
が、今度は風魔法を使う前に剣を捨てて素手で両肩を捕まえられてしまった。
間髪入れずに左首筋を満身の力を込めて噛まれる。
その直後――
ギャリリィィ!!
――という金属音の後、グギリリという嫌な音を立ててライオン獣人の牙が四本全て根本から折れて飛んで行った。
「がああぁぁ!! 痛ぇぇ!!」
予想外の出来事だったのだろう、私を捕まえておくことも忘れて空中に放り投げ、牙の無くなった口元を抑えてうずくまるライオン獣人。
「な、何なんだお前! 何だこの硬さは!」
「私、特異体質なの。さあ覚悟は良いかしら?」
斬治癒丸を持つ右手を振り上げ――
「くそっ……何て女だ……」
――二人を斬り伏せ、最後にボスの方へ向き直る。
「……まさか、小娘一人に全滅させられるとはね……」
周囲に転がってる森賊の面々を見て――
「全く……役に立たないヤツらだね……なあ! レオノルン?」
と言いながらライオン獣人のタテガミを掴んで首を持ち上げ、睨みつける。
「す、すまない、お嬢……」
あのライオン獣人まだ気絶してなかったのか。レオノルンとかいう名前らしい。まあこれから捕まるヤツの名前なんてどうでも良いか。
「お前も役に立たないね、オルガナ!」
「ぐぁ……!」
と言いながらオーガの腹を足蹴にする。
「……すまん……お嬢……」
こっちも気絶していないとは……この二人は体格にも恵まれているからタフなのかもしれない。
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