309 / 531
第13章 樹の国ユグドマンモン探検偏
第304話 木の精霊の詳しい生態
しおりを挟む
「トライアさん、大森林の入り口から首都まで何キロくらいあるんですか?」
「考えたことはないですけど……確か……全長が一番長いところで五百キロ?六百キロ?くらいだったと思いますので、百キロから二百キロの間くらいに首都があるのではないかと~」
「全長五百キロ以上の森林地帯!?」
何か曖昧だなぁ……考えたことないって言ってるし、分からないと言われてもおかしい話ではないか。
下手したら全長がもっと長かったり、実はもっと短かったりするかもしれない。何せそこに生活する本人たちが分からないのだから……
「何でそんなに遠いのに考えたことがないんですか?」
「それは以前お話した、私たちの移動方法にあります」
「ああ、あの別の植物に意識を転移させられるっていう移動方法?」 (第241話参照)
「はい、そのような生態であるため、ある程度距離が離れていても、転移を繰り返せば森を長時間歩かなくてもごく短い時間で外に出られるんですよ」
改めて聞いても、なんて便利な生態なのかしら……
「その移動方法って物は持って移動できるんですか? 例えば町への物資とか、着ている服とかもそうですよね?」
「出来ません。それが出来るならわざわざ樹人に運んでもらわず、自分で運べますので」
あ、そっか。
え? ってことは……
「じゃあ移動する時は裸で移動して来ることになるんですか!?」
つまり服は転移先で調達しなければならないと……?
「あ、いえ、もう一つルールがあって、自分の精霊体から出来たものなら一緒に移動させることができます」
「精霊体? 受肉体(※)とは違うものですか?」
(※受肉体:精霊が物やエネルギー体に宿った際に独自に形成する体。人間で言うところの肉体に当たるもの。詳しくは第273話参照)
「受肉体の内側にあるものが精霊体でその更に内側が魂になります。精霊体を亜人に当てはめるなら……霊体に当たるのではないでしょうか? 精霊体はわたくしたちの本質的な体と言ったところです」
本質的な体か。受肉体を形成せずに自然界にいる間は精霊体の状態ってことかな?
「わたくしたち木の高位精霊は自分の意識を遠くの植物に転移させるため、いつもいつも同一の植物というわけではありません。時にはチューリップの受肉体かもしれませんし、時にはリンゴの木の受肉体かもしれません、毒草の受肉体だったり、キノコの受肉体だったりすることもあります。なので移動した植物次第では転移前の植物と今乗り移っている植物では細胞が大きく異なってしまうわけです」
「ふむふむ」
確かに理屈としてはそういうことになってなければおかしい。同じ種類の植物に転移するならまだしも、別の植物に転移するなら細胞レベルで全く違う植物であるはずだし。
でも分からないのが転移先でも同じ姿形をしているということ。何で違う植物に乗り移ってるはずなのに同じ姿になるのかしら……?
「しかし、他の植物に転移したとしても精霊体は同一のものなので、転移前と現在の植物が異なっていても、転移先で全く同じ姿形を形成することができます」
「おおぉ! なるほど!」
そういう性質だったのか!
詳しいことまでは分からないけど、つまり精霊体は常に同一のものだから、どんな植物に転移しても形成される身体は同じ姿になるってわけね。
「仮に現在乗り移っている植物から出た綿や繊維で服を作るとします。するとこの服にはわたくしの精霊体から出た魔力も一緒に編み込まれているため、遠くの植物へ意識を転移する時に着たまま一緒に移動させることができるというわけです」
「なるほど~! 自分の精霊体から作られた服なら着たまま移動できるってわけですね!」
「要約すればそういうことです。なので亜人の中には、『我々精霊が年老いたら若く新しい植物に乗り移れば若返ることができるんじゃないか』と勘違いしてる方もいますが、そういうわけにはいかないということですね」
自分の魔力を編み込んで作った物以外は持って移動できないってのは中々不便ね……要は空間転移の完全下位互換って感じか。
「あ、じゃあちょっと聞いてみたいんですけど、今は何の植物なんですか?」
「今はアルトレリアの町中にある街路樹・ポプラの木の一種でヒカリポプラですね。元々は微かな光から栄養を摂っていた種類で、太陽のある環境にマッチしたみたいです。ここに植えられているヒカリポプラは元気に生い茂ってますね。別種には暗闇で育つヤミポプラもあります。太陽の無い魔界ではこちらの方が主流ですね」
「へぇ~、太陽の無い環境にあっても、やっぱり光で元気になる植物もあるんですね」
樹の高位精霊の生態は分かったけど、大森林を歩くという面倒なことは変わらないわけね……彼女らの移動方法から何かヒントでも得られればと思ったけど……
あ、そうだ、私が先に飛んで行って、大森林入り口まで戻ってくれば楽なのでは? レッドトロル村を探した時の方式で。
「ルイスさん、朗報よ! 私が首都へ飛んで行って、そこから空間魔法で戻って来れば森を歩かなくて良いかも!」
と、ちょっと明るい口調で言ってみたところ、ルイスさんの表情が少しだけ曇った。
「申し訳ありませんアルトラ様、実は大森林内部に重要な樹の国の属国がありまして……そちらの位置情報も得ないとならないので……」
「えっ!? 森林内部に別の国があるの!?」
「はい、小さい国ですがいくつかあります。今回位置情報を得なければならないのはエルフの国ですが、他の地域と生活様式が大分違っているので、樹の国の中にありながら属国として分けられています」
結局歩かされることになるのか……
エルフの国ってのは、雷の国で言ってたフレデリックさんの故郷かな? (第264話から第265話参照)
「ただ、近くに寄るだけに留めます。彼らはよそ者を警戒するので。レヴィアタン様が一緒なら面識があるから良いのですが、我々だけだと門前払いされるか、最悪捕まってしまうかもしれませんので」
そういえばフィンツさん曰く、ドワーフ族とかエルフ族は種族全体が気難しい性質って言ってたな……円滑な関係を築くのは難しいか。
「あ、出発する前に少し待っていただけますか? 多めに見積もって半日ほど。元々は大森林を歩く予定ではなかったので、森歩きの準備をしてきていません。一旦戻って準備してきますので」
「わかりました」
ルイスさんは空間転移魔法でアクアリヴィアに戻った。
「さて、サリー、樹の国とベルゼの橋渡しも済んだし、空間転移座標はルイスが取得して来てくれるって言うから私たちも水の国首都の宮殿へ戻りましょうか。午後の予定はエレアースモとの技術提携会議だっけ? 夜は晩餐会?」
「はい」
「じゃあベルゼ、樹の国 (の疑似太陽の件)とルイスのことをよろしくお願いね」
レヴィもサリーさんの空間魔法で帰って行った。
自分は森を歩かなくても良いから気楽なもんだ……
と心で思いはしたが、大いにお世話になってもいるし、これくらいの肉体労働は当然か。
さて、じゃあトライアさんたちとお茶でもしながらルイスさんが戻って来るまで待つか。
庭にテーブルとイスを用意する。
「カイベル、三人にお茶の用意をお願い」
「わかりました」
「アルトラ、カイベルおはよウ……あ、また誰か知らない精霊がいル」
リディアが起きて来た。
ここで今までの経緯を説明。
「じゃあ今度は樹の国に行くのカ?」
「大森林を歩くんだってさ。一緒に行く?」
「大森林ってなんダ?」
「森の中に森が入ってるようなイメージかな。」
「…………想像すると木ばっかりだナ。何か凄く歩きにくそウ……虫とかヘビとか危険な生物も多そうダ……行ってらっしゃイ。リディアはカイベルとお留守番してるヨ」
まあ、そう言うと思った……
今回は子供のリディアには道中危険があるかもしれないし、断ってくれたのは幸いか。
あ、一人じゃちょっと不安だな……そうだ、じゃあアイツを巻き込もう。
「ドリアードのみなさん、別の者の同行を募っても構いませんか?」
「え、ええ構いませんが……」
「一人で行くのはちょっと心細いので、あと何人か同行してもらおうと思います。ちょっと席を外しますね」
「考えたことはないですけど……確か……全長が一番長いところで五百キロ?六百キロ?くらいだったと思いますので、百キロから二百キロの間くらいに首都があるのではないかと~」
「全長五百キロ以上の森林地帯!?」
何か曖昧だなぁ……考えたことないって言ってるし、分からないと言われてもおかしい話ではないか。
下手したら全長がもっと長かったり、実はもっと短かったりするかもしれない。何せそこに生活する本人たちが分からないのだから……
「何でそんなに遠いのに考えたことがないんですか?」
「それは以前お話した、私たちの移動方法にあります」
「ああ、あの別の植物に意識を転移させられるっていう移動方法?」 (第241話参照)
「はい、そのような生態であるため、ある程度距離が離れていても、転移を繰り返せば森を長時間歩かなくてもごく短い時間で外に出られるんですよ」
改めて聞いても、なんて便利な生態なのかしら……
「その移動方法って物は持って移動できるんですか? 例えば町への物資とか、着ている服とかもそうですよね?」
「出来ません。それが出来るならわざわざ樹人に運んでもらわず、自分で運べますので」
あ、そっか。
え? ってことは……
「じゃあ移動する時は裸で移動して来ることになるんですか!?」
つまり服は転移先で調達しなければならないと……?
「あ、いえ、もう一つルールがあって、自分の精霊体から出来たものなら一緒に移動させることができます」
「精霊体? 受肉体(※)とは違うものですか?」
(※受肉体:精霊が物やエネルギー体に宿った際に独自に形成する体。人間で言うところの肉体に当たるもの。詳しくは第273話参照)
「受肉体の内側にあるものが精霊体でその更に内側が魂になります。精霊体を亜人に当てはめるなら……霊体に当たるのではないでしょうか? 精霊体はわたくしたちの本質的な体と言ったところです」
本質的な体か。受肉体を形成せずに自然界にいる間は精霊体の状態ってことかな?
「わたくしたち木の高位精霊は自分の意識を遠くの植物に転移させるため、いつもいつも同一の植物というわけではありません。時にはチューリップの受肉体かもしれませんし、時にはリンゴの木の受肉体かもしれません、毒草の受肉体だったり、キノコの受肉体だったりすることもあります。なので移動した植物次第では転移前の植物と今乗り移っている植物では細胞が大きく異なってしまうわけです」
「ふむふむ」
確かに理屈としてはそういうことになってなければおかしい。同じ種類の植物に転移するならまだしも、別の植物に転移するなら細胞レベルで全く違う植物であるはずだし。
でも分からないのが転移先でも同じ姿形をしているということ。何で違う植物に乗り移ってるはずなのに同じ姿になるのかしら……?
「しかし、他の植物に転移したとしても精霊体は同一のものなので、転移前と現在の植物が異なっていても、転移先で全く同じ姿形を形成することができます」
「おおぉ! なるほど!」
そういう性質だったのか!
詳しいことまでは分からないけど、つまり精霊体は常に同一のものだから、どんな植物に転移しても形成される身体は同じ姿になるってわけね。
「仮に現在乗り移っている植物から出た綿や繊維で服を作るとします。するとこの服にはわたくしの精霊体から出た魔力も一緒に編み込まれているため、遠くの植物へ意識を転移する時に着たまま一緒に移動させることができるというわけです」
「なるほど~! 自分の精霊体から作られた服なら着たまま移動できるってわけですね!」
「要約すればそういうことです。なので亜人の中には、『我々精霊が年老いたら若く新しい植物に乗り移れば若返ることができるんじゃないか』と勘違いしてる方もいますが、そういうわけにはいかないということですね」
自分の魔力を編み込んで作った物以外は持って移動できないってのは中々不便ね……要は空間転移の完全下位互換って感じか。
「あ、じゃあちょっと聞いてみたいんですけど、今は何の植物なんですか?」
「今はアルトレリアの町中にある街路樹・ポプラの木の一種でヒカリポプラですね。元々は微かな光から栄養を摂っていた種類で、太陽のある環境にマッチしたみたいです。ここに植えられているヒカリポプラは元気に生い茂ってますね。別種には暗闇で育つヤミポプラもあります。太陽の無い魔界ではこちらの方が主流ですね」
「へぇ~、太陽の無い環境にあっても、やっぱり光で元気になる植物もあるんですね」
樹の高位精霊の生態は分かったけど、大森林を歩くという面倒なことは変わらないわけね……彼女らの移動方法から何かヒントでも得られればと思ったけど……
あ、そうだ、私が先に飛んで行って、大森林入り口まで戻ってくれば楽なのでは? レッドトロル村を探した時の方式で。
「ルイスさん、朗報よ! 私が首都へ飛んで行って、そこから空間魔法で戻って来れば森を歩かなくて良いかも!」
と、ちょっと明るい口調で言ってみたところ、ルイスさんの表情が少しだけ曇った。
「申し訳ありませんアルトラ様、実は大森林内部に重要な樹の国の属国がありまして……そちらの位置情報も得ないとならないので……」
「えっ!? 森林内部に別の国があるの!?」
「はい、小さい国ですがいくつかあります。今回位置情報を得なければならないのはエルフの国ですが、他の地域と生活様式が大分違っているので、樹の国の中にありながら属国として分けられています」
結局歩かされることになるのか……
エルフの国ってのは、雷の国で言ってたフレデリックさんの故郷かな? (第264話から第265話参照)
「ただ、近くに寄るだけに留めます。彼らはよそ者を警戒するので。レヴィアタン様が一緒なら面識があるから良いのですが、我々だけだと門前払いされるか、最悪捕まってしまうかもしれませんので」
そういえばフィンツさん曰く、ドワーフ族とかエルフ族は種族全体が気難しい性質って言ってたな……円滑な関係を築くのは難しいか。
「あ、出発する前に少し待っていただけますか? 多めに見積もって半日ほど。元々は大森林を歩く予定ではなかったので、森歩きの準備をしてきていません。一旦戻って準備してきますので」
「わかりました」
ルイスさんは空間転移魔法でアクアリヴィアに戻った。
「さて、サリー、樹の国とベルゼの橋渡しも済んだし、空間転移座標はルイスが取得して来てくれるって言うから私たちも水の国首都の宮殿へ戻りましょうか。午後の予定はエレアースモとの技術提携会議だっけ? 夜は晩餐会?」
「はい」
「じゃあベルゼ、樹の国 (の疑似太陽の件)とルイスのことをよろしくお願いね」
レヴィもサリーさんの空間魔法で帰って行った。
自分は森を歩かなくても良いから気楽なもんだ……
と心で思いはしたが、大いにお世話になってもいるし、これくらいの肉体労働は当然か。
さて、じゃあトライアさんたちとお茶でもしながらルイスさんが戻って来るまで待つか。
庭にテーブルとイスを用意する。
「カイベル、三人にお茶の用意をお願い」
「わかりました」
「アルトラ、カイベルおはよウ……あ、また誰か知らない精霊がいル」
リディアが起きて来た。
ここで今までの経緯を説明。
「じゃあ今度は樹の国に行くのカ?」
「大森林を歩くんだってさ。一緒に行く?」
「大森林ってなんダ?」
「森の中に森が入ってるようなイメージかな。」
「…………想像すると木ばっかりだナ。何か凄く歩きにくそウ……虫とかヘビとか危険な生物も多そうダ……行ってらっしゃイ。リディアはカイベルとお留守番してるヨ」
まあ、そう言うと思った……
今回は子供のリディアには道中危険があるかもしれないし、断ってくれたのは幸いか。
あ、一人じゃちょっと不安だな……そうだ、じゃあアイツを巻き込もう。
「ドリアードのみなさん、別の者の同行を募っても構いませんか?」
「え、ええ構いませんが……」
「一人で行くのはちょっと心細いので、あと何人か同行してもらおうと思います。ちょっと席を外しますね」
1
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
わがまま令嬢の末路
遺灰
ファンタジー
清く正しく美しく、頑張って生きた先に待っていたのは断頭台でした。
悪役令嬢として死んだ私は、今度は自分勝手に我がままに生きると決めた。我慢なんてしないし、欲しいものは必ず手に入れてみせる。
あの薄暗い牢獄で夢見た未来も、あの子も必ずこの手にーーー。
***
これは悪役令嬢が人生をやり直すチャンスを手に入れ、自由を目指して生きる物語。彼女が辿り着くのは、地獄か天国か。例えどんな結末を迎えようとも、それを決めるのは彼女自身だ。
(※内容は小説家になろうに投稿されているものと同一)
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる