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第11章 雷の国エレアースモ探訪編
第265話 カレーとチョコレートと発電施設
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「それとスパイスっていくつか揃えられます?」
カレーは沢山のスパイスが必要だから、再現するのを半ば諦めていた。
とはいえアクアリヴィアに行った時に水族館で食べることができたから、スパイス自体はあるはずだ!
スパイスを揃えられれば、ついに我が町でもカレーが作れる!
「私の出身国は樹の国ですので、スパイスの宝庫ですよ! どのようなものがご入用ですか?」
おお! 言ってみるもんだ!
カレーで有名なものと言えば……
「ウコンとかあります? 別名でターメリックとも呼ばれますけど」
「聞いたことないですね……」
「じゃあコリアンダーとか、カルダモンとか、クミンとか。あとは唐辛子、胡椒に生姜にシナモンにニンニクに……」
私はこれくらいしか知らないが……
ここにカイベルが居れば、彼女から伝えてもらえれば良かったんだけど……連れてくれば良かった。
「う~ん……唐辛子だけ聞いたことがありますね。辛味付けする時によく聞きます。私の地域ではレッドベイビーというものがよく使われてますね。それほど辛くない種類でほんのりピリッとする辛味が人気です」
あら、可愛い名前。
「地球の植物でしょうから、我が国の亡者に訊ねてみようと思います。きっと似たようなものは揃えられると思います」
「あ、もしその方が日本出身の亡者なら、その際に『カレーを作りたい』って伝えてください。そうすれば作れる材料を揃えてくれるかもしれません」
「確約は出来かねますが……もし日本出身の方が居たら伝えてみます」
「ああ、もう一つ、カカオとかバニラってあります?」
アクアリヴィアの土産物屋にはチョコレートがあったから、カカオかそれに類似するものがきっとあるはず!
バニラも同様に。
「え~と……カカオは確かチョコレートの原料でしたっけ?」
「それですそれです!」
「バニラは……香り付けで使われるものでしたね?」
「はい!」
「地球と全く同じ物ではないかもしれませんが、似たような特性のものはありますので、揃えて中立地帯へお届けします」
「ありがとうございます!」
やった! チョコレートやアイスクリームまで食べられるようになる!
◇
「本日はわざわざお会いしていただきありがとうございました」
「こちらこそ大いなる収穫がありました。今後とも良いお付き合いをお願いします!」
「ああ、一つお話しておこうと思います。ご存じの通り我がエルフ族は少々気の難しい種族で通っています。もし私たちの地域に立ち寄ることになり、拘束されるようなことがあるなら、私の名前をお出しください。私からもアルトラさんのことを伝えておきますので、余程話がこじれていなければトラブルは避けられると思います」
「何から何までありがとうございます」
「それではまた後日」
そう言って、フレデリックさんは部屋から出て行った。
「……面会は終わった……?」
「うん、引き合わせてくれたことに感謝するよ!」
「……それは良かった……ベルゼ、今日はありがとう。約束の五千万エレノル……」
うおおぉぉーー、初めて見たこの量のお金の束!
これが五千万かぁ~。
「……それと、王城の外へ来てもらえる……?」
今度は何だろう?
◇
「……あなたからお願いされていた……発電所建設の技術者たちを揃えた……」
「ありがとうアスモ!」
揃えてくれたのは四人。彼らにアルトレリアに来てもらって、うちの技術者たちに技術指導をしてもらう算段。
「……教えられる者少数で良いんだよね……? 作業員はいらない……?」
「うんうん、十分十分! そんなに沢山お借りするのも悪いし、私のとこの技術者に技術指導してもらえれば修得してモノに出来ると思うから!」
「お初にお目にかかります。発電所建設の技術指導をさせていただくローレンスと申します」
「同じくジョンです!」
「ハーバートです!」
「ヘンリーです! あの……我々は女王様からあなたのことをこの国に多大な貢献をしていただいた方と聞いておりますが、金髪に黒いツノ、もしかして空間魔法災害の折に活躍されたという“救国の乙女”さんですか?」
う……ここでも出てくるのか『救国の乙女』……
「は……はい……そうらしいです。私が救国の乙女です」
四人とも「おおぉ!!」という声を漏らす。
何だこれは……自分で“救国”とか言うの恥ずかしいんだけど……!
アスモがいつも小声のところを、更に小声で話しかけてきた。
「……疑似太陽を作ったとバレるよりはマシかと思って……」
そりゃそうだけども!
太陽の方は出来ることなら近しい者以外にはバレたくない事実だし。
「あの時は腕を失ってしまいましたが、あなたのお蔭でこうして五体満足で働けてます! あなた考案の回復技術が無ければ今頃は職を失っていたかもしれません。あの災害後からは魔力の弱い者でも再生させることができる技術が確立されました」
ローレンスさんに握手された。
「あの……出来れば恥ずかしいので、私が……その……きゅ、救国の乙女であるということは内密にお願いします!」
外で特定されるのも厄介だ。
「わかりました。十分気を付けます」
「……じゃあ、今回は顔合わせだけで、出発は明日になるから……」
「あ、そのことだけど、せっかく来たからには一日観光旅行したいなぁ……なんて」
「……わかった……じゃあ、みんな……明後日出発になるから、よろしくお願い……」
「「「「了解しました!!」」」」
やった! これで一日観光の時間が取れた!
◇
応接室――
「あ、アルトラお帰リ、どうだっタ?」
「うんうん、上々も上々よ! 発電所の約束を取り付けられた」
「ふ~ん……で、観光は出来るのカ?」
あ、発電所は全く興味無いか。子供だしそりゃそうか。
「明日一日取れたよ! どこ行こうか?」
「やっタ! 前来た時は穴だらけで観光どころじゃなかったからナァ~……道とか壁とかには沢山血が付いてたシ……」
「前と同じホテルを取ってもらったからそこへ行こうか」
カレーは沢山のスパイスが必要だから、再現するのを半ば諦めていた。
とはいえアクアリヴィアに行った時に水族館で食べることができたから、スパイス自体はあるはずだ!
スパイスを揃えられれば、ついに我が町でもカレーが作れる!
「私の出身国は樹の国ですので、スパイスの宝庫ですよ! どのようなものがご入用ですか?」
おお! 言ってみるもんだ!
カレーで有名なものと言えば……
「ウコンとかあります? 別名でターメリックとも呼ばれますけど」
「聞いたことないですね……」
「じゃあコリアンダーとか、カルダモンとか、クミンとか。あとは唐辛子、胡椒に生姜にシナモンにニンニクに……」
私はこれくらいしか知らないが……
ここにカイベルが居れば、彼女から伝えてもらえれば良かったんだけど……連れてくれば良かった。
「う~ん……唐辛子だけ聞いたことがありますね。辛味付けする時によく聞きます。私の地域ではレッドベイビーというものがよく使われてますね。それほど辛くない種類でほんのりピリッとする辛味が人気です」
あら、可愛い名前。
「地球の植物でしょうから、我が国の亡者に訊ねてみようと思います。きっと似たようなものは揃えられると思います」
「あ、もしその方が日本出身の亡者なら、その際に『カレーを作りたい』って伝えてください。そうすれば作れる材料を揃えてくれるかもしれません」
「確約は出来かねますが……もし日本出身の方が居たら伝えてみます」
「ああ、もう一つ、カカオとかバニラってあります?」
アクアリヴィアの土産物屋にはチョコレートがあったから、カカオかそれに類似するものがきっとあるはず!
バニラも同様に。
「え~と……カカオは確かチョコレートの原料でしたっけ?」
「それですそれです!」
「バニラは……香り付けで使われるものでしたね?」
「はい!」
「地球と全く同じ物ではないかもしれませんが、似たような特性のものはありますので、揃えて中立地帯へお届けします」
「ありがとうございます!」
やった! チョコレートやアイスクリームまで食べられるようになる!
◇
「本日はわざわざお会いしていただきありがとうございました」
「こちらこそ大いなる収穫がありました。今後とも良いお付き合いをお願いします!」
「ああ、一つお話しておこうと思います。ご存じの通り我がエルフ族は少々気の難しい種族で通っています。もし私たちの地域に立ち寄ることになり、拘束されるようなことがあるなら、私の名前をお出しください。私からもアルトラさんのことを伝えておきますので、余程話がこじれていなければトラブルは避けられると思います」
「何から何までありがとうございます」
「それではまた後日」
そう言って、フレデリックさんは部屋から出て行った。
「……面会は終わった……?」
「うん、引き合わせてくれたことに感謝するよ!」
「……それは良かった……ベルゼ、今日はありがとう。約束の五千万エレノル……」
うおおぉぉーー、初めて見たこの量のお金の束!
これが五千万かぁ~。
「……それと、王城の外へ来てもらえる……?」
今度は何だろう?
◇
「……あなたからお願いされていた……発電所建設の技術者たちを揃えた……」
「ありがとうアスモ!」
揃えてくれたのは四人。彼らにアルトレリアに来てもらって、うちの技術者たちに技術指導をしてもらう算段。
「……教えられる者少数で良いんだよね……? 作業員はいらない……?」
「うんうん、十分十分! そんなに沢山お借りするのも悪いし、私のとこの技術者に技術指導してもらえれば修得してモノに出来ると思うから!」
「お初にお目にかかります。発電所建設の技術指導をさせていただくローレンスと申します」
「同じくジョンです!」
「ハーバートです!」
「ヘンリーです! あの……我々は女王様からあなたのことをこの国に多大な貢献をしていただいた方と聞いておりますが、金髪に黒いツノ、もしかして空間魔法災害の折に活躍されたという“救国の乙女”さんですか?」
う……ここでも出てくるのか『救国の乙女』……
「は……はい……そうらしいです。私が救国の乙女です」
四人とも「おおぉ!!」という声を漏らす。
何だこれは……自分で“救国”とか言うの恥ずかしいんだけど……!
アスモがいつも小声のところを、更に小声で話しかけてきた。
「……疑似太陽を作ったとバレるよりはマシかと思って……」
そりゃそうだけども!
太陽の方は出来ることなら近しい者以外にはバレたくない事実だし。
「あの時は腕を失ってしまいましたが、あなたのお蔭でこうして五体満足で働けてます! あなた考案の回復技術が無ければ今頃は職を失っていたかもしれません。あの災害後からは魔力の弱い者でも再生させることができる技術が確立されました」
ローレンスさんに握手された。
「あの……出来れば恥ずかしいので、私が……その……きゅ、救国の乙女であるということは内密にお願いします!」
外で特定されるのも厄介だ。
「わかりました。十分気を付けます」
「……じゃあ、今回は顔合わせだけで、出発は明日になるから……」
「あ、そのことだけど、せっかく来たからには一日観光旅行したいなぁ……なんて」
「……わかった……じゃあ、みんな……明後日出発になるから、よろしくお願い……」
「「「「了解しました!!」」」」
やった! これで一日観光の時間が取れた!
◇
応接室――
「あ、アルトラお帰リ、どうだっタ?」
「うんうん、上々も上々よ! 発電所の約束を取り付けられた」
「ふ~ん……で、観光は出来るのカ?」
あ、発電所は全く興味無いか。子供だしそりゃそうか。
「明日一日取れたよ! どこ行こうか?」
「やっタ! 前来た時は穴だらけで観光どころじゃなかったからナァ~……道とか壁とかには沢山血が付いてたシ……」
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