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第10章 アルトレリアの生活改善編(身分証明を作ろう)
【EX】第260.5話 死神の義体の不具合
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コンコンコン
クリューが肉体を持ってから少し経って……夜の時間帯に我が家を訪問してきた。
「……アルトラ……少々……いえ、大分困ったことが起こってしまいました……」
「どうしたの?」
こんな時間にわざわざ来たってことは、多分肉体の不具合なんだろう。
「……ちょっと言いにくいんですが……この義体、その……小さい方が出せないんですが……」
「小さい方? 何のこと?」
「ですから……」
指で股間辺りを指し示す。
「…………え!? どういうこと!? 何で出ないの!?」
「作成者ではないので、私にはわかりませんけど……何だか……詰まりのようなものがあって全く出ません」
女と男で身体の構造が違うからイメージし切れなかったのかしら? それとも女から男へ変換させたから不具合があった?
仕方ないので一度身体から抜け出てもらって、作り変えるか。もちろん服は着たまま。
でも、私には付いてないから構造がイメージし切れない。
リディアは……アニメ見てるな、よし!
リディアに、カイベルが印刷してるところを見られるのはまずいから外へ出て来てもらおう。
「カイベル! ちょっと外へ」
「はい、どうかしましたか?」
「この紙に男性器の断面図を印刷してもらえる? え~と、実際の生身の断面じゃなくてイラストのやつで良い。保健体育の授業に載ってたようなのをお願い」
カイベルなら生身の断面を印刷するの可能かもしれないけど、生身のモノの断面なんて生々しいかグロいかで見てられないような絵図になるだろうし……
「男性器を? …………そんなもの何に使うのですか?」
何に使うって……そりゃあ……
「………………ハッ!」
……言った後に気付いた……普通にお願いしてしまったけど、私は一体何を頼んでいるのだろう?
傍から見たら立派な痴女発言じゃないのか? 今日の私はおかしい。
「ゴホンッ……別に変なことに使うわけではないよ。クリューの身体に不具合があったらしくて、イメージが不足してたから構造が知りたいの」
多分顔は大分赤くなっているだろうけど、必死に平静を装う。
「ああ、その方が死神の。お初にお目にかかります。いえ、既にお目にかかってはいましたね。主人アルトラの身の回りの世話をさせていただいております、カイベルと申します」
「これはご丁寧に。クリューです。この度この町で暮らしてみることになりました。やはりあなたには私のことが見えていたのですね」
堅っ苦しいな。
「不具合ですか……少々お待ちください少し前の会話のデータを取得します………………ああ、なるほど、そういうことですか。わかりました」
あ、話したこと全部知ってるのかと思ったけど、直前に交わされた会話はまだ知らないのか。
バシュッ!
一瞬で男性器の断面図のイラストが印刷された。
なるほど、こんな構造なのか、女性に比べると尿道が随分長いのね……あ、これが噂の前立腺とかいうやつかな?
一通り見たら、猥褻物は即座に火魔法で焼却。
「じゃあ作り変えるから、義体の外に出てくれる?」
「はい」
あっ、でも確か人間の場合は意識が完全に無いと色んな物垂れ流しなのよね……涎とか鼻水とかも垂れ流しになるって聞いたことがある。
手術で行う全身麻酔とかでもそうらしい。だから手術前にトイレ行って出すものをちゃんと出しておく必要があるって聞いた。
私の創った義体が人間に当たるのか、亜人に当たるのかはわからないけど、構造的には人間と大して変わらないから、人間と同じ反応を起こす可能性は十分にあり得る。
「ちょっと待ってね、説明が必要なことができたかも。あなた義体に入ってからどれくらい我慢してる状態なの?」
『今すぐ出したい程度には……』
やっぱりそうか……それじゃなきゃ困ってここへ来たりしないものね。パンパンになる前に気付いて訪れてくれたなら良かったんだけど……
「あなたが義体の中に入ってない時に、今すぐおしっこ出るように作り変えるとすると、義体に意識が無いから多分盛大に漏らすよ?」
『えっ!? 漏らす!? な、何とかなりませんか!? 私にソックリな義体でそんな無様を晒すわけにはいきません!! 眷属とは言え仮にも神の一族である私が!! じゃあ私が中に入ったまま作り変えることは出来ないんですか?』
「そうすると今度は命=魂が中に入ってる状態になるから出来ないね……創成魔法って脳とかそれに類似する機関がある生物には全く作用しないの」
『創成魔法って、結構制約が多いんですね……』
「予めトイレに座らせておく? 下半身丸出しになっちゃうけど」
私はそれを見ながらやらにゃならんから、出来れば勘弁願いたい……
そんなことになったら、私はどこへ視線を送れば良いのか……股間を治すんだから、直接その部分を直視しなければならないことになる。
『そ、それもちょっと……見た目がソックリなので自分の身体見られるようで恥ずかしいです』
「私が作り変えた瞬間に、義体の中に入って意識を取り戻せば大丈夫かもしれない」
『失敗したら……?』
「それはもちろんジョバァァー……かな? その時はご愁傷様」
とあるネット掲示板では、隠語で『敗戦』って言うらしい。
誰が考えたか知らないが、言い得て妙だ……
「じゃあ準備は良い?」
『ちょ、ちょっと待ってください』
「早くしないともっとパンパンになっちゃうよ? 許容量超えると破裂するって聞いたことがあるよ?」
『に、人間ってそんな構造なんですか!? じゃ、じゃあ早くしないといけないじゃないですか!』
「じゃあ、行くよ? さん! にぃ! いち!」
義体を作り変える。
その瞬間にクリューが義体に入った。
「どう?」
「ちょ、ちょっとお待ちください! 今気を抜いたら漏れそうです! ト、トイレお借りします!」
慌てて我が家のトイレに駆け込んだ。
バタンッ!
「うわっ! なんダ!? トイレ誰か入ったカ? アルトラもカイベルもいるナ……トイレ入ったの誰ダ?」
アニメに集中していたリディアが驚いて振り返って疑問顔。我が家のトイレは私とリディアと便宜上カイベルしか利用しないから、トイレの外に全員いるのを見て、誰が入ったのか本気で混乱しているらしい。
「あ、アニメ見てて大丈夫よ」
◇
「はぁ~……流石に自分ソックリな身体でおもらしするわけにはいきませんからね。助かりました。神界で借りたもの以外の義体に入るのは今回初めてなのでどうしようかと思いましたよ」
何とか敗戦はせずに済んだようだ。
「一応聞いておくけど、大きい方の不具合は?」
「そちらは大丈夫みたいです」
やっぱり男女の違いからイメージし切れなかったのかな?
まあ、とりあえず最大の不具合は事なきを得たようだ。今後も不具合が出たらまた来てもらおう。
クリューが肉体を持ってから少し経って……夜の時間帯に我が家を訪問してきた。
「……アルトラ……少々……いえ、大分困ったことが起こってしまいました……」
「どうしたの?」
こんな時間にわざわざ来たってことは、多分肉体の不具合なんだろう。
「……ちょっと言いにくいんですが……この義体、その……小さい方が出せないんですが……」
「小さい方? 何のこと?」
「ですから……」
指で股間辺りを指し示す。
「…………え!? どういうこと!? 何で出ないの!?」
「作成者ではないので、私にはわかりませんけど……何だか……詰まりのようなものがあって全く出ません」
女と男で身体の構造が違うからイメージし切れなかったのかしら? それとも女から男へ変換させたから不具合があった?
仕方ないので一度身体から抜け出てもらって、作り変えるか。もちろん服は着たまま。
でも、私には付いてないから構造がイメージし切れない。
リディアは……アニメ見てるな、よし!
リディアに、カイベルが印刷してるところを見られるのはまずいから外へ出て来てもらおう。
「カイベル! ちょっと外へ」
「はい、どうかしましたか?」
「この紙に男性器の断面図を印刷してもらえる? え~と、実際の生身の断面じゃなくてイラストのやつで良い。保健体育の授業に載ってたようなのをお願い」
カイベルなら生身の断面を印刷するの可能かもしれないけど、生身のモノの断面なんて生々しいかグロいかで見てられないような絵図になるだろうし……
「男性器を? …………そんなもの何に使うのですか?」
何に使うって……そりゃあ……
「………………ハッ!」
……言った後に気付いた……普通にお願いしてしまったけど、私は一体何を頼んでいるのだろう?
傍から見たら立派な痴女発言じゃないのか? 今日の私はおかしい。
「ゴホンッ……別に変なことに使うわけではないよ。クリューの身体に不具合があったらしくて、イメージが不足してたから構造が知りたいの」
多分顔は大分赤くなっているだろうけど、必死に平静を装う。
「ああ、その方が死神の。お初にお目にかかります。いえ、既にお目にかかってはいましたね。主人アルトラの身の回りの世話をさせていただいております、カイベルと申します」
「これはご丁寧に。クリューです。この度この町で暮らしてみることになりました。やはりあなたには私のことが見えていたのですね」
堅っ苦しいな。
「不具合ですか……少々お待ちください少し前の会話のデータを取得します………………ああ、なるほど、そういうことですか。わかりました」
あ、話したこと全部知ってるのかと思ったけど、直前に交わされた会話はまだ知らないのか。
バシュッ!
一瞬で男性器の断面図のイラストが印刷された。
なるほど、こんな構造なのか、女性に比べると尿道が随分長いのね……あ、これが噂の前立腺とかいうやつかな?
一通り見たら、猥褻物は即座に火魔法で焼却。
「じゃあ作り変えるから、義体の外に出てくれる?」
「はい」
あっ、でも確か人間の場合は意識が完全に無いと色んな物垂れ流しなのよね……涎とか鼻水とかも垂れ流しになるって聞いたことがある。
手術で行う全身麻酔とかでもそうらしい。だから手術前にトイレ行って出すものをちゃんと出しておく必要があるって聞いた。
私の創った義体が人間に当たるのか、亜人に当たるのかはわからないけど、構造的には人間と大して変わらないから、人間と同じ反応を起こす可能性は十分にあり得る。
「ちょっと待ってね、説明が必要なことができたかも。あなた義体に入ってからどれくらい我慢してる状態なの?」
『今すぐ出したい程度には……』
やっぱりそうか……それじゃなきゃ困ってここへ来たりしないものね。パンパンになる前に気付いて訪れてくれたなら良かったんだけど……
「あなたが義体の中に入ってない時に、今すぐおしっこ出るように作り変えるとすると、義体に意識が無いから多分盛大に漏らすよ?」
『えっ!? 漏らす!? な、何とかなりませんか!? 私にソックリな義体でそんな無様を晒すわけにはいきません!! 眷属とは言え仮にも神の一族である私が!! じゃあ私が中に入ったまま作り変えることは出来ないんですか?』
「そうすると今度は命=魂が中に入ってる状態になるから出来ないね……創成魔法って脳とかそれに類似する機関がある生物には全く作用しないの」
『創成魔法って、結構制約が多いんですね……』
「予めトイレに座らせておく? 下半身丸出しになっちゃうけど」
私はそれを見ながらやらにゃならんから、出来れば勘弁願いたい……
そんなことになったら、私はどこへ視線を送れば良いのか……股間を治すんだから、直接その部分を直視しなければならないことになる。
『そ、それもちょっと……見た目がソックリなので自分の身体見られるようで恥ずかしいです』
「私が作り変えた瞬間に、義体の中に入って意識を取り戻せば大丈夫かもしれない」
『失敗したら……?』
「それはもちろんジョバァァー……かな? その時はご愁傷様」
とあるネット掲示板では、隠語で『敗戦』って言うらしい。
誰が考えたか知らないが、言い得て妙だ……
「じゃあ準備は良い?」
『ちょ、ちょっと待ってください』
「早くしないともっとパンパンになっちゃうよ? 許容量超えると破裂するって聞いたことがあるよ?」
『に、人間ってそんな構造なんですか!? じゃ、じゃあ早くしないといけないじゃないですか!』
「じゃあ、行くよ? さん! にぃ! いち!」
義体を作り変える。
その瞬間にクリューが義体に入った。
「どう?」
「ちょ、ちょっとお待ちください! 今気を抜いたら漏れそうです! ト、トイレお借りします!」
慌てて我が家のトイレに駆け込んだ。
バタンッ!
「うわっ! なんダ!? トイレ誰か入ったカ? アルトラもカイベルもいるナ……トイレ入ったの誰ダ?」
アニメに集中していたリディアが驚いて振り返って疑問顔。我が家のトイレは私とリディアと便宜上カイベルしか利用しないから、トイレの外に全員いるのを見て、誰が入ったのか本気で混乱しているらしい。
「あ、アニメ見てて大丈夫よ」
◇
「はぁ~……流石に自分ソックリな身体でおもらしするわけにはいきませんからね。助かりました。神界で借りたもの以外の義体に入るのは今回初めてなのでどうしようかと思いましたよ」
何とか敗戦はせずに済んだようだ。
「一応聞いておくけど、大きい方の不具合は?」
「そちらは大丈夫みたいです」
やっぱり男女の違いからイメージし切れなかったのかな?
まあ、とりあえず最大の不具合は事なきを得たようだ。今後も不具合が出たらまた来てもらおう。
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