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第9章 七大国会談編
第235話 風の国との奇妙な繋がり
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七大国会談終了後――
疲れた~~……
と感じるのも束の間、フレアハルトから不満噴出。
「アルトラ! あの寒さが四、五ヶ月続くなど聞いておらぬぞ!!」
「いや、四、五ヶ月続く“かも”だから」
「どちらにしても続くのだろ!? 我らにとっては一ヶ月すら長い! 何とかしてくれ! 我らでは寒すぎて居られん! 燃える木を作ったお主なら可能だろう!?」
「う~ん……上手く調整できるかどうか……」
「アルトラ、よく聞け! このままだと我ら、月一集会でお主の話を聞いてる間に…………立ったまま凍死してるかもしれぬぞ?」
「そんな大袈裟な……」
「大袈裟かもしれぬが、とにかく寒いから何とかしてくれ!」
「わ……わかったよ、何か考える……」
◇
「よう、アルトラとやら」
レヴィ、アスモと宿泊予定のホテルへ行こうと合流する直前、ルシファーに声をかけられた。
もう帰ったんじゃなかったのか!?
この人とはなるべく近付きたくないと思ってたのに……
カイベルとフレアハルトが警戒してルシファーの前に立ち塞がる。
「な、何の用だ。中立地帯の開放は七大国会談の議場で決まったことなのだ、異論はあるまい!」
「まあ、そう警戒するな。中立地帯開放に賛成されたからと言って危害を加えるつもりはない」
じゃあ、何をしに来たんだ……?
「俺は地獄などどうでも良いが、魔界に降ってわいたように突然台頭してきたお前に興味が湧いた。一般の亜人が水の国の魔王の推薦を受けるなどただごとじゃねえ。レヴィアタンは伏せていたが、太陽を作ったのはお前なんだろ? このタイミングで中立地帯からの提議など、どう考えても不自然だ」
鋭いな……いや、魔王全員が不信がってたしこう考えるのが自然か。
ここはすっとぼけておこう。追及されても知らぬ存ぜぬを貫き通す!
「太陽を作った……ですか……? さて、わたくしには何のことかわからないのですが……あんなものを作れる亜人が存在するのですか? 作った人がいるなら是非ともお会いしてみたいです!」
魔王を欺かないといけないんだぞ! 我ながら大根役者にも程がある……
これじゃ追及を逃れられるはずは――
「…………それもそうだな、魔王ですら不可能なのに、一介の亜人がそんなこと出来るはずがないな。邪魔したようだな。ではまたいずれ」
なっ!? 急激な方向転換!? まさか、あれで納得したのか……? 再度追及もせずに?
あまりにもあっさり手を引いたので、逆に不気味としか感じなかった……
ルシファーについては、何を考えてるのか予測が付かなくて、さっきから何だか気味の悪さしか感じない……
まあ……いずれにせよ『私が作った』という事実だけは知られずに済んだ。
そんなことを考えていると――
ゲッ……!
今度はサタナエルとすれ違ってしまった……
「私は認めぬぞ……」
すれ違いざまに眼光鋭く捨て台詞を吐かれた……
目ぇ、恐ぁぁっ!! これが目で殺すってやつか!
この人からは大分顰蹙を買ってしまったみたいだ……
とは言え、他の魔王と魔王代理からは認められたから、当初の予定であった『他国との交流』という部分は七、八割は達成できたわけだ。とりあえずは上々の結果というところか……
私は七つの大罪ってわけでもないから、七大国会談には今後滅多なことでは出席することは無いだろうし、もう彼と会う可能性もかなり低いでしょう。
後で聞いた話によると、サタナエルはあの後すぐさま自分の国に帰ったらしい。あの氷の国属国の提議の後だったため、戦争に発展する可能性を危惧して早々に帰る必要があったというところか。
つまりは……反対表明だけをしに私と顔を合わせたってことらしい……わざわざ一言言うためだけに残ってるとは……それだけに中立地帯の開放ってのは大変なことなのかもしれない。
サタナエルとすれ違った後――
◇
今度は風の国一行に遭遇。
その内の女性護衛に突然飛びつかれた。
「あ! いたいた! ベルゼビュート様ぁぁ!!」
「うわ! ティナリス!?」
今飛びつかれて思い出した!
そうだ! この子は『ティナリス』だ!
さっきアスタロトと話してた女性護衛の『ティ〇〇ス』というのは『ティナリス』という名前だと思い出した。
「覚えておいででしたか!?」
「私のところに飛び込んでくるのはあなたくらいしかいないからね」
あれ? 何で私はティナリスのことわかったのかしら?
彼女とは初対面のはずなのに。
もしかして飛び込んで来られたから、そのショックで前々世の記憶が戻りつつある?
朧げに思い出した記憶によると、
この子は『ティナリス』、高位種族・ルフと呼ばれる巨大な怪鳥で、別名:ロック鳥と呼ばれる。精霊ジンや精霊イフリートを使役することができる。
確か何かが遭って私のところに来たんだと思うけど、そこまでは思い出せない。
生まれたばかりの雛鳥の頃は一メートルくらいで両手に収まるくらいの大きさだったが、あっという間に大きくなり、私が記憶してる限りでは五から六メートルの岩と同じくらいの大きさになっていたってくらいは思い出した。
そのため飛び込んで来られると下敷きにされることも多かった。雛鳥で羽毛量が多かったから、下敷きにされてもモフっと埋まる感じだったけど。
あれから約三十年経ってるけど……ルフ形態はどれほどの大きさになってるのか……
地球の幻想生物が書かれた書物によると、象がネズミに見えるほどの大きさって話だけど……ホントにそうなら今現在何メートルまで成長してるのかしら? ……流石に三十年でそこまで大きく育ってるとは思えないけど……
元の姿では大きすぎるため、今日は人型でここへ来たみたいだ。
「私の記憶の中にあるあなたはもっとちっちゃかったけど、随分大人の女性になったね、何で私のところに?」
「レヴィアタン様からベルゼビュート様が転生されてきたという話を聞き及んでおりました。まさか七大国会談に来られているとは……それにしても、ベルゼビュート様は随分ちっちゃくなってしまわれましたね……以前はもっと背が高くてボインでしたのに」
そうなのか……? 前々世の姿なんか覚えてないから全くわからん。ショックで思い出したのはどうやらこの子のことだけらしい。
残念ながら現在の私にそのボイン要素は無い。
でも貧乳でも良いんだ! 貧乳はステータスだ! 希少価値だ!
疲れた~~……
と感じるのも束の間、フレアハルトから不満噴出。
「アルトラ! あの寒さが四、五ヶ月続くなど聞いておらぬぞ!!」
「いや、四、五ヶ月続く“かも”だから」
「どちらにしても続くのだろ!? 我らにとっては一ヶ月すら長い! 何とかしてくれ! 我らでは寒すぎて居られん! 燃える木を作ったお主なら可能だろう!?」
「う~ん……上手く調整できるかどうか……」
「アルトラ、よく聞け! このままだと我ら、月一集会でお主の話を聞いてる間に…………立ったまま凍死してるかもしれぬぞ?」
「そんな大袈裟な……」
「大袈裟かもしれぬが、とにかく寒いから何とかしてくれ!」
「わ……わかったよ、何か考える……」
◇
「よう、アルトラとやら」
レヴィ、アスモと宿泊予定のホテルへ行こうと合流する直前、ルシファーに声をかけられた。
もう帰ったんじゃなかったのか!?
この人とはなるべく近付きたくないと思ってたのに……
カイベルとフレアハルトが警戒してルシファーの前に立ち塞がる。
「な、何の用だ。中立地帯の開放は七大国会談の議場で決まったことなのだ、異論はあるまい!」
「まあ、そう警戒するな。中立地帯開放に賛成されたからと言って危害を加えるつもりはない」
じゃあ、何をしに来たんだ……?
「俺は地獄などどうでも良いが、魔界に降ってわいたように突然台頭してきたお前に興味が湧いた。一般の亜人が水の国の魔王の推薦を受けるなどただごとじゃねえ。レヴィアタンは伏せていたが、太陽を作ったのはお前なんだろ? このタイミングで中立地帯からの提議など、どう考えても不自然だ」
鋭いな……いや、魔王全員が不信がってたしこう考えるのが自然か。
ここはすっとぼけておこう。追及されても知らぬ存ぜぬを貫き通す!
「太陽を作った……ですか……? さて、わたくしには何のことかわからないのですが……あんなものを作れる亜人が存在するのですか? 作った人がいるなら是非ともお会いしてみたいです!」
魔王を欺かないといけないんだぞ! 我ながら大根役者にも程がある……
これじゃ追及を逃れられるはずは――
「…………それもそうだな、魔王ですら不可能なのに、一介の亜人がそんなこと出来るはずがないな。邪魔したようだな。ではまたいずれ」
なっ!? 急激な方向転換!? まさか、あれで納得したのか……? 再度追及もせずに?
あまりにもあっさり手を引いたので、逆に不気味としか感じなかった……
ルシファーについては、何を考えてるのか予測が付かなくて、さっきから何だか気味の悪さしか感じない……
まあ……いずれにせよ『私が作った』という事実だけは知られずに済んだ。
そんなことを考えていると――
ゲッ……!
今度はサタナエルとすれ違ってしまった……
「私は認めぬぞ……」
すれ違いざまに眼光鋭く捨て台詞を吐かれた……
目ぇ、恐ぁぁっ!! これが目で殺すってやつか!
この人からは大分顰蹙を買ってしまったみたいだ……
とは言え、他の魔王と魔王代理からは認められたから、当初の予定であった『他国との交流』という部分は七、八割は達成できたわけだ。とりあえずは上々の結果というところか……
私は七つの大罪ってわけでもないから、七大国会談には今後滅多なことでは出席することは無いだろうし、もう彼と会う可能性もかなり低いでしょう。
後で聞いた話によると、サタナエルはあの後すぐさま自分の国に帰ったらしい。あの氷の国属国の提議の後だったため、戦争に発展する可能性を危惧して早々に帰る必要があったというところか。
つまりは……反対表明だけをしに私と顔を合わせたってことらしい……わざわざ一言言うためだけに残ってるとは……それだけに中立地帯の開放ってのは大変なことなのかもしれない。
サタナエルとすれ違った後――
◇
今度は風の国一行に遭遇。
その内の女性護衛に突然飛びつかれた。
「あ! いたいた! ベルゼビュート様ぁぁ!!」
「うわ! ティナリス!?」
今飛びつかれて思い出した!
そうだ! この子は『ティナリス』だ!
さっきアスタロトと話してた女性護衛の『ティ〇〇ス』というのは『ティナリス』という名前だと思い出した。
「覚えておいででしたか!?」
「私のところに飛び込んでくるのはあなたくらいしかいないからね」
あれ? 何で私はティナリスのことわかったのかしら?
彼女とは初対面のはずなのに。
もしかして飛び込んで来られたから、そのショックで前々世の記憶が戻りつつある?
朧げに思い出した記憶によると、
この子は『ティナリス』、高位種族・ルフと呼ばれる巨大な怪鳥で、別名:ロック鳥と呼ばれる。精霊ジンや精霊イフリートを使役することができる。
確か何かが遭って私のところに来たんだと思うけど、そこまでは思い出せない。
生まれたばかりの雛鳥の頃は一メートルくらいで両手に収まるくらいの大きさだったが、あっという間に大きくなり、私が記憶してる限りでは五から六メートルの岩と同じくらいの大きさになっていたってくらいは思い出した。
そのため飛び込んで来られると下敷きにされることも多かった。雛鳥で羽毛量が多かったから、下敷きにされてもモフっと埋まる感じだったけど。
あれから約三十年経ってるけど……ルフ形態はどれほどの大きさになってるのか……
地球の幻想生物が書かれた書物によると、象がネズミに見えるほどの大きさって話だけど……ホントにそうなら今現在何メートルまで成長してるのかしら? ……流石に三十年でそこまで大きく育ってるとは思えないけど……
元の姿では大きすぎるため、今日は人型でここへ来たみたいだ。
「私の記憶の中にあるあなたはもっとちっちゃかったけど、随分大人の女性になったね、何で私のところに?」
「レヴィアタン様からベルゼビュート様が転生されてきたという話を聞き及んでおりました。まさか七大国会談に来られているとは……それにしても、ベルゼビュート様は随分ちっちゃくなってしまわれましたね……以前はもっと背が高くてボインでしたのに」
そうなのか……? 前々世の姿なんか覚えてないから全くわからん。ショックで思い出したのはどうやらこの子のことだけらしい。
残念ながら現在の私にそのボイン要素は無い。
でも貧乳でも良いんだ! 貧乳はステータスだ! 希少価値だ!
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