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第9章 七大国会談編
第232話 中立地帯の提議の時間 その3
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「その者が地獄を軍事利用しないと、どうして言い切れるのだ!」
急にこちらに矛先が向いた!
えっ!? 私!? ないない! そんなこと絶対せんよ! 私はできる限り穏やかに暮らしたいから。
「……彼女はそんなことしない……そんな裏を考えるような人じゃない……」
「そうですよ! それどころか何も無かった不毛の地を水と緑溢れる活気ある地へと作り変えたほどですから」
「なんだと……!? あの草木も生えぬ不毛の地が!? 今そのような状態になっておるのか!?」
「部下でも何でも使って確認してみたらどうですか? それに何千年もの間軍事利用しようとしても出来なかった場所が、本当に軍事利用可能なのですか?」
「それは他の六大国が牽制しておったからだ!」
今のセリフって、『私は軍事利用したいけど他の六大国が牽制しているからできないんですよ』って言ってるようなもんだと思うけど……
「わたくしは……あの場所の軍事利用など到底不可能だと思っています。地獄が出来て何万年、何十万年もの永き間、亡者が溢れることなく管理されているような場所を、我々のような地獄の外側にいる魔王ごときの力で統制できるとは思えません。そもそも我々生者は地獄には入れないのにどうやって地獄の亡者を利用するのですか?」
レヴィは気付いてるのか気付いてないのかわからないが、生者が地獄に入れないとしても、亡者自身が大量に地獄から保釈される日が少なくとも年に二回ある (※)。
(※亡者が保釈される日:作中ではお盆とハロウィンの二回)
あの日に何とかして亡者を大量に自陣営に組み込む方法があるのであれば、死者の軍団を作ることは不可能ではなのかもしれない。
まあ……地獄の門付近で生活してないと、その光景を見ることはないから、レヴィもサタナエルもそんな亡者が大量に保釈される日があることを知っているとは思えないけど……
「それは貴様が知るところではない!」
「……仮に……軍事利用可能だとしても、我々がそうさせません」
「私がするのではない。される可能性があることを危惧しておるのだ! 聞けばその者は亡者であるという話ではないか。地獄との接触が図れる言わば鍵とも呼べるものが近くに居るのが最も危険なことではないのか!? 軍事利用の可能性がある限り、あの場所を開放すべきではないし、その者を即刻地獄の門前から叩き出すべきだ!」
「失礼ながら発言をお許しください」
カイベルが、レヴィとサタナエルの口論に口を挟んだ。
「我が主アルトラは、既に一年近く地獄の門前に居を構えておりますが、地獄に入ってどうこうしようという素振りを見せたことはただの一度としてありません。わたくしどもは常に平穏に日々を過ごすことを望んでおります。我が主から争いの火種を撒くことなど絶対に有り得ません!」
おお……流石私のカイベル……毅然とした態度でサタナエルに反論してくれた。
「わ、我……いや、私からも発言させてもらおう。アルトラは住み良くしようとして失敗することはあっても、争いを好むような女ではない! 今後地獄を争いに利用することなど無いと断言できる!」
フレアハルトがブルブルと震えながらも、私を援護する主張をしてくれた。
以前、『レヴィアタンがドラゴンの極地である』という話をしていた。 (第58話参照)
そのレヴィと同格であるサタナエルに向かって反論するのだ、その恐怖も計り知れないものがあるだろうに、よくぞ反論してくれた。
「お付きは黙っていろ!!」
「我が友が無用な誹を受けておるのだ! 黙っていることなどできるか!!」
サタナエルとフレアハルトが一触即発。両者ともに魔力がほとばしる。
しかし、魔王だけあってサタナエルの方が圧倒的に強く、部屋が再び徐々に凍りついていく。
今にも攻撃が来そうだ。役に立つかわからないけど防御魔法くらい張っておいた方が良いか……?
「おやめください! サタナエル様! 再三言っておりますが、ご自分が命を落としますよ!?」
「……ぬぅ……おのれ……お付き風情が図に乗りおって……!」
カイムが二人をなだめてくれ、なんとか一触即発の空気は解除される。
そして、再びレヴィが話し出す。
「だとすれば、アルトラ殿を叩き出すところ以外は我々と意見は同じですので、今後軍事利用されることは無いと思います。お喜びください。あなたは地獄について何か考えるよりも、まずは第十一提議であったご自分の国の内戦に発展しそうな問題を心配した方がよろしいのではないですか?」
「ぐぬぬ……」
レヴィ……めっちゃ煽るやん……
サタナエルは本当に軍事利用を危惧しているのか、それとも自分が今後軍事利用出来なくなる可能性を潰されて面白くないと思っているのか。口ぶりから後者の可能性が高いが、いずれにせよ数千年膠着状態が続いている土地を、別の国の目を盗んで一つの国による支配をしようなど到底不可能に思える……
「アスタロト! トライア! そなたたちはどう思っておるのだ!」
アスタロトが眼鏡をクイっと持ち上げた後にしゃべりだす。
「私は現時点では賛成の意向です。緑豊かになってそれほど発展しているというのなら、各国が軍事利用などする気が起こらぬように積極的にコミュニケーションを取るのも一つの手ではあるかと。何より今までのように腫れ物のような扱いで、触れることもせず、ただ放置された土地という状態に比べれば、よほど健全な状態になるのではないかと思います」
「私も賛成で~す! 緑豊かになったと聞いて、俄然興味が湧きました!」
先程と違って口調が違う。樹の魔王代理だけあり、死の大地から緑豊かになった場所には興味惹かれるものがあるらしい。
そこへ司会進行役のカイムさんが割って入る。
「では、中立地帯の開放に賛成の方が多数なようなので、中立地帯を開放する方向で話を進めようと思います」
「バカな! 数千年だぞ! 数千年中立を守った土地を、こんな小娘に任せて開放するだと! ふざけるな!」
指さされてめっちゃ否定された……
「サタナエル様、これは会談出席者の三分の二以上が認めたことですので……」
「三分の二だと!?」
他の魔王と魔王代理を鋭く睥睨(※)し――
(※睥睨:威圧するように周囲を睨みつけること)
「魔王以外が混じったこやつらを含めて三分の二だと!? そんなこと認められるか!」
『憤怒』の大罪というだけあって、よく怒る……
「ですが……繰り返しになりますが、この七大国会談のルールブックには『魔王代理の言動は魔王の発した言葉と同義』との取り決めもありますので……では、中立地帯に駐在する人物を置いて監視されるというのはいかがでしょうか?」
「それは良いですね! 双方監視可能ですし」
トライアが手を叩いて賛成の意を示す。
え゛!? 駐在員置くの!? 大使館的な!? そんな勝手に……
よくよく考えると……自由交流にすると負担が増えるのは……中立地帯で領主やってる私……か?
「ルシファー殿! お主はどう思っておるのだ!?」
「俺か? そうだな……確かに地獄近辺の支配を他人に任せるのは面白くは無いが……アルトラ殿が管理するのは俺には…… (むしろ好都合だ)……」
「何だ!?」
「いや、何でもない。まあ仕方がないのではないか? 七人中五人が賛成ではな。魔王代理を除いたとて、三人が賛成、反対は二人だけだ。いずれにせよ我々反対派に勝ち目は無い」
ルシファーの言動を聞く限り、五人が賛成してくれて、一人が反対、一人は反対寄りの中立ってとこか。
ルシファーって、ホントに『傲慢』の大罪なのか?
レヴィからは、国民が土下座しないだけで、首斬られるって噂を聞いてたのに、聞いてた人物像と随分違う。
自分の所属している反対派が劣勢なのに、怒ることもなくこの態度。聞き分けが良過ぎて逆に不気味だ……
一方では火の国属国の提議の時とも態度が全く異なる。あの時は有無も言わさず却下していたのに……
いずれにせよこの人を信用するのはよしておいた方が良さそうだ。
「では、ある程度お考えがまとまりつつあるので、最終投票に移りたいと思います。了承される方は挙手をお願いします」
最終投票に移るも、議論前と考えが変わった者はおらず五人対二人だった。
「五人が賛成ということで、ここ以降、中立地帯の自由交流を認めます。では、今後の中立地帯その対応についてこれから話し合うことにしましょう」
司会進行役がそう呼びかけるも――
「私は了承しかねるので、もうこの場で失礼する。勝手に決めると良い。ただし……その後どうなるかは知らぬがな?」
「じゃあ、俺も退出させてもらおうかな。開放するもしないも、正直どうでも良いんでな、あとは好きにしてくれ」
サタナエルとルシファーが席を立ち、会談場を後にした。
サタナエルが最後不吉な一言を残して行ったのが気になるが……
「あらら……二人の魔王様が出て行かれてしまいましたね……」
こうして、火の国、氷の国の了承を得られぬまま、二人の魔王とその護衛四人は退室してしまった。
急にこちらに矛先が向いた!
えっ!? 私!? ないない! そんなこと絶対せんよ! 私はできる限り穏やかに暮らしたいから。
「……彼女はそんなことしない……そんな裏を考えるような人じゃない……」
「そうですよ! それどころか何も無かった不毛の地を水と緑溢れる活気ある地へと作り変えたほどですから」
「なんだと……!? あの草木も生えぬ不毛の地が!? 今そのような状態になっておるのか!?」
「部下でも何でも使って確認してみたらどうですか? それに何千年もの間軍事利用しようとしても出来なかった場所が、本当に軍事利用可能なのですか?」
「それは他の六大国が牽制しておったからだ!」
今のセリフって、『私は軍事利用したいけど他の六大国が牽制しているからできないんですよ』って言ってるようなもんだと思うけど……
「わたくしは……あの場所の軍事利用など到底不可能だと思っています。地獄が出来て何万年、何十万年もの永き間、亡者が溢れることなく管理されているような場所を、我々のような地獄の外側にいる魔王ごときの力で統制できるとは思えません。そもそも我々生者は地獄には入れないのにどうやって地獄の亡者を利用するのですか?」
レヴィは気付いてるのか気付いてないのかわからないが、生者が地獄に入れないとしても、亡者自身が大量に地獄から保釈される日が少なくとも年に二回ある (※)。
(※亡者が保釈される日:作中ではお盆とハロウィンの二回)
あの日に何とかして亡者を大量に自陣営に組み込む方法があるのであれば、死者の軍団を作ることは不可能ではなのかもしれない。
まあ……地獄の門付近で生活してないと、その光景を見ることはないから、レヴィもサタナエルもそんな亡者が大量に保釈される日があることを知っているとは思えないけど……
「それは貴様が知るところではない!」
「……仮に……軍事利用可能だとしても、我々がそうさせません」
「私がするのではない。される可能性があることを危惧しておるのだ! 聞けばその者は亡者であるという話ではないか。地獄との接触が図れる言わば鍵とも呼べるものが近くに居るのが最も危険なことではないのか!? 軍事利用の可能性がある限り、あの場所を開放すべきではないし、その者を即刻地獄の門前から叩き出すべきだ!」
「失礼ながら発言をお許しください」
カイベルが、レヴィとサタナエルの口論に口を挟んだ。
「我が主アルトラは、既に一年近く地獄の門前に居を構えておりますが、地獄に入ってどうこうしようという素振りを見せたことはただの一度としてありません。わたくしどもは常に平穏に日々を過ごすことを望んでおります。我が主から争いの火種を撒くことなど絶対に有り得ません!」
おお……流石私のカイベル……毅然とした態度でサタナエルに反論してくれた。
「わ、我……いや、私からも発言させてもらおう。アルトラは住み良くしようとして失敗することはあっても、争いを好むような女ではない! 今後地獄を争いに利用することなど無いと断言できる!」
フレアハルトがブルブルと震えながらも、私を援護する主張をしてくれた。
以前、『レヴィアタンがドラゴンの極地である』という話をしていた。 (第58話参照)
そのレヴィと同格であるサタナエルに向かって反論するのだ、その恐怖も計り知れないものがあるだろうに、よくぞ反論してくれた。
「お付きは黙っていろ!!」
「我が友が無用な誹を受けておるのだ! 黙っていることなどできるか!!」
サタナエルとフレアハルトが一触即発。両者ともに魔力がほとばしる。
しかし、魔王だけあってサタナエルの方が圧倒的に強く、部屋が再び徐々に凍りついていく。
今にも攻撃が来そうだ。役に立つかわからないけど防御魔法くらい張っておいた方が良いか……?
「おやめください! サタナエル様! 再三言っておりますが、ご自分が命を落としますよ!?」
「……ぬぅ……おのれ……お付き風情が図に乗りおって……!」
カイムが二人をなだめてくれ、なんとか一触即発の空気は解除される。
そして、再びレヴィが話し出す。
「だとすれば、アルトラ殿を叩き出すところ以外は我々と意見は同じですので、今後軍事利用されることは無いと思います。お喜びください。あなたは地獄について何か考えるよりも、まずは第十一提議であったご自分の国の内戦に発展しそうな問題を心配した方がよろしいのではないですか?」
「ぐぬぬ……」
レヴィ……めっちゃ煽るやん……
サタナエルは本当に軍事利用を危惧しているのか、それとも自分が今後軍事利用出来なくなる可能性を潰されて面白くないと思っているのか。口ぶりから後者の可能性が高いが、いずれにせよ数千年膠着状態が続いている土地を、別の国の目を盗んで一つの国による支配をしようなど到底不可能に思える……
「アスタロト! トライア! そなたたちはどう思っておるのだ!」
アスタロトが眼鏡をクイっと持ち上げた後にしゃべりだす。
「私は現時点では賛成の意向です。緑豊かになってそれほど発展しているというのなら、各国が軍事利用などする気が起こらぬように積極的にコミュニケーションを取るのも一つの手ではあるかと。何より今までのように腫れ物のような扱いで、触れることもせず、ただ放置された土地という状態に比べれば、よほど健全な状態になるのではないかと思います」
「私も賛成で~す! 緑豊かになったと聞いて、俄然興味が湧きました!」
先程と違って口調が違う。樹の魔王代理だけあり、死の大地から緑豊かになった場所には興味惹かれるものがあるらしい。
そこへ司会進行役のカイムさんが割って入る。
「では、中立地帯の開放に賛成の方が多数なようなので、中立地帯を開放する方向で話を進めようと思います」
「バカな! 数千年だぞ! 数千年中立を守った土地を、こんな小娘に任せて開放するだと! ふざけるな!」
指さされてめっちゃ否定された……
「サタナエル様、これは会談出席者の三分の二以上が認めたことですので……」
「三分の二だと!?」
他の魔王と魔王代理を鋭く睥睨(※)し――
(※睥睨:威圧するように周囲を睨みつけること)
「魔王以外が混じったこやつらを含めて三分の二だと!? そんなこと認められるか!」
『憤怒』の大罪というだけあって、よく怒る……
「ですが……繰り返しになりますが、この七大国会談のルールブックには『魔王代理の言動は魔王の発した言葉と同義』との取り決めもありますので……では、中立地帯に駐在する人物を置いて監視されるというのはいかがでしょうか?」
「それは良いですね! 双方監視可能ですし」
トライアが手を叩いて賛成の意を示す。
え゛!? 駐在員置くの!? 大使館的な!? そんな勝手に……
よくよく考えると……自由交流にすると負担が増えるのは……中立地帯で領主やってる私……か?
「ルシファー殿! お主はどう思っておるのだ!?」
「俺か? そうだな……確かに地獄近辺の支配を他人に任せるのは面白くは無いが……アルトラ殿が管理するのは俺には…… (むしろ好都合だ)……」
「何だ!?」
「いや、何でもない。まあ仕方がないのではないか? 七人中五人が賛成ではな。魔王代理を除いたとて、三人が賛成、反対は二人だけだ。いずれにせよ我々反対派に勝ち目は無い」
ルシファーの言動を聞く限り、五人が賛成してくれて、一人が反対、一人は反対寄りの中立ってとこか。
ルシファーって、ホントに『傲慢』の大罪なのか?
レヴィからは、国民が土下座しないだけで、首斬られるって噂を聞いてたのに、聞いてた人物像と随分違う。
自分の所属している反対派が劣勢なのに、怒ることもなくこの態度。聞き分けが良過ぎて逆に不気味だ……
一方では火の国属国の提議の時とも態度が全く異なる。あの時は有無も言わさず却下していたのに……
いずれにせよこの人を信用するのはよしておいた方が良さそうだ。
「では、ある程度お考えがまとまりつつあるので、最終投票に移りたいと思います。了承される方は挙手をお願いします」
最終投票に移るも、議論前と考えが変わった者はおらず五人対二人だった。
「五人が賛成ということで、ここ以降、中立地帯の自由交流を認めます。では、今後の中立地帯その対応についてこれから話し合うことにしましょう」
司会進行役がそう呼びかけるも――
「私は了承しかねるので、もうこの場で失礼する。勝手に決めると良い。ただし……その後どうなるかは知らぬがな?」
「じゃあ、俺も退出させてもらおうかな。開放するもしないも、正直どうでも良いんでな、あとは好きにしてくれ」
サタナエルとルシファーが席を立ち、会談場を後にした。
サタナエルが最後不吉な一言を残して行ったのが気になるが……
「あらら……二人の魔王様が出て行かれてしまいましたね……」
こうして、火の国、氷の国の了承を得られぬまま、二人の魔王とその護衛四人は退室してしまった。
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