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第8章 通貨制度構築編
第214話 通貨制度開始直後はトラブルだらけ その1
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最近、生態調査組改め生態調査部の活動により、食用のための生物が繁殖のため、町の一角で飼われ始めた。
具体的には二角ウサギ。これの美味しさが徐々に広まったらしく、集めて飼い始めた。大人しく飼育し易い。ツノは今までは使い道が無いとされ、食べる時には廃棄されていたが、最近になってこれが軟骨であることが判明。煮込むとコリコリして美味しいということで、「今まで何でこれを廃棄していたたんだ!」と嘆きの声が聞こえたとかなんとか。
次にピビッグ。これを小さくしたようなやつが最近発見された。
豚+小さいを足して『ピスモル』と名付けられた。
ピビッグが体高二メートルくらいに対して、ピスモルは地球にいる豚と大して変わらない大きさ。でもまあ総じて『豚』と呼ばれるんだけどね……
そんな話はさて置き、豚肉やウサギ肉が食卓に並ぶのも遠い話ではなくなったかもしれない。
次に、最近になって『箱』文化が急速に発展してきた。
リーヴァントたちを旅行に行かせた辺りから、持ち運ぶのに便利ということで木箱が作られるようになり、ここに来てそれら箱を作る仕事が生まれた。
それに追随するように、ドワーフさん監修で紙工場にて段ボールが生産されるようになり、木箱作る人たちは廃れた。
かに見えたが、その後は棚やタンスなどを作る方向へ移行し、現在も仕事として成り立っている。
箱文化発展と時を同じくして、運ぶのに便利だからとリヤカーが作られた。ただしタイヤは木のタイヤ。そのため衝撃を吸収する素材が無く、凸凹の地面は通行するのに少々難儀している。あと、タイル状になってきた町の道が傷む原因にもなっている。早いとこゴムのタイヤを作らないと、地面が傷だらけになってしまう。
それと、誰かが捕まえて来たのか、六本脚がある馬 (※)がリヤカーを引いているのを目撃した。
(※六本脚の馬:第31話に少しだけ登場)
この町で馬なんて初めて見たから追跡してみたところ、その馬力を利用した運送業が始まったらしい。
突っ込んで話を聞いてみたところ、捕まえたのは寒くなる前だったそうで、まだ大人に差し掛かりの馬を六人がかりで捕まえたものの暴れて手が付けられないため、フレアハルトが魔力を増大させて脅して大人しくしたとか。ドラゴンに睨まれたら流石に暴れ馬でも大人しくなるか……
その後は餌付けして徐々に大人しくなって扱いやすくなっていったらしい。リヤカーに乗せた物資程度の量なら苦も無く運べるとのこと。
今後は、この馬を利用した馬車などが出来、この町の中を走る交通手段の一つになるかもしれない。
現状、空間魔法を使える私以外の亜人は基本的に歩いて移動しなければならないため、馬車が出来ることになれば移動時間も短縮されるようになる。
今日のフレアハルト? 多分家のコタツでお籠り状態なんじゃないかな? 彼らは寒い時には全くの役立たずになってしまうから、こちらも何とかしないといけないわね……
◇
店が乱立するようになったこの状況でも、商店街などというものはまだ出来ていない。それは今後発展に次いで徐々に形成されていくのだろう。
今は民家の中にポツンと一件店があるような状態のところが多い。
ただ……これは私たち役所組にとっては悲報となる。
必然的に指導が大変になるからだ。店舗がまとまっていないから、チェックするのに町の隅々まで足を運ばなければならない。
リーヴァントと副リーダー四人と私、それとカイベル、あと商品価値が分かっているリナさんとヤポーニャさんにも手伝ってもらって手分けして、各店舗を見回る。
リーヴァントと副リーダー四人には、仮通貨制度開始の一週間でおおよその販売基準を叩き込んだ。
日常消費されるものとよく食べられる物はある程度安く、長く使えるものとあまり見かけない珍しい食べ物、大きめの食べ物はそれなりに高めに、建築関係に関しては私とカイベルがという具合で。
とは言え、私自身の基準は人間界のものだし、私はそもそも売買の専門家じゃない。むしろ間違っている可能性の方が高いから、多分開始して間もなくどこかで綻びが生じる可能性が高いと思う。
今回、主にレッドトロルが住んでいる第二地区にはまだ商売という商売が出来ていないため、ジュゼルマリオの出番は無し。今回は役所でお留守番だ。
第二地区は後々商店などが建ち次第ということになりそうだ。と言うよりまだ第二地区を任せて日も浅いからもう少し経験を積んでもらわないとダメね。
第一地区で学んだものを第二地区で活用して仕事として発展させるという形態になりそうだ。
◇
見回りしたとある飲食店にて――
ランチセット三千イェン……高い……でもこれは、小麦がまだあまり無いことを考えると、これでもまだ安い気も……でも多分これじゃ頼む人いないわね……
「アルトラ様、どうですか?」
「う~ん……大分高いね……でも……原料の希少性を考えたら適正か……私としては千イェン以下を推したいところだけど……」
「千イェン以下なんてとんでもない! そんな額にしたら原価の方が高くなってしまいます!」
ああ……恐れていた事態……
今までは飲食店が食堂ほぼ一択しか無かった上に、お金で支払われてるわけじゃなかったから、私がアクアリヴィアで購入してきて、卸すだけで成り立ってたけど、飲食店が乱立するようになると、流石に立ち行かなくなってきた……
私の所持している外貨についても、ヘパイトスさんに川工事の料金を払ったから、もう手持ちで大体四百万エレノル、あとフレアハルトのお父さんに貰った未換金の金銀財宝くらいしかない。
フィンツさんに通貨製造の料金を支払わないといけないから、数日後にはここから二千万が無くなることが確定している。頻繁に米や麦を買ってくるというのも簡単なことではなくなってきた、無駄遣いはできない。
これは米と小麦の生産が急務ね!
川と一緒に田んぼを作れる環境になったし、田んぼを作って生産性を上げよう! ちょうど農家も激増したところだから誰かやりたい人がいるかもしれない。
ただ……今寒い時期だから生産に適さない……さて、どうしようか。
「ご飯やパンとして提供したいなら、小さくするか、少量にして対応してみて。その分を別の食材で補うとか」
「でも、味があるものを食べるのに、ご飯とかパンとか欲しくなりません?」
この感覚は多分、ハンバームちゃんのお店で食べてた時の感覚なんだろう。あの頃はあの店しかなかったから、ご飯も小麦もあそこだけに卸せば良かったから可能だっただけなのよね……
「今この町にあるだけの米と小麦では多くの店舗を賄うには足りないから、もう少しだけ待ってね。何とかするから!」
「わかりました……しばらくは少量で提供します」
大事なことなので二回言う、米と小麦が急務だ!
とは言え現在冬だから、地球と同じならあと四ヶ月から半年くらい先になってしまうが……
ただ、幸いにもこの世界には魔法がある。
田んぼの一部分だけでも魔法を使って温める仕組みを作れば米自体は作ることができるかもしれない。
具体的には二角ウサギ。これの美味しさが徐々に広まったらしく、集めて飼い始めた。大人しく飼育し易い。ツノは今までは使い道が無いとされ、食べる時には廃棄されていたが、最近になってこれが軟骨であることが判明。煮込むとコリコリして美味しいということで、「今まで何でこれを廃棄していたたんだ!」と嘆きの声が聞こえたとかなんとか。
次にピビッグ。これを小さくしたようなやつが最近発見された。
豚+小さいを足して『ピスモル』と名付けられた。
ピビッグが体高二メートルくらいに対して、ピスモルは地球にいる豚と大して変わらない大きさ。でもまあ総じて『豚』と呼ばれるんだけどね……
そんな話はさて置き、豚肉やウサギ肉が食卓に並ぶのも遠い話ではなくなったかもしれない。
次に、最近になって『箱』文化が急速に発展してきた。
リーヴァントたちを旅行に行かせた辺りから、持ち運ぶのに便利ということで木箱が作られるようになり、ここに来てそれら箱を作る仕事が生まれた。
それに追随するように、ドワーフさん監修で紙工場にて段ボールが生産されるようになり、木箱作る人たちは廃れた。
かに見えたが、その後は棚やタンスなどを作る方向へ移行し、現在も仕事として成り立っている。
箱文化発展と時を同じくして、運ぶのに便利だからとリヤカーが作られた。ただしタイヤは木のタイヤ。そのため衝撃を吸収する素材が無く、凸凹の地面は通行するのに少々難儀している。あと、タイル状になってきた町の道が傷む原因にもなっている。早いとこゴムのタイヤを作らないと、地面が傷だらけになってしまう。
それと、誰かが捕まえて来たのか、六本脚がある馬 (※)がリヤカーを引いているのを目撃した。
(※六本脚の馬:第31話に少しだけ登場)
この町で馬なんて初めて見たから追跡してみたところ、その馬力を利用した運送業が始まったらしい。
突っ込んで話を聞いてみたところ、捕まえたのは寒くなる前だったそうで、まだ大人に差し掛かりの馬を六人がかりで捕まえたものの暴れて手が付けられないため、フレアハルトが魔力を増大させて脅して大人しくしたとか。ドラゴンに睨まれたら流石に暴れ馬でも大人しくなるか……
その後は餌付けして徐々に大人しくなって扱いやすくなっていったらしい。リヤカーに乗せた物資程度の量なら苦も無く運べるとのこと。
今後は、この馬を利用した馬車などが出来、この町の中を走る交通手段の一つになるかもしれない。
現状、空間魔法を使える私以外の亜人は基本的に歩いて移動しなければならないため、馬車が出来ることになれば移動時間も短縮されるようになる。
今日のフレアハルト? 多分家のコタツでお籠り状態なんじゃないかな? 彼らは寒い時には全くの役立たずになってしまうから、こちらも何とかしないといけないわね……
◇
店が乱立するようになったこの状況でも、商店街などというものはまだ出来ていない。それは今後発展に次いで徐々に形成されていくのだろう。
今は民家の中にポツンと一件店があるような状態のところが多い。
ただ……これは私たち役所組にとっては悲報となる。
必然的に指導が大変になるからだ。店舗がまとまっていないから、チェックするのに町の隅々まで足を運ばなければならない。
リーヴァントと副リーダー四人と私、それとカイベル、あと商品価値が分かっているリナさんとヤポーニャさんにも手伝ってもらって手分けして、各店舗を見回る。
リーヴァントと副リーダー四人には、仮通貨制度開始の一週間でおおよその販売基準を叩き込んだ。
日常消費されるものとよく食べられる物はある程度安く、長く使えるものとあまり見かけない珍しい食べ物、大きめの食べ物はそれなりに高めに、建築関係に関しては私とカイベルがという具合で。
とは言え、私自身の基準は人間界のものだし、私はそもそも売買の専門家じゃない。むしろ間違っている可能性の方が高いから、多分開始して間もなくどこかで綻びが生じる可能性が高いと思う。
今回、主にレッドトロルが住んでいる第二地区にはまだ商売という商売が出来ていないため、ジュゼルマリオの出番は無し。今回は役所でお留守番だ。
第二地区は後々商店などが建ち次第ということになりそうだ。と言うよりまだ第二地区を任せて日も浅いからもう少し経験を積んでもらわないとダメね。
第一地区で学んだものを第二地区で活用して仕事として発展させるという形態になりそうだ。
◇
見回りしたとある飲食店にて――
ランチセット三千イェン……高い……でもこれは、小麦がまだあまり無いことを考えると、これでもまだ安い気も……でも多分これじゃ頼む人いないわね……
「アルトラ様、どうですか?」
「う~ん……大分高いね……でも……原料の希少性を考えたら適正か……私としては千イェン以下を推したいところだけど……」
「千イェン以下なんてとんでもない! そんな額にしたら原価の方が高くなってしまいます!」
ああ……恐れていた事態……
今までは飲食店が食堂ほぼ一択しか無かった上に、お金で支払われてるわけじゃなかったから、私がアクアリヴィアで購入してきて、卸すだけで成り立ってたけど、飲食店が乱立するようになると、流石に立ち行かなくなってきた……
私の所持している外貨についても、ヘパイトスさんに川工事の料金を払ったから、もう手持ちで大体四百万エレノル、あとフレアハルトのお父さんに貰った未換金の金銀財宝くらいしかない。
フィンツさんに通貨製造の料金を支払わないといけないから、数日後にはここから二千万が無くなることが確定している。頻繁に米や麦を買ってくるというのも簡単なことではなくなってきた、無駄遣いはできない。
これは米と小麦の生産が急務ね!
川と一緒に田んぼを作れる環境になったし、田んぼを作って生産性を上げよう! ちょうど農家も激増したところだから誰かやりたい人がいるかもしれない。
ただ……今寒い時期だから生産に適さない……さて、どうしようか。
「ご飯やパンとして提供したいなら、小さくするか、少量にして対応してみて。その分を別の食材で補うとか」
「でも、味があるものを食べるのに、ご飯とかパンとか欲しくなりません?」
この感覚は多分、ハンバームちゃんのお店で食べてた時の感覚なんだろう。あの頃はあの店しかなかったから、ご飯も小麦もあそこだけに卸せば良かったから可能だっただけなのよね……
「今この町にあるだけの米と小麦では多くの店舗を賄うには足りないから、もう少しだけ待ってね。何とかするから!」
「わかりました……しばらくは少量で提供します」
大事なことなので二回言う、米と小麦が急務だ!
とは言え現在冬だから、地球と同じならあと四ヶ月から半年くらい先になってしまうが……
ただ、幸いにもこの世界には魔法がある。
田んぼの一部分だけでも魔法を使って温める仕組みを作れば米自体は作ることができるかもしれない。
応援ありがとうございます!
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