215 / 531
第8章 通貨制度構築編
第212話 通貨制度開始に際しての売買訓練 その2
しおりを挟む
売買初心者の彼ら・彼女らには分からないことが多く、とにかく教えながらの販売になった。
今から商売を始めてお金を取り扱おうとする者たちは、一般客よりも更に熱心に動向を窺っていたように思う。
そんな中――
「アルトラ様、こんにちわ~」
正月同様、また丸い格好でレッドドラゴンの誰かが来店した。
声からするとレイアか。
「レイアいらっしゃい。一人?」
「はい~、『寒いから売買の仕方を見て来て後で教えろ』とフレハル様が……」
「珍しいね、こういう時はアリサが来るイメージだけど」
「アリサならコタツで寝てます……うぅ……ジャンケンで負けて私が来るハメになったんです!」
あらら、早くも大凶効果かしら?
アリサは普段押し付けるようなことはしないけど、寒くなると途端にポンコツになるのね。
その後ひとしきり店内を見て回って、レジに持って来た商品は――
「何だか……肉ばっかだね……」
「フレハル様、野菜あまり食べませんから」
そういえばそうだったな……初めて会った頃も野菜避けて食べようとしてたっけ。 (第51話、第59話参照)
「じゃあ、ニンジンとジャガイモとタマネギをサービスしてあげる」
「あはは、フレハル様にとってはこの上ない嫌がらせですね」
「ふふ……『肉ばっか食ってんなよ!』って言ってあげて」
◇
疑似店舗で販売した初日の午後――
訪問する客足が減り、少々うたた寝をしていたところ、ナナトスがカンナー他九人を引き連れて私のところへやって来た。
「随分大人数で押し寄せたね」
「自分たちも買い物の基本は覚えないとならないッスからね!」
一応子供向けに、カイベル監修で食堂の面々にお願いしてお菓子も用意してある。主にゴトスが頑張ってくれた。
チョコに飴に煎餅にスナック菓子にと、パッケージは手作り感を出しているものの、中身は日本の普通のスーパーに置いてあるものとして出してもそこそこ行けるのではないかというものを用意できた。
しかし、普通に買い物に来たのかと思っていた私の目の前に突然差し出される右手。
「なに、この手は?」
よく見ると、ナナトス以外の十人全員が手を出している。
「通貨制度始まるし、お金も配られたんで、お年玉くださいッス」 (第206話参照)
「ゲッ! 覚えてたの!?」
「『ゲッ』ってなんスか!? 覚えてたらお年玉くれるって言ってたのに!」
「もちろん覚えてますよ! 貰えたら嬉しいことってアルトラ様が言ってましたから!」
「買い物に来たんじゃないの?」
「お年玉で買わせていただくッス!」
何で商品と引き換えにお金貰う私が、お金渡さなきゃならんのよ……
でも約束は約束だしな……
「じゃあ、約束通りあげるよ。ちょっと待ってて」
と言いつつ、店を出てその辺で拾い上げた石ころを――
「はい、お年玉」
――ナナトスとカンナーの手に落とす。
「それはもういいッスから!」
これの意味を知らない他の九人はポカンとしている。
「仕方ない、覚えてたんならあげようか」
“約束”ということで、引き連れて来た全員に三千イェンずつお年玉を配った。
「ヤッター!」
「「「「「「「「「「ありがとうございます!」」」」」」」」」」
その子供達が喜ぶ様に、顔には笑顔を貼り付けているが、内心かなり焦っている。
全員に配ったことで、私に給付された二十万のうち三万三千イェンが一瞬で消えてしまった……残り十六万七千イェン……
約束とは言ったけど、こんなに引き連れてくるとは聞いてない!!
来年もみんなにあげないといけないのかな……
そのお年玉で、疑似商店内のお菓子をごっそり買って行った。
結局のところ、ナナトスのところには私のところに来て貰ったものと、神社の『超吉』で貰ったものとで、一万三千イェン手元に入り、買って行ったお菓子の分を差し引いても、手元に二十一万イェンあるらしい。私より金持ちじゃないか!
◇
その日の夜から一週間、リーヴァントと副リーダー全員に、物の適当な価値を知ってもらうための勉強会を開いた。
これは通貨制度開始後に、店を開いた者は適正な価格を指導してもらうため。
通貨制度開始の日、彼らには各店舗を見て回ってもらい、適正とは言えないものを修正する指導に当たってもらいたいと思っている。そうでなければ私とカイベル二人ではとても手が回らないからだ。
通貨の存在しないこの地で、それが開始されたとなると、適正とはほど遠い価格を付けられる可能性は十分にある。
極端な話、ブランド品でもないリンゴ一つに五千イェンなんて価格を付けて店頭へ置いておいても、誰も買うことはない。
または、ただのリンゴを百イェンで買って、それを買った者が再び五千イェンで店頭に並べて転売し、それがもし買われた場合は不当に利益を得たということになってしまう。
こういったことを防ぐため、彼らにはある程度見極めるための目を持ってもらいたいということでこの勉強会を開くに至った。
そして一週間――
売買の練習開始した当初は町民全員が右も左もわからないような状態だったけど、一週間疑似商店を開いてみて、様々な人が訪問してくれ、現在はもうかなりの人数がほぼ売買の基本が分かって来たのではないかと思う。
ちなみに、売り上げ的なものは、私のところ、毎日ほぼ完売。
リナさんの服飾店、一週間かけてほぼ完売。
ドワーフさんの電気雑貨店、一週間かけて三分の一ほどの売り上げだった。
やっぱり高額になるにつれて売れにくいらしい。
最終日には、疑似店舗を取り壊して役所に戻り、リーヴァントと副リーダー四人に、明日から通貨制度を開始する旨を伝える。
「いかがですか? みな売買の仕方が分かってきたでしょうか?」
「そうだね、予定通り明日から通貨制度開始しても大丈夫そうだよ。ただ、売る方の練習をすることは出来ないから、これはこちら側が指導していかないといけないかもね」
「では予定通り、明日から通貨制度開始ということでよろしいですか?」
「うん、お願い。じゃあ、他のみんなも明日忙しく動き回らないといけないと思うけど、よろしくお願いね」
「「「「はい」」」」
今回第二地区側は、まだまだ生活基盤が整わないということで出店予定は無し。そのためジュゼルマリオは待機、役所で通常業務をしてもらう。
また、当初は予定していなかったが、やはり今までの貢献度も考えなければならないと思い、役所、建築部、食堂、縫製所、鍛冶工房、雑貨工房、畑組改め農林部、生態調査組改め生態調査部、ドワーフ工房、潤いの木管理部、浄水施設、その他町づくりに貢献してくれた人々へ、今までの貢献度による報奨金として、配る金額を上乗せした。
特に忙しく働いてくれた建築部、縫製所、農林部、ドワーフ工房、そして町の重要機関である潤いの木管理部、浄水施設には多めの金額を配る。今までは町でお金を借りていたと考え、それを支払ったと言うのが適切かもしれないな。
この上乗せには大多数の人が賛成してくれた。これは、頑張ればその後は正当な報酬を貰えるということが暗に示されたからと思われる。
その過程でリーヴァントにこんな話をされた。
「その理屈で言うと、アルトラ様は一番沢山貰わないとおかしいのでは?」
「わ、私は良いよそこまで考えなくても」
「いえ、ダメです。他の者にも示しがつきませんので、きちんと正当に貰っておいてください」
その結果、いきなり町一番のお金持ちになった……詳細は聞いていないけど貰ったお金は一千万に届かないくらいと考えられる。もっとも……この町での一千万だから。現在としてはそれほどの価値は無いのだが。
でも、何か申し訳ないから半分だけ貰って、無理言って半分返した。正直言って、私としてはいそいそと行動しているつもりはなく、どちらかと言えば命令・指揮はリーヴァントに任せて、私はやりたいことをやっているだけという感じがするので、満額貰うには心苦しいと思ったため。
とは言え、突然五百万弱手に入った。
一週間前にナナトスのワナにハマって、二十万のうち三万三千イェン消えた身としては、突然降って湧いたこれがとてもありがたい。早速お金の大半は銀行に預けた。
そんなこんなで練習期間の一週間が過ぎ、明日遂に通貨制度が開始される。
今から商売を始めてお金を取り扱おうとする者たちは、一般客よりも更に熱心に動向を窺っていたように思う。
そんな中――
「アルトラ様、こんにちわ~」
正月同様、また丸い格好でレッドドラゴンの誰かが来店した。
声からするとレイアか。
「レイアいらっしゃい。一人?」
「はい~、『寒いから売買の仕方を見て来て後で教えろ』とフレハル様が……」
「珍しいね、こういう時はアリサが来るイメージだけど」
「アリサならコタツで寝てます……うぅ……ジャンケンで負けて私が来るハメになったんです!」
あらら、早くも大凶効果かしら?
アリサは普段押し付けるようなことはしないけど、寒くなると途端にポンコツになるのね。
その後ひとしきり店内を見て回って、レジに持って来た商品は――
「何だか……肉ばっかだね……」
「フレハル様、野菜あまり食べませんから」
そういえばそうだったな……初めて会った頃も野菜避けて食べようとしてたっけ。 (第51話、第59話参照)
「じゃあ、ニンジンとジャガイモとタマネギをサービスしてあげる」
「あはは、フレハル様にとってはこの上ない嫌がらせですね」
「ふふ……『肉ばっか食ってんなよ!』って言ってあげて」
◇
疑似店舗で販売した初日の午後――
訪問する客足が減り、少々うたた寝をしていたところ、ナナトスがカンナー他九人を引き連れて私のところへやって来た。
「随分大人数で押し寄せたね」
「自分たちも買い物の基本は覚えないとならないッスからね!」
一応子供向けに、カイベル監修で食堂の面々にお願いしてお菓子も用意してある。主にゴトスが頑張ってくれた。
チョコに飴に煎餅にスナック菓子にと、パッケージは手作り感を出しているものの、中身は日本の普通のスーパーに置いてあるものとして出してもそこそこ行けるのではないかというものを用意できた。
しかし、普通に買い物に来たのかと思っていた私の目の前に突然差し出される右手。
「なに、この手は?」
よく見ると、ナナトス以外の十人全員が手を出している。
「通貨制度始まるし、お金も配られたんで、お年玉くださいッス」 (第206話参照)
「ゲッ! 覚えてたの!?」
「『ゲッ』ってなんスか!? 覚えてたらお年玉くれるって言ってたのに!」
「もちろん覚えてますよ! 貰えたら嬉しいことってアルトラ様が言ってましたから!」
「買い物に来たんじゃないの?」
「お年玉で買わせていただくッス!」
何で商品と引き換えにお金貰う私が、お金渡さなきゃならんのよ……
でも約束は約束だしな……
「じゃあ、約束通りあげるよ。ちょっと待ってて」
と言いつつ、店を出てその辺で拾い上げた石ころを――
「はい、お年玉」
――ナナトスとカンナーの手に落とす。
「それはもういいッスから!」
これの意味を知らない他の九人はポカンとしている。
「仕方ない、覚えてたんならあげようか」
“約束”ということで、引き連れて来た全員に三千イェンずつお年玉を配った。
「ヤッター!」
「「「「「「「「「「ありがとうございます!」」」」」」」」」」
その子供達が喜ぶ様に、顔には笑顔を貼り付けているが、内心かなり焦っている。
全員に配ったことで、私に給付された二十万のうち三万三千イェンが一瞬で消えてしまった……残り十六万七千イェン……
約束とは言ったけど、こんなに引き連れてくるとは聞いてない!!
来年もみんなにあげないといけないのかな……
そのお年玉で、疑似商店内のお菓子をごっそり買って行った。
結局のところ、ナナトスのところには私のところに来て貰ったものと、神社の『超吉』で貰ったものとで、一万三千イェン手元に入り、買って行ったお菓子の分を差し引いても、手元に二十一万イェンあるらしい。私より金持ちじゃないか!
◇
その日の夜から一週間、リーヴァントと副リーダー全員に、物の適当な価値を知ってもらうための勉強会を開いた。
これは通貨制度開始後に、店を開いた者は適正な価格を指導してもらうため。
通貨制度開始の日、彼らには各店舗を見て回ってもらい、適正とは言えないものを修正する指導に当たってもらいたいと思っている。そうでなければ私とカイベル二人ではとても手が回らないからだ。
通貨の存在しないこの地で、それが開始されたとなると、適正とはほど遠い価格を付けられる可能性は十分にある。
極端な話、ブランド品でもないリンゴ一つに五千イェンなんて価格を付けて店頭へ置いておいても、誰も買うことはない。
または、ただのリンゴを百イェンで買って、それを買った者が再び五千イェンで店頭に並べて転売し、それがもし買われた場合は不当に利益を得たということになってしまう。
こういったことを防ぐため、彼らにはある程度見極めるための目を持ってもらいたいということでこの勉強会を開くに至った。
そして一週間――
売買の練習開始した当初は町民全員が右も左もわからないような状態だったけど、一週間疑似商店を開いてみて、様々な人が訪問してくれ、現在はもうかなりの人数がほぼ売買の基本が分かって来たのではないかと思う。
ちなみに、売り上げ的なものは、私のところ、毎日ほぼ完売。
リナさんの服飾店、一週間かけてほぼ完売。
ドワーフさんの電気雑貨店、一週間かけて三分の一ほどの売り上げだった。
やっぱり高額になるにつれて売れにくいらしい。
最終日には、疑似店舗を取り壊して役所に戻り、リーヴァントと副リーダー四人に、明日から通貨制度を開始する旨を伝える。
「いかがですか? みな売買の仕方が分かってきたでしょうか?」
「そうだね、予定通り明日から通貨制度開始しても大丈夫そうだよ。ただ、売る方の練習をすることは出来ないから、これはこちら側が指導していかないといけないかもね」
「では予定通り、明日から通貨制度開始ということでよろしいですか?」
「うん、お願い。じゃあ、他のみんなも明日忙しく動き回らないといけないと思うけど、よろしくお願いね」
「「「「はい」」」」
今回第二地区側は、まだまだ生活基盤が整わないということで出店予定は無し。そのためジュゼルマリオは待機、役所で通常業務をしてもらう。
また、当初は予定していなかったが、やはり今までの貢献度も考えなければならないと思い、役所、建築部、食堂、縫製所、鍛冶工房、雑貨工房、畑組改め農林部、生態調査組改め生態調査部、ドワーフ工房、潤いの木管理部、浄水施設、その他町づくりに貢献してくれた人々へ、今までの貢献度による報奨金として、配る金額を上乗せした。
特に忙しく働いてくれた建築部、縫製所、農林部、ドワーフ工房、そして町の重要機関である潤いの木管理部、浄水施設には多めの金額を配る。今までは町でお金を借りていたと考え、それを支払ったと言うのが適切かもしれないな。
この上乗せには大多数の人が賛成してくれた。これは、頑張ればその後は正当な報酬を貰えるということが暗に示されたからと思われる。
その過程でリーヴァントにこんな話をされた。
「その理屈で言うと、アルトラ様は一番沢山貰わないとおかしいのでは?」
「わ、私は良いよそこまで考えなくても」
「いえ、ダメです。他の者にも示しがつきませんので、きちんと正当に貰っておいてください」
その結果、いきなり町一番のお金持ちになった……詳細は聞いていないけど貰ったお金は一千万に届かないくらいと考えられる。もっとも……この町での一千万だから。現在としてはそれほどの価値は無いのだが。
でも、何か申し訳ないから半分だけ貰って、無理言って半分返した。正直言って、私としてはいそいそと行動しているつもりはなく、どちらかと言えば命令・指揮はリーヴァントに任せて、私はやりたいことをやっているだけという感じがするので、満額貰うには心苦しいと思ったため。
とは言え、突然五百万弱手に入った。
一週間前にナナトスのワナにハマって、二十万のうち三万三千イェン消えた身としては、突然降って湧いたこれがとてもありがたい。早速お金の大半は銀行に預けた。
そんなこんなで練習期間の一週間が過ぎ、明日遂に通貨制度が開始される。
1
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
大好きな母と縁を切りました。
むう子
ファンタジー
7歳までは家族円満愛情たっぷりの幸せな家庭で育ったナーシャ。
領地争いで父が戦死。
それを聞いたお母様は寝込み支えてくれたカルノス・シャンドラに親子共々心を開き再婚。
けれど妹が生まれて義父からの虐待を受けることに。
毎日母を想い部屋に閉じこもるナーシャに2年後の政略結婚が決定した。
けれどこの婚約はとても酷いものだった。
そんな時、ナーシャの生まれる前に亡くなった父方のおばあさまと契約していた精霊と出会う。
そこで今までずっと近くに居てくれたメイドの裏切りを知り……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる