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第8章 通貨制度構築編
第192話 トロルズコミュニケーション(赤)
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「だれだ?」
「だれか来たぞ!」
「あ、ジュゼルマリオだ、その連れてる人間はなんだ?」
「食べるだか?」
何で私はトロル属に会う度に食べられそうにならなければならないんだろう……?
と言うか……百人弱出て行ったのに、一人だけ帰って来たことは誰も疑問に思わないんだろうか?
「いえ、この方は今度我々の新しい領主様に決まった方です」
「「「………………」」」
「何言ってるかわかんね」
「りょうしゅ? 村長とどっちが偉いだか?」
「それよりもおめぇ何か変わったな、村出る前よりいい顔になっただ」
「それは、この方の力で――」
「そんなことどうでも良いだ、早くそいつを食べさせてくれ、腹へっただ」
「いや、この方は食べちゃダメです」
「じゃあ今日のメシはどうするだ!! そいつうまそうだからそいつが良いだ! 人間は珍しいだ! オオカミは飽きただ!」
「だから食べちゃダメですって……」
収拾つかない……
トロル村の時は、一度叩きのめしたからすぐ静まったけど、痛い目を見てないとここまで言うこと聞いてくれないものなのね……
早いとこ知性を上げたいところね。
「このままじゃ話にならないわ……ジュゼルマリオ、私ここで待ってるから、村中の亜人全員集めて来てもらえる? 女子供老人含めて全員」
「ぜ、全員ですか? 集めてどうするつもりなんですか?」
トロル村の時同様また警戒されてるな。まあ村中集めろって普通のことじゃないしな……
「あなたたちにかけたのと同じ知性を上げる魔法をかけるので、一人残らず連れて来てください。一人でも漏れがあると、その人だけおバカのままになってしまうので」
「あ、そういうことですか! わかりました!」
「私は襲われないように空に居るんで、全員集まったら声をかけてください」
そう言い残して、空中へ浮かぶ。
下の方で「おお~~!」という声が聞こえた。
襲われたところで、殴られても噛まれてもダメージは全く無いだろうけど、涎とか付くのは流石に勘弁願いたい。そんな理由で空で待機することにした。
空中からジュゼルマリオが人々を集合させに行く様子を窺っていたところ、手近な家から順々に呼びかけている。
あれを何十件もやるのか? 大分時間がかかりそうだわ。
◇
三十分ほどが経過。
下を見ると、大勢にずっと上空を見られてる……
家の中からゾロゾロ出てくる。
まだまだしばらくかかりそうだ。
何かちょっと目が怖いし、なるべく下を見ないようにしよう……
◇
一時間ほどが経過。
下を見ると見上げている者の人数が三倍くらいに増えている。
大勢に見つめられて何か怖いっ! ジュゼルマリオ早く帰ってきてっ!
◇
更に一時間ほどが経過。
見上げてる人数が五倍以上に増えてる……こ、怖い……
でも、よく見るとみんなガリッガリで目だけギョロギョロしている。
ちょっとぐったりしてる子供もいる。早く栄養取らないとまずいかも。
この後のことを考えていると、やっとジュゼルマリオが帰って来た!
「お待たせしました! これで恐らく全員です!」
待ってました!
地面に下りると一斉に襲い掛かって来られそうだから空中から失礼。
「全体的永久的遺伝的知性上昇 (大)」
そして、みんながみんないつものセリフ。
「「「おお! 頭がスッキリする!」」」
ふぅ……ガン見地獄から解放された。
やっと地面に降り立てる。
地面に降り立った直後に、先頭に居たレッドトロルから質問を受けた。
「と、突然頭がスッキリしましたが、何をしたんですか?」
「みんなの頭を良くしました、そのままだと話を聞いてくれそうもないので」
「な、なんの得があってそんなことを?」
「このまま放っておいたら死にそうな人々を見つけて、放っておくことができなかったからそうしました。じゃあジュゼルマリオ、みんなに今後のことについて説明をお願い」
「わかりました」
これからアルトレリアへ引っ越すこと、そこに住んでもらうこと、そこで働いてもらうこと、絶対厳守のルールなどをみんなに話す。
「え? 引っ越すんですか? そんな突然……」
「しかし生まれ育った場所を離れるのは……」
「一緒に来てもらった方が豊かに暮らせると思いますけど……それに子供たち、見たところ栄養が足りてない子が多いみたいです。ここは碌な食料も無いようですし、私たちのところへ来た方が良いのではないでしょうか? 聞けば数日に一人くらいの割合で餓死者が出てるそうじゃないですか」
「それはそうですが……しかし、ここからあの緑人のところへ行くのでしょう? 昔からたまに遭遇しましたが、いつも諍いになっていがみ合っていたので、上手く行くとは思えませんが……」
レロル村人のその疑問に対し、ジュゼルマリオが返答する。
「そこは大丈夫! 食べ物まで頂いて、話してみれば良い亜人たちばかりだったよ。我々に足りなかったのは対話だったようだ!」
「本当なのか?」
「一緒に出て行った他のヤツらはどうなったんだ?」
「実は殺されてるからジュゼルマリオだけ帰って来たんじゃないのか?」
「ジュゼルマリオ……もしかしてその女に操られてるんじゃないのか?」
「到底信じられない話だ!」
「「「そうだそうだ!!」」」
とても信じられないと、みんなザワザワし出す。
う~ん、仕方ない、他の村人を呼びに行って証明するか。
「じゃあ、ちょっと待っててください、他の人たち呼んできますから!」
ゲートでアルトレリアを繋げる。
「「「おお!? 何だそれは!?」」」
何だかトロル村がリセットされたかのような反応だわ……
いちいち説明は面倒だから――
「ジュゼルマリオ、ゲートについての説明もお願い、私はこの村の人たちを数人呼んでくるから」
「わかりました」
「だれか来たぞ!」
「あ、ジュゼルマリオだ、その連れてる人間はなんだ?」
「食べるだか?」
何で私はトロル属に会う度に食べられそうにならなければならないんだろう……?
と言うか……百人弱出て行ったのに、一人だけ帰って来たことは誰も疑問に思わないんだろうか?
「いえ、この方は今度我々の新しい領主様に決まった方です」
「「「………………」」」
「何言ってるかわかんね」
「りょうしゅ? 村長とどっちが偉いだか?」
「それよりもおめぇ何か変わったな、村出る前よりいい顔になっただ」
「それは、この方の力で――」
「そんなことどうでも良いだ、早くそいつを食べさせてくれ、腹へっただ」
「いや、この方は食べちゃダメです」
「じゃあ今日のメシはどうするだ!! そいつうまそうだからそいつが良いだ! 人間は珍しいだ! オオカミは飽きただ!」
「だから食べちゃダメですって……」
収拾つかない……
トロル村の時は、一度叩きのめしたからすぐ静まったけど、痛い目を見てないとここまで言うこと聞いてくれないものなのね……
早いとこ知性を上げたいところね。
「このままじゃ話にならないわ……ジュゼルマリオ、私ここで待ってるから、村中の亜人全員集めて来てもらえる? 女子供老人含めて全員」
「ぜ、全員ですか? 集めてどうするつもりなんですか?」
トロル村の時同様また警戒されてるな。まあ村中集めろって普通のことじゃないしな……
「あなたたちにかけたのと同じ知性を上げる魔法をかけるので、一人残らず連れて来てください。一人でも漏れがあると、その人だけおバカのままになってしまうので」
「あ、そういうことですか! わかりました!」
「私は襲われないように空に居るんで、全員集まったら声をかけてください」
そう言い残して、空中へ浮かぶ。
下の方で「おお~~!」という声が聞こえた。
襲われたところで、殴られても噛まれてもダメージは全く無いだろうけど、涎とか付くのは流石に勘弁願いたい。そんな理由で空で待機することにした。
空中からジュゼルマリオが人々を集合させに行く様子を窺っていたところ、手近な家から順々に呼びかけている。
あれを何十件もやるのか? 大分時間がかかりそうだわ。
◇
三十分ほどが経過。
下を見ると、大勢にずっと上空を見られてる……
家の中からゾロゾロ出てくる。
まだまだしばらくかかりそうだ。
何かちょっと目が怖いし、なるべく下を見ないようにしよう……
◇
一時間ほどが経過。
下を見ると見上げている者の人数が三倍くらいに増えている。
大勢に見つめられて何か怖いっ! ジュゼルマリオ早く帰ってきてっ!
◇
更に一時間ほどが経過。
見上げてる人数が五倍以上に増えてる……こ、怖い……
でも、よく見るとみんなガリッガリで目だけギョロギョロしている。
ちょっとぐったりしてる子供もいる。早く栄養取らないとまずいかも。
この後のことを考えていると、やっとジュゼルマリオが帰って来た!
「お待たせしました! これで恐らく全員です!」
待ってました!
地面に下りると一斉に襲い掛かって来られそうだから空中から失礼。
「全体的永久的遺伝的知性上昇 (大)」
そして、みんながみんないつものセリフ。
「「「おお! 頭がスッキリする!」」」
ふぅ……ガン見地獄から解放された。
やっと地面に降り立てる。
地面に降り立った直後に、先頭に居たレッドトロルから質問を受けた。
「と、突然頭がスッキリしましたが、何をしたんですか?」
「みんなの頭を良くしました、そのままだと話を聞いてくれそうもないので」
「な、なんの得があってそんなことを?」
「このまま放っておいたら死にそうな人々を見つけて、放っておくことができなかったからそうしました。じゃあジュゼルマリオ、みんなに今後のことについて説明をお願い」
「わかりました」
これからアルトレリアへ引っ越すこと、そこに住んでもらうこと、そこで働いてもらうこと、絶対厳守のルールなどをみんなに話す。
「え? 引っ越すんですか? そんな突然……」
「しかし生まれ育った場所を離れるのは……」
「一緒に来てもらった方が豊かに暮らせると思いますけど……それに子供たち、見たところ栄養が足りてない子が多いみたいです。ここは碌な食料も無いようですし、私たちのところへ来た方が良いのではないでしょうか? 聞けば数日に一人くらいの割合で餓死者が出てるそうじゃないですか」
「それはそうですが……しかし、ここからあの緑人のところへ行くのでしょう? 昔からたまに遭遇しましたが、いつも諍いになっていがみ合っていたので、上手く行くとは思えませんが……」
レロル村人のその疑問に対し、ジュゼルマリオが返答する。
「そこは大丈夫! 食べ物まで頂いて、話してみれば良い亜人たちばかりだったよ。我々に足りなかったのは対話だったようだ!」
「本当なのか?」
「一緒に出て行った他のヤツらはどうなったんだ?」
「実は殺されてるからジュゼルマリオだけ帰って来たんじゃないのか?」
「ジュゼルマリオ……もしかしてその女に操られてるんじゃないのか?」
「到底信じられない話だ!」
「「「そうだそうだ!!」」」
とても信じられないと、みんなザワザワし出す。
う~ん、仕方ない、他の村人を呼びに行って証明するか。
「じゃあ、ちょっと待っててください、他の人たち呼んできますから!」
ゲートでアルトレリアを繋げる。
「「「おお!? 何だそれは!?」」」
何だかトロル村がリセットされたかのような反応だわ……
いちいち説明は面倒だから――
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