195 / 531
第8章 通貨制度構築編
第192話 トロルズコミュニケーション(赤)
しおりを挟む
「だれだ?」
「だれか来たぞ!」
「あ、ジュゼルマリオだ、その連れてる人間はなんだ?」
「食べるだか?」
何で私はトロル属に会う度に食べられそうにならなければならないんだろう……?
と言うか……百人弱出て行ったのに、一人だけ帰って来たことは誰も疑問に思わないんだろうか?
「いえ、この方は今度我々の新しい領主様に決まった方です」
「「「………………」」」
「何言ってるかわかんね」
「りょうしゅ? 村長とどっちが偉いだか?」
「それよりもおめぇ何か変わったな、村出る前よりいい顔になっただ」
「それは、この方の力で――」
「そんなことどうでも良いだ、早くそいつを食べさせてくれ、腹へっただ」
「いや、この方は食べちゃダメです」
「じゃあ今日のメシはどうするだ!! そいつうまそうだからそいつが良いだ! 人間は珍しいだ! オオカミは飽きただ!」
「だから食べちゃダメですって……」
収拾つかない……
トロル村の時は、一度叩きのめしたからすぐ静まったけど、痛い目を見てないとここまで言うこと聞いてくれないものなのね……
早いとこ知性を上げたいところね。
「このままじゃ話にならないわ……ジュゼルマリオ、私ここで待ってるから、村中の亜人全員集めて来てもらえる? 女子供老人含めて全員」
「ぜ、全員ですか? 集めてどうするつもりなんですか?」
トロル村の時同様また警戒されてるな。まあ村中集めろって普通のことじゃないしな……
「あなたたちにかけたのと同じ知性を上げる魔法をかけるので、一人残らず連れて来てください。一人でも漏れがあると、その人だけおバカのままになってしまうので」
「あ、そういうことですか! わかりました!」
「私は襲われないように空に居るんで、全員集まったら声をかけてください」
そう言い残して、空中へ浮かぶ。
下の方で「おお~~!」という声が聞こえた。
襲われたところで、殴られても噛まれてもダメージは全く無いだろうけど、涎とか付くのは流石に勘弁願いたい。そんな理由で空で待機することにした。
空中からジュゼルマリオが人々を集合させに行く様子を窺っていたところ、手近な家から順々に呼びかけている。
あれを何十件もやるのか? 大分時間がかかりそうだわ。
◇
三十分ほどが経過。
下を見ると、大勢にずっと上空を見られてる……
家の中からゾロゾロ出てくる。
まだまだしばらくかかりそうだ。
何かちょっと目が怖いし、なるべく下を見ないようにしよう……
◇
一時間ほどが経過。
下を見ると見上げている者の人数が三倍くらいに増えている。
大勢に見つめられて何か怖いっ! ジュゼルマリオ早く帰ってきてっ!
◇
更に一時間ほどが経過。
見上げてる人数が五倍以上に増えてる……こ、怖い……
でも、よく見るとみんなガリッガリで目だけギョロギョロしている。
ちょっとぐったりしてる子供もいる。早く栄養取らないとまずいかも。
この後のことを考えていると、やっとジュゼルマリオが帰って来た!
「お待たせしました! これで恐らく全員です!」
待ってました!
地面に下りると一斉に襲い掛かって来られそうだから空中から失礼。
「全体的永久的遺伝的知性上昇 (大)」
そして、みんながみんないつものセリフ。
「「「おお! 頭がスッキリする!」」」
ふぅ……ガン見地獄から解放された。
やっと地面に降り立てる。
地面に降り立った直後に、先頭に居たレッドトロルから質問を受けた。
「と、突然頭がスッキリしましたが、何をしたんですか?」
「みんなの頭を良くしました、そのままだと話を聞いてくれそうもないので」
「な、なんの得があってそんなことを?」
「このまま放っておいたら死にそうな人々を見つけて、放っておくことができなかったからそうしました。じゃあジュゼルマリオ、みんなに今後のことについて説明をお願い」
「わかりました」
これからアルトレリアへ引っ越すこと、そこに住んでもらうこと、そこで働いてもらうこと、絶対厳守のルールなどをみんなに話す。
「え? 引っ越すんですか? そんな突然……」
「しかし生まれ育った場所を離れるのは……」
「一緒に来てもらった方が豊かに暮らせると思いますけど……それに子供たち、見たところ栄養が足りてない子が多いみたいです。ここは碌な食料も無いようですし、私たちのところへ来た方が良いのではないでしょうか? 聞けば数日に一人くらいの割合で餓死者が出てるそうじゃないですか」
「それはそうですが……しかし、ここからあの緑人のところへ行くのでしょう? 昔からたまに遭遇しましたが、いつも諍いになっていがみ合っていたので、上手く行くとは思えませんが……」
レロル村人のその疑問に対し、ジュゼルマリオが返答する。
「そこは大丈夫! 食べ物まで頂いて、話してみれば良い亜人たちばかりだったよ。我々に足りなかったのは対話だったようだ!」
「本当なのか?」
「一緒に出て行った他のヤツらはどうなったんだ?」
「実は殺されてるからジュゼルマリオだけ帰って来たんじゃないのか?」
「ジュゼルマリオ……もしかしてその女に操られてるんじゃないのか?」
「到底信じられない話だ!」
「「「そうだそうだ!!」」」
とても信じられないと、みんなザワザワし出す。
う~ん、仕方ない、他の村人を呼びに行って証明するか。
「じゃあ、ちょっと待っててください、他の人たち呼んできますから!」
ゲートでアルトレリアを繋げる。
「「「おお!? 何だそれは!?」」」
何だかトロル村がリセットされたかのような反応だわ……
いちいち説明は面倒だから――
「ジュゼルマリオ、ゲートについての説明もお願い、私はこの村の人たちを数人呼んでくるから」
「わかりました」
「だれか来たぞ!」
「あ、ジュゼルマリオだ、その連れてる人間はなんだ?」
「食べるだか?」
何で私はトロル属に会う度に食べられそうにならなければならないんだろう……?
と言うか……百人弱出て行ったのに、一人だけ帰って来たことは誰も疑問に思わないんだろうか?
「いえ、この方は今度我々の新しい領主様に決まった方です」
「「「………………」」」
「何言ってるかわかんね」
「りょうしゅ? 村長とどっちが偉いだか?」
「それよりもおめぇ何か変わったな、村出る前よりいい顔になっただ」
「それは、この方の力で――」
「そんなことどうでも良いだ、早くそいつを食べさせてくれ、腹へっただ」
「いや、この方は食べちゃダメです」
「じゃあ今日のメシはどうするだ!! そいつうまそうだからそいつが良いだ! 人間は珍しいだ! オオカミは飽きただ!」
「だから食べちゃダメですって……」
収拾つかない……
トロル村の時は、一度叩きのめしたからすぐ静まったけど、痛い目を見てないとここまで言うこと聞いてくれないものなのね……
早いとこ知性を上げたいところね。
「このままじゃ話にならないわ……ジュゼルマリオ、私ここで待ってるから、村中の亜人全員集めて来てもらえる? 女子供老人含めて全員」
「ぜ、全員ですか? 集めてどうするつもりなんですか?」
トロル村の時同様また警戒されてるな。まあ村中集めろって普通のことじゃないしな……
「あなたたちにかけたのと同じ知性を上げる魔法をかけるので、一人残らず連れて来てください。一人でも漏れがあると、その人だけおバカのままになってしまうので」
「あ、そういうことですか! わかりました!」
「私は襲われないように空に居るんで、全員集まったら声をかけてください」
そう言い残して、空中へ浮かぶ。
下の方で「おお~~!」という声が聞こえた。
襲われたところで、殴られても噛まれてもダメージは全く無いだろうけど、涎とか付くのは流石に勘弁願いたい。そんな理由で空で待機することにした。
空中からジュゼルマリオが人々を集合させに行く様子を窺っていたところ、手近な家から順々に呼びかけている。
あれを何十件もやるのか? 大分時間がかかりそうだわ。
◇
三十分ほどが経過。
下を見ると、大勢にずっと上空を見られてる……
家の中からゾロゾロ出てくる。
まだまだしばらくかかりそうだ。
何かちょっと目が怖いし、なるべく下を見ないようにしよう……
◇
一時間ほどが経過。
下を見ると見上げている者の人数が三倍くらいに増えている。
大勢に見つめられて何か怖いっ! ジュゼルマリオ早く帰ってきてっ!
◇
更に一時間ほどが経過。
見上げてる人数が五倍以上に増えてる……こ、怖い……
でも、よく見るとみんなガリッガリで目だけギョロギョロしている。
ちょっとぐったりしてる子供もいる。早く栄養取らないとまずいかも。
この後のことを考えていると、やっとジュゼルマリオが帰って来た!
「お待たせしました! これで恐らく全員です!」
待ってました!
地面に下りると一斉に襲い掛かって来られそうだから空中から失礼。
「全体的永久的遺伝的知性上昇 (大)」
そして、みんながみんないつものセリフ。
「「「おお! 頭がスッキリする!」」」
ふぅ……ガン見地獄から解放された。
やっと地面に降り立てる。
地面に降り立った直後に、先頭に居たレッドトロルから質問を受けた。
「と、突然頭がスッキリしましたが、何をしたんですか?」
「みんなの頭を良くしました、そのままだと話を聞いてくれそうもないので」
「な、なんの得があってそんなことを?」
「このまま放っておいたら死にそうな人々を見つけて、放っておくことができなかったからそうしました。じゃあジュゼルマリオ、みんなに今後のことについて説明をお願い」
「わかりました」
これからアルトレリアへ引っ越すこと、そこに住んでもらうこと、そこで働いてもらうこと、絶対厳守のルールなどをみんなに話す。
「え? 引っ越すんですか? そんな突然……」
「しかし生まれ育った場所を離れるのは……」
「一緒に来てもらった方が豊かに暮らせると思いますけど……それに子供たち、見たところ栄養が足りてない子が多いみたいです。ここは碌な食料も無いようですし、私たちのところへ来た方が良いのではないでしょうか? 聞けば数日に一人くらいの割合で餓死者が出てるそうじゃないですか」
「それはそうですが……しかし、ここからあの緑人のところへ行くのでしょう? 昔からたまに遭遇しましたが、いつも諍いになっていがみ合っていたので、上手く行くとは思えませんが……」
レロル村人のその疑問に対し、ジュゼルマリオが返答する。
「そこは大丈夫! 食べ物まで頂いて、話してみれば良い亜人たちばかりだったよ。我々に足りなかったのは対話だったようだ!」
「本当なのか?」
「一緒に出て行った他のヤツらはどうなったんだ?」
「実は殺されてるからジュゼルマリオだけ帰って来たんじゃないのか?」
「ジュゼルマリオ……もしかしてその女に操られてるんじゃないのか?」
「到底信じられない話だ!」
「「「そうだそうだ!!」」」
とても信じられないと、みんなザワザワし出す。
う~ん、仕方ない、他の村人を呼びに行って証明するか。
「じゃあ、ちょっと待っててください、他の人たち呼んできますから!」
ゲートでアルトレリアを繋げる。
「「「おお!? 何だそれは!?」」」
何だかトロル村がリセットされたかのような反応だわ……
いちいち説明は面倒だから――
「ジュゼルマリオ、ゲートについての説明もお願い、私はこの村の人たちを数人呼んでくるから」
「わかりました」
1
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
大好きな母と縁を切りました。
むう子
ファンタジー
7歳までは家族円満愛情たっぷりの幸せな家庭で育ったナーシャ。
領地争いで父が戦死。
それを聞いたお母様は寝込み支えてくれたカルノス・シャンドラに親子共々心を開き再婚。
けれど妹が生まれて義父からの虐待を受けることに。
毎日母を想い部屋に閉じこもるナーシャに2年後の政略結婚が決定した。
けれどこの婚約はとても酷いものだった。
そんな時、ナーシャの生まれる前に亡くなった父方のおばあさまと契約していた精霊と出会う。
そこで今までずっと近くに居てくれたメイドの裏切りを知り……
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる