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第8章 通貨制度構築編
第191話 カイベルからの妙案
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「はぁはぁ……わ、私を疲れさせるなんて……はぁ……なかなか無いことよ……?」
思わず独り言を発してしまった……
思えば魔界に来てから、初めてこんなに息を切らせているかもしれない。
日の出まで十二時間くらい飛び回ったが見つけられなかった……
ゲートで町へ帰還。
「……疲れた……」
「お、お疲れ様です……それでいかがでしたか?」
「村は見つかりましたか……?」
リーヴァントとジュゼルマリオに訊ねられる。
「……疲れただけだった……ほぼ一日飛び回ってたけど見つけられなかったよ……あなたたちがどこから来たのかわからない……」
これって、彼らがアルトレリアを見つけられたのがそもそも超幸運なんじゃないかしら?
下手したら百人弱の集団で餓死コースよ?
『食料と水を差し出させようとした』って言ってたけど、仮に支配できて、食料と水が手に入ったとして、どうやって村へ帰るつもりだったの? どっちから来たか方角すら分からず、私に至ってはほぼ丸一日飛び回ってすら見つからなかったのに……
いや、ここの上空には疑似太陽というとても分かりやすい目印があるから、それを目指して歩けば、この町に来るのはそれほど難しいことではないのかもしれない。
と言うか――
「リーヴァント! あなた場所分かってるんじゃないの? 一日くらい歩いたところって言ってたし」
「フフ……アルトラ様……その頃、私たちは頭が良くなる前ですよ? アテになると思いますか?」
なぜかフフンという表情で目をつぶりながら、腕を組んでドヤってる感じに話す。
何ドヤってんだ!!
「あなたが一日くらいって言ったんでしょっ!?」
「いえ、まさか迎えに行くと言うとは思わなかったので、その頃の朧げな記憶で多分一日くらい歩いたところで、彼らと遭遇したので、村もその辺りではないかなと思っただけで……」
“リーヴァントがレッドトロルに遭遇したところ”がここから一日くらいのところってことは、もっと遠くの可能性もあるってことか。『一日くらいの距離がある』ってところを重点的に探してたから、そりゃ見つからないわけだ。
いや、その頃は時間的感覚すらアテにならないかもしれないから、もしかしたらもっと近いところにある可能性も……
いや、そもそも“一日くらい”という感覚すらアテになるかどうか……
ああ……これダメだ、捜索範囲が広過ぎて私一人では見つかる気がしない……
ただ村探すだけだからと甘く見ていたけど、流石に見つからなさ過ぎるからもうカイベルに頼ろう!
こんな時のカイベルさんだ!
「カイベル! どの方向行けば良いと思う?」
「そうですね……方向はこちらの方向……の気がします……勘ですが」
と、指し示したのは南南東。最後に行った方向が当たりだったみたいだけど、方角がわずかにズレていたらしい。
『勘ですが』と濁しているが、これは周りに怪しまれないための方便だと思う。カイベルには確実な場所がわかっているはず。
「それよりも、こんなのはどうでしょうか? アルトラ様が凄く上空高く飛びます」
「うんうん、それで?」
「そこから見下ろしたら集落になっている場所がわかるのではないでしょうか?」
「なるほど! 確かに建物が見えればそこに人が住んでるってことになるわ! この辺の土地、今は草原になってきたけど、元々荒野で何も無いしね! 建物が建ってれば上からなら目立つかも!」
確かにより上空から俯瞰して見た方が分かりやすい。こんな何も無い土地なら集落があれば尚更目立つかもしれない。私はそんな簡単なことに気付かなかったのか……
「仮に目立つポイントが村でなかったとしても、超上空から見れば、捜索範囲をかなり絞ることができるのではいでしょうか? あとは、怪しいと思った場所を一つ一つ潰していけば、運が悪くても最終的には村へ行き着くと思います。闇雲に探すよりは余程早いでしょう」
「確かにそれなら怪しいところにだけ突撃できるわね! その方法でやってみよう!」
要するにCoockleマップの要領ってことね!
疲れた身体に鞭打って、上空高くへ飛ぶ。
南南東を向き、下を見ると、何かが固まっている点がいくつかある。怪しいのは三ヶ所。
一ヶ所目へ急降下。
……
…………
………………
結論から言うと、ハズレだった……
住居跡……か、なにか?
いや、ただの天然の岩石地帯なだけかもしれない。
二か所ほど石造りの大きめの建物のようなものがあるから一時的に住んでいたことがあるのかもしれない。
元々乾燥地帯だったが、ここも草木が生い茂り始めている様子。石造りの建物らしきものにも巻き付き始めているのが見える。
ここに居ても意味が無さそうだから、次へ行こう。
◇
次のポイントが当たりだった!
岩山を背に作られた村。三方は石を積み上げたり、盛り土したりして障壁が作られているものの、元・トロル村のように壁続きではないため頑丈では無さそう。よじ登れば入ってこれそうなポイントもあって、防衛能力はあまり高くなさそうね。
家は元・トロル村同様、ほとんどが土や石などを積み上げて出来ていた。手入れもしていないようで、風化が進んでいるところもチラホラ。今にも崩れそうなものもある。
空を飛んでいる最中、一人のレッドトロルに見つかり、その後大勢のレッドトロルに注目された。
それ以上多くの目がこちらに集中する前に町へ帰還する。
「アルトラ様! いかがでしたか?」
「うん、見つけた、じゃあジュゼルマリオ、付いて来てもらえる?」
「わ、わかりました」
ゲートで再びレロル村へ。
思わず独り言を発してしまった……
思えば魔界に来てから、初めてこんなに息を切らせているかもしれない。
日の出まで十二時間くらい飛び回ったが見つけられなかった……
ゲートで町へ帰還。
「……疲れた……」
「お、お疲れ様です……それでいかがでしたか?」
「村は見つかりましたか……?」
リーヴァントとジュゼルマリオに訊ねられる。
「……疲れただけだった……ほぼ一日飛び回ってたけど見つけられなかったよ……あなたたちがどこから来たのかわからない……」
これって、彼らがアルトレリアを見つけられたのがそもそも超幸運なんじゃないかしら?
下手したら百人弱の集団で餓死コースよ?
『食料と水を差し出させようとした』って言ってたけど、仮に支配できて、食料と水が手に入ったとして、どうやって村へ帰るつもりだったの? どっちから来たか方角すら分からず、私に至ってはほぼ丸一日飛び回ってすら見つからなかったのに……
いや、ここの上空には疑似太陽というとても分かりやすい目印があるから、それを目指して歩けば、この町に来るのはそれほど難しいことではないのかもしれない。
と言うか――
「リーヴァント! あなた場所分かってるんじゃないの? 一日くらい歩いたところって言ってたし」
「フフ……アルトラ様……その頃、私たちは頭が良くなる前ですよ? アテになると思いますか?」
なぜかフフンという表情で目をつぶりながら、腕を組んでドヤってる感じに話す。
何ドヤってんだ!!
「あなたが一日くらいって言ったんでしょっ!?」
「いえ、まさか迎えに行くと言うとは思わなかったので、その頃の朧げな記憶で多分一日くらい歩いたところで、彼らと遭遇したので、村もその辺りではないかなと思っただけで……」
“リーヴァントがレッドトロルに遭遇したところ”がここから一日くらいのところってことは、もっと遠くの可能性もあるってことか。『一日くらいの距離がある』ってところを重点的に探してたから、そりゃ見つからないわけだ。
いや、その頃は時間的感覚すらアテにならないかもしれないから、もしかしたらもっと近いところにある可能性も……
いや、そもそも“一日くらい”という感覚すらアテになるかどうか……
ああ……これダメだ、捜索範囲が広過ぎて私一人では見つかる気がしない……
ただ村探すだけだからと甘く見ていたけど、流石に見つからなさ過ぎるからもうカイベルに頼ろう!
こんな時のカイベルさんだ!
「カイベル! どの方向行けば良いと思う?」
「そうですね……方向はこちらの方向……の気がします……勘ですが」
と、指し示したのは南南東。最後に行った方向が当たりだったみたいだけど、方角がわずかにズレていたらしい。
『勘ですが』と濁しているが、これは周りに怪しまれないための方便だと思う。カイベルには確実な場所がわかっているはず。
「それよりも、こんなのはどうでしょうか? アルトラ様が凄く上空高く飛びます」
「うんうん、それで?」
「そこから見下ろしたら集落になっている場所がわかるのではないでしょうか?」
「なるほど! 確かに建物が見えればそこに人が住んでるってことになるわ! この辺の土地、今は草原になってきたけど、元々荒野で何も無いしね! 建物が建ってれば上からなら目立つかも!」
確かにより上空から俯瞰して見た方が分かりやすい。こんな何も無い土地なら集落があれば尚更目立つかもしれない。私はそんな簡単なことに気付かなかったのか……
「仮に目立つポイントが村でなかったとしても、超上空から見れば、捜索範囲をかなり絞ることができるのではいでしょうか? あとは、怪しいと思った場所を一つ一つ潰していけば、運が悪くても最終的には村へ行き着くと思います。闇雲に探すよりは余程早いでしょう」
「確かにそれなら怪しいところにだけ突撃できるわね! その方法でやってみよう!」
要するにCoockleマップの要領ってことね!
疲れた身体に鞭打って、上空高くへ飛ぶ。
南南東を向き、下を見ると、何かが固まっている点がいくつかある。怪しいのは三ヶ所。
一ヶ所目へ急降下。
……
…………
………………
結論から言うと、ハズレだった……
住居跡……か、なにか?
いや、ただの天然の岩石地帯なだけかもしれない。
二か所ほど石造りの大きめの建物のようなものがあるから一時的に住んでいたことがあるのかもしれない。
元々乾燥地帯だったが、ここも草木が生い茂り始めている様子。石造りの建物らしきものにも巻き付き始めているのが見える。
ここに居ても意味が無さそうだから、次へ行こう。
◇
次のポイントが当たりだった!
岩山を背に作られた村。三方は石を積み上げたり、盛り土したりして障壁が作られているものの、元・トロル村のように壁続きではないため頑丈では無さそう。よじ登れば入ってこれそうなポイントもあって、防衛能力はあまり高くなさそうね。
家は元・トロル村同様、ほとんどが土や石などを積み上げて出来ていた。手入れもしていないようで、風化が進んでいるところもチラホラ。今にも崩れそうなものもある。
空を飛んでいる最中、一人のレッドトロルに見つかり、その後大勢のレッドトロルに注目された。
それ以上多くの目がこちらに集中する前に町へ帰還する。
「アルトラ様! いかがでしたか?」
「うん、見つけた、じゃあジュゼルマリオ、付いて来てもらえる?」
「わ、わかりました」
ゲートで再びレロル村へ。
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