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第7章 川完成編
第169話 浄水施設のスライムが分裂し過ぎた時の対処法の実験
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式典後再び、アクアリヴィアの地下水道へやって来た。
地下水道ですぐに見つけたスライムを少し眺める。あ、ちょうど目の前で分裂した。
どれくらいの期間で分裂するのか、また食べたものによってもその期間は変わるのか、それらも全くわかっていない。
じゃあ増え過ぎた場合どうするか?
「食べられるかしら?」
日本人的な考え方なのか、人間的な考え方なのかわからないけど、増えてきたらとりあえず食べられないかを模索する。
ちょっと実験、いや試食してみよう。
「見た目は寒天か心太みたいな感じなんだけど……」
とりあえず目の前にいるスライムを捕まえて、真ん中から脳天直撃で真っ二つにしてみた。
トロッと溶けて消えてしまった……
「ああ……これ食べ物にはならないな。水にしかならない」
一応味も見ておくか。液状化したスライムを指に付けて舐めてみる。
「何の味もしない。無味無臭。ただの水と言っても過言ではないわね」
以前の実験でも、『純水』だと言っていたし。
これは多分私が創成魔法で、常に清浄を保っておくように造り替えてしまったからだろう。
“常に清浄を保つ”から、外からの影響で変化する味や臭い、色が付かないんだ。
一応死んだ後の液状化したものに砂糖を混ぜてみる。
「うん、甘い!」
多分、生きてる間だけ浄化能力が発揮されるのではないかと思われる。
「でも、これ……ただ単に、水に砂糖混ぜたのと同じだ……スライムを食べたって気は全くしない」
じゃあ、死ぬ前に核を抉り出したらどうだろう?
別の個体を捕まえて、核の周りを切って、核だけ取り出してみた。
すると、核が無くなった身体は、そっくりそのままの形を維持したまま残った。
「これは……生きてる状態? 核が切り離されたのに?」
試しにそのまま核を潰してみたところ、身体は変わらずそのままの形で残った。弾力もちゃんと残っている。
切り分けてみたら、寒天状のものが出来た。
砂糖をかけみたところきちんと味が付く、ちゃんと甘い。
「核を身体から切り離した時にどんな状態になってるかってのが関係してるのかしら?」
生きているスライムに手を突っ込むとどちらかと言えば固体より液体のような感じみたいだけど、核を切り離したこれはきちんと形がある。もしかしたら死後硬直のような状態なのかもしれない。
次は試しに核が身体の中にある状態で、上から衝撃を与えて核だけを壊してみたところ、身体だけそのままの形で残った。
つまり――
・核ごと身体を切り裂く ⇒ 身体と核が同時に切られているため、
切ったところから液化していく
・核を抉り出す ⇒ まだ生きていて液化が始まっていないため、
そのままの形で残る
・核だけを壊す ⇒ 身体のどこにも破損が無いため、そのままの形で残る
これらを鑑みると、核だけ上手く壊せれば、寒天状のものとして食べられる。
で、核を取り出していれば、身体の浄化能力が失われるため、味付けも可能と。
毒は……浄化能力があるから多分無いだろう。
分裂して増え過ぎてしまったら、食べることにしよう。
核も一応試食してみたが、身体と同じで無味無臭。ただ、わずかながら身体より核の方が硬かった。
あと……これは蛇足になるけど、抉り出した核を、別のスライムに入れる実験もしてみた。
抉り出した核を、別のスライムに移したところ、移した方の身体に馴染んで核が二つになった。
同じように三つ目を入れてみたところ、核が三つに。
更に四つ目を入れたところ、四つ目の核が身体に入れた瞬間に溶けて無くなってしまった。
これは私が創成魔法で作り変えた時の『核を三つ以上所持できない』の条件通りということになる。
(第74話参照)
その後、抉り出した核を、元の身体に戻してみたところ、何事も無かったかのように再活動を始めた。
次に、二体のスライムの核を抉り出し、互い違いに交換してみたところ、これも全く問題無く再活動。
「スライムって……他人の身体でも活動できるのね……」
まあ人間も、たまに霊体が別の身体乗っ取ったりするから、それと同じようなものかな?
更に、核を抉り出し、残った身体を少し食べた後、核を元に戻してみたところ、少しだけ小さくなって、形だけが再形成された。そこへ水をかけてやったら元の大きさまで戻った。
これについても『常に身体内を清潔に保つ・核の数の分相応の綺麗な身体の形を保つ』の条件通りになっているようだ。
最後に、水で元の大きさに戻ったのを確認したので、今度は核を抉り出し、そのまま水路へ投げ入れてみたところ、水の中から身体を再構築して出て来た。
身体を再構築するまでに少し時間があったが、どうやら核さえ残っていて、水場さえあれば身体を再構築して、活動を再開できるらしい。生前にファンタジーの本で読んだ通り、身体のほとんどが水で構成されてるみたいだ。
つまり、増え過ぎたスライムを少なくするには、核を破壊することが絶対条件ってことかな。
核を破壊すれば水に戻るので、村で食べきれないくらい増えてしまった場合の最終手段と考えよう。
分裂については、木くずのようなスライムにとっては栄養になりそうなものを与えてみたが、分裂する者としない者がいた。特定の条件があるわけではなく、分裂するかどうかは完全にスライムの気まぐれみたいだ。
念のため別の栄養素を与えてみようと、何か無いかと水路内を探してみたところ、死骸が全くと言っていいほど無い。動物の死骸どころか、虫の死骸すら無い!
地下水道だって言うのに、カビも無ければ、コケも生えてない。綺麗過ぎる!
「これって……生態系は大丈夫なのかしら……?」
これってもしかして……『常に身体内を清潔に保つ・核の数の分相応の綺麗な身体の形を保つ』の弊害?
作り変える前のスライムだったら、徐々に身体が汚れていったから、それによって疑似的に満腹感のようなものを得ていたけど、作り変えたことによって清潔を保って全く汚れなくなったから、満腹感のようなものが機能しなくなったのかもしれない。
そこへ偶然ネズミが走って来て、スライムがそれを捕獲。
ネズミはもがき苦しみながらほとんど時間をかけずに消化されてしまった……
「これ、絶対ヤバイやつだ……絶対生態系に影響を与えてるやつだ……!」
急いで目の前のスライムを作り変える。
追加した条件は――
『満腹感を設ける。ただし水をろ過する部分は満腹感とは切り離す』
『スライム全員をリンクさせ、半径十キロ圏内にいるスライムに五十匹の分裂制限を設ける』
『これを遺伝させる。以前の遺伝させる条件を上書き』
これで大丈夫……だと思う。
満腹感を設けておかないと、際限無く食べて、生態系に影響を与える。
さっき走ってるネズミを捕食したのを考えると、満腹感が無いと手あたり次第に食べてる可能性がある。しかも、身体が小さいからか動きも結構早かった。
カビやコケも、それを食べる生物がいるはずだから、全部食べられてしまうと生態系に影響があるはず。とは言え、亜人にとっては綺麗な方が良いから、これについては制限を設けない。
分裂制限を設けて、それぞれのスライムに対し、半径十キロ圏内にスライムが五十匹以上いる場合は、それ以上分裂しないように制限した。
これにより、増え過ぎることも、減り過ぎることもなくなると思う。
この条件は、村のスライムにも適用しよう。
ずっと気付かなかったら、大変なことになってかもしれない。
もっとも……地下水道にカビとかコケとか、ネズミとかいない方が清潔で良いのかもしれないし、前の生態系がおかしくなったら、別の生態系が出来るだけだとは思うけど……
でも、人は変化することを恐れる生物だから、少しぐらい汚れている現状を維持にするのが良い気がする。
さて、新たに出てきた憂いは断ったし、村へ帰るか。
地下水道ですぐに見つけたスライムを少し眺める。あ、ちょうど目の前で分裂した。
どれくらいの期間で分裂するのか、また食べたものによってもその期間は変わるのか、それらも全くわかっていない。
じゃあ増え過ぎた場合どうするか?
「食べられるかしら?」
日本人的な考え方なのか、人間的な考え方なのかわからないけど、増えてきたらとりあえず食べられないかを模索する。
ちょっと実験、いや試食してみよう。
「見た目は寒天か心太みたいな感じなんだけど……」
とりあえず目の前にいるスライムを捕まえて、真ん中から脳天直撃で真っ二つにしてみた。
トロッと溶けて消えてしまった……
「ああ……これ食べ物にはならないな。水にしかならない」
一応味も見ておくか。液状化したスライムを指に付けて舐めてみる。
「何の味もしない。無味無臭。ただの水と言っても過言ではないわね」
以前の実験でも、『純水』だと言っていたし。
これは多分私が創成魔法で、常に清浄を保っておくように造り替えてしまったからだろう。
“常に清浄を保つ”から、外からの影響で変化する味や臭い、色が付かないんだ。
一応死んだ後の液状化したものに砂糖を混ぜてみる。
「うん、甘い!」
多分、生きてる間だけ浄化能力が発揮されるのではないかと思われる。
「でも、これ……ただ単に、水に砂糖混ぜたのと同じだ……スライムを食べたって気は全くしない」
じゃあ、死ぬ前に核を抉り出したらどうだろう?
別の個体を捕まえて、核の周りを切って、核だけ取り出してみた。
すると、核が無くなった身体は、そっくりそのままの形を維持したまま残った。
「これは……生きてる状態? 核が切り離されたのに?」
試しにそのまま核を潰してみたところ、身体は変わらずそのままの形で残った。弾力もちゃんと残っている。
切り分けてみたら、寒天状のものが出来た。
砂糖をかけみたところきちんと味が付く、ちゃんと甘い。
「核を身体から切り離した時にどんな状態になってるかってのが関係してるのかしら?」
生きているスライムに手を突っ込むとどちらかと言えば固体より液体のような感じみたいだけど、核を切り離したこれはきちんと形がある。もしかしたら死後硬直のような状態なのかもしれない。
次は試しに核が身体の中にある状態で、上から衝撃を与えて核だけを壊してみたところ、身体だけそのままの形で残った。
つまり――
・核ごと身体を切り裂く ⇒ 身体と核が同時に切られているため、
切ったところから液化していく
・核を抉り出す ⇒ まだ生きていて液化が始まっていないため、
そのままの形で残る
・核だけを壊す ⇒ 身体のどこにも破損が無いため、そのままの形で残る
これらを鑑みると、核だけ上手く壊せれば、寒天状のものとして食べられる。
で、核を取り出していれば、身体の浄化能力が失われるため、味付けも可能と。
毒は……浄化能力があるから多分無いだろう。
分裂して増え過ぎてしまったら、食べることにしよう。
核も一応試食してみたが、身体と同じで無味無臭。ただ、わずかながら身体より核の方が硬かった。
あと……これは蛇足になるけど、抉り出した核を、別のスライムに入れる実験もしてみた。
抉り出した核を、別のスライムに移したところ、移した方の身体に馴染んで核が二つになった。
同じように三つ目を入れてみたところ、核が三つに。
更に四つ目を入れたところ、四つ目の核が身体に入れた瞬間に溶けて無くなってしまった。
これは私が創成魔法で作り変えた時の『核を三つ以上所持できない』の条件通りということになる。
(第74話参照)
その後、抉り出した核を、元の身体に戻してみたところ、何事も無かったかのように再活動を始めた。
次に、二体のスライムの核を抉り出し、互い違いに交換してみたところ、これも全く問題無く再活動。
「スライムって……他人の身体でも活動できるのね……」
まあ人間も、たまに霊体が別の身体乗っ取ったりするから、それと同じようなものかな?
更に、核を抉り出し、残った身体を少し食べた後、核を元に戻してみたところ、少しだけ小さくなって、形だけが再形成された。そこへ水をかけてやったら元の大きさまで戻った。
これについても『常に身体内を清潔に保つ・核の数の分相応の綺麗な身体の形を保つ』の条件通りになっているようだ。
最後に、水で元の大きさに戻ったのを確認したので、今度は核を抉り出し、そのまま水路へ投げ入れてみたところ、水の中から身体を再構築して出て来た。
身体を再構築するまでに少し時間があったが、どうやら核さえ残っていて、水場さえあれば身体を再構築して、活動を再開できるらしい。生前にファンタジーの本で読んだ通り、身体のほとんどが水で構成されてるみたいだ。
つまり、増え過ぎたスライムを少なくするには、核を破壊することが絶対条件ってことかな。
核を破壊すれば水に戻るので、村で食べきれないくらい増えてしまった場合の最終手段と考えよう。
分裂については、木くずのようなスライムにとっては栄養になりそうなものを与えてみたが、分裂する者としない者がいた。特定の条件があるわけではなく、分裂するかどうかは完全にスライムの気まぐれみたいだ。
念のため別の栄養素を与えてみようと、何か無いかと水路内を探してみたところ、死骸が全くと言っていいほど無い。動物の死骸どころか、虫の死骸すら無い!
地下水道だって言うのに、カビも無ければ、コケも生えてない。綺麗過ぎる!
「これって……生態系は大丈夫なのかしら……?」
これってもしかして……『常に身体内を清潔に保つ・核の数の分相応の綺麗な身体の形を保つ』の弊害?
作り変える前のスライムだったら、徐々に身体が汚れていったから、それによって疑似的に満腹感のようなものを得ていたけど、作り変えたことによって清潔を保って全く汚れなくなったから、満腹感のようなものが機能しなくなったのかもしれない。
そこへ偶然ネズミが走って来て、スライムがそれを捕獲。
ネズミはもがき苦しみながらほとんど時間をかけずに消化されてしまった……
「これ、絶対ヤバイやつだ……絶対生態系に影響を与えてるやつだ……!」
急いで目の前のスライムを作り変える。
追加した条件は――
『満腹感を設ける。ただし水をろ過する部分は満腹感とは切り離す』
『スライム全員をリンクさせ、半径十キロ圏内にいるスライムに五十匹の分裂制限を設ける』
『これを遺伝させる。以前の遺伝させる条件を上書き』
これで大丈夫……だと思う。
満腹感を設けておかないと、際限無く食べて、生態系に影響を与える。
さっき走ってるネズミを捕食したのを考えると、満腹感が無いと手あたり次第に食べてる可能性がある。しかも、身体が小さいからか動きも結構早かった。
カビやコケも、それを食べる生物がいるはずだから、全部食べられてしまうと生態系に影響があるはず。とは言え、亜人にとっては綺麗な方が良いから、これについては制限を設けない。
分裂制限を設けて、それぞれのスライムに対し、半径十キロ圏内にスライムが五十匹以上いる場合は、それ以上分裂しないように制限した。
これにより、増え過ぎることも、減り過ぎることもなくなると思う。
この条件は、村のスライムにも適用しよう。
ずっと気付かなかったら、大変なことになってかもしれない。
もっとも……地下水道にカビとかコケとか、ネズミとかいない方が清潔で良いのかもしれないし、前の生態系がおかしくなったら、別の生態系が出来るだけだとは思うけど……
でも、人は変化することを恐れる生物だから、少しぐらい汚れている現状を維持にするのが良い気がする。
さて、新たに出てきた憂いは断ったし、村へ帰るか。
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