建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~

ヒロノF

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第6章 アルトラの村役所長代理編

第153話 リーヴァントたちが旅行から帰って来た

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 今日リーヴァントたちが帰ってくる予定ということで、アクアリヴィア首都へ迎えに行く。

「アルトラ様、お出迎えありがとうございます!」
「「「ありがとうございます!」」」
「悪いな、わざわざ迎えに来てもらって」

 働きづめだったみんなの顔色が大分良くなった。
 きちんと休むことができたみたいだ。

「リナさん、添乗員の仕事受けてもらってありがとう!」
「いえいえ、トラブルも無く日程をこなせました。とは言え、買い物自体が初めてだっていうところは少々戸惑ってしまいましたが……」
「そこは物々交換文化圏だから仕方ないかな……今後村で通貨制度に当たるものを作りたいから、彼らに先に買い物の様子や方法を学んでほしかった」
「以前アルトラ様が水の国ここを訪問された時に普通に買い物してたので、今回任された方々も同じようなものかと思ってたのでどこから教えて良いのかと」
「ごめんね~、全部丸投げみたいな形になっちゃって」
「みなさん静かな方だったので、素直に聞いてもらえて教えるのもスムースに進みました」
「今回の旅行は、私から見てもみんな真面目な人ばかりだったからね、トラブル無く終えられたようで良かったわ」

 旅行に発つ前にナナトスに一緒に行ってもらえるか打診しようか迷ったけど、ナナトス入れてたら口説いたり、騒いだりで話が進まなかったかもしれないな~……リナさん美人さんだし。

「じゃあ、これ今回のお礼です」
 贈呈用の潤いの木の実。

「わぁ~! ありがとうございます! これ凄く美味しかったんで、また食べたいと思ってたんですよ!」
「あとこれを」
 案内してくれたことの謝礼金を渡した。

「ありがとうございます!」
「こちらこそありがとう! 十分包んだつもりだけど、少なかったらごめんね」

 みんな大分お疲れだったということで、初日はリラクゼーション施設へ行くように希望を出していた。
 その後はあちらへお任せすることにした。

 本来ならツアー会社に委託という感じになると思うが、最初に相談したのが女王であるレヴィだったため、以前私を案内してくれた縁ということと、少人数だったということでリナさんへ依頼が行ったらしい。
 都合の良いことに、ツアー会社を経営しているらしく、ツアー会社と協力の上、みんなを案内してくれたとか。
 会社経営! 他にもいくつか事業を持っているらしい。リナさんすっげぇ……
 ってことはトーマスも……?





 そして肝心な買い物はどうしたか、と言うと――

 ヘパイトスさんは酒とつまみのみ。
 孫弟子のドワーフたち曰く、「酒とつまみと住むところさえあれば他はいらん」らしく、希望に沿って酒とつまみだけ買って来たらしい。
 自分のものも、酒と食べ物ばかり。
 二ヶ月振りにドワーフ商会に帰り、孫のヒノモトくん、息子のニーホンさんとも会っていたとか。

 ハンバームちゃん、クリスティンは、ヤポーニャさんとウィンドショッピングに出て、服飾品を買って来たとのこと。
 ハンバームちゃんは普段、ずっと厨房にいるからおしゃれすることも無いということで、ヤポーニャさんが誘ってコーディネートしたとか。
 あと、食材と調理用具を買って来たみたい。まあお小遣いの範囲ではそう大したものは買えなかったみたいだけど……ちょっとお小遣い少なすぎたかな。申し訳ない。
 クリスティンは、自分が勉強するための本を複数冊買ってきたみたいだ。

 ダイクーとカペンタは、予想通り大工道具。ヘパイトスさんが付いて色々と見繕っていたとか。
 様子を見ていたリナさんによると、凄く楽しそうに物を選んでいたらしい。
 正直言って私が見ても、何に使うものかわからないものばかり。こういうのはちゃんと専門的な知識持った人が行かないとダメね。
 かと思ったら、小さめの電動ノコギリみたいな、私にも分かる物がある。
 でも、建築部には自家発電機が無いから、電ノコ使うには新たに作ってもらう必要があるわね。
 しかし、これでこの村の生活がまた少し豊かになるかもしれない。

 リーヴァントは、実用性の無い物を多く買って来た。
 どこかの部族のお面みたいなものとか、木彫りの熊……あ、これ熊じゃないな、多分木彫りのイルカ? いやちょっと太めだからジュゴンかな? こちらの世界にもいるんだ。
 あと、提灯とか、何かよくわからん掛け軸みたいなものタペストリー?とか言うやつかな? 昔の日本のザ・旅行の品という感じのもの。
 多分、文化とかそういうのに興味があるのだと好意的に解釈しておこう。
 まあ自由に買って来いって言ったのは私だし、別に文句は無い。
 私から見たら無駄なものに見えたから、奥さんに怒られるかと想像していたけど、奥さんも見たことないものばかりで喜んでいたらしい。
 あと、役所で使おうと思ったのかホワイトボードとそれに使うためのペンを買って来た。
 それと……眼鏡? 目が悪くなったとは言ってたけど……
      (第112話参照)

「みんな、旅行は楽しめたかしら?」
「はい! 十分休ませていただきました!」
「二ヶ月振りに孫に会えたのが良かった」
「私も私も!」
「水族館凄かったよ!」
 あ、あそこ行ったのか。ある程度見慣れてる私ですら楽しいところだったから、水生生物を見たことがないこの村の人は驚きだったでしょうね。

「工場見学などもしてきました!」
 へぇ~、後々どこ行ったのか聞いてみるか。その見て来た経験をこの村へ還元してくれるかもしれない。

「村のみんなはお金の使い方もわかってもらえたかな?」
「はい、色んな物を見られた楽しかったですよ!」
「都会には物が沢山あるので、目移りしてしまいました」
「この村でも沢山物が増えていったら良いですね!」

 これで、一応買い物の仕方について知る人が増えた。
 通貨制度を導入した際も、他の人に教えられると思う。導入時の混乱も幾らか緩和されるでしょう。

 さて、リーヴァントも帰って来たし、これで私も役所長代理から解放される……と思ったけど、今日は帰りの日だから、今日いっぱい休んでもらって、明日からまた仕事に復帰してもらおうか。
 この帰りの日を考慮してなかったから、昨日が最終日だと思ってたけど、実質今日が最終日ってことかな。
 この日の依頼は、昨日の雨で増えた草むしり、流れて来た土で塞がったドブさらい、水たまりの補修程度の、私以外にもできるものが多かった。真の最終日は無難に終わった。






 後日、トーマスに会社を経営しているかそれとなく聞いてみたところ、曰く――

トロル村こちらに来るにあたって、部下に任せてきました。ここへ来ることになった経緯とかは私たちが全面的に悪いので流石に説明できませんし、年単位で帰れないと伝えて来たので、ほぼ手放したようなものです』

 と、苦笑しながら話してくれた。
 それは勿体ないな……そして被害受けた側なのに、ちょっと申し訳ない気がする……
 しかし会社経営とは……凄い兄妹だ……
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