154 / 544
第6章 アルトラの村役所長代理編
第153話 リーヴァントたちが旅行から帰って来た
しおりを挟む
今日リーヴァントたちが帰ってくる予定ということで、アクアリヴィア首都へ迎えに行く。
「アルトラ様、お出迎えありがとうございます!」
「「「ありがとうございます!」」」
「悪いな、わざわざ迎えに来てもらって」
働きづめだったみんなの顔色が大分良くなった。
きちんと休むことができたみたいだ。
「リナさん、添乗員の仕事受けてもらってありがとう!」
「いえいえ、トラブルも無く日程をこなせました。とは言え、買い物自体が初めてだっていうところは少々戸惑ってしまいましたが……」
「そこは物々交換文化圏だから仕方ないかな……今後村で通貨制度に当たるものを作りたいから、彼らに先に買い物の様子や方法を学んでほしかった」
「以前アルトラ様が水の国を訪問された時に普通に買い物してたので、今回任された方々も同じようなものかと思ってたのでどこから教えて良いのかと」
「ごめんね~、全部丸投げみたいな形になっちゃって」
「みなさん静かな方だったので、素直に聞いてもらえて教えるのもスムースに進みました」
「今回の旅行は、私から見てもみんな真面目な人ばかりだったからね、トラブル無く終えられたようで良かったわ」
旅行に発つ前にナナトスに一緒に行ってもらえるか打診しようか迷ったけど、ナナトス入れてたら口説いたり、騒いだりで話が進まなかったかもしれないな~……リナさん美人さんだし。
「じゃあ、これ今回のお礼です」
贈呈用の潤いの木の実。
「わぁ~! ありがとうございます! これ凄く美味しかったんで、また食べたいと思ってたんですよ!」
「あとこれを」
案内してくれたことの謝礼金を渡した。
「ありがとうございます!」
「こちらこそありがとう! 十分包んだつもりだけど、少なかったらごめんね」
みんな大分お疲れだったということで、初日はリラクゼーション施設へ行くように希望を出していた。
その後はあちらへお任せすることにした。
本来ならツアー会社に委託という感じになると思うが、最初に相談したのが女王であるレヴィだったため、以前私を案内してくれた縁ということと、少人数だったということでリナさんへ依頼が行ったらしい。
都合の良いことに、ツアー会社を経営しているらしく、ツアー会社と協力の上、みんなを案内してくれたとか。
会社経営! 他にもいくつか事業を持っているらしい。リナさんすっげぇ……
ってことはトーマスも……?
そして肝心な買い物はどうしたか、と言うと――
ヘパイトスさんは酒とつまみのみ。
孫弟子のドワーフたち曰く、「酒とつまみと住むところさえあれば他はいらん」らしく、希望に沿って酒とつまみだけ買って来たらしい。
自分のものも、酒と食べ物ばかり。
二ヶ月振りにドワーフ商会に帰り、孫のヒノモトくん、息子のニーホンさんとも会っていたとか。
ハンバームちゃん、クリスティンは、ヤポーニャさんとウィンドショッピングに出て、服飾品を買って来たとのこと。
ハンバームちゃんは普段、ずっと厨房にいるからおしゃれすることも無いということで、ヤポーニャさんが誘ってコーディネートしたとか。
あと、食材と調理用具を買って来たみたい。まあお小遣いの範囲ではそう大したものは買えなかったみたいだけど……ちょっとお小遣い少なすぎたかな。申し訳ない。
クリスティンは、自分が勉強するための本を複数冊買ってきたみたいだ。
ダイクーとカペンタは、予想通り大工道具。ヘパイトスさんが付いて色々と見繕っていたとか。
様子を見ていたリナさんによると、凄く楽しそうに物を選んでいたらしい。
正直言って私が見ても、何に使うものかわからないものばかり。こういうのはちゃんと専門的な知識持った人が行かないとダメね。
かと思ったら、小さめの電動ノコギリみたいな、私にも分かる物がある。
でも、建築部には自家発電機が無いから、電ノコ使うには新たに作ってもらう必要があるわね。
しかし、これでこの村の生活がまた少し豊かになるかもしれない。
リーヴァントは、実用性の無い物を多く買って来た。
どこかの部族のお面みたいなものとか、木彫りの熊……あ、これ熊じゃないな、多分木彫りのイルカ? いやちょっと太めだからジュゴンかな? こちらの世界にもいるんだ。
あと、提灯とか、何かよくわからん掛け軸みたいなものタペストリー?とか言うやつかな? 昔の日本のザ・旅行の品という感じのもの。
多分、文化とかそういうのに興味があるのだと好意的に解釈しておこう。
まあ自由に買って来いって言ったのは私だし、別に文句は無い。
私から見たら無駄なものに見えたから、奥さんに怒られるかと想像していたけど、奥さんも見たことないものばかりで喜んでいたらしい。
あと、役所で使おうと思ったのかホワイトボードとそれに使うためのペンを買って来た。
それと……眼鏡? 目が悪くなったとは言ってたけど……
(第112話参照)
「みんな、旅行は楽しめたかしら?」
「はい! 十分休ませていただきました!」
「二ヶ月振りに孫に会えたのが良かった」
「私も私も!」
「水族館凄かったよ!」
あ、あそこ行ったのか。ある程度見慣れてる私ですら楽しいところだったから、水生生物を見たことがないこの村の人は驚きだったでしょうね。
「工場見学などもしてきました!」
へぇ~、後々どこ行ったのか聞いてみるか。その見て来た経験をこの村へ還元してくれるかもしれない。
「村のみんなはお金の使い方もわかってもらえたかな?」
「はい、色んな物を見られた楽しかったですよ!」
「都会には物が沢山あるので、目移りしてしまいました」
「この村でも沢山物が増えていったら良いですね!」
これで、一応買い物の仕方について知る人が増えた。
通貨制度を導入した際も、他の人に教えられると思う。導入時の混乱も幾らか緩和されるでしょう。
さて、リーヴァントも帰って来たし、これで私も役所長代理から解放される……と思ったけど、今日は帰りの日だから、今日いっぱい休んでもらって、明日からまた仕事に復帰してもらおうか。
この帰りの日を考慮してなかったから、昨日が最終日だと思ってたけど、実質今日が最終日ってことかな。
この日の依頼は、昨日の雨で増えた草むしり、流れて来た土で塞がったドブさらい、水たまりの補修程度の、私以外にもできるものが多かった。真の最終日は無難に終わった。
後日、トーマスに会社を経営しているかそれとなく聞いてみたところ、曰く――
『トロル村に来るにあたって、部下に任せてきました。ここへ来ることになった経緯とかは私たちが全面的に悪いので流石に説明できませんし、年単位で帰れないと伝えて来たので、ほぼ手放したようなものです』
と、苦笑しながら話してくれた。
それは勿体ないな……そして被害受けた側なのに、ちょっと申し訳ない気がする……
しかし会社経営とは……凄い兄妹だ……
「アルトラ様、お出迎えありがとうございます!」
「「「ありがとうございます!」」」
「悪いな、わざわざ迎えに来てもらって」
働きづめだったみんなの顔色が大分良くなった。
きちんと休むことができたみたいだ。
「リナさん、添乗員の仕事受けてもらってありがとう!」
「いえいえ、トラブルも無く日程をこなせました。とは言え、買い物自体が初めてだっていうところは少々戸惑ってしまいましたが……」
「そこは物々交換文化圏だから仕方ないかな……今後村で通貨制度に当たるものを作りたいから、彼らに先に買い物の様子や方法を学んでほしかった」
「以前アルトラ様が水の国を訪問された時に普通に買い物してたので、今回任された方々も同じようなものかと思ってたのでどこから教えて良いのかと」
「ごめんね~、全部丸投げみたいな形になっちゃって」
「みなさん静かな方だったので、素直に聞いてもらえて教えるのもスムースに進みました」
「今回の旅行は、私から見てもみんな真面目な人ばかりだったからね、トラブル無く終えられたようで良かったわ」
旅行に発つ前にナナトスに一緒に行ってもらえるか打診しようか迷ったけど、ナナトス入れてたら口説いたり、騒いだりで話が進まなかったかもしれないな~……リナさん美人さんだし。
「じゃあ、これ今回のお礼です」
贈呈用の潤いの木の実。
「わぁ~! ありがとうございます! これ凄く美味しかったんで、また食べたいと思ってたんですよ!」
「あとこれを」
案内してくれたことの謝礼金を渡した。
「ありがとうございます!」
「こちらこそありがとう! 十分包んだつもりだけど、少なかったらごめんね」
みんな大分お疲れだったということで、初日はリラクゼーション施設へ行くように希望を出していた。
その後はあちらへお任せすることにした。
本来ならツアー会社に委託という感じになると思うが、最初に相談したのが女王であるレヴィだったため、以前私を案内してくれた縁ということと、少人数だったということでリナさんへ依頼が行ったらしい。
都合の良いことに、ツアー会社を経営しているらしく、ツアー会社と協力の上、みんなを案内してくれたとか。
会社経営! 他にもいくつか事業を持っているらしい。リナさんすっげぇ……
ってことはトーマスも……?
そして肝心な買い物はどうしたか、と言うと――
ヘパイトスさんは酒とつまみのみ。
孫弟子のドワーフたち曰く、「酒とつまみと住むところさえあれば他はいらん」らしく、希望に沿って酒とつまみだけ買って来たらしい。
自分のものも、酒と食べ物ばかり。
二ヶ月振りにドワーフ商会に帰り、孫のヒノモトくん、息子のニーホンさんとも会っていたとか。
ハンバームちゃん、クリスティンは、ヤポーニャさんとウィンドショッピングに出て、服飾品を買って来たとのこと。
ハンバームちゃんは普段、ずっと厨房にいるからおしゃれすることも無いということで、ヤポーニャさんが誘ってコーディネートしたとか。
あと、食材と調理用具を買って来たみたい。まあお小遣いの範囲ではそう大したものは買えなかったみたいだけど……ちょっとお小遣い少なすぎたかな。申し訳ない。
クリスティンは、自分が勉強するための本を複数冊買ってきたみたいだ。
ダイクーとカペンタは、予想通り大工道具。ヘパイトスさんが付いて色々と見繕っていたとか。
様子を見ていたリナさんによると、凄く楽しそうに物を選んでいたらしい。
正直言って私が見ても、何に使うものかわからないものばかり。こういうのはちゃんと専門的な知識持った人が行かないとダメね。
かと思ったら、小さめの電動ノコギリみたいな、私にも分かる物がある。
でも、建築部には自家発電機が無いから、電ノコ使うには新たに作ってもらう必要があるわね。
しかし、これでこの村の生活がまた少し豊かになるかもしれない。
リーヴァントは、実用性の無い物を多く買って来た。
どこかの部族のお面みたいなものとか、木彫りの熊……あ、これ熊じゃないな、多分木彫りのイルカ? いやちょっと太めだからジュゴンかな? こちらの世界にもいるんだ。
あと、提灯とか、何かよくわからん掛け軸みたいなものタペストリー?とか言うやつかな? 昔の日本のザ・旅行の品という感じのもの。
多分、文化とかそういうのに興味があるのだと好意的に解釈しておこう。
まあ自由に買って来いって言ったのは私だし、別に文句は無い。
私から見たら無駄なものに見えたから、奥さんに怒られるかと想像していたけど、奥さんも見たことないものばかりで喜んでいたらしい。
あと、役所で使おうと思ったのかホワイトボードとそれに使うためのペンを買って来た。
それと……眼鏡? 目が悪くなったとは言ってたけど……
(第112話参照)
「みんな、旅行は楽しめたかしら?」
「はい! 十分休ませていただきました!」
「二ヶ月振りに孫に会えたのが良かった」
「私も私も!」
「水族館凄かったよ!」
あ、あそこ行ったのか。ある程度見慣れてる私ですら楽しいところだったから、水生生物を見たことがないこの村の人は驚きだったでしょうね。
「工場見学などもしてきました!」
へぇ~、後々どこ行ったのか聞いてみるか。その見て来た経験をこの村へ還元してくれるかもしれない。
「村のみんなはお金の使い方もわかってもらえたかな?」
「はい、色んな物を見られた楽しかったですよ!」
「都会には物が沢山あるので、目移りしてしまいました」
「この村でも沢山物が増えていったら良いですね!」
これで、一応買い物の仕方について知る人が増えた。
通貨制度を導入した際も、他の人に教えられると思う。導入時の混乱も幾らか緩和されるでしょう。
さて、リーヴァントも帰って来たし、これで私も役所長代理から解放される……と思ったけど、今日は帰りの日だから、今日いっぱい休んでもらって、明日からまた仕事に復帰してもらおうか。
この帰りの日を考慮してなかったから、昨日が最終日だと思ってたけど、実質今日が最終日ってことかな。
この日の依頼は、昨日の雨で増えた草むしり、流れて来た土で塞がったドブさらい、水たまりの補修程度の、私以外にもできるものが多かった。真の最終日は無難に終わった。
後日、トーマスに会社を経営しているかそれとなく聞いてみたところ、曰く――
『トロル村に来るにあたって、部下に任せてきました。ここへ来ることになった経緯とかは私たちが全面的に悪いので流石に説明できませんし、年単位で帰れないと伝えて来たので、ほぼ手放したようなものです』
と、苦笑しながら話してくれた。
それは勿体ないな……そして被害受けた側なのに、ちょっと申し訳ない気がする……
しかし会社経営とは……凄い兄妹だ……
1
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。

私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?

奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!
よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

忌むべき番
藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」
メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。
彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。
※ 8/4 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?


孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下
akechi
ファンタジー
ルル8歳
赤子の時にはもう孤児院にいた。
孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。
それに貴方…国王陛下ですよね?
*コメディ寄りです。
不定期更新です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる