建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~

ヒロノF

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第6章 アルトラの村役所長代理編

第151話 依頼達成記録

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 一方の同時刻、分身体サイド。

「あ、優雅にずっとティータイムと思ってたけど、依頼達成記録付けなきゃ!」

 この村ではまだ役所の業務という業務、つまりお金が絡む問題を行うことがないため、住民の依頼を聞くことが主な業務になっている。
 この『依頼達成記録』は、言うなれば業務日誌ってところか。
 この業務日誌を元にして、未来で解決できるようになることがあるかもしれないから、依頼を達成したら付ける、ということを初日にマリリアに聞いたことを忘れてた。

 ちなみに直前の記録は、一昨日のルークの剪定作業の依頼になってる。
 依頼達成記録を見ると、割と草むしりとか清掃とか、環境美化活動が多い。あとは生態調査組の人手がほしいから一時いっとき手伝いをしてほしいとか、中央付近に引っ越したいから手伝ってほしいとかが稀にある。頼まれ事はほとんどが雑用だ。

「え~と、私の代理業務初日って何日だっけ? マリリア、今日何日?」
「九月二十四日です!」
「ってことは二日前だから、二十二日か」






 ◆依頼達成記録
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――
                             作成者:アルトラ
 ▼日付
 二千二十一年九月二十二日

 ▼天気
 晴れ

 ▼依頼者
 ウレイン

 ▼依頼内容 
 村はずれの空き家に子供のゴーストが住み着いて近隣住民が怖がっているので何とかしてほしい。

 ▼対応方法
 役所長代理のアルトラが対応。フレハル、アリサ、レイアにも協力を要請。
 村はずれの空き家にて、子供と思われるゴーストを発見。
 襲ってくる気配が無く、何か言っているようなので耳を澄ませて聞いてみたところ、親を探しているらしいことがわかった。
 子供のゴーストの親を探し、未練を鎮めたのち除霊。
 除霊方法はアルトラの光魔法『昇天魔法リターン・ヘブン』によるもの。
 そのためこういった依頼が来ることを想定して、最低一人は役所に光術師を待機・育成しておくことを推奨する。

 ▼その他
 また、この住み着いた家がどうやら元々のリーヴァントの家らしいので、早々に対処されたし。
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 こんな感じかな?
 人間界ではこんなのは役所の仕事じゃないけど、またこんな珍しい依頼来たりするかしら?
 物凄く稀な依頼な気がする……光術師を確保しておくのはまだしも、育成は無駄な気もする……
 私がこの村に生存している間は私がやるか。その後のことは未来の村民に考えてもらおう。
 その他欄に『アルトラが村に現存している間は、アルトラに依頼すると良い』と付け足しておいた。

 って言うか空き家は更地にしておいてくれ、またゴーストが住み着くかもしれんから。
 よし、次!






 ◆依頼達成記録
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――
                             作成者:アルトラ
 ▼日付
 二千二十一年九月二十二日

 ▼天気
 晴れ

 ▼依頼者
 フィンツ、フロセル、ルドルフ

 ▼依頼内容 
 酒が切れたから買い出しに行きたい。

 ▼対応方法
 役所長代理のアルトラが対応。
 水の国アクアリヴィアの首都トリトナへ、空間魔法『ゲート』にて買い出しに行く。

 ▼その他
 現状アルトラにしか出来ないため、今後の参考にしなくてもよい。
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 何だこの日誌……ただのお買い物じゃない……
 これ書き記しておく必要あるかな? ただ買い出しに出ただけだし……
 現状私にしか出来ない依頼だし。

 あ~、『買い物』って名称自体がまだ無いんだっけ、ちょっと書き換えておくか。
 でも『買い出し』の代替名称って何になるんだ?
 貨幣と交換……そもそも『貨幣』って名称も無い!

 いや、もう二度ほど外国で色んな物買って来てるし、少なくともこの記録を見るであろうと役所の人は理解してるはずだ!
 私も無意識に各所で「買って来た」を連発してたし、理解されてる……と思う!
 う~ん……じゃあ、このままで良いか、後々通貨制度を導入する予定だし。
 次。






 ◆依頼達成記録
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――
                             作成者:アルトラ
 ▼日付
 二千二十一年九月二十二日

 ▼天気
 晴れ

 ▼依頼者
 メイフィー、アールシア、ジーメリー、ビーメイヤ

 ▼依頼内容 
 畑を拡張したいから開墾を手伝ってほしい。

 ▼対応方法
 役所長代理のアルトラが対応。
 現在ある畑を視察後、新たな畑を開墾するため、村の壁の外へ移動。
 手近な土地を畑として開墾した。

 その際、想定を超える規模の魔法を使って撹拌したため、村に小規模な地震が起こる。
 特別な被害は無し、負傷者はゼロ。

 ▼その他
 現状アルトラにしか出来ないものの、人数がいれば再現できないこともない。
 また、アルトラは今後注意して魔法を使われたし。
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 自分で書いたものに、自分が叱られてるけど……まあ仕方がない。
 ホントに被害無くて良かった……

 レポートを書いている最中に後ろからエリスリーンに覗き込まれた。
「フフッ、何で自分を叱ってるんですか?」
「自分への戒めって感じかな……」

 私の能力が恐ろしいのか、文句や不満は言われても、叱られることがまず無いからね……この時は珍しく怒られたけど。
 それでも自戒は必要だ。
 次。






 ◆依頼達成記録
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――
                             作成者:アルトラ
 ▼日付
 二千二十一年九月二十三日

 ▼天気
 晴れ

 ▼依頼者
 チーノス

 ▼依頼内容 
 刺す虫が集団で街路樹に留まってしまったため、何とかしてほしい。

 ▼対応方法
 役所長代理のアルトラが対応。
 刺す虫は『蜂』という虫で、彼らが引っ越しの最中に街路樹を休憩場所としたため、その対応をするため出動。
 ミツバチという、美味しい蜜を作ってくれる種類だったため、巣箱を作ってそこへ移住させた。
 巣箱は村はずれの丘の上に設置。

 ▼その他
 飼育が少々危険なため、アルトラ、カイベルが飼育を担当中。
 巣箱付近は近付いてもそれほど危険ではないものの、刺激すれば刺す可能性があるため、村民は接近をなるべく控えること。
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ああ、そうだ、これについて回覧板で回しておかないと!
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