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第3章 水の国アクアリヴィア探訪編
第70話 いざ、高級ホテル!
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いざ、ホテルの中へ!
中に入ってみると――
ああ……これは私が知ってるホテルのエントランスじゃないわ。
顔が映り込みそうなぐらい磨かれている床。柱はライトアップされて光っている。電灯だって普通じゃない! 天井からでっかいシャンデリアが吊り下がっている。階段は私が知っているプラスチックの手すりが付いた螺旋階段ではない。
日本で言うと最高級とまでは行かないが、数万はする高級ホテルといったところ。
私の記憶の中にあるホテルのエントランスは数千円から一万数千円で泊まれる『さんぽの宿』くらいのイメージしかない。
これエントランス見ただけでわかる、高っかいやつや!
豪華絢爛でセレブが来るところでしかない。
気圧されてすぐにホテルから出てきてしまった。
「はぁ……」
ホテルの入り口付近で項垂れる。
「アルトラ様、ご気分でも優れないのですか?」
様子がおかしい私を心配して追いかけて来てくれた。
「大丈夫……ちょっと立ちくらみがしただけだから……次はちゃんとチェックインする」
この身体になって体調悪かったことなんて全く無かったのに、こんなことで立ちくらみを起こすとは……環境変化のストレスってのは侮れない……
再びホテル内へ。
チェックインカウンターに向かう。
「いらっしゃいませお客様、本日はいかがされましたか?」
「えーと、ここに泊まれるように手配していただいてると思うのですが?」
「お名前をお教え願えますか?」
「アルトラ……じゃなかった、ベルゼビュートと申します。アクアリヴィア近衛兵団のルーファス団長から連絡が来ていませんか?」
「ベルゼビュート様ですか、はい、確かに承っております。何か身分を証明するものはありますか?」
え!? 身分証明書!? この世界でもそんなの必要なの? 流石高級ホテル!
でもどうしよう、そんなの持ったことないよ!
「すみません、私の国ではまだ身分証明書というものを発行してはいないので持ってません……」
「それは困りましたね……ご本人確認出来ないとお泊めするわけにはまいりませんし……」
「この方はベルゼビュート様本人で間違いありません」
リナさんが助け舟を出してくれた。が、そんな口添えだけで何とかなるわけが……
「これはリナ様、ごひいきにしていただきありがとうございます。ルーファス様に加え、リナ様のご紹介であれば信用しても大丈夫でしょう。お部屋をご案内致します」
え!? ホントに良いの? そんな口添えだけで何とかなるもんなの?
いや、それより何この影響力?
この方一体どんな人なの? 私の護衛なんてやってて良い人なの?
「さ、アルトラ様、お部屋に参りましょう」
エレベーターまで案内される。
右隣には階段がある。
しかし左隣を見ると「有翼族はこちらもご利用になれます」という文言と共に行き止まり。
「何だこれ?」
中に入ってみるとやっぱり行き止まりで何も無い。なぜか床が沈み込むくらい柔らかい。
上を見ると上層階まで吹き抜けになっている。煙突のような構造だ。
「リナさん、これってなんの設備?」
「ああ、それは翼がある人向けのものですね。翼がある人はそこを飛んで各階へ行けます。エレベーターは遅いのでせっかちな人はそれを使う人が多いですね」
「へぇ~……」
飛べる人間が存在しない人間界には絶対に無い設備だ。
「でも、これって翼が無い人が落下したりしたら危なくないの?」
「それを見越して床が柔らかい素材になっています。最上階から落下しても怪我一つしませんよ。むしろ帰りはこれを利用する人が多いくらいで。子供なんか嬉々として落下していきますよ」
落下する人のことまでちゃんと考えられてるのか。よく見たら壁も柔らか素材で、ぶち当たっても大丈夫そうだ。
昇りの吹き抜けと下りの吹き抜けにちゃんと分かれているから昇ってる間に別の人が落下してきてぶつかるということもない。
下に誰かいる時には自動的に風の球に閉じ込められて落下を一時阻止され、下に誰もいなくなってぶつかる危険が無くなると解除され落下。きっと魔法技術が無ければ作れないシステムだと思う。
エレベーターに乗り込む。
もう何かここが魔界ってことも忘れるくらい、普通に人間界と同じ光景だ。
私が堕とされた地獄の門付近が特別未開の土地だったのかな? あの辺最初の頃な~~んにも無かったし。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
10階に着いた。
部屋へ入ると――
「わぁ……」
室内に入ると大きいベッドが目に留まった、これが噂に聞くキングサイズってやつかしら? クイーンサイズ? 見たことないからわからん。
床は全面絨毯張り、白を基調としたものでポイントポイントに黒が入ってシックな感じだ。
寝転んでみたところ、ふかふかで良い気持ちだ。ベッドに寝ないで床に寝るのも良いかもしれない。
どうせなのでゴロゴロしてみた。
「アルトラ様……」
「あっ……」
床に寝転んでゴロゴロしているのを見ていたリナさんが少々呆れ顔だ。私は前世からお金持ちではないから、もうこのふかふかで気持ち良い床の方だけで満足できる。
本当のお金持ちからすると、床に寝るのは奇行に映ったかな?
「ごめんなさい、あまりにも気持ち良さそうだったから……」
「ふっ……ふふ……コロコロコロコロと猫みたいな方ですね」
軽蔑はされなかったみたいだ。
窓は全面ガラス張り、下を見ると街の様子が見える。
人間だった頃は忙し過ぎてあまり泊まりに行った記憶は無いが、まさか死んでから高級ホテルに泊まることができるようになるとは……
「人生ホントに何が起こるかわからないものだ」
もう既に疑似太陽も沈みかけていて、人口の光がそこかしこに灯っている。
昨日まで生活していたトロル村と同じ世界にいるとは思えない光景だ。
トロル村もいずれはこれに近い景色に出来れば良いのだけど……
以前村の子供に「何で時計が必要か」って質問を受けたことがあったけど、あの時はこの世界で時計なんて必要無いんじゃないかと思っていた。魔界全体がトロル村のような未開の世界だと思っていたから。
もっと言うと、転生前は『魔界』と言うと、争いばかりの修羅の国だと思っていた。常に食うや食われるやって世界なのかと。
住んでみればそれほどまでの極悪人ってのは中々いない。
悪魔って種族も、今のところまだ見たことがない。多分レヴィアタンはそうなんだろうけど。
まあ、少し考えれば、争いや略奪ばかりだとみんなが生きていくことができないから、誰か生産する人が必要だとわかるんだけどね……
意外なことにまだ奴隷というのにお目にかかったことがないけど、別の国には存在するのかな?
さて、空も暗くなってきた。そろそろレヴィアタンとの面会の時間が近いかもしれない。
「私の村では時計はまだ必要無いかもしれないけど、この街では必要そうね」
あれ? そういえばどうやって会ってもらえる時間がわかるんだろ?
「リナさん、レヴィアタンがいつ公務が終わるのか、どうやってわかるの?」
「あ、それは通信機もってるので大丈夫ですよ」
携帯電話のようなものを見せてくれた。日本に昔あった『通信だけできる携帯電話』という感じだ。
この街の技術って人間界と特別大きな差はないな。それでもまだ数十年分くらいの技術差がありそうだけど。
スマホではないのが残念だけど、多分10年後くらいにはガラケーに当たるものが出来ていそうだ。
レヴィアタンに会うための準備をしておくか。
と言っても特にやらなければならないことはない。
しかし、女王様に会うのだから、フォーマルドレスを購入したのは正解だったかもしれない。
どういう会い方をするのだろう? 普通に女王と平民として謁見の間で会うのか? それとも個室のようなところで友達のような会い方をするのか?
わざわざ「夜までかかるかもしれない」と教えてくれたということは、後者の方が可能性が高い。
と言うか女王様に会う作法なんてわからないから、できれば後者であってほしい。
中に入ってみると――
ああ……これは私が知ってるホテルのエントランスじゃないわ。
顔が映り込みそうなぐらい磨かれている床。柱はライトアップされて光っている。電灯だって普通じゃない! 天井からでっかいシャンデリアが吊り下がっている。階段は私が知っているプラスチックの手すりが付いた螺旋階段ではない。
日本で言うと最高級とまでは行かないが、数万はする高級ホテルといったところ。
私の記憶の中にあるホテルのエントランスは数千円から一万数千円で泊まれる『さんぽの宿』くらいのイメージしかない。
これエントランス見ただけでわかる、高っかいやつや!
豪華絢爛でセレブが来るところでしかない。
気圧されてすぐにホテルから出てきてしまった。
「はぁ……」
ホテルの入り口付近で項垂れる。
「アルトラ様、ご気分でも優れないのですか?」
様子がおかしい私を心配して追いかけて来てくれた。
「大丈夫……ちょっと立ちくらみがしただけだから……次はちゃんとチェックインする」
この身体になって体調悪かったことなんて全く無かったのに、こんなことで立ちくらみを起こすとは……環境変化のストレスってのは侮れない……
再びホテル内へ。
チェックインカウンターに向かう。
「いらっしゃいませお客様、本日はいかがされましたか?」
「えーと、ここに泊まれるように手配していただいてると思うのですが?」
「お名前をお教え願えますか?」
「アルトラ……じゃなかった、ベルゼビュートと申します。アクアリヴィア近衛兵団のルーファス団長から連絡が来ていませんか?」
「ベルゼビュート様ですか、はい、確かに承っております。何か身分を証明するものはありますか?」
え!? 身分証明書!? この世界でもそんなの必要なの? 流石高級ホテル!
でもどうしよう、そんなの持ったことないよ!
「すみません、私の国ではまだ身分証明書というものを発行してはいないので持ってません……」
「それは困りましたね……ご本人確認出来ないとお泊めするわけにはまいりませんし……」
「この方はベルゼビュート様本人で間違いありません」
リナさんが助け舟を出してくれた。が、そんな口添えだけで何とかなるわけが……
「これはリナ様、ごひいきにしていただきありがとうございます。ルーファス様に加え、リナ様のご紹介であれば信用しても大丈夫でしょう。お部屋をご案内致します」
え!? ホントに良いの? そんな口添えだけで何とかなるもんなの?
いや、それより何この影響力?
この方一体どんな人なの? 私の護衛なんてやってて良い人なの?
「さ、アルトラ様、お部屋に参りましょう」
エレベーターまで案内される。
右隣には階段がある。
しかし左隣を見ると「有翼族はこちらもご利用になれます」という文言と共に行き止まり。
「何だこれ?」
中に入ってみるとやっぱり行き止まりで何も無い。なぜか床が沈み込むくらい柔らかい。
上を見ると上層階まで吹き抜けになっている。煙突のような構造だ。
「リナさん、これってなんの設備?」
「ああ、それは翼がある人向けのものですね。翼がある人はそこを飛んで各階へ行けます。エレベーターは遅いのでせっかちな人はそれを使う人が多いですね」
「へぇ~……」
飛べる人間が存在しない人間界には絶対に無い設備だ。
「でも、これって翼が無い人が落下したりしたら危なくないの?」
「それを見越して床が柔らかい素材になっています。最上階から落下しても怪我一つしませんよ。むしろ帰りはこれを利用する人が多いくらいで。子供なんか嬉々として落下していきますよ」
落下する人のことまでちゃんと考えられてるのか。よく見たら壁も柔らか素材で、ぶち当たっても大丈夫そうだ。
昇りの吹き抜けと下りの吹き抜けにちゃんと分かれているから昇ってる間に別の人が落下してきてぶつかるということもない。
下に誰かいる時には自動的に風の球に閉じ込められて落下を一時阻止され、下に誰もいなくなってぶつかる危険が無くなると解除され落下。きっと魔法技術が無ければ作れないシステムだと思う。
エレベーターに乗り込む。
もう何かここが魔界ってことも忘れるくらい、普通に人間界と同じ光景だ。
私が堕とされた地獄の門付近が特別未開の土地だったのかな? あの辺最初の頃な~~んにも無かったし。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
10階に着いた。
部屋へ入ると――
「わぁ……」
室内に入ると大きいベッドが目に留まった、これが噂に聞くキングサイズってやつかしら? クイーンサイズ? 見たことないからわからん。
床は全面絨毯張り、白を基調としたものでポイントポイントに黒が入ってシックな感じだ。
寝転んでみたところ、ふかふかで良い気持ちだ。ベッドに寝ないで床に寝るのも良いかもしれない。
どうせなのでゴロゴロしてみた。
「アルトラ様……」
「あっ……」
床に寝転んでゴロゴロしているのを見ていたリナさんが少々呆れ顔だ。私は前世からお金持ちではないから、もうこのふかふかで気持ち良い床の方だけで満足できる。
本当のお金持ちからすると、床に寝るのは奇行に映ったかな?
「ごめんなさい、あまりにも気持ち良さそうだったから……」
「ふっ……ふふ……コロコロコロコロと猫みたいな方ですね」
軽蔑はされなかったみたいだ。
窓は全面ガラス張り、下を見ると街の様子が見える。
人間だった頃は忙し過ぎてあまり泊まりに行った記憶は無いが、まさか死んでから高級ホテルに泊まることができるようになるとは……
「人生ホントに何が起こるかわからないものだ」
もう既に疑似太陽も沈みかけていて、人口の光がそこかしこに灯っている。
昨日まで生活していたトロル村と同じ世界にいるとは思えない光景だ。
トロル村もいずれはこれに近い景色に出来れば良いのだけど……
以前村の子供に「何で時計が必要か」って質問を受けたことがあったけど、あの時はこの世界で時計なんて必要無いんじゃないかと思っていた。魔界全体がトロル村のような未開の世界だと思っていたから。
もっと言うと、転生前は『魔界』と言うと、争いばかりの修羅の国だと思っていた。常に食うや食われるやって世界なのかと。
住んでみればそれほどまでの極悪人ってのは中々いない。
悪魔って種族も、今のところまだ見たことがない。多分レヴィアタンはそうなんだろうけど。
まあ、少し考えれば、争いや略奪ばかりだとみんなが生きていくことができないから、誰か生産する人が必要だとわかるんだけどね……
意外なことにまだ奴隷というのにお目にかかったことがないけど、別の国には存在するのかな?
さて、空も暗くなってきた。そろそろレヴィアタンとの面会の時間が近いかもしれない。
「私の村では時計はまだ必要無いかもしれないけど、この街では必要そうね」
あれ? そういえばどうやって会ってもらえる時間がわかるんだろ?
「リナさん、レヴィアタンがいつ公務が終わるのか、どうやってわかるの?」
「あ、それは通信機もってるので大丈夫ですよ」
携帯電話のようなものを見せてくれた。日本に昔あった『通信だけできる携帯電話』という感じだ。
この街の技術って人間界と特別大きな差はないな。それでもまだ数十年分くらいの技術差がありそうだけど。
スマホではないのが残念だけど、多分10年後くらいにはガラケーに当たるものが出来ていそうだ。
レヴィアタンに会うための準備をしておくか。
と言っても特にやらなければならないことはない。
しかし、女王様に会うのだから、フォーマルドレスを購入したのは正解だったかもしれない。
どういう会い方をするのだろう? 普通に女王と平民として謁見の間で会うのか? それとも個室のようなところで友達のような会い方をするのか?
わざわざ「夜までかかるかもしれない」と教えてくれたということは、後者の方が可能性が高い。
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