51 / 589
第2章 トロル集落の生活改善編
第50話 監視は終わったはずが……
しおりを挟む
翌日。
昨日の杭打ち作業は200本まで終わったから、あと800本か。昨日と同じペースならあと4日で終わる計算ね。
でも、昨日はフレアハルトがいたから、今日はもうちょっと捗るかな。
今日は監視も外れてるから誰もいないだろうし、黙々とマイペースにのんびりやるか。
昨日中断したところへゲートを繋げる。
今日も弁当持参だ。
「うわっ!? ビックリした!!」
ゲートを通過して横を見ると、また昨日の三人がいる。今日は人の姿で。
「何でいるの!? 昨日監視は終わったんじゃ……?」
昨日アリサが「またいつか」って言ってた気がするんだけど……「いつか」が来るの早過ぎない?
「監視は終わった。今日は手伝ってやろうかと思って来た」
「えぇ~……」
「何でそんな嫌そうな顔をするのだ!」
「ちゃんと出来るの?」
「昨日見ておった、まかせておけ!」
私には昨日はほとんど興味無くただ付いて来てるだけに見えてたけど……一回昼寝挟んだし……
まあ、手伝いに来てくれたんなら任せてみようか。アリサさんがいるから大丈夫だろう。
「じゃあ、私が100m間隔に火の球浮かべておくから、追いかけて火の球が浮いてたところに杭を刺してもらえるかな? 火の球は杭刺した後に消しておいて。杭打ちはこのハンマーでお願い」
樹魔法でハンマーを三つ即席で作り、三人に渡した。
「杭何本持てる?」
「その大きさでしたら10本くらいなら持てると思います」
「我はもっと持てるが」
出た、男子のもっと持てるアピール!
「じゃあ……とりあえずみんなに10本ずつ持ってもらおうかな」
5か所×3人だから1.5kmくらいか。私が後半を500mやって、次は2km地点で杭の補充をしよう。
私は先行して100m間隔に火の球を配置していく。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
火の球配置だけならめちゃくちゃ早い。もう2kmが終わった。さて戻ってみるか。
よしよし、ちゃんと杭を打ってくれた、フレアハルトのところを除いて……
「ちょっと! フレハル! 何で一本だけなの!?」
「これで良いのではないのか?」
あっれ~? 確か昨日本人を目の前にして『二本ずつ打ち込んで川幅の目安にする』って説明してたと思ったんだけど……
コイツ……最初から興味無かったから聞き流してたな?
レッドドラゴン・プリンス、こんなんで将来大丈夫かな……?
「それにこれだとちょっと埋めすぎ。100m先から見えないといけないから」
「お主は細かいな」
『一本しか杭打ちしてないのを二本にしろ』、『埋めすぎてる』って言うのは細かいと言うのだろうか? これを細かいと言うのなら二分の一間違ってることを指摘したら、細かいと言われるのと同じな気がする……50%以上間違ってるの指摘されて細かいってお前……
戻ってフレアハルトがやったところだけ修正する。
「とにかく! 今後は二本埋めるようにお願い!」
「あいわかった」
もう! 二度手間だ!
「火は食って良いか?」
「それはご自由に」
レッドドラゴンは魔法で作られた火を自身の魔力として変換・吸収できるらしい。お腹空いてるのかなぁ?
これ以降、杭打ち後に律儀に火の球を消してた側近二人も火の球を食い始めた。この二人はホント律儀なのよね~、レイアなんかギャルみたいな性格なのにちゃんとやってくれるし。
考えてみれば仮にも王子の側近として付き従っているのだから、優秀でないはずがないのだ。ということはこのギャルっぽい言動は世を忍ぶ仮の姿の可能性も……おチャラけてるのは上辺だけで、根っこは真面目なのかも。ギャルにしては大人しいとは思っていたけど。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
三人が手伝ってくれたお蔭で、今日の作業は大幅に進んだ。今日含めてあと推定4日くらいかかると思ってたけど、明日には終わりそうだ。
最初こそアレだったフレアハルトだが、十二分な戦力になってくれた。
あと、この男は理解力が無いのではなく、人の話を聞いていないのだとわかった。そうするとこの『人の話聞いていない』って部分も、本当のことなのか怪しくなってくる。
それとなくアリサにフレアハルトについて聞いてみる。
「ねぇ……もしかしてフレアハルトって弟いる?」
「はい、おりますが」
「その弟って優秀な弟なんじゃない?」
「よくわかりましたね」
「『フレアハルト八世』って名乗ってるってことは、フレアハルトは王位継承権持ってるのよね?」
「はい」
なるほど、王位継承したくないってわけか。アホを演じてるんだなきっと。
自分の方が長子として生まれてしまったから、アホを演じることで、周囲に対して王様には相応しくないと思いこませ、弟に王位を譲ろうとしているんだ。
いや、もしかしたら最初こそアホを演じてたけど、今はアホが板についてしまっている可能性も否定できないけど……
「フレアハルトって頭悪いよね?」
「そんなことはありません! フレアハルト様は頭の回るお方です!」
「じゃあ実は頭良いけど、ホントはアホを演じてるの?」
「………………」
「レイアはどう思ってる?」
「………………」
二人ともにそっぽ向かれた。なるほど彼女らも協力してるってわけか。
頭悪いって言われれば自分の主君だから腹が立つけど、周囲の目も気にしなければならないからアホを演じてるという反論も出来ないってとこか。
あと、私フレアハルトに結構辛辣なこと言ってると思うけど、明確に「頭悪い」って言わなければ反論しないようにしてるのかな……
「私に対しては正直になって良いよ、私はどこにも属してないから」
「正直も何もフレアハルト様はあの通りですよ」
「そうですよ、ちょっとおバカに見えるけど愛嬌があるだけですって」
どうとでも取れるような言い方をするなぁ……
もしかしたらフレアハルトの方も私が怒ることを考慮に入れてアホを演じている可能性がある。それはそれで腹立つけど……聞いたところで本物のアホならキョトンとするだろうし、アホの振りしてるなら恐らくはぐらかされるかキョトンとされるだろう。どっちにしても演じてるのか、そうでないのかわからない。
まあ、今の時点ではこれ以上詮索しても何にもならないからやめておくか。
昨日の杭打ち作業は200本まで終わったから、あと800本か。昨日と同じペースならあと4日で終わる計算ね。
でも、昨日はフレアハルトがいたから、今日はもうちょっと捗るかな。
今日は監視も外れてるから誰もいないだろうし、黙々とマイペースにのんびりやるか。
昨日中断したところへゲートを繋げる。
今日も弁当持参だ。
「うわっ!? ビックリした!!」
ゲートを通過して横を見ると、また昨日の三人がいる。今日は人の姿で。
「何でいるの!? 昨日監視は終わったんじゃ……?」
昨日アリサが「またいつか」って言ってた気がするんだけど……「いつか」が来るの早過ぎない?
「監視は終わった。今日は手伝ってやろうかと思って来た」
「えぇ~……」
「何でそんな嫌そうな顔をするのだ!」
「ちゃんと出来るの?」
「昨日見ておった、まかせておけ!」
私には昨日はほとんど興味無くただ付いて来てるだけに見えてたけど……一回昼寝挟んだし……
まあ、手伝いに来てくれたんなら任せてみようか。アリサさんがいるから大丈夫だろう。
「じゃあ、私が100m間隔に火の球浮かべておくから、追いかけて火の球が浮いてたところに杭を刺してもらえるかな? 火の球は杭刺した後に消しておいて。杭打ちはこのハンマーでお願い」
樹魔法でハンマーを三つ即席で作り、三人に渡した。
「杭何本持てる?」
「その大きさでしたら10本くらいなら持てると思います」
「我はもっと持てるが」
出た、男子のもっと持てるアピール!
「じゃあ……とりあえずみんなに10本ずつ持ってもらおうかな」
5か所×3人だから1.5kmくらいか。私が後半を500mやって、次は2km地点で杭の補充をしよう。
私は先行して100m間隔に火の球を配置していく。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
火の球配置だけならめちゃくちゃ早い。もう2kmが終わった。さて戻ってみるか。
よしよし、ちゃんと杭を打ってくれた、フレアハルトのところを除いて……
「ちょっと! フレハル! 何で一本だけなの!?」
「これで良いのではないのか?」
あっれ~? 確か昨日本人を目の前にして『二本ずつ打ち込んで川幅の目安にする』って説明してたと思ったんだけど……
コイツ……最初から興味無かったから聞き流してたな?
レッドドラゴン・プリンス、こんなんで将来大丈夫かな……?
「それにこれだとちょっと埋めすぎ。100m先から見えないといけないから」
「お主は細かいな」
『一本しか杭打ちしてないのを二本にしろ』、『埋めすぎてる』って言うのは細かいと言うのだろうか? これを細かいと言うのなら二分の一間違ってることを指摘したら、細かいと言われるのと同じな気がする……50%以上間違ってるの指摘されて細かいってお前……
戻ってフレアハルトがやったところだけ修正する。
「とにかく! 今後は二本埋めるようにお願い!」
「あいわかった」
もう! 二度手間だ!
「火は食って良いか?」
「それはご自由に」
レッドドラゴンは魔法で作られた火を自身の魔力として変換・吸収できるらしい。お腹空いてるのかなぁ?
これ以降、杭打ち後に律儀に火の球を消してた側近二人も火の球を食い始めた。この二人はホント律儀なのよね~、レイアなんかギャルみたいな性格なのにちゃんとやってくれるし。
考えてみれば仮にも王子の側近として付き従っているのだから、優秀でないはずがないのだ。ということはこのギャルっぽい言動は世を忍ぶ仮の姿の可能性も……おチャラけてるのは上辺だけで、根っこは真面目なのかも。ギャルにしては大人しいとは思っていたけど。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
三人が手伝ってくれたお蔭で、今日の作業は大幅に進んだ。今日含めてあと推定4日くらいかかると思ってたけど、明日には終わりそうだ。
最初こそアレだったフレアハルトだが、十二分な戦力になってくれた。
あと、この男は理解力が無いのではなく、人の話を聞いていないのだとわかった。そうするとこの『人の話聞いていない』って部分も、本当のことなのか怪しくなってくる。
それとなくアリサにフレアハルトについて聞いてみる。
「ねぇ……もしかしてフレアハルトって弟いる?」
「はい、おりますが」
「その弟って優秀な弟なんじゃない?」
「よくわかりましたね」
「『フレアハルト八世』って名乗ってるってことは、フレアハルトは王位継承権持ってるのよね?」
「はい」
なるほど、王位継承したくないってわけか。アホを演じてるんだなきっと。
自分の方が長子として生まれてしまったから、アホを演じることで、周囲に対して王様には相応しくないと思いこませ、弟に王位を譲ろうとしているんだ。
いや、もしかしたら最初こそアホを演じてたけど、今はアホが板についてしまっている可能性も否定できないけど……
「フレアハルトって頭悪いよね?」
「そんなことはありません! フレアハルト様は頭の回るお方です!」
「じゃあ実は頭良いけど、ホントはアホを演じてるの?」
「………………」
「レイアはどう思ってる?」
「………………」
二人ともにそっぽ向かれた。なるほど彼女らも協力してるってわけか。
頭悪いって言われれば自分の主君だから腹が立つけど、周囲の目も気にしなければならないからアホを演じてるという反論も出来ないってとこか。
あと、私フレアハルトに結構辛辣なこと言ってると思うけど、明確に「頭悪い」って言わなければ反論しないようにしてるのかな……
「私に対しては正直になって良いよ、私はどこにも属してないから」
「正直も何もフレアハルト様はあの通りですよ」
「そうですよ、ちょっとおバカに見えるけど愛嬌があるだけですって」
どうとでも取れるような言い方をするなぁ……
もしかしたらフレアハルトの方も私が怒ることを考慮に入れてアホを演じている可能性がある。それはそれで腹立つけど……聞いたところで本物のアホならキョトンとするだろうし、アホの振りしてるなら恐らくはぐらかされるかキョトンとされるだろう。どっちにしても演じてるのか、そうでないのかわからない。
まあ、今の時点ではこれ以上詮索しても何にもならないからやめておくか。
1
あなたにおすすめの小説
転生したみたいなので異世界生活を楽しみます
さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。
誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。
感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
ひきこもり娘は前世の記憶を使って転生した世界で気ままな錬金術士として生きてきます!
966
ファンタジー
「錬金術士様だ!この村にも錬金術士様が来たぞ!」
最低ランク錬金術士エリセフィーナは錬金術士の学校、|王立錬金術学園《アカデミー》を卒業した次の日に最果ての村にある|工房《アトリエ》で一人生活することになる、Fランクという最低ランクで錬金術もまだまだ使えない、モンスター相手に戦闘もできないエリナは消えかけている前世の記憶を頼りに知り合いが一人もいない最果ての村で自分の夢『みんなを幸せにしたい』をかなえるために生活をはじめる。
この物語は、最果ての村『グリムホルン』に来てくれた若き錬金術士であるエリセフィーナを村人は一生懸命支えてサポートしていき、Fランクという最低ランクではあるものの、前世の記憶と|王立錬金術学園《アカデミー》で得た知識、離れて暮らす錬金術の師匠や村でできた新たな仲間たちと一緒に便利なアイテムを作ったり、モンスター盗伐の冒険などをしていく。
錬金術士エリセフィーナは日本からの転生者ではあるものの、記憶が消えかかっていることもあり錬金術や現代知識を使ってチート、無双するような物語ではなく、転生した世界で錬金術を使って1から成長し、仲間と冒険して成功したり、失敗したりしながらも楽しくスローライフをする話です。
追放された聖女は旅をする
織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。
その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。
国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる