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第2章 トロル集落の生活改善編
第39話 四男発見したけど……左腕が無かった……
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さて、石化を解くか、と思ったが、よく見ると左腕が無い。
「………………マジか……」
どうしよう? このまま石化解除したら腕が無いままになっちゃう。いや、トロルだし再生能力バカ高いし、数日もあれば回復できるか。
でも数日とは言え腕が無いのは不便だろうから一応探してくるか。無かった場合は諦めてそのまま数日過ごしてもらおう。
『エコーロケーション』で腕を探す。
ここより更に下流で左腕らしき物体を発見。
一応見つけたけど……指の先が二本行方不明だ。流石に指の第一関節だけ探すのは石ころと変わらないため不可能に近い。水流で削られでもしてたらくっ付くかどうかもわからないし、そこは自分で再生してもらおう。
ということで、左手の無事な部分だけ回収してくっ付けた。
石化して身体の一部をくっ付けた後に人を復活させるなんて、『Dr.STONEs』の漫画くらいでしか見たことないけど、こんなことでちゃんとくっ付いてくれるのかしら?
石化解除したらボロっと取れて大出血なんてことになったら……まっいっか、トロルだし再生するでしょ。
(私の所為で)右上半身無くなったリーヴァントが、今は完全回復した状態でピンピンしてるんだから。
それに、いざとなれば回復魔法もあるから大丈夫!
「それにしても無くなってたのが頭じゃなくて良かったわ……頭無くなってたら流石に生きて無さそうだし。さて、ようやく石化解除か。石化解除」
ヨントスの石化が解ける。
「う~ん……オラなにしてただ? あ、人間の子どもはっけ~ん! いただきま~す!」
なんでトロルは私に対して全員同じ反応なんだ!
そんなに美味しそうに見えるのか?
また軽く叩きのめ (以下略)
「ごめんなさい……」
また正座させる。ああ! もう! めんどくさいなぁ! 早いとこ知性上昇させよう!
「永久的遺伝的知性上昇 (大)」
これで知性が上がって(以下略)
「おぉ!? 何だこれは! 今までにないほど (以下略)」
全員この反応だ。
「何であんたたちは、私をすぐ食べようとするの!」
「は、はぁ……そんなに何度も言われてるんですか?」
「むしろあなたたちの種族と初対面した時はそれしか言われてないよ!」
「まあ、食べ物が少ないので自分の種族以外を見たら食べたくなるというやつでしょうか、生きることに必死なので……」
飢餓状態だから仕方ないと言えなくはないということか……同族喰いしてないだけまだマシか。
「あっ、『食べちゃいたいくらい可愛い』ってことなんじゃないでしょうか?」
今、『良いこと思い付いた!』みたいな顔してたな。
「ヨイショしたつもり?」
「いえ……すみません……」
「まあ、ヨイショに乗って怒りを収めるとしましょう」
「それで、私はここで何をしていたのでしょうか?」
「あなたは石化していたのよ、覚えてない?」
「…………あ! そういえば弟たち三人が一つ目の牛のようなやつに石にされて……必死に逃げたんですが私も石にされてたということですかね?」
初めて自分が石にされたかもしれないと認識している人に会った。
「そのようね」
「だとしたらこの危険生物発見を村に報告に行かなければ!」
「その危険生物はもう倒したから大丈夫」
「あなたが? あなたは一体何者ですか?」
これもいつものパターンね。
「私はあなたの村で領主を任されたアルトラと言います」
「領主様!? それは失礼いたしました!」
お、これは新しいパターンね。
いつもは疑ってかかられるのに。
「それで、領主様はここで何をしておられるのですか?」
「あなたを探しに来たのよ! 捜索隊も編成して参加してもらってる」
「あ、いたいた、おーいアルトラ様~!」
ちょうど全員集まってきた。
「ヨン兄、無事で良かったッスよ……」
「イチトス兄さん、ナナトス、他のみんなも! イチトス兄さん何ですかその筋肉は!? みんな何か小奇麗になってますね? それに服まで!」
「小は余計よ!」
「見つかって良かったです!」
「ヨンを発見できたのも、全部アルトラ様のお蔭ですぞ!」
ヨントスがこちらを見て呟く。
「アルトラ様って見た目と違って凄いお方なんですね……」
足掛け二日のヨントス捜索は、本人発見ということで無事終了となった。
空間魔法ゲートで、集落に帰還。
私はカトブレパス一頭を料理担当に渡して一旦みんなと別れた。
みんなを集落に送った後に一人川の流域に戻って来た。
カトブレパスの子供を処分するためだ。
今回の捜索では見つからなかったけど、それはいなかったのではなく、見つけられなかっただけかもしれない。
子供ならいきなり訪れた亜人の集団を恐がって隠れていたとしても不思議は無い。
『エコーロケーション』を身に着けたから、それを使って探し、もし見つかった場合は処分しようとやってきた。
見つからなければ見つからないに越したことはない。私とて無闇に生き物を殺すのは忍びない。
しかし、人の生命活動を止めるような能力を持っている生物を野放しにすることはできない。
地球でだって、スズメバチが巣を作り出したら駆除にかかる。それと同じだ。
エコーロケーションを発動。
………………
…………
……
いる……一つ疑わしき形の生物が。
さっき私たちが捜索していた近くだ。見つけられなかったのは、やはり隠れていたからかもしれない。
その場所へゲートで移動。
やっぱり居た、疑わしかった形はカトブレパスの子供だ。
何の罪も無いけど、後々の災いになるかもしれないから食材になってください。後でスタッフたちで美味しくいただきますから!
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
仔カトブレパスを一匹退治後、再度エコーロケーションで確認するが、それらしき生物はもういないみたいだ。
牛の妊娠期間は280日くらいらしいから、仮に人間界の牛と同じ期間と考えるなら、カトブレパスの子供が自立して自分で餌を探せるくらい成長してたことを考えると、彼ら (ヨントスたち)は1年から2年くらいの間石になっていたってことになる。
さて、これで恐らく今後の脅威も無くなったでしょう。
帰ろう。今日は豪勢な牛肉パーティーだ!
「………………マジか……」
どうしよう? このまま石化解除したら腕が無いままになっちゃう。いや、トロルだし再生能力バカ高いし、数日もあれば回復できるか。
でも数日とは言え腕が無いのは不便だろうから一応探してくるか。無かった場合は諦めてそのまま数日過ごしてもらおう。
『エコーロケーション』で腕を探す。
ここより更に下流で左腕らしき物体を発見。
一応見つけたけど……指の先が二本行方不明だ。流石に指の第一関節だけ探すのは石ころと変わらないため不可能に近い。水流で削られでもしてたらくっ付くかどうかもわからないし、そこは自分で再生してもらおう。
ということで、左手の無事な部分だけ回収してくっ付けた。
石化して身体の一部をくっ付けた後に人を復活させるなんて、『Dr.STONEs』の漫画くらいでしか見たことないけど、こんなことでちゃんとくっ付いてくれるのかしら?
石化解除したらボロっと取れて大出血なんてことになったら……まっいっか、トロルだし再生するでしょ。
(私の所為で)右上半身無くなったリーヴァントが、今は完全回復した状態でピンピンしてるんだから。
それに、いざとなれば回復魔法もあるから大丈夫!
「それにしても無くなってたのが頭じゃなくて良かったわ……頭無くなってたら流石に生きて無さそうだし。さて、ようやく石化解除か。石化解除」
ヨントスの石化が解ける。
「う~ん……オラなにしてただ? あ、人間の子どもはっけ~ん! いただきま~す!」
なんでトロルは私に対して全員同じ反応なんだ!
そんなに美味しそうに見えるのか?
また軽く叩きのめ (以下略)
「ごめんなさい……」
また正座させる。ああ! もう! めんどくさいなぁ! 早いとこ知性上昇させよう!
「永久的遺伝的知性上昇 (大)」
これで知性が上がって(以下略)
「おぉ!? 何だこれは! 今までにないほど (以下略)」
全員この反応だ。
「何であんたたちは、私をすぐ食べようとするの!」
「は、はぁ……そんなに何度も言われてるんですか?」
「むしろあなたたちの種族と初対面した時はそれしか言われてないよ!」
「まあ、食べ物が少ないので自分の種族以外を見たら食べたくなるというやつでしょうか、生きることに必死なので……」
飢餓状態だから仕方ないと言えなくはないということか……同族喰いしてないだけまだマシか。
「あっ、『食べちゃいたいくらい可愛い』ってことなんじゃないでしょうか?」
今、『良いこと思い付いた!』みたいな顔してたな。
「ヨイショしたつもり?」
「いえ……すみません……」
「まあ、ヨイショに乗って怒りを収めるとしましょう」
「それで、私はここで何をしていたのでしょうか?」
「あなたは石化していたのよ、覚えてない?」
「…………あ! そういえば弟たち三人が一つ目の牛のようなやつに石にされて……必死に逃げたんですが私も石にされてたということですかね?」
初めて自分が石にされたかもしれないと認識している人に会った。
「そのようね」
「だとしたらこの危険生物発見を村に報告に行かなければ!」
「その危険生物はもう倒したから大丈夫」
「あなたが? あなたは一体何者ですか?」
これもいつものパターンね。
「私はあなたの村で領主を任されたアルトラと言います」
「領主様!? それは失礼いたしました!」
お、これは新しいパターンね。
いつもは疑ってかかられるのに。
「それで、領主様はここで何をしておられるのですか?」
「あなたを探しに来たのよ! 捜索隊も編成して参加してもらってる」
「あ、いたいた、おーいアルトラ様~!」
ちょうど全員集まってきた。
「ヨン兄、無事で良かったッスよ……」
「イチトス兄さん、ナナトス、他のみんなも! イチトス兄さん何ですかその筋肉は!? みんな何か小奇麗になってますね? それに服まで!」
「小は余計よ!」
「見つかって良かったです!」
「ヨンを発見できたのも、全部アルトラ様のお蔭ですぞ!」
ヨントスがこちらを見て呟く。
「アルトラ様って見た目と違って凄いお方なんですね……」
足掛け二日のヨントス捜索は、本人発見ということで無事終了となった。
空間魔法ゲートで、集落に帰還。
私はカトブレパス一頭を料理担当に渡して一旦みんなと別れた。
みんなを集落に送った後に一人川の流域に戻って来た。
カトブレパスの子供を処分するためだ。
今回の捜索では見つからなかったけど、それはいなかったのではなく、見つけられなかっただけかもしれない。
子供ならいきなり訪れた亜人の集団を恐がって隠れていたとしても不思議は無い。
『エコーロケーション』を身に着けたから、それを使って探し、もし見つかった場合は処分しようとやってきた。
見つからなければ見つからないに越したことはない。私とて無闇に生き物を殺すのは忍びない。
しかし、人の生命活動を止めるような能力を持っている生物を野放しにすることはできない。
地球でだって、スズメバチが巣を作り出したら駆除にかかる。それと同じだ。
エコーロケーションを発動。
………………
…………
……
いる……一つ疑わしき形の生物が。
さっき私たちが捜索していた近くだ。見つけられなかったのは、やはり隠れていたからかもしれない。
その場所へゲートで移動。
やっぱり居た、疑わしかった形はカトブレパスの子供だ。
何の罪も無いけど、後々の災いになるかもしれないから食材になってください。後でスタッフたちで美味しくいただきますから!
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
仔カトブレパスを一匹退治後、再度エコーロケーションで確認するが、それらしき生物はもういないみたいだ。
牛の妊娠期間は280日くらいらしいから、仮に人間界の牛と同じ期間と考えるなら、カトブレパスの子供が自立して自分で餌を探せるくらい成長してたことを考えると、彼ら (ヨントスたち)は1年から2年くらいの間石になっていたってことになる。
さて、これで恐らく今後の脅威も無くなったでしょう。
帰ろう。今日は豪勢な牛肉パーティーだ!
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