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第2章 トロル集落の生活改善編
第36話 四男捜索二日目・水中捜索班結成
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川岸捜索の翌日。
集落の外へ集合していた。
「みんなおはよう」
「「「おはようございます!」」」
あら結構多いわね。
昨日リーヴァントに泳げる人のピックアップをしておいてもらうように頼んでおいた。
20人くらいいる。
目が行き届かなくなるし、半分くらいにしたいところね。
「みんな集まってくれてありがとう。申し訳ないんだけど、私が守れる人数にも限りがあるからここから人数を絞らせてもらおうと思う。みんながどれくらい泳ぐことができるのかと、あと得意の魔法属性を教えてもらえるかな? じゃああなたから」
「はい! 身長の三倍くらいは潜ることができます! 風魔法が使えます!」
「わたし、1時間くらいならは余裕で泳ぎ続けられます! 水魔法が得意です!」
「顔を浸けることくらいなら可能です! 魔法は得意ではないですが雷魔法を少し使えます」
………………
…………
……
今まで水が無かったところの村人って考えるとかなり優秀な感じがするけど……
これ選別した? 希望者募っただけじゃないの?
水に顔浸けることができるだけって論外なんだけど……年端のいかない子供までいるし……
目的は捜索だから、ある程度危険って言ったよねリーヴァント?
リーヴァントを睨む。
手を合わせて何度も頭下げてる。選別まで時間が無かったってことか?
まあ、現場監督は私だから希望者の中から私が選んだ方が良いと判断したのだと好意的に解釈しておこう。“泳げる人”って条件で募っただけで、ある程度はふるいにかけられていることになるしね。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
結局のところ、残ったのは大体半数。
昨日参加してくれた四人は集落の中ではやっぱり優秀だったらしい。全員残った。
あとは、昨日帰って来たナナトスと、初顔合わせのメリル、ミリアン、エルフィーレ、リザの計九人。
ナナトスは戻ってきたばかりで飢餓体型だったから体力がどうかと思ったけど、トロルの生命力は凄い。一夜で普通の体型にまで変化していた。最年少だから若いってのもあるかもしれない。
そして、泳げるのは意外なことに女の子の方が多かった。
この間まで集落に雨すら降らなかったのに、この子らどこで水に慣れてたのかしら?
「ねぇ……ちょっと疑問に思ったんだけど、あなたたちどこで水泳習ったの?」
「え? そんなの村の中に潤いの木があるじゃないですか~。そこからちょこっと水を引いて水浴び場にしてたんですよ」
「えっ!? いつの間にそんなの作ってたの!? 水吸収の結界あるのに?」
「地中に筒を入れて分水しました」
「確かに結界は地中まで覆ってはいないから可能だけど……」
「見に来ますか?」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
水浴び場を見に行ってみると……
凄い、かなりちゃんと作ってある。今まで何度も集落に来てたけど、こんなの全然気づかなかった!
ただ……ここ潤いの木からかなり遠いけど……ほぼ村の端よ? よくここまで水道掘ったね。
まだ何も無い村だから出来た力業かな。
「男が入れないように目張りしてありますからね~、普段の生活範囲では気付かないかもしれませんね~」
なるほど、これは女子ばかり泳ぎが上手くなるわけね。
「どうやってこんなふうに形成したの?」
「土魔法得意な子がいて、岩とか固めの石とかを変形させて作ってくれました。アルトラ様みたいに魔力が凄いわけじゃないので一気に形成ってことは出来ませんけど、毎日徐々に徐々に形を変えていきました」
でも水に入る時どんな格好してるんだろう?
「どんな格好で水浴びしてるの?」
「そんなの裸に決まってるじゃないですか。他にどんな格好がありますか? そのための目張りですし」
まあ、予想の範囲内だった。
水着くらい着る文化は根付かせた方が良いかもしれない。お風呂じゃないんだから。
「どこから排水してるの?」
「そこに穴開けて、壁の外へ流してます。そうすれば村に溜まることはないので」
そのために村の端に作ったわけね。
「あと、アルトラ様にお願いがあるんですけど……この排水穴に水吸収の結界を張ってもらえませんか? 最近壁のあっち側が湿地帯気味になってきちゃってて、相談しようかどうか迷ってたんですよ~」
「………………」
テヘ☆って顔をしてるけど、私がいなかったら結構な事態だからねコレ。
仕方ない。
水吸収の結界を張った。
まあ、これも潤いの木を移植するまでの話だ。
しかし、これらは喜ばしい変化ね。
私が知らないところでどんどん進歩していってる。
知性上げる前に私が想定していたことは、一から十まで私が指示出して、おんぶにだっこで全部やってあげなきゃいけないのかもしれないとか考えてたけど、放っておいてもどんどん生活改善してくれそうだ。
お米が食べれる日もそう遠い日ではないかも。
さて、少し本題から反れてしまったから軌道修正しよう。
捜索のため再度集落の外に集合した。
「じゃあ、ヨントスの捜索に行ってくるよ」
ゲートを開く。
「「「お気をつけて!」」」
昨日と違い今回は計画されていた捜索のため、大勢の村人に見送られた。
さて、省略してしまったが、少しだけ新メンバーの戦力についてザッと説明。
※【読み飛ばし可】
ナナトスは接近戦タイプ、得意武器剣、火と雷属性。
メリルは中距離タイプ、弓矢、水属性。この中では泳ぎが一番。
ミリアンは遠距離魔法タイプ、杖、火と風と闇属性。
エルフィーレは支援回復タイプ、杖、水と風属性。
リザは接近戦タイプ、鉄製の剣、土、物質属性。
リザは貴重な物質魔法の使い手らしく、拙いながら鉄製の剣を自作していた。
※【読み飛ばしここまで】
集落の外へ集合していた。
「みんなおはよう」
「「「おはようございます!」」」
あら結構多いわね。
昨日リーヴァントに泳げる人のピックアップをしておいてもらうように頼んでおいた。
20人くらいいる。
目が行き届かなくなるし、半分くらいにしたいところね。
「みんな集まってくれてありがとう。申し訳ないんだけど、私が守れる人数にも限りがあるからここから人数を絞らせてもらおうと思う。みんながどれくらい泳ぐことができるのかと、あと得意の魔法属性を教えてもらえるかな? じゃああなたから」
「はい! 身長の三倍くらいは潜ることができます! 風魔法が使えます!」
「わたし、1時間くらいならは余裕で泳ぎ続けられます! 水魔法が得意です!」
「顔を浸けることくらいなら可能です! 魔法は得意ではないですが雷魔法を少し使えます」
………………
…………
……
今まで水が無かったところの村人って考えるとかなり優秀な感じがするけど……
これ選別した? 希望者募っただけじゃないの?
水に顔浸けることができるだけって論外なんだけど……年端のいかない子供までいるし……
目的は捜索だから、ある程度危険って言ったよねリーヴァント?
リーヴァントを睨む。
手を合わせて何度も頭下げてる。選別まで時間が無かったってことか?
まあ、現場監督は私だから希望者の中から私が選んだ方が良いと判断したのだと好意的に解釈しておこう。“泳げる人”って条件で募っただけで、ある程度はふるいにかけられていることになるしね。
・・・
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・・・・・・・・・
結局のところ、残ったのは大体半数。
昨日参加してくれた四人は集落の中ではやっぱり優秀だったらしい。全員残った。
あとは、昨日帰って来たナナトスと、初顔合わせのメリル、ミリアン、エルフィーレ、リザの計九人。
ナナトスは戻ってきたばかりで飢餓体型だったから体力がどうかと思ったけど、トロルの生命力は凄い。一夜で普通の体型にまで変化していた。最年少だから若いってのもあるかもしれない。
そして、泳げるのは意外なことに女の子の方が多かった。
この間まで集落に雨すら降らなかったのに、この子らどこで水に慣れてたのかしら?
「ねぇ……ちょっと疑問に思ったんだけど、あなたたちどこで水泳習ったの?」
「え? そんなの村の中に潤いの木があるじゃないですか~。そこからちょこっと水を引いて水浴び場にしてたんですよ」
「えっ!? いつの間にそんなの作ってたの!? 水吸収の結界あるのに?」
「地中に筒を入れて分水しました」
「確かに結界は地中まで覆ってはいないから可能だけど……」
「見に来ますか?」
・・・
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・・・・・・・・・
水浴び場を見に行ってみると……
凄い、かなりちゃんと作ってある。今まで何度も集落に来てたけど、こんなの全然気づかなかった!
ただ……ここ潤いの木からかなり遠いけど……ほぼ村の端よ? よくここまで水道掘ったね。
まだ何も無い村だから出来た力業かな。
「男が入れないように目張りしてありますからね~、普段の生活範囲では気付かないかもしれませんね~」
なるほど、これは女子ばかり泳ぎが上手くなるわけね。
「どうやってこんなふうに形成したの?」
「土魔法得意な子がいて、岩とか固めの石とかを変形させて作ってくれました。アルトラ様みたいに魔力が凄いわけじゃないので一気に形成ってことは出来ませんけど、毎日徐々に徐々に形を変えていきました」
でも水に入る時どんな格好してるんだろう?
「どんな格好で水浴びしてるの?」
「そんなの裸に決まってるじゃないですか。他にどんな格好がありますか? そのための目張りですし」
まあ、予想の範囲内だった。
水着くらい着る文化は根付かせた方が良いかもしれない。お風呂じゃないんだから。
「どこから排水してるの?」
「そこに穴開けて、壁の外へ流してます。そうすれば村に溜まることはないので」
そのために村の端に作ったわけね。
「あと、アルトラ様にお願いがあるんですけど……この排水穴に水吸収の結界を張ってもらえませんか? 最近壁のあっち側が湿地帯気味になってきちゃってて、相談しようかどうか迷ってたんですよ~」
「………………」
テヘ☆って顔をしてるけど、私がいなかったら結構な事態だからねコレ。
仕方ない。
水吸収の結界を張った。
まあ、これも潤いの木を移植するまでの話だ。
しかし、これらは喜ばしい変化ね。
私が知らないところでどんどん進歩していってる。
知性上げる前に私が想定していたことは、一から十まで私が指示出して、おんぶにだっこで全部やってあげなきゃいけないのかもしれないとか考えてたけど、放っておいてもどんどん生活改善してくれそうだ。
お米が食べれる日もそう遠い日ではないかも。
さて、少し本題から反れてしまったから軌道修正しよう。
捜索のため再度集落の外に集合した。
「じゃあ、ヨントスの捜索に行ってくるよ」
ゲートを開く。
「「「お気をつけて!」」」
昨日と違い今回は計画されていた捜索のため、大勢の村人に見送られた。
さて、省略してしまったが、少しだけ新メンバーの戦力についてザッと説明。
※【読み飛ばし可】
ナナトスは接近戦タイプ、得意武器剣、火と雷属性。
メリルは中距離タイプ、弓矢、水属性。この中では泳ぎが一番。
ミリアンは遠距離魔法タイプ、杖、火と風と闇属性。
エルフィーレは支援回復タイプ、杖、水と風属性。
リザは接近戦タイプ、鉄製の剣、土、物質属性。
リザは貴重な物質魔法の使い手らしく、拙いながら鉄製の剣を自作していた。
※【読み飛ばしここまで】
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