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第2章 トロル集落の生活改善編
第25話 50kmの距離を一歩にするドアの創成 (魔力遮断による切断実験)
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空間穴の魔力を遮断したらどうなるか。
防御結界と同じように、少なくとも私が生きている間は維持してくれるのか、それとも魔力が切れた瞬間に穴が閉じてしまうのか。
生物や物体が通過している最中に穴が閉じるという現象は、少なくとも私は他の漫画やアニメではお目にかかったことが無い。
こうやって実験してるのも見たことがない。
「もしかしたら歴史的瞬間かも?」
家の中から、昼食用に調理しようと思って亜空間収納ポケットから取り出しておいたガルムを持ってくる。
上半身を持って引きずって来た。
「結構大きいなコイツ……」
わざわざ家の中から持って来ずに亜空間収納ポケットを出してストックしているのを取り出せば良いじゃないか、と思うかもしれないが、これからも実験でMPを大量に使うかもしれない。流石に15万のMPを使い切るなんてことは無いだろうけど一応念のため節約したい。
「よいしょっと……」
ガルムの身体を半分だけ空間の穴に通す。
5m横の空間の穴の方向を見ると――
「こっちからは下半身が……あっちからは上半身だけが出てる……」
シュールな光景だ……
上半身と下半身が分断されて見えるなんて、人間界では絶対に見ない光景。二人いればこんな感じのトリック映像を作るのは可能だけど……
ここからの実験内容は、早い話がガルムの胴体へのギロチンだ。
ガルムは死んで1日くらい経過してる。血抜きも終わってるから鮮血が飛び散ることはないと思う……ただ、まだ内臓は処理前だから、もしかしたら飛び出したりして大惨事になるかもしれない。私の予想ではかなり大がかりな片付けが必要と見ている。
しかし、これを怠った結果、万が一人が空間穴の収束で潰れる可能性があるかもしれないと考えると、内臓も取らずにそのままの状態で実験した方が良い。
この状態でこの空間に開けている穴の魔力を遮断する。
さてどうなるか。
瞬時に穴が塞がる……何の反動も無く、綺麗にスッパリ切断された。
ベチャという音を立てて、目の前の空間穴があったところで下半身が、横の空間穴があったところで上半身が落下した……
……ああ……ごめんね、後でスタッフ (私)が美味しくいただくからご勘弁を。
もし、万が一この歴史的瞬間を漫画化やアニメ化されるようなことになる時は、この部分は黒塗りでお願いします。モザイク処理版、無修正版はブルーレイ&DVDで、なんちゃって。
しかし――
「なんて綺麗な切断面……」
力を込めて物理的な負荷をかけて切ったわけではないため、切断面にささくれのようなものが残らずツルッとした断面になっている。
内臓、特に小腸や大腸辺りがデロッと出てくるかと思ったが、物理的な力で押し潰されて切れたわけではないためか出てこない。
焼きそばパンを切った切断面みたいに綺麗に並んで切れている。
死後硬直してるからってのもあるかもしれないけど。
微かに焼けたような臭いがする。多分空間穴が閉じる時の空気摩擦で焼けたんじゃないかと思うが焦げ跡が残るほどではない。
ただ……
「これが人の身体で起きたらと考えると……実験しておいて正解だったかも……時間魔法と空間魔法は扱うのが恐いな……下手したら一瞬で人が死ぬ……特定の条件を満たしたら一瞬で空間を繋げられる魔道具を作ろう」
どんな道具にしようか……と、考えるまでもなく、こういう時はやっぱりアノ形しかない。
「『どこにでもドア』を作ろう」
空間魔法と創成魔法を使って、空間魔法を付与したドアを二つ作った。
ドアを開けたら空間が繋がるという仕掛けだ。ドアの開閉は二つのドア間で連動し、こちらのドアを開けたらあちらのドアも開く。閉めれば逆側も閉まる。
これで、この二つのドア間なら行き来が可能になる。
当然、さっきと同じ実験をして、危険を限りなく排除する。出来得る限り最大限の安全性を考慮する。
魔力遮断実験も行ったが、道具として魔力を付与している場合、問題無く使うことができるみたいだ。多分私が死んでもこのドアは壊れない限り半永久的に使えると思う。
万が一ドアに挟まれても大丈夫なようにもした。
私自身が通過する実験も行った。問題無くもう片方のドアから出てこれた。
余談だけど、ドア自体を作るには樹魔法でも良いかと思って最初は樹で作ったが、樹魔法で作ったドアに空間魔法を付与しようとしたところ、ドアが異空間に引きずり込まれて消滅してしまった。
空間魔法を使った魔道具を作るには、樹魔法ではなく創成魔法でなければならないらしい。
燃える木や、凍てつく木、潤いの木と同様で、現実に存在しない物を無理矢理作ろうとするなら創成魔法の繋ぎが必要らしい。
「よし! 『どこにでもドア (劣化版)』が出来た!」
本当にどこにでも行ける、『どこにでもドア』のような便利過ぎるドアじゃないけど、これで徒歩12時間の距離を数秒に出来るはずだ。
そのままの名前だと後々まずそうだから一応名前を考えるか……
う~ん……遠距離をゼロ距離に出来るから……『遠距離接続ドア』ってのはどうだろう。
………………何か堅っ苦しいな……
『始めの一歩ドア』……これはちょっとふざけて過ぎてるか。
『ご近所ドア』……親しみはあるわね……
『ゼロドア』……名前からだと意味がわからないけど……何かカッコイイ。距離を付けて『ゼロ距離ドア』で良いか。
よし! じゃあ、このドアを『ゼロ距離ドア』という名前にする。
これから増えていく可能性も考えて、一応行き先を掘っておこうか。
どうせなら刃物で簡単に掘ったものじゃなくて、ドアに立体的な文字で作っておこう。
「『トロル集落』……と」
逆側のドアはどうしようかな……? 一応この家『通称:我が家』って名前だと自分では思ってるけど、流石にこの名前をドアに掘るのはどうだろう? 無難に『アルトラ宅』にしとくか。いや、ちょっと豪勢に『アルトラ邸』にしておこう。
「『アルトラ邸』……と」
よし、これでゼロ距離ドアは完成だ!
早速、出来たゼロ距離ドアの片方を庭の端辺りに立てておく。ドアだけだと安定しないから、後ろに石の壁を作ってそこにドアを埋める。
次はもう片方のドアだ。これを集落に持っていく。
早速、ゼロ距離ドアを持って集落へ飛ぶ。
防御結界と同じように、少なくとも私が生きている間は維持してくれるのか、それとも魔力が切れた瞬間に穴が閉じてしまうのか。
生物や物体が通過している最中に穴が閉じるという現象は、少なくとも私は他の漫画やアニメではお目にかかったことが無い。
こうやって実験してるのも見たことがない。
「もしかしたら歴史的瞬間かも?」
家の中から、昼食用に調理しようと思って亜空間収納ポケットから取り出しておいたガルムを持ってくる。
上半身を持って引きずって来た。
「結構大きいなコイツ……」
わざわざ家の中から持って来ずに亜空間収納ポケットを出してストックしているのを取り出せば良いじゃないか、と思うかもしれないが、これからも実験でMPを大量に使うかもしれない。流石に15万のMPを使い切るなんてことは無いだろうけど一応念のため節約したい。
「よいしょっと……」
ガルムの身体を半分だけ空間の穴に通す。
5m横の空間の穴の方向を見ると――
「こっちからは下半身が……あっちからは上半身だけが出てる……」
シュールな光景だ……
上半身と下半身が分断されて見えるなんて、人間界では絶対に見ない光景。二人いればこんな感じのトリック映像を作るのは可能だけど……
ここからの実験内容は、早い話がガルムの胴体へのギロチンだ。
ガルムは死んで1日くらい経過してる。血抜きも終わってるから鮮血が飛び散ることはないと思う……ただ、まだ内臓は処理前だから、もしかしたら飛び出したりして大惨事になるかもしれない。私の予想ではかなり大がかりな片付けが必要と見ている。
しかし、これを怠った結果、万が一人が空間穴の収束で潰れる可能性があるかもしれないと考えると、内臓も取らずにそのままの状態で実験した方が良い。
この状態でこの空間に開けている穴の魔力を遮断する。
さてどうなるか。
瞬時に穴が塞がる……何の反動も無く、綺麗にスッパリ切断された。
ベチャという音を立てて、目の前の空間穴があったところで下半身が、横の空間穴があったところで上半身が落下した……
……ああ……ごめんね、後でスタッフ (私)が美味しくいただくからご勘弁を。
もし、万が一この歴史的瞬間を漫画化やアニメ化されるようなことになる時は、この部分は黒塗りでお願いします。モザイク処理版、無修正版はブルーレイ&DVDで、なんちゃって。
しかし――
「なんて綺麗な切断面……」
力を込めて物理的な負荷をかけて切ったわけではないため、切断面にささくれのようなものが残らずツルッとした断面になっている。
内臓、特に小腸や大腸辺りがデロッと出てくるかと思ったが、物理的な力で押し潰されて切れたわけではないためか出てこない。
焼きそばパンを切った切断面みたいに綺麗に並んで切れている。
死後硬直してるからってのもあるかもしれないけど。
微かに焼けたような臭いがする。多分空間穴が閉じる時の空気摩擦で焼けたんじゃないかと思うが焦げ跡が残るほどではない。
ただ……
「これが人の身体で起きたらと考えると……実験しておいて正解だったかも……時間魔法と空間魔法は扱うのが恐いな……下手したら一瞬で人が死ぬ……特定の条件を満たしたら一瞬で空間を繋げられる魔道具を作ろう」
どんな道具にしようか……と、考えるまでもなく、こういう時はやっぱりアノ形しかない。
「『どこにでもドア』を作ろう」
空間魔法と創成魔法を使って、空間魔法を付与したドアを二つ作った。
ドアを開けたら空間が繋がるという仕掛けだ。ドアの開閉は二つのドア間で連動し、こちらのドアを開けたらあちらのドアも開く。閉めれば逆側も閉まる。
これで、この二つのドア間なら行き来が可能になる。
当然、さっきと同じ実験をして、危険を限りなく排除する。出来得る限り最大限の安全性を考慮する。
魔力遮断実験も行ったが、道具として魔力を付与している場合、問題無く使うことができるみたいだ。多分私が死んでもこのドアは壊れない限り半永久的に使えると思う。
万が一ドアに挟まれても大丈夫なようにもした。
私自身が通過する実験も行った。問題無くもう片方のドアから出てこれた。
余談だけど、ドア自体を作るには樹魔法でも良いかと思って最初は樹で作ったが、樹魔法で作ったドアに空間魔法を付与しようとしたところ、ドアが異空間に引きずり込まれて消滅してしまった。
空間魔法を使った魔道具を作るには、樹魔法ではなく創成魔法でなければならないらしい。
燃える木や、凍てつく木、潤いの木と同様で、現実に存在しない物を無理矢理作ろうとするなら創成魔法の繋ぎが必要らしい。
「よし! 『どこにでもドア (劣化版)』が出来た!」
本当にどこにでも行ける、『どこにでもドア』のような便利過ぎるドアじゃないけど、これで徒歩12時間の距離を数秒に出来るはずだ。
そのままの名前だと後々まずそうだから一応名前を考えるか……
う~ん……遠距離をゼロ距離に出来るから……『遠距離接続ドア』ってのはどうだろう。
………………何か堅っ苦しいな……
『始めの一歩ドア』……これはちょっとふざけて過ぎてるか。
『ご近所ドア』……親しみはあるわね……
『ゼロドア』……名前からだと意味がわからないけど……何かカッコイイ。距離を付けて『ゼロ距離ドア』で良いか。
よし! じゃあ、このドアを『ゼロ距離ドア』という名前にする。
これから増えていく可能性も考えて、一応行き先を掘っておこうか。
どうせなら刃物で簡単に掘ったものじゃなくて、ドアに立体的な文字で作っておこう。
「『トロル集落』……と」
逆側のドアはどうしようかな……? 一応この家『通称:我が家』って名前だと自分では思ってるけど、流石にこの名前をドアに掘るのはどうだろう? 無難に『アルトラ宅』にしとくか。いや、ちょっと豪勢に『アルトラ邸』にしておこう。
「『アルトラ邸』……と」
よし、これでゼロ距離ドアは完成だ!
早速、出来たゼロ距離ドアの片方を庭の端辺りに立てておく。ドアだけだと安定しないから、後ろに石の壁を作ってそこにドアを埋める。
次はもう片方のドアだ。これを集落に持っていく。
早速、ゼロ距離ドアを持って集落へ飛ぶ。
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