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第1章 灼熱の火山地帯冷却編
第4話 光のドレスの失敗と闇のドレスの創成
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さっきまで着ていた死装束が無かった。
そこに見えたのは全く見覚えの無い貧相な身体。
自分の記憶の中にある身体とは違うため、気が付くのに数秒の時間を要した。
「キャッ!」
気付いた瞬間に反射的にしゃがみ込む。
裸!? 何で!?
「あっ! さっきケルベロスの火炎放射喰らった時に服は燃えちゃったのか。身体は頑丈だけど、服まで頑丈ってわけじゃなかったのね。まあ、ここには人いないし、いるのはそこに寝っ転がってる犬だけだし、いっか」
再び仁王立ちに戻る。
それより私の胸どこいった?
「この身体に転生した時にどこかに置き忘れてきたのか……」
などと冗談も言えるので、今は特段の緊急事態というわけではないだろう。
しかし、このまま裸でいるわけにはいかないし……困ったな……
……
…………
………………
そうだ! 魔力で服を作れないかな?
試しに自分の身体に沿って、服を作るイメージで魔力を集結してみた。
魔力が身体に付着し、徐々に服の形を成していく。
「わぁ、綺麗~、キラキラの服だぁ!」
一応出来た。
スケスケの光のドレスが!
しかも隠そうとする場所に魔力を多めに集めたから、胸と股間の三ヶ所だけより輝いて、逆に卑猥に見える!
何だこの面白衣装は!
ていうか、まぶし過ぎて目を開けてられない!
「これダメだ……」
一度服を消す。
今ので確信した。
さっきの【つるかめ波】の時に光の魔力が放出された。そして今、服を作った時には光のドレスが出来た。
これらを併せて考えると、私の魔法の基本属性? 得意属性かも?は、光である可能性が高い。
しかし、この身体には悪魔のような特徴が見える。ということは、闇も使える可能性が高いのではないか?
今度は試しに闇で服を作るイメージをしてみた。
身体の表面に沿って、黒い服が構成されていき、最終的にドレスが出来上がった。
「やったぁ! 成功だ!」
肩回りは自由に動かせるように肌を露出、足先とかかとは地面を踏みしめられるように裸足にした。
どうせガラス踏んでも、溶岩踏んでも痛くも痒くも熱くもないだろうしね。
気になるのはこの闇で作った服、魔力で作ったためか何だか常にゆらゆら揺れている。ここに服が実在しているわけではないし、これはもう仕方ないか。魔力で服を構成出来たってだけでも上々だ。
黒一色だから味気ないな。色を付けたいところだけど、他の属性を使ってもさっきの光と同じように燃えたり凍ったりしそうだしな……何とかイメージした属性から色だけ抽出するコントロールが出来るようになれば良いんだけど……
それは後々試してみるとしよう。
余談だけど、服を作ってる過程で、一度顔まで闇で覆ってしまって、『名探偵ロナン』や『銀田一少年の事件簿』の犯人の人みたいになってしまったのはご愛敬だ。
「まっ、しばらくはこの服装で行こう!」
服が出来たら、身体の臭いを嗅いでみる。
「悪臭はしなくなったかな。さっきの炎で唾液の滅菌消毒はされたっぽい」
ただ……その代わりに死装束が燃えた所為か、ちょっと焦げ臭い。
「……何か気分的に嫌な感じだから、身体を洗い流したいよね……私、水魔法も使えるのかな?」
試しに水魔法を使ってみよう。
水をイメージして魔力を集める。とりあえず自分に影響がないように、前方に向けてさざ波をイメージしてみた。
ザパーー
「おお! ほぼイメージ通り! じゃあ、水浴びしていこっと♪」
ついでに水だまりを作ろう。土魔法を使い、岩をイメージして大理石の風呂釜を作った。
これで流れる水が留まってくれるはず。
丸っきり外だと、誰もいないとは言え、心許ないので、壁を建てて小屋くらいの大きさの風呂場のような空間も作った。
一度闇で作った服を消して裸になる。
水の玉を作って、上空に飛ばす。水の玉から小さい滝を流すイメージ。
すると身体の汚れを落とすにはちょうど良い水量の滝が出来た。
ザパー
「はぁ……気持ち良い……」
思えば魔界に落ちて、トロルに棍棒でタコ殴りにされて埃まみれ、ケルベロスに口の中で転がされて唾液まみれ、炎を浴びせかけられて煤まみれ。汚れることばかりされている。
自分で水作れる能力持ってて良かったわ。
何だか勝手に湯が沸いてくれるし。でも何か湯気が凄く多い気がする……まあ、今は身体流せればどうでも良いか。
「お風呂も作ったし、ついでに湯舟にも浸かろうかな」
ここまでに私が使った魔法は、光、闇、火、水、土、風。
こんなに色々出来るなんて、凄いぞ私!
この身体で魔界に来れたのは、罰じゃなくてむしろご褒美なんじゃないかしら?
「神様も何か目的があって、こうされたのかな……この状況……もうここで生活するより他は無さそう……」
落ち着いて湯舟に浸かっていると、しばらくしたら風呂の底から泡が出てきた。
「ん? 何これジャグジー?」
そんな高度な機能付けた覚えは無いけど、泡が物凄く出てくる。半端なく出てくる! おまけに湯気が凄い!
まあ、気持ち良いし別に良いか。湯舟に浸かっている所為か物思いに耽る。
今日はここに小屋でも作って寝るか……
身体は大丈夫なんだけど、いろいろあり過ぎて心が疲れた……
そういえば、RPGとかって魔法使うのにMPが必要だけど、この世界にMPという概念はあるのかしら? 私のMPってどうなってるの? 寝れば全快するのかな?
もしそういう概念があるなら、戦闘中にMP切れなんて起こさないように、MPの量くらいは把握しておきたいな。
今日の最後の作業として、ベッドと布団とパジャマを作る。普通に魔法で寝具を作り出せたけど、これって何属性に属する魔法なのかな? これなら普通に布製の服を作り出せるかも。
「………………また燃やされて終わりか……」
そう考えると、闇を纏うのは正しい判断なのかもしれない。
今後ここで生活することを考えると、やっぱり快適に生活できるようにしたい!
こんな何も無いところからは引っ越して、もっと快適に生活できるところを探そう! ここは草木一本生えてないようなところだけど、魔界にだってきっともっと良いところがあるはずだ!
まあ、いいや今日のところは寝よ!
そこに見えたのは全く見覚えの無い貧相な身体。
自分の記憶の中にある身体とは違うため、気が付くのに数秒の時間を要した。
「キャッ!」
気付いた瞬間に反射的にしゃがみ込む。
裸!? 何で!?
「あっ! さっきケルベロスの火炎放射喰らった時に服は燃えちゃったのか。身体は頑丈だけど、服まで頑丈ってわけじゃなかったのね。まあ、ここには人いないし、いるのはそこに寝っ転がってる犬だけだし、いっか」
再び仁王立ちに戻る。
それより私の胸どこいった?
「この身体に転生した時にどこかに置き忘れてきたのか……」
などと冗談も言えるので、今は特段の緊急事態というわけではないだろう。
しかし、このまま裸でいるわけにはいかないし……困ったな……
……
…………
………………
そうだ! 魔力で服を作れないかな?
試しに自分の身体に沿って、服を作るイメージで魔力を集結してみた。
魔力が身体に付着し、徐々に服の形を成していく。
「わぁ、綺麗~、キラキラの服だぁ!」
一応出来た。
スケスケの光のドレスが!
しかも隠そうとする場所に魔力を多めに集めたから、胸と股間の三ヶ所だけより輝いて、逆に卑猥に見える!
何だこの面白衣装は!
ていうか、まぶし過ぎて目を開けてられない!
「これダメだ……」
一度服を消す。
今ので確信した。
さっきの【つるかめ波】の時に光の魔力が放出された。そして今、服を作った時には光のドレスが出来た。
これらを併せて考えると、私の魔法の基本属性? 得意属性かも?は、光である可能性が高い。
しかし、この身体には悪魔のような特徴が見える。ということは、闇も使える可能性が高いのではないか?
今度は試しに闇で服を作るイメージをしてみた。
身体の表面に沿って、黒い服が構成されていき、最終的にドレスが出来上がった。
「やったぁ! 成功だ!」
肩回りは自由に動かせるように肌を露出、足先とかかとは地面を踏みしめられるように裸足にした。
どうせガラス踏んでも、溶岩踏んでも痛くも痒くも熱くもないだろうしね。
気になるのはこの闇で作った服、魔力で作ったためか何だか常にゆらゆら揺れている。ここに服が実在しているわけではないし、これはもう仕方ないか。魔力で服を構成出来たってだけでも上々だ。
黒一色だから味気ないな。色を付けたいところだけど、他の属性を使ってもさっきの光と同じように燃えたり凍ったりしそうだしな……何とかイメージした属性から色だけ抽出するコントロールが出来るようになれば良いんだけど……
それは後々試してみるとしよう。
余談だけど、服を作ってる過程で、一度顔まで闇で覆ってしまって、『名探偵ロナン』や『銀田一少年の事件簿』の犯人の人みたいになってしまったのはご愛敬だ。
「まっ、しばらくはこの服装で行こう!」
服が出来たら、身体の臭いを嗅いでみる。
「悪臭はしなくなったかな。さっきの炎で唾液の滅菌消毒はされたっぽい」
ただ……その代わりに死装束が燃えた所為か、ちょっと焦げ臭い。
「……何か気分的に嫌な感じだから、身体を洗い流したいよね……私、水魔法も使えるのかな?」
試しに水魔法を使ってみよう。
水をイメージして魔力を集める。とりあえず自分に影響がないように、前方に向けてさざ波をイメージしてみた。
ザパーー
「おお! ほぼイメージ通り! じゃあ、水浴びしていこっと♪」
ついでに水だまりを作ろう。土魔法を使い、岩をイメージして大理石の風呂釜を作った。
これで流れる水が留まってくれるはず。
丸っきり外だと、誰もいないとは言え、心許ないので、壁を建てて小屋くらいの大きさの風呂場のような空間も作った。
一度闇で作った服を消して裸になる。
水の玉を作って、上空に飛ばす。水の玉から小さい滝を流すイメージ。
すると身体の汚れを落とすにはちょうど良い水量の滝が出来た。
ザパー
「はぁ……気持ち良い……」
思えば魔界に落ちて、トロルに棍棒でタコ殴りにされて埃まみれ、ケルベロスに口の中で転がされて唾液まみれ、炎を浴びせかけられて煤まみれ。汚れることばかりされている。
自分で水作れる能力持ってて良かったわ。
何だか勝手に湯が沸いてくれるし。でも何か湯気が凄く多い気がする……まあ、今は身体流せればどうでも良いか。
「お風呂も作ったし、ついでに湯舟にも浸かろうかな」
ここまでに私が使った魔法は、光、闇、火、水、土、風。
こんなに色々出来るなんて、凄いぞ私!
この身体で魔界に来れたのは、罰じゃなくてむしろご褒美なんじゃないかしら?
「神様も何か目的があって、こうされたのかな……この状況……もうここで生活するより他は無さそう……」
落ち着いて湯舟に浸かっていると、しばらくしたら風呂の底から泡が出てきた。
「ん? 何これジャグジー?」
そんな高度な機能付けた覚えは無いけど、泡が物凄く出てくる。半端なく出てくる! おまけに湯気が凄い!
まあ、気持ち良いし別に良いか。湯舟に浸かっている所為か物思いに耽る。
今日はここに小屋でも作って寝るか……
身体は大丈夫なんだけど、いろいろあり過ぎて心が疲れた……
そういえば、RPGとかって魔法使うのにMPが必要だけど、この世界にMPという概念はあるのかしら? 私のMPってどうなってるの? 寝れば全快するのかな?
もしそういう概念があるなら、戦闘中にMP切れなんて起こさないように、MPの量くらいは把握しておきたいな。
今日の最後の作業として、ベッドと布団とパジャマを作る。普通に魔法で寝具を作り出せたけど、これって何属性に属する魔法なのかな? これなら普通に布製の服を作り出せるかも。
「………………また燃やされて終わりか……」
そう考えると、闇を纏うのは正しい判断なのかもしれない。
今後ここで生活することを考えると、やっぱり快適に生活できるようにしたい!
こんな何も無いところからは引っ越して、もっと快適に生活できるところを探そう! ここは草木一本生えてないようなところだけど、魔界にだってきっともっと良いところがあるはずだ!
まあ、いいや今日のところは寝よ!
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