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第4章
(68)ワクワク!いざ、ザリシア国ヘ!
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ザリシア国の国境では、門も柵もなくただ草原が広がっていた。しかし不思議なのは、国境線で仕切られたように全く違う植物が分布していることだった。
「インクレメントムの皆はここに来たことがあるの?」
ソフィアの質問にアーノルドが答える。
「何度かギルドの依頼でな。いやー、面白い国だぞ」
「それに、なんと行っても魚がとっても美味しいのよ!」
「とくに“スーシ”って言うのが良いらしいわよ?」
スーシ?……お寿司があるの!?
「新鮮な魚を東洋の白米と一緒に一口大の大きさに握る……んだったか?」
「(お寿司だ!)」
『食べてみたいわ!』
エルブは目を輝かせる一方で、アズルは首をかしげる。
『そんな切ったり握ったりして、本当に美味しいのかしら?』
アズルの疑問にソフィアは身を乗り出して答える。
「美味しいよ!」
あ……シスターがお寿司を食べさせてくれたことを思い出して、つい口に出ちゃった。皆が私を不思議そうに見てるよ……知ってる理由が異世界から来たからなんて言えないよ~!
「つ、作った人の真心がこもってるから……絶対、美味しいよ!」
くっ、苦しい言い訳にしか聞こえない……
「そうよね。真心がこもってるのよね」
「ソフィアは優しい子だね」
「俺も何か胸がじ~んとしたな」
皆がほっこりしてる……うーん、なんとか誤魔化せたみたい?
「(気づかれてない、かな。良かった~)」
ソフィアは少し安堵する。すると馬車がゆっくり止まった。ソフィアが外を覗くと、豹の獣人と虎の獣人が動きやすい軽装に着替えたベラと話をしていた。
「身分証を見せてくれ」
「どうぞ」
ベラはシェラから事前に貰っていた身分証明書を虎の門番に渡す。
「ふーん、元メイドか」
ベラは頷く。これからギルドで登録することを話すと、入国料の銀貨1枚を要求されたので支払った。
「それで、この中には?」
「冒険者の方々がおられます」
獣人達は目を合わせた。おそらくあの獣人らは門番なのだろう。荷台の扉を開けて豹の獣人が入ってきた。エルブとアズルは怪しまれないように姿を隠し、グライはソフィアよりも小さくなり、ぬいぐるみに擬態した(ぬいぐるみにしては)。
「失礼するぜ。身元が分かるものを見せてくれ」
「ああ、これでいいか?」
レイブンさんは門番さんにペンダントを見せる。
「アーノルド・レイブン……ああ、インクレメントムの!」
ここでもレイブンさん達は有名なんだね。
「ええ、私達5人はね」
「了解した。じゃ、そっちの4人も」
「はい、お願いします!」
私はフォルンのペンダントも合わせて渡す。
「おう、ハンネ・フラーデと、フォルン・フラーデだな」
「はい!(あれ?フォルン……フラーデ?)」
私はフォルンを見た。フォルンはそっぽを向いているけど、これも、エリックさんや国王様が準備してくださったのかな?
「いい返事だ!」
門番さんはペンダントを返して、私の頭を荒っぽく撫でる。頭がとっても揺れるよ~!
「俺は……これ」
ジェイコブさんもペンダントを渡す。門番さんはペンダントを確認してジェイコブさんに返したの。
「最後に、お前だな」
「俺はまだ身分証が無いんだが……」
「ん、冒険者じゃないのか?」
珍しそうな顔でマイルさんを見る門番さん。マイルさん大丈夫かな……?
「ああ、少し前まで雇われの傭兵だったからな。傭兵の仕事でも生活できていたんだが……これからこの国のギルドで登録するつもりだ」
門番さんはマイルさんの言葉を聞くとうんうんと頷いて、納得したみたい。
「じゃあ、入国料銀貨1枚だな」
マイルさんは袋から出した銀貨1枚を渡すと、門番さんはマイルさんの肩を叩いて励ましてたよ。強面だけど優しい!
「……よし。待たせたな!これで入れるぞ」
「やったー!」
思わず喜ぶソフィア。アーノルドが笑いを堪えられずに吹き出すと、門番も含め皆がどっと笑った。
「あははっ!もう、ソフィアってば~」
「待ちきれなくて、つい……」
さっきまで大笑いしていた門番さんも大分落ち着いて来たところで話を戻した。
「あ~、面白え子供だな!よし、これで終わりだからな。楽しんでってくれよ!」
「えへへ、はーい!」
門番が荷台から出ると、ベラが馬を走らせた。ソフィアは荷台から顔を出し、先程の門番に手を振った。虎の門番が戻って来た豹の門番の嬉しそうな様子を見て話しかけた。
「長かったな?」
「ああ。元気な人の子だったが、これが面白いチビでな?お前にも会わせてやれなかったのが残念だったな~!」
「何だそれ?羨ましいぞ~!」
頭を締める虎の門番。
「後でちゃんと話すっつーの!」
「お前ら~、仕事しろー」
門番の二人とも、元メイド、元傭兵、見た目が幼い冒険者の兄弟、謎の男冒険者、隣国で有名な冒険者パーティーという不思議な組み合わせには全く気にも止めず、面白がった幼子がフェアリーデイだとも気づいていなかった。
「インクレメントムの皆はここに来たことがあるの?」
ソフィアの質問にアーノルドが答える。
「何度かギルドの依頼でな。いやー、面白い国だぞ」
「それに、なんと行っても魚がとっても美味しいのよ!」
「とくに“スーシ”って言うのが良いらしいわよ?」
スーシ?……お寿司があるの!?
「新鮮な魚を東洋の白米と一緒に一口大の大きさに握る……んだったか?」
「(お寿司だ!)」
『食べてみたいわ!』
エルブは目を輝かせる一方で、アズルは首をかしげる。
『そんな切ったり握ったりして、本当に美味しいのかしら?』
アズルの疑問にソフィアは身を乗り出して答える。
「美味しいよ!」
あ……シスターがお寿司を食べさせてくれたことを思い出して、つい口に出ちゃった。皆が私を不思議そうに見てるよ……知ってる理由が異世界から来たからなんて言えないよ~!
「つ、作った人の真心がこもってるから……絶対、美味しいよ!」
くっ、苦しい言い訳にしか聞こえない……
「そうよね。真心がこもってるのよね」
「ソフィアは優しい子だね」
「俺も何か胸がじ~んとしたな」
皆がほっこりしてる……うーん、なんとか誤魔化せたみたい?
「(気づかれてない、かな。良かった~)」
ソフィアは少し安堵する。すると馬車がゆっくり止まった。ソフィアが外を覗くと、豹の獣人と虎の獣人が動きやすい軽装に着替えたベラと話をしていた。
「身分証を見せてくれ」
「どうぞ」
ベラはシェラから事前に貰っていた身分証明書を虎の門番に渡す。
「ふーん、元メイドか」
ベラは頷く。これからギルドで登録することを話すと、入国料の銀貨1枚を要求されたので支払った。
「それで、この中には?」
「冒険者の方々がおられます」
獣人達は目を合わせた。おそらくあの獣人らは門番なのだろう。荷台の扉を開けて豹の獣人が入ってきた。エルブとアズルは怪しまれないように姿を隠し、グライはソフィアよりも小さくなり、ぬいぐるみに擬態した(ぬいぐるみにしては)。
「失礼するぜ。身元が分かるものを見せてくれ」
「ああ、これでいいか?」
レイブンさんは門番さんにペンダントを見せる。
「アーノルド・レイブン……ああ、インクレメントムの!」
ここでもレイブンさん達は有名なんだね。
「ええ、私達5人はね」
「了解した。じゃ、そっちの4人も」
「はい、お願いします!」
私はフォルンのペンダントも合わせて渡す。
「おう、ハンネ・フラーデと、フォルン・フラーデだな」
「はい!(あれ?フォルン……フラーデ?)」
私はフォルンを見た。フォルンはそっぽを向いているけど、これも、エリックさんや国王様が準備してくださったのかな?
「いい返事だ!」
門番さんはペンダントを返して、私の頭を荒っぽく撫でる。頭がとっても揺れるよ~!
「俺は……これ」
ジェイコブさんもペンダントを渡す。門番さんはペンダントを確認してジェイコブさんに返したの。
「最後に、お前だな」
「俺はまだ身分証が無いんだが……」
「ん、冒険者じゃないのか?」
珍しそうな顔でマイルさんを見る門番さん。マイルさん大丈夫かな……?
「ああ、少し前まで雇われの傭兵だったからな。傭兵の仕事でも生活できていたんだが……これからこの国のギルドで登録するつもりだ」
門番さんはマイルさんの言葉を聞くとうんうんと頷いて、納得したみたい。
「じゃあ、入国料銀貨1枚だな」
マイルさんは袋から出した銀貨1枚を渡すと、門番さんはマイルさんの肩を叩いて励ましてたよ。強面だけど優しい!
「……よし。待たせたな!これで入れるぞ」
「やったー!」
思わず喜ぶソフィア。アーノルドが笑いを堪えられずに吹き出すと、門番も含め皆がどっと笑った。
「あははっ!もう、ソフィアってば~」
「待ちきれなくて、つい……」
さっきまで大笑いしていた門番さんも大分落ち着いて来たところで話を戻した。
「あ~、面白え子供だな!よし、これで終わりだからな。楽しんでってくれよ!」
「えへへ、はーい!」
門番が荷台から出ると、ベラが馬を走らせた。ソフィアは荷台から顔を出し、先程の門番に手を振った。虎の門番が戻って来た豹の門番の嬉しそうな様子を見て話しかけた。
「長かったな?」
「ああ。元気な人の子だったが、これが面白いチビでな?お前にも会わせてやれなかったのが残念だったな~!」
「何だそれ?羨ましいぞ~!」
頭を締める虎の門番。
「後でちゃんと話すっつーの!」
「お前ら~、仕事しろー」
門番の二人とも、元メイド、元傭兵、見た目が幼い冒険者の兄弟、謎の男冒険者、隣国で有名な冒険者パーティーという不思議な組み合わせには全く気にも止めず、面白がった幼子がフェアリーデイだとも気づいていなかった。
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