異世界に来ちゃったよ!?

いがむり

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第1章

(19)神様のいたずら

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『ふぇっくしょん!』

『アビラス、風邪ですか?』

『何言ってんだよヘラムント。俺達風邪引かないだろ、誰かが噂してるんだよ。多分、グライとかスピーレあたりだろ……っくしょん!』

アビラスはパチンと指を鳴らすとティッシュが出てきた。それをとって鼻に覆い、鼻水を出した。

『本当に風邪じゃないの?』

赤いドラゴンのぬいぐるみを抱いてやってきたべネディクタ。

『絶対ちーがーうー!』

『ベネディクタ、そのぬいぐるみはなんですか?』

よくぞ聞いてくれたと言わんばかりの顔でヘラムントを見る。ベネディクタの様子にアビラスはちょっと引き気味になる。

『ふっふーん!ソフィアへのプレゼントよ!』

『ぬいぐるみがか?』

『そんな訳ないじゃな~い!』

『……それはいつですか』

『それを言ったら、サプライズにならないじゃない!』

『また面倒事を……』

『あら?地上は何やら式典があるみたいね』

ベネディクタは話を逸らした。ヘラムントはため息を吐いて、

『今からフェアリーデイの、ソフィアの来訪を祝うんですよ。忘れましたか?アビラスが、珍しく本来の仕事をしていたんですよ?』

『珍しくっていうのは余計だと思うが~?ヘラムント』

『あ~あれね!』

『それで思い出すなよ!』

今日も神界は平和そのもの。本当に人間らしい……本当に。

『また覗いてみる~?』

『もちのろんだ!』

『そうですね』






『『『私(俺)達の愛しいソフィアだからな(ね)!(ですからね)』』』






「ソフィア、準備出来たか?」

「はい!」

今私は王城の庭にある式典のためのお部屋の2階。今日は私のために開く式典なんだって!ちょっと緊張するけど、嬉しいな。

〈ソフィア、似合ってるぞ〉

あの争いの後、国王様は国民みんなに“神のいたずら”によるフェアリーデイ出現を明らかにしたの。私はその発表の時には出なかったけど、今日国民にお披露目するんだって。

「ありがとう!オーヴィ」

今日のドレスは一段と綺麗で、青色のふわっとしたドレスに頭には花冠がついてるの。国王様があの天使みたいな姿が印象的だったからって服屋さんに頼んだみたい。私もあの花冠可愛かったなって思ってたんだ~。

『これでは本当に天使にしか見えぬな』

スピーレに言われて、私は照れ笑い。争いが収まって、私達が森に帰ろうとしたときにエリックさんが「お披露目の式典が終わるまでこの国にいて欲しい」って言われたの。スピーレ達は最初、反対してたけど「ソフィアが騎士団の保護下にあるように見せれば、人間が森の中に入ることもないし、ソフィアが狙われる確率も格段に減る」って言われて納得したみたい。しばらくエリックさんの御屋敷でお世話になってたの。シェラさんや御屋敷の執事さんにメイドさんが「おかえりなさいませ」ってお迎えしてもらって嬉しかったな~。

《わし……威厳ないのう…》

グライはあの大きさでは国内に入っても目立つとスピーレに言われて、仕方なくフクロウくらいの大きさになったの。スピーレ達も姿が変わったときはちょっとびっくりしたよ。だって、アズルとエルブは美人なお姉さんって感じ。……シスターが言ってたボンキュッボンのナイスバディ?になったの。元から綺麗だったけど更に綺麗になっちゃった!それを上回るのがスピーレ。私と会った時から整った顔立ちだったけど、今はそれ以上に神秘的な美しさが加えられて、なんとも言えないけどとにかく女の人に間違えられそうなほど綺麗……!オーヴィは大きさがちょっと小さくなって、私が5人乗れるくらいの大きさだったのが今は1人乗れるくらい小さくなってちょっと可愛い!

「わたしはかっこいいとおもうよ!それにグライをずっとさわれるから、しばらくこのままがいいな?」

《ソフィアがずっと触れてくれるのなら、このままでも良いのお…!》

「ソーフィーアーちゃん」

「ジャックさん!」

ジャックさんは争いのとき、国王がくる前に指揮をとっていたの。5番隊隊長さんなんだって!

「今日はいつにも増して可愛いね~!」

「ありがとうございます!」

ジャックさんも平民だったけど、騎士団に入って凄く頑張って今じゃ“鷹の目”っていう2つ名があるんだって!かっこいいね!

「でも、なんでエリックさんここにいるの?おしごとは?」

「今日はこっちでお仕事なんだ~」

「へぇ~!」

「ジャック、やっと見つけたぞ」

「あ、エリック隊長」

「エリックさん!」

あれ?エリックさんの後ろに誰がいる。エリックさんに似てるけど、エリックさんを少し若くした感じ。多分15歳くらいかな?

「エリックさん、後ろの人は?」

「ああ、今日からソフィアの護衛を任せた私の弟だ」

弟さんは私の前にくると、私の高さに合わせて屈んでくれた。

「ソフィア様専属の護衛を務めさせていただきます。マイル・モザゲンスキーです。よろしくお願いいたします」

「よろしくおねがいします!」

マイルさんは表情を表に出さないみたい。いつか笑った顔が見てみたいな。

『ソフィア、もうすぐ出番だ』

「うん」

うわあ、緊張してきた……。スピーレに抱かれて国王様の所へテラスを開けていくと、そこには物凄い人が集まっている。お城の中でここだけ式典のときに国民に入れるようになってるんだって。

「……そして神のいたずらによっておいでくださった、フェアリーデイである!」

凄い歓声が聞こえる。私、挨拶出来るかな?国王様はお辞儀するだけでいいって言ってたけど……

「ソフィア様、こちらへどうぞ」

「は、はい!スピーレ、みんな行こ!」

私達は国王様の隣に出た。「幼い」とか「言い伝えの通りだ」とか私の周りのみんなのことも色々聞こえてくる。私が国王様を見ると国王様も私を見てにっと笑ってくれた。

「この幼子はこのベイフロー公国の平和をこの幼い身ながら願ってくれたのだ!それに我らも答えようではないか!」

国王様のお言葉に国民も拍手喝采。さすが国王様!あ、私もお辞儀しなきゃ。









『『可愛かったわ!ソフィア』』

《うむ!国王もうまい具合に引き立ててくれたわい》

〈そうだな〉

『ソフィア、疲れてないか?』

「全然!みんなもお疲れ様!」

「良かったぞ、ソフィア」

国王様も汗を拭きながら戻ってきた。

「ありがとうございます!」

「国王、これからソフィアはどうするんですか」

エリックさんが聞いた。私も気になってたの。森に帰ろうかなって。

「これから祭りがある。ソフィアも見たくはないか?」

………お祭り!私行ったことない!

『『お祭り!』』

『しかし、この姿では見に行けぬだろう』

《それにソフィア狙う、絶好のチャンスではないかの?》

「へんそうする?」

「それはいいな!どこその貴族にでも変装すれば護衛も付けられる」

問題は髪と目の色だよね……あ、魔法で変わるかな?あのフライのときみたいに魔力を全体に流して……

『何をしている?ソフィア』

「かみとのめのいろをかえられるかも!」

『えっ!』

今度は髪を根元から…茶色に染める感じで……

「なっ!髪が」

目の色は…茶色でいっか!シスターが言ってたカラコン?みたいな色で……

「できた!」

《瞳の色が変わっておる!》

『『ソフィアすごーい!』』

「そんな魔法初めて見たぞ……」

マイルさんも何も言わないけど驚いているみたい…?

「それは誰かに習ったのか?」

「フライのまほうのおうようです!あのとき、フライをアビラスさまにおそわりました」

『《あのジジイが!?》』

「魔法の神だと!?」

なんかみんな驚き過ぎじゃない?私も声しか聞こえなかったときはちょっと驚いたけど……

『すでに御五柱の御三方に愛されているとは…』

「ソフィアは本当に天使なのでは……」

「わたしは、た・だ・のにんげんです!てんしではありませんよ!」

神様のいたずら……本当にいたずらかも?










『『『……へっくしょん!』』』



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