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女王様降臨
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夏が明けたとは言えないほど、まだ暑い太陽の下
紗江ちゃんと、散って枝だけ残った藤の木を見ながらお弁当を広げる。
「鈴奈ちゃんは、この夏何処かへ行った?」
うっ!
質問一発目からクリティカルヒット
「光圀ショッピングモールに行ったよ」
「他は?」
「……」
「お祭りや旅行は行かなかったの?」
「……うん」
入学初日に見た女の子たちの強烈な印象が蘇る。
どこか行ってないとおかしいんだろうな
「ご家族は本当に過保護なんですね…」
紗江ちゃんに家族の話をしたことがあっただろうか?
「どうして私が、立花家のことを知っているのか気になっていますか?」
えっ
「ふふふっ鈴奈ちゃんはお顔に現れますから。立花家に娘がいるのは知られているのに、本人を見た方がいないことで有名なんですよ。」
「家族の過保護が知れ渡っているってこと?恥ずかしいな……」
「いや、それは……」
「失礼!わたくし佐伯薔薇こころと申します。貴女は立花家の一人娘である鈴奈様でお間違えありませんでしょうか?」
目の前に現れたのは黒髪を縦ロールにした小説に出てきそうなThe悪役令嬢だった。
突然現れた濃いキャラをもつ彼女に戸惑い一拍遅れてだが、彼女の質問に対して、えぇと返す。
「そう、それは良かった。わたくし貴女に言いたいことがあったの。貴女の……」
「鈴奈ちゃんになんの御用ですか?」
佐伯薔薇さんの言葉を遮り、私と彼女の間に紗江ちゃんが立つ。私の視界は紗江ちゃん100%になり、彼女が見えない。
「剣持さん貴女に用はないの。そこをどいて下さる?」
彼女の瞳には、発言を妨害された以前から苛立ちが現れている。正直怖い……
「どうして私の名前を…」
「当たり前でしてよ。ライバルになり得る人物の名前は把握しておりますわ。立花さんのことはマークしてなかったものだから調査に時間がかかってしまいましたの。わたくしは、立花さん、貴女がどうしてもとおっしゃるのなら、お友達になってあげなくもないわ!」
そういうと、佐伯薔薇さんはそっぽを向いて片手を差し出した。
気のせいかほんのりと頬が赤くなっている。
縦ロールちゃんはツンデレちゃんなの?
……可愛い
「是非お友達になりましょ!お昼はもう食べた?一緒にどうかな」
「ご一緒して上げなく……もないわ…」
佐伯薔薇さんは横に付れて来ていた従者と思しき人にお重を広げてもらっている。
お昼を元々一緒に食べたかったのだろうことが分かる。デレ供給過多です!
「佐伯薔薇さん、そのお重全て食べられるのですか?」
「そんなわけないじゃない。剣持さんは天然でらっしゃるのね。これはわたくしが一人で食べれる量じゃなくてよ」
自分の好きな物だけを食べればいいと思っているのではない、かつ一人では食べれない量であることの自覚あり。
つまり
「私たちにも分けてくれるってことかな?」
「立花様、その通りでございます。こころお嬢様は朝、早起きをされ、上機嫌でこの昼食を用意されておりました。登校中からこの時間まで始終そわそわとされておりまして」
「なんで、それを言うのよ!違いますノよ。そんなつもりじゃなくて……これはわたくしが食べるために作って……本当にそんな……」
顔が茹でダコのように沸騰していて、こころちゃんがあまりにも可愛すぎる
「こころちゃんがそれを完食しちゃったら、お腹が大変なことになるから、手伝うね!紗江ちゃんも協力してくれる?」
紗江ちゃんは話について来れていないのだろう。それでも、ぎこちなくはあるが、うなづいてくれた。
後に、独断で佐伯薔薇さんをランチに誘ったことに対する謝罪と、彼女がツンデレ属性であることを伝えないと……楽しみ!
「こ……こ…こころって、あなた」
「どうしたのこころちゃん?」
きっと、今の私の顔は悪い顔をしているだろう。
こころちゃんは、私の加えたトドメによって頭をオーバーヒートさせてしまい、気絶してしまった。
動かなくなってしまった彼女は、婚約者が回収していった。
一見従者に見えた彼が、こころちゃんの婚約者だったらしい。
会話に時間を思っていた以上に取られていたようで、予鈴数分前だった。
キーンコーンカーンコーン
「本日の授業はここまで、次回までに教科書67ページまで予習しておくように」
今日は最終授業が担任であるため、授業後すぐにHRとなる日だ。
「連絡事項は、あったかな?うーん、あぁそうだ、交換留学があったな。我が校は三年に一度、隣国のセイントノエル学園と交換留学を行っており、今年は我が校が、生徒を迎え入れる年です。
明日から留学生が登校してくるが、変に絡んだりしないように。いや、来るのはヤローだけだから大丈夫か。一年にも一応二人来ることななっているが、基本は二年生ばかりだ。ちなみにうちのクラスは来ないから何も期待するなよ~。連絡は以上。立花以外解散」
理由は分からないが、担任の先生に手招きをされ、担任の下に行くと、校長室の前で待つように言われた。
指示通りに校長室へ向かい、五分ほど待っていると、部屋の扉が開いた。
出てきたのは、私よりも頭1個分は裕に大きい銀髪の紳士だった。
「久しぶり!鈴奈ちゃん。入って入って」
紗江ちゃんと、散って枝だけ残った藤の木を見ながらお弁当を広げる。
「鈴奈ちゃんは、この夏何処かへ行った?」
うっ!
質問一発目からクリティカルヒット
「光圀ショッピングモールに行ったよ」
「他は?」
「……」
「お祭りや旅行は行かなかったの?」
「……うん」
入学初日に見た女の子たちの強烈な印象が蘇る。
どこか行ってないとおかしいんだろうな
「ご家族は本当に過保護なんですね…」
紗江ちゃんに家族の話をしたことがあっただろうか?
「どうして私が、立花家のことを知っているのか気になっていますか?」
えっ
「ふふふっ鈴奈ちゃんはお顔に現れますから。立花家に娘がいるのは知られているのに、本人を見た方がいないことで有名なんですよ。」
「家族の過保護が知れ渡っているってこと?恥ずかしいな……」
「いや、それは……」
「失礼!わたくし佐伯薔薇こころと申します。貴女は立花家の一人娘である鈴奈様でお間違えありませんでしょうか?」
目の前に現れたのは黒髪を縦ロールにした小説に出てきそうなThe悪役令嬢だった。
突然現れた濃いキャラをもつ彼女に戸惑い一拍遅れてだが、彼女の質問に対して、えぇと返す。
「そう、それは良かった。わたくし貴女に言いたいことがあったの。貴女の……」
「鈴奈ちゃんになんの御用ですか?」
佐伯薔薇さんの言葉を遮り、私と彼女の間に紗江ちゃんが立つ。私の視界は紗江ちゃん100%になり、彼女が見えない。
「剣持さん貴女に用はないの。そこをどいて下さる?」
彼女の瞳には、発言を妨害された以前から苛立ちが現れている。正直怖い……
「どうして私の名前を…」
「当たり前でしてよ。ライバルになり得る人物の名前は把握しておりますわ。立花さんのことはマークしてなかったものだから調査に時間がかかってしまいましたの。わたくしは、立花さん、貴女がどうしてもとおっしゃるのなら、お友達になってあげなくもないわ!」
そういうと、佐伯薔薇さんはそっぽを向いて片手を差し出した。
気のせいかほんのりと頬が赤くなっている。
縦ロールちゃんはツンデレちゃんなの?
……可愛い
「是非お友達になりましょ!お昼はもう食べた?一緒にどうかな」
「ご一緒して上げなく……もないわ…」
佐伯薔薇さんは横に付れて来ていた従者と思しき人にお重を広げてもらっている。
お昼を元々一緒に食べたかったのだろうことが分かる。デレ供給過多です!
「佐伯薔薇さん、そのお重全て食べられるのですか?」
「そんなわけないじゃない。剣持さんは天然でらっしゃるのね。これはわたくしが一人で食べれる量じゃなくてよ」
自分の好きな物だけを食べればいいと思っているのではない、かつ一人では食べれない量であることの自覚あり。
つまり
「私たちにも分けてくれるってことかな?」
「立花様、その通りでございます。こころお嬢様は朝、早起きをされ、上機嫌でこの昼食を用意されておりました。登校中からこの時間まで始終そわそわとされておりまして」
「なんで、それを言うのよ!違いますノよ。そんなつもりじゃなくて……これはわたくしが食べるために作って……本当にそんな……」
顔が茹でダコのように沸騰していて、こころちゃんがあまりにも可愛すぎる
「こころちゃんがそれを完食しちゃったら、お腹が大変なことになるから、手伝うね!紗江ちゃんも協力してくれる?」
紗江ちゃんは話について来れていないのだろう。それでも、ぎこちなくはあるが、うなづいてくれた。
後に、独断で佐伯薔薇さんをランチに誘ったことに対する謝罪と、彼女がツンデレ属性であることを伝えないと……楽しみ!
「こ……こ…こころって、あなた」
「どうしたのこころちゃん?」
きっと、今の私の顔は悪い顔をしているだろう。
こころちゃんは、私の加えたトドメによって頭をオーバーヒートさせてしまい、気絶してしまった。
動かなくなってしまった彼女は、婚約者が回収していった。
一見従者に見えた彼が、こころちゃんの婚約者だったらしい。
会話に時間を思っていた以上に取られていたようで、予鈴数分前だった。
キーンコーンカーンコーン
「本日の授業はここまで、次回までに教科書67ページまで予習しておくように」
今日は最終授業が担任であるため、授業後すぐにHRとなる日だ。
「連絡事項は、あったかな?うーん、あぁそうだ、交換留学があったな。我が校は三年に一度、隣国のセイントノエル学園と交換留学を行っており、今年は我が校が、生徒を迎え入れる年です。
明日から留学生が登校してくるが、変に絡んだりしないように。いや、来るのはヤローだけだから大丈夫か。一年にも一応二人来ることななっているが、基本は二年生ばかりだ。ちなみにうちのクラスは来ないから何も期待するなよ~。連絡は以上。立花以外解散」
理由は分からないが、担任の先生に手招きをされ、担任の下に行くと、校長室の前で待つように言われた。
指示通りに校長室へ向かい、五分ほど待っていると、部屋の扉が開いた。
出てきたのは、私よりも頭1個分は裕に大きい銀髪の紳士だった。
「久しぶり!鈴奈ちゃん。入って入って」
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