転生少女は溺愛に気付かない

たぬ

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兄の誕生日 準備編

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浩成お兄ちゃんの24歳の誕生日を一週間後に控え、今現在贈り物をどうしようか悩んでいる。
毎年度、光圀さんを呼んで見繕って貰った物から選んで買っていたんだが、活動可能なエリアに光圀ショッピングモールが加わったた実物を見ながら品を探したい。
時間もあまりないので、光圀さんにお父さんを通さず直接連絡をとり協力を仰いだ。

如何に時間が無かろうともお父さんの許可なしには連れ出せないと言われたので、お父さんに希望を伝えるも警備にかける時間もお父さんの都合も合わせられないそうだ。

別にお父さんが付いて来る必要性を私は感じないのだが、当然のように自分の予定を開けようとするので、部下の人に詰め寄られていた。

結局贈り物は光圀さんに選別してもらった品の中から選んだが、満足していない。
物以外の何かを残り少ない時間で用意できるものというと...お手伝い券?肩もみ券?いや、これは世の子供たちが両親にあげる贈り物だ。私が出来ることと言えば、料理だろうか

実は私は料理が上手くない。

せっかちな性格のせいで、火が通り切るまで待てなかったり、手間を惜しんでしまう。
レシピ通りに作れば食べられるレベルだとは思うのだが、いつも食べる食事と比べると如何せん美味しくない...

光圀さんにそのことを話してみてどうすればいいか尋ねてみる。

「お兄ちゃんへの贈り物を光圀さんに持ってきてもらうもの以外にも用意したいんですけど、何をしようか行き詰っていて、時間的な問題から料理にしようかと思ったんですが、私あまり料理が上手くなくて...」

バン!

突然光圀さんが机に手をつき身を乗り出してきた。

あっ、そばに控えていた真紀さんに席へ戻された。

「お嬢「鈴奈様、こんな商人なぞに聞かずに私にそのようなことは訪ねてください。浩成お坊ちゃまならお嬢様の料理を食べられるだなんて知ったら一週間上機嫌なままでしょう。」」

光圀さんに被せて真紀さんが質問に答えてくれた...けど、光圀さんを抑えてるその手、爪が光圀さんに食い込んではいませんか?

「お嬢様、すぐにこのようなものの相手なぞせずに、お坊ちゃまに何をお作りになるか決めましょう。さぁさぁ」

『このようなもの』って光圀さん、真紀さんに何したの?

そのまま真紀さんに背を押され光圀さんに何も言えないまま部屋を出てしまった。
こちらから呼び出したのにごめんなさい。






浩成お兄ちゃんへの贈り物は帽子と手作りケーキにした。

お兄ちゃんに用意中にバレてしまう防止に自分のフロアで作ることにした。
時刻は朝4時。
正直眠い
でも、焼く時間を考えるとこの時間でないと間に合わない。
タイムリミットは7時。時間を過ぎれば、いつも朝食を食べに来ないことを不審がられてしまう。
三層の生地を一つのオーブンで一回30分かけて焼く。ギリギリだ。

腕まくりをしてエプロンを付け髪はアップにしたら準備完了!調理にかかります。
まず、材料を記載通りにはかり切る。
次に卵を卵黄と卵白とに分けて、卵黄のボールのほうに入れる材料はまとめて投入して混ぜる。
卵白はハンドミキサーを使って混ぜ、三回に分けて砂糖を加える。
しっかりと泡立ったら、混ぜ合わせて型に流し込む。型に入れたら容器を数回あげて落として空気を抜き、予熱してあるオーブンにいれる。

オーブンは真紀さんに任せてトッピングにのせるフルーツと生クリームの用意をする。
果物を丁寧に水洗いしイチゴ、オレンジ、もも、ブドウを一口サイズに切る。
次に生クリームを用意する。
私的には甘ければ甘いほど好きだが、浩成お兄ちゃんは甘いものが得意じゃないので甘さ控えめにする。
この時に、後で加えれるように別ボールに私好みの生クリームを作ることも忘れない。

ここで時計を見て時間を確認する。
ケーキを焼き始めてから20分しか経っていない。

ケーキが焼きあがるまで時間があるのでチョコレートの飾りに挑戦してみようかな?

チョコレートを湯煎し袋に移して、袋の先を少しだけ切る。
キッチンペーパーの裏面に普通のペンで羽とバラの花を書き、裏返す。
ここにチョコレートをのせるだけ...そこはつながっちゃ...そうじゃなくて........

満足のいく絵が出来るまでだいぶ時間がかかった。
あれから70分も経っていた。Oh my...

急いで冷凍庫にチョコを入れて、熱が逃げた生地に生クリームと果物を挟み重ねていく。
一段一段で厚みに差が出来ていないか確認し周りにクリームを塗り、その上から先ほど残ったチョコレートで蔦を下半分に描いていく。
若干不格好だけど....まぁいいでしょう!

ここで取り出すのは、先ほどの羽とバラ

羽を中心に挿して、バラは端っこに置いて、出来上がり。

「ふぉ....鈴奈お嬢様素敵な作品ですね。お菓子職人レベルですよ!」

真紀さんは大げさに褒めてくれるが、親馬鹿ならぬ乳母馬鹿だ。

「お嬢様お時間が押しております。お早く片づけを」

時計を見ると7時まで五分を切っていた。

たいへん!
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