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おはよう
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話ながら歩いているとすぐに目的地について紗江ちゃんとは別れた。
そして目の前には、Jクラスの扉が。はじめての教室に入るのに少し緊張していると、西棟の方から怒鳴り声が聞こえてきた。それも一人だけではない。一人の時は緊張で、紗江ちゃんといるときはうれしくて気にならなかったが、執事らしき人を複数人連れた女生徒たちが、連れの男性に
「なんで飲み物がないの!気の利かない奴ね!」「待ちくたびれちゃったわ。まだなの?!」
女生徒同士で会話してるところでは、
「先月家族旅行で南の島に行ったのだけど~、新商品がってあ~ら、ごめんなさいねぇ。お宅の財政では行けないわよね~。」「あら、偶然ね。うちも行こうと思っていたのだけど、あそこは隣国と折り合いが悪くなったせいで治安が悪化したようなだからやめたのよねぇ。もう飽きてしまっていたから別にいいのだけど。お宅は情報に疎いみたいね。大丈夫~?あっ!もしかして、不良と同レベルだから気にならなかったのねぇ」
などと凄まじい会話が繰り広げられていた。
紗江ちゃんあんな感じじゃなかったよね?紗江ちゃんが珍しいのかあのお嬢様方がレアなのか。世の中にあんなThe我儘プリンセスいるんだ。友達つくりは気を付けようと複雑な気持ちになった。
それにしてもそろそろ覚悟決めて教室に入らないと。周りには誰もいない。学校に来てから紗江ちゃん
以外に直接会っていないんだが、もしかして集合時間ギリギリなのだろうか。
とりあえず、扉開いて挨拶しなきゃ。出席番号は分かっているから、席の並び順を確認してまっすぐに席に向かう。よし大丈夫、緊張するな。ガラガラと扉を開く。
しーーーん…
クラス全員がこちらを見た。体の向いている方向から先ほどまで談笑をしていただろうことがうかがえるのに、頭だけ私を向いている。
何なに?何があったの?怖い。早く座席確認して坐ろう。あっ、挨拶してない。
内心パニックを起こしつつ、表情には出ないようにしながら黒板に貼られた座席表で座席を確認する。
ラッキー窓側の一番後ろだわ。そのまま自分の席に向かって歩くとその時、
「お、おっおはよう!立花さん!」
「ふぇ、あ、おはよう…おはようございます。名前もう覚えてくださったんですね。ありがとうございます。」
やばい、驚いて「ふぇっ」だなんて言ってしまった。恥ずかしい顔に熱が集まる。何とか笑顔で挨拶を返せたが、恥ずかしすぎて穴に入りたい。とりあえず、席に…
「「「おはよう立花さん」」」
なぜか"おはよう"の嵐に。いやちょっと、待って待ってくれ。
「おはようごじゃいます。」
…………噛んだぁぁあああ
「おはようございます。」
とりあえず言い直す。みんなの顔が恥ずかしすぎて見れない。とりま席、席に行こう。
なんとか席に着けた。ものすっごい見られてるけども。いや言いたいことは分かるよ。高校生にもなって噛んでしまったことを内心馬鹿にしていることだろう。ちらちらっと見るだけじゃなくて、いっそとどめを刺してくれ。
「立花さんだよね?よろしくね。」
「ひゃっ、ごめんなさい。こちらこそよろしく。えっと…」
「あぁ、僕の名前は朝倉壮馬です。」
横の席に座っている黒髪の男子が話しかけてくれた。
第一印象は紳士だ。
「ごめんなさい。まだクラスの人の名前を覚えていなくて…」
入学前にクラスメイトの名前を予習しておく必要があったのかなぁ……
「まだ初日だから当然だよ。ゆっくりでいいと思う。」
「そっか、朝倉君ありがとう。気が少し楽になりました。」
「全員の名前を覚えないといけないと思ったの?」
「実は…」
「いや、さすがに、全員が全員の名前を憶えてはいないよ。ただ、ここにいる人は大抵知り合いだからある程度分かるけどね。」
「中学校が同じなの?」
「それもあるけど、塾が同じだったり、親の関係でパーティー参加時に会ったりね。同い年なのに、僕、立花さんのこと見たことなかったんだけど、立花社長の娘さんだよね?」
「そうです。立花拓海の娘です。家族が過保護で、この年まであまり外に出してもらえなかったんだ。」
「そうだったんだね、大変そうだね。じゃあ僕が初めての友達だったりするのかな?口調がタメ口になってるし、僕的にはそのままで居て欲しいけど。」
「あっ、このままの口調でもいいかな?名前も鈴奈って呼び捨てにしてくだ…してね?ちなみに、初めての友達は剣持紗江ちゃんって子がいるわ。さっき友達になったばかりなのだけど。」
「それじゃ、僕のことは壮馬って呼んでね」
「うん、壮馬くん」
言われた通り名前を呼んだのだが、壮馬君はそっぽを向いてしまった。何故だ?
このやりとりを見つめる男子の目線が、朝倉に集中していることを二人はまだ知らない。
担任に引率されて体育館で入学式を終えた。
今年の予定は明日から二日間行われるオリエンテーションで説明があるらしく今日は課題を提出した後各自、帰っていいらしい。
初日から疲れた。
そして目の前には、Jクラスの扉が。はじめての教室に入るのに少し緊張していると、西棟の方から怒鳴り声が聞こえてきた。それも一人だけではない。一人の時は緊張で、紗江ちゃんといるときはうれしくて気にならなかったが、執事らしき人を複数人連れた女生徒たちが、連れの男性に
「なんで飲み物がないの!気の利かない奴ね!」「待ちくたびれちゃったわ。まだなの?!」
女生徒同士で会話してるところでは、
「先月家族旅行で南の島に行ったのだけど~、新商品がってあ~ら、ごめんなさいねぇ。お宅の財政では行けないわよね~。」「あら、偶然ね。うちも行こうと思っていたのだけど、あそこは隣国と折り合いが悪くなったせいで治安が悪化したようなだからやめたのよねぇ。もう飽きてしまっていたから別にいいのだけど。お宅は情報に疎いみたいね。大丈夫~?あっ!もしかして、不良と同レベルだから気にならなかったのねぇ」
などと凄まじい会話が繰り広げられていた。
紗江ちゃんあんな感じじゃなかったよね?紗江ちゃんが珍しいのかあのお嬢様方がレアなのか。世の中にあんなThe我儘プリンセスいるんだ。友達つくりは気を付けようと複雑な気持ちになった。
それにしてもそろそろ覚悟決めて教室に入らないと。周りには誰もいない。学校に来てから紗江ちゃん
以外に直接会っていないんだが、もしかして集合時間ギリギリなのだろうか。
とりあえず、扉開いて挨拶しなきゃ。出席番号は分かっているから、席の並び順を確認してまっすぐに席に向かう。よし大丈夫、緊張するな。ガラガラと扉を開く。
しーーーん…
クラス全員がこちらを見た。体の向いている方向から先ほどまで談笑をしていただろうことがうかがえるのに、頭だけ私を向いている。
何なに?何があったの?怖い。早く座席確認して坐ろう。あっ、挨拶してない。
内心パニックを起こしつつ、表情には出ないようにしながら黒板に貼られた座席表で座席を確認する。
ラッキー窓側の一番後ろだわ。そのまま自分の席に向かって歩くとその時、
「お、おっおはよう!立花さん!」
「ふぇ、あ、おはよう…おはようございます。名前もう覚えてくださったんですね。ありがとうございます。」
やばい、驚いて「ふぇっ」だなんて言ってしまった。恥ずかしい顔に熱が集まる。何とか笑顔で挨拶を返せたが、恥ずかしすぎて穴に入りたい。とりあえず、席に…
「「「おはよう立花さん」」」
なぜか"おはよう"の嵐に。いやちょっと、待って待ってくれ。
「おはようごじゃいます。」
…………噛んだぁぁあああ
「おはようございます。」
とりあえず言い直す。みんなの顔が恥ずかしすぎて見れない。とりま席、席に行こう。
なんとか席に着けた。ものすっごい見られてるけども。いや言いたいことは分かるよ。高校生にもなって噛んでしまったことを内心馬鹿にしていることだろう。ちらちらっと見るだけじゃなくて、いっそとどめを刺してくれ。
「立花さんだよね?よろしくね。」
「ひゃっ、ごめんなさい。こちらこそよろしく。えっと…」
「あぁ、僕の名前は朝倉壮馬です。」
横の席に座っている黒髪の男子が話しかけてくれた。
第一印象は紳士だ。
「ごめんなさい。まだクラスの人の名前を覚えていなくて…」
入学前にクラスメイトの名前を予習しておく必要があったのかなぁ……
「まだ初日だから当然だよ。ゆっくりでいいと思う。」
「そっか、朝倉君ありがとう。気が少し楽になりました。」
「全員の名前を覚えないといけないと思ったの?」
「実は…」
「いや、さすがに、全員が全員の名前を憶えてはいないよ。ただ、ここにいる人は大抵知り合いだからある程度分かるけどね。」
「中学校が同じなの?」
「それもあるけど、塾が同じだったり、親の関係でパーティー参加時に会ったりね。同い年なのに、僕、立花さんのこと見たことなかったんだけど、立花社長の娘さんだよね?」
「そうです。立花拓海の娘です。家族が過保護で、この年まであまり外に出してもらえなかったんだ。」
「そうだったんだね、大変そうだね。じゃあ僕が初めての友達だったりするのかな?口調がタメ口になってるし、僕的にはそのままで居て欲しいけど。」
「あっ、このままの口調でもいいかな?名前も鈴奈って呼び捨てにしてくだ…してね?ちなみに、初めての友達は剣持紗江ちゃんって子がいるわ。さっき友達になったばかりなのだけど。」
「それじゃ、僕のことは壮馬って呼んでね」
「うん、壮馬くん」
言われた通り名前を呼んだのだが、壮馬君はそっぽを向いてしまった。何故だ?
このやりとりを見つめる男子の目線が、朝倉に集中していることを二人はまだ知らない。
担任に引率されて体育館で入学式を終えた。
今年の予定は明日から二日間行われるオリエンテーションで説明があるらしく今日は課題を提出した後各自、帰っていいらしい。
初日から疲れた。
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