転生少女は溺愛に気付かない

たぬ

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オリエンテーション Side五十嵐

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春季特別課題考査を終え、友人とだべりながら廊下を歩く。

「なぁ徹、今年の一年は何人女子いるんだろうな?」
「さあね?俺らには関係のない話さ」
「いや、関係多ありさ。女子への説明は基本Jクラスから選ばられるし俺たちのペアは女子だろ」

このペアが女生徒であると知り鼻の下が伸びっきた黒髪碧眼の彼の名は、霧崎慧人きりさきけいと

彼は今若干まずいことをしているのだが、自覚がない。

慧斗は成績も人柄も良い自慢の親友なんだが、喋る必要のないことや時には言ってはいけないことを漏らしてしまうことが多々ある。

トラブル緩和をするために、女子生徒を案内する2年生には本人にのみ事前に伝えられる。すぐにバレることとはいえこんなところでペアが分かっていることは言うべきじゃない。

「できれば、女子以外がいいな。我儘に振り回されるのはごめんだ。俺にはこの声ってコンプレックスもあるし。」
「かぁー、何言ってんだよ。おまえにはその美貌があるじゃねぇか。背も高いしよぉ。何センチあったんだっけか?てかさ、『以外』っておまムグ…」
「183だよ」

わざと言ったんだよ!なぜ気づかないんだ。それだけ浮かれてるってことか?
口を強制的に手で塞いで黙らせていると顔を赤くして俺の手を引き剥がそうと暴れだした。
ここまでしてもダメか…やめよう。バカバカしい

「ぷはぁっ…すぅーは~、死ぬかと思った。やめろよな突然」
「そこうるさい!」
「「すみません。」」

会議室に入ると可愛い後輩たちが総勢約200名着席している。「何度見てもうちの学校は人数多いな」なんて考えながら、自分が呼ばれるまで待っていると一年の担任に呼ばれた。

すぐに呼ばれたので、相手は男子だったのだろうかと疑問に思いながら近くへ行くと美少女がいた。

「立花のペアわっと…五十嵐くんだな。あとがつっかえるといけないから室外で話してくれな。五十嵐くん、立花を頼むよ」

目の前の美少女から目が離せなくて先生に返答をちゃんとしたか思い出せない。
とりあえず教師の言われた通りに教室を出て、立花さんがついてきているか、背後を確認しながら階段の前まで移動した。

「立花さんはじめまして、五十嵐徹といいます。ー今日から二日間ガイドを務めさせていただくので、質問があれば聞いてください。あれ…立花さん?」

彼女から反応がない。どうしたんだ?

「……ぼそぼそ(ここが天国か?)」

何を言っているのか声が小さくて聞き取れなかったが、気絶してるわけではないようだ。

「立花さん。おおーい!聞こえますか?立花さん…立花さん!………鈴奈」

「はっ!いま…」

「ごめんなさい、勝手に名前呼んで。でも何回呼んでも反応がなくて…」

「いえ、私が悪いんです。本当にすみませんでした。五十嵐先輩の声があまりに素敵すぎて…」

ん?この子今俺の声が素敵だとかぬかしやがったか?てか、女子が謝っただと…。

「ありがとうございます。そんなこと初めての言われたよ。とりあえず、集合場所と時間を決めて昼食にしようか。13時15分に一年のJクラスに迎えに行くのでいいかな?」

「そんな先輩に迎えに来ていただくなんて恐れ多いです。私が二年生の教室に行きます。」

畏れ多い…何が?俺が迎えに行くのが…か。いや、てか待て、

「いいや、女の子が一人でよくわからないところを動くのはやめた方がいいよ。でも、気を使ってくれてありがとう。」

「そんな滅相もない。それでは、お手数をおかけしますがよろしくお願いします。」

「それじゃあ、一年の教室まで一緒に行きますか?」

「えっと、Gクラスに友人がいるのでその子を待ってから戻ろうと思います。もしよろしければ、一緒に待ってもらってもいいですか?」

上目遣いだ...と...しかも、瞳が潤んでいる。これを断れる男はいるだろうか。答えは否だ。

真相は、身長差が25cmあるせいと主任の話のせいで眠いからなのだが、五十嵐はそのことに気付かない。

「ええもちろん。」

立花さんが友人を見つけたようで駆けていった。彼女の友人のペアはここまで来るまで話してた俺の友人だ。彼らの話が終わるまで立花さんは少しだけ離れた位置で今か今かと、うずうずしながら待っている。

「紗江ちゃん!」

「鈴奈ちゃん、待っていてくれたの?」

「うん、一緒にお昼食べたくて。」

「彼女が立花さんが待っていたご友人ですね。それじゃあ移動しましょうか?注目を集めてしまっていることですし。」

美少女二人がそろうとこんなに破壊力があるだなんて誰が予想するだろうか?




無事女性二人を教室まで送り、自分の教室に入ると友人に囲まれた。

「徹、妖精姫とペアになるだなんてどんだけ徳積んでんだよ。」

「Jクラスだったよな。ほぼ満点取らないとJクラスには入れないはずだぞ。女子で入れるやつなんて初めて聞いたぞ。」

「俺も聞いたことない。にしても、凄い美人だったな。」

「美人というか美少女!きっと160cmないぞあれは」

「なんでわかんだよ?!」

「徹~、俺を紹介してくれ。」

「抜け駆けすんなよ!徹、頼む」

「勘弁してくれ。"女性に迷惑をかける行為"はご法度だよ。こんな大人数に囲まれたら怖いだろうが。」

「くそ~~。羨ましい。」

なんとか人波を割って出たら俺の席で、話題の人物を一緒に送った友人がいた。

「昴助けてくれてもよかったんだけど」

「いや、せっかくばれてなさそうだったんで、ついね」

「まあ、気持ちはわかるし、逆の立場なら俺も同じようにしてる。」

「だろ~、てかひで~。てか、立花さんの前であの口調はなんなの?正直今日一驚いた。」

「あ~、一応授業通りに接したつもりなんだが…違ったか?」

「いんにゃ、合ってた。ただお前の敬語聞いてると背中がむずがゆくてたまんないんだよ。」

「悪かったなあ、口悪くて。」



「そうかお前のところも同じか。」

「ああ、てか、相手がペアなら迎えに行く一択だろ。」

「違えねぇ違えねぇちげえねえ

「なら一緒に行かないか?立花さんも剣持さんも友人なら気持ちも楽だろう?」

「そうしてくれたら俺も助かる。お前は異例のJクラス美少女立花さんとペアになったから、すぐにほかの男子にばれたけど、剣持さんも美少女だし珍しいGクラスだ。他の奴からヘイトはあまり買いたくない。四人でいれば俺の存在感は限りなく薄くなれるだろ?」

「お前のためだと思ったらしゃくになってきた。」
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