転生少女は溺愛に気付かない

たぬ

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パパからの贈り物

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7歳の誕生日。

プレゼントの中身が楽しみで昨夜寝付けなかったせいで、あまり眠れていない。少し眠たいが期待を膨らませリビングへ急ぐ。



!!!っっっっぱぁぁぁーーーん!!!

「「「六歳の誕生日おめでとう鈴奈(すーちゃん)!」」」

部屋に入るとお父さんとお兄ちゃんたちがクラッカーを引き、祝ってくれた。

「きれい!ありがとう、パパ、お兄ちゃん」

パパもお兄ちゃんたちも嬉しそうに満面の笑みだ

「それじゃあ、お楽しみのプレゼントタイムだ。諸君、荷物を1週間分ほどまとめて車に乗りたまえ。くれぐれも大切なものは忘れないように」

パパに荷物と一緒に抱えられ、よくわからないまま車に乗せられた。

「もしかして、すーちゃん初めて家の外に出るんじゃないか?」

「頭を怪我したときに、病院へ行ったのが最初だろ?」

「浩成が正解だな。あの時は、医者をしているお前らの伯父さんがいたからその場で見てもらったんだ。」

男性陣の話よりも外の景色に興味をそそられ、ルーと一緒に外を眺めていると、待ちゆく人は美形ばかり。この世界はイケてる人しかいないのだろうか。
それにしても男の人が多い気がする。
そのまま外を眺めているとモデルさんみたいに背の高い女性が歩いてるのが見えた。

「あの人きれい、すごいな~」

将来ああなりたいと思いながら言葉を漏らすと、私に釣られて界人お兄ちゃんも窓の外を見た。

「男じゃん 期待したのに...ちぇ」

ん?
オトコ……ジャン?

「期待したのか界人?かわいいな~、パパはそんな界人はそのままでいて欲しいな。」

「うるさいよ!父さん。そんなことよりも鈴奈どうした?ずっと固まって」

「男の人?女の人じゃないの?」

「女が一人で外出歩くわけないだろ。実際、見える範囲には一人もいないし。お袋が出かけるときだって必ず護衛がついてたんだから。」

「当たり前なの?」

「当たり前だよ。必ず護衛を付けることが、両親または夫の義務だ。学校の先生は特権だって言ってたけど、ありゃあルールだな。教えられてなかったのかよ。」

「うん」

世界全体が女性に対して過保護ってこと?初耳なんだが…お母さんに護衛がいたなんてことも聞いてないよ!

「親父、鈴奈に常識教えてないってどうゆうことだよ。7歳で知らないやつは、なかなかいないぜ。」

「え?そういえば教えてなかったかな。ごめんな、鈴奈。外にも連れて出なかったから気付かなかった。鈴奈は早熟だからとっくに知ってると思ってたよ。鈴奈、界人からどこまで聞いた?」

「女の人は護衛が必ずいることだよ」

「まず女の人っていうのはね…」

「すーちゃん、男の人と女の人くらいわかるよ!」

「ごめんごめん。今はね...」

お父さんの話をまとめると、
女の人が年々生まれづらくなり、私が生まれたときは三十人に一人になって、今も減り続けているんだそうな。
貴重ゆえに女性には危険が伴い、その危険から家族は女性を守る義務が生じる。実際問題、女性の拉致被害など事件に巻き込まれえる可能性が高い事実があるらしい。

「知らない人に『追ておいで』って言われても私やお兄ちゃんたちから離れちゃいけないよ。」

「そもそも、鈴奈にどこの馬の骨かも分からない奴を親父や俺らが近づかせないけど」

「『お菓子あげるから』って言われてもだめだからね。」

「お菓子につられないよ!」

「あぁそうだ 親父、鈴奈のやつ、女の恰好した男を見分けられてないみたいだぞ。」

「ああ、確かに鈴奈には難しいかもね。護衛がいるかいないかで最初は判断すればいいと思うけど、本人を見て判断するのは慣れないと難しいかな。年々メイク技術も上がっているらしいし…。おぉ、
話してたらもう目的地に着くみたいだ。みんな降りる準備して。」

パパがそう言うや否や、リムジンがアパートの地下駐車場に入っていった。
車から降りて、目の前の扉から入ると床は大理石で一面出来ており、照明もキラキラと輝く空間が広がっていた。

「ようこそ、我が家へ」

「親父、我が家ってまさか」

「そのまさかだよ。先月完成して点検も済ませたし、家具も住める程度に整えた。ちなみに今住んでるところは売り払わずにそのまま残すから、必要なものは基本こっちで新しく買えばいい。必要最低限のものだけ移せば今日からだって住めるよ。というか、今日からこっちで暮らすから、ある程度見て回ったら荷物を片付けるぞ。」

「いや、親父話が…」

「ねえ、パパ、行こう。早くはやく!ルー行こう。」

「ワン!」

界人お兄ちゃんの話を遮って、私はお家探検を催促する。



一通り見て回ったがすごい。屋上付き16階建てビル一棟が、丸々我が家であることはもちろんのこと。パーソナルスペースがルームではなくフロワだったし、家の中に庭やスポーツセンター、ゲームセンター、防音室、温泉、プールなどとてもじゃないが盛りだくさんで全部は見て回れない。




引っ越しが終わり、新居でバースデーディナーを食べる。話はすでに二か月後にくる浩成こうせいお兄ちゃんの誕生日

「せっかくの夏休みだからどこか出かけるか?」
「俺、みなとアミューズメントパーク」
「界人の誕生日じゃないだろ」
「なら、浩成兄はどこ行きたい?」
「家で映画見るのはどう?」
「家?」
「界人は不満そうだな」
「外行こうぜ、外」
「悪いがまた今度な。俺は新しい家を満喫したいんだ」

なぜか浩成お兄ちゃんは私のことをちらりと見た。
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