流刑王ジルベールは新聞を焼いた 〜マスコミの偏向報道に耐え続けた王。加熱する報道が越えてはならない一線を越えた日、史上最悪の弾圧が始まる〜

五月雨きょうすけ

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第十話 報いを受ける

報いを受ける①

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 痛む体と動かせない四肢。
 暗い地下牢に私は監禁されていた。
 両手の親指同士を繋がれた上に手首を繋いだ枷は壁に埋め込まれて固定されている。
 下半身も床に足首と太ももを枷で固定されており、できる動きは上体を起こすことと寝転ぶだけだ。
 背中に敷かれた厚めの毛布がせめてもの情けか……

 尽きることなく燃え盛ると思っていた怒りの炎も今はすっかり鎮火され、残るのは徒労感だけだ。
 失敗した。
 だが後悔では…………後悔すらない。

 国王による新聞社襲撃。
 司法関係者は泡を食っていることだろう。
 行きがけの駄賃にダールトン親子も吊るし上げて来たしな。
 王位の剥奪……だけで済むまい。
 最悪、殺されるかもしれないな。

 命の危機が近づいているというのに落ち着いたものだった。
 生きる目的が見つからないからか。
 あれだけ殺したかったジャスティンも今となってはどうでもよくなってきている。
 奴が国を引っ掻き回し、何万もの民が死ぬ事になろうと、それは全部当人たちの問題だ。
 私一人がどうにかできたりどうにかしなければならない問題ではない。

 唯一、私の個人的感情の問題であるレプラのこともバルトやディナリスがなんとかしてくれるだろう。
 私がいなければレプラはただの女で、バルトも一領主だ。
 かえって安全になるかもしれない。


 毛布に寝そべり、天井を見上げる。
 鉄格子の向こうにはさらに扉があり、目線の高さにある覗き口から漏れる微かな火の光だけが私に与えられた明かりだった。



 時間の感覚がないのはひたすらに眠り続けているからか。
 体が求めるままに睡眠を貪るなんて何年ぶりだろう。
 何も抱えている仕事もなければ考えることもない。
 食事は起きていると見張りの男が手ずから食べさせてくれる。
 おかしいことに街の屋台で食べたものよりも遥かに美味で手の込んだスープだったり、柔らかいパンだったりした。
 このまま時が過ぎればみるみる身体は衰え、思考や感性は鈍り、食って垂れ流すだけの屍と成り果てるだろう。

 カッ……カッ……カッ……

 扉に近づいてくる足音が聞こえてくる。
 音からして女人が履く踵の高い靴のように聴こえるが、こんなところに女が?

 体を起こし、身構えていたが、扉が開いた瞬間、不快感が込み上げてきた。

「お労しい……まるで罪人のようですね」

 来訪者は、フランチェスカだった。
 芝居がかった沈痛な表情を作り私を見下ろしている。
 滑稽なのはその手に食事を載せた盆があることだ。
 他人に食事を運ぶようなこと一度もしたことがなかろうに。

「な……ん……の……」

 喋っていなさすぎて声が出ない。
 一体どれくらいの時間が流れてしまったのか。

「ウフフ……何故私がここにいるか分からないって顔ね。
 見ての通り、お食事を運んできたのよ。
 囚われた夫の身を案ずる、妻として当たり前の行為でしょう」

 何が妻だ。この色情狂め。
 視界が悪いせいで他の感覚が研ぎ澄まされている。
 そのせいで鼻が曲がるほどに匂うのだ。
 貴様にこびりついた真新しい男の精の匂いが。

「ご存知?
 もうすぐ貴方の裁判が始まるわ。
 もっとも、形式だけのものでしょうけれど。
 国王が弑逆ではなく、裁判によって王位を追われるなんて前代未聞ね」

 ろくに公務に携わらなかったのに私が失墜するとなれば耳聡く聞き回るか。
 つくづく不愉快な女だ。

「黙りこくっちゃって。
 ああ、下手な事を言って食事を取り上げられては困るとか考えているのかしら。
 フフ、心配しなくてもちゃんとあげるわよ」

 にこやかに笑って、スープの入った椀を持ち上げ、私の頭にかけた。
 ぬるいスープが顔を滴り落ちる。
 だが、いちいち怒る気力もない。
 無反応な私にさっさと興味を失ってくれればいいんだが。

「本当に我慢強いこと。
 貴方のそういうところ、ずっと大嫌いだったわ。
 王族の頂点に立ちながら、他の貴族や平民の顔色ばかり窺って、せせこましいったらない。
 そのくせ突然、無様に怒り散らして、私やお父様に八つ当たりまでしてくれて…………とんでもない屈辱だったわ。
 お父様には怒られるし、本当に最悪。
 絶対に貴方を許さないわ。
 あっさり死ぬことも許さない。
 だから司法省に助命を嘆願したのよ。
 少しでも生き地獄を長く味わってもらえるように!」

 フランチェスカは激昂して椀を私の顔に投げつけた。
 陶器の椀は割れて額が切れたような痛みが走った。

「……ああ、もう一つ貴方の嫌いなところを教えてあげる。
 母親譲りのその可愛らしいお顔よ。
 男のくせに気持ち悪い。
 あなたに抱かれていると女の子と交わっているみたいで全然燃えなかったわ」

 だろうな。
 貴様の好みの男からは程遠い。
 私だって、もう少し雄々しく逞しい外見に生まれたかったさ。

 フランチェスカはうつむいて黙りこくった。
 もう言いたいことは終わったのだろうか。
 だったらもう出ていってほしい。
 そして二度と来ないでくれ。
 食事をこれ以上無駄にされたくない。
 絞り出すようにして声を発する。

「フラン…………出て————」
「でもね、ここしばらくはずっと貴方のことを考えていたわ。
 結婚してから初めてよ。
 あなたのことばかり考えていた」

 顔を上げたフランチェスカは笑っていた。
 が、その笑みに一切の好感はない。
 見下すような目に意地悪く上がった口角。
 鼻息を荒くし、頬が紅潮している様は興奮したゴブリンのようなおぞましさだった。

「どうすれば、何をすれば、貴方が苦しむかって。
 荒っぽいことはイヤよ。
 |サリナス(飼い犬)に手を噛まれて懲りたもの。
 それに私の手ずから……貴方には苦痛を与えてあげたいもの」

 彼女は立ち上がり、私の髪の毛を掴んで顔を近づけた。

「ねえ……私、ここに来る直前まで馬車の中での。
 相手は貴方が壊したのとは違うわよ。
 若いけれどなかなか上手だし、元気なのよ。
 フフ……まだ熱が体の中に残ってるわ」

 開き直ったのか自分の淫行を聞かせてくるフランチェスカ。
 爛々とした捕食者の目にイヤな予感を覚えたその時、奴はドレスのスカートをたくし上げた。
 露わになった下半身は下着をつけておらず、ところどこは紅くなっており、情事の残り香を漂わせている。

「貴方が一番嫌がること……きっと、コレよね!」

 まるで決闘の火蓋を落とすかのように言い放ち、フランチェスカは私のズボンに手をかけた!
 まさか……コイツ!?

 抵抗しようとするが拘束された手足は動かず、長い監禁の中で気力や体力が落ちてしまっている。
 なされるがまま、私は衣服を剥ぎ取られてしまった。

「やめ…………」
「私が何度もやめてと言ったのに、貴方はやめてくれなかったわ。
 フフ、こうされていると貴方まるで生娘みたいね。
 こんな醜いモノをぶら下げているくせに」

 愛人たちには尽くすような夜伽を行っていたフランチェスカだが、私に加えた行為は乱暴そのものだった。
 快楽や幸福感など微塵もなく、痛めつけられているだけの接触にも関わらず、私の意に反して体は反応し、それを奴は悦んで見下ろしている。

「貴方も人のことを言えないくらい変態ね。
 レプラにもこんな風にしてもらっていたの?」
「レプラは……なにも」
「嘘おっしゃい!
 あの女が貴方を欲しがっているのは知っていたわ。
 私のことを軽蔑するような目で睨んで……嫌いな女だった!」

 そう吐き捨てると、奴は私の上に跨り体を沈めていく。

「貴方とはもうすぐお別れね。
 だけど、私の近況は届くようにしてあげる。
 新聞や写真でね。
 今日のことだって悪王に対しても献身的な振る舞いを見せる賢妻として評判になるでしょうね」

 フランチェスカは私の耳を噛みちぎらんばかりに強く噛み、離れ際に告げる。

「自分の子かもしれない子供が私やお父様の手元にいて、貴方は一度も顔を見ることすら叶わない。
 真面目でお優しい貴方は身を裂かれる想いでしょうね」
「や……やめて……くれ……
 それだけ……は…………」

 私はみっともなく懇願した。
 するとフランチェスカはとても、とても楽しそうに————

「イヤよ」

 と言って、私を喰らいはじめた。



 これまで一度たりとも進んで夜伽を行おうとしなかった女が愉しそうに私を責め尽くした。
 虫唾が走るほど不快で腹ただしい。
 なのに浅ましい私の身体は雄としての本能に抗えず、フランチェスカの求めに応えてしまう。
 ろくに声も出なかった口から情けない喘ぎ声が漏れて、脳みそが掻き回されていく。

 早く終われ早く終われ早く終われ早く終われ…………

 目をつぶって心の中で願うように唱え続ける。
 だが、永遠のようにその責苦は続く。
 ふと目を開けた時に見えたフランチェスカは獣のようによだれを垂らして腰を振り続けていた。

 体力も気力も種も、空っぽになるまで貪られると、奴は急速に飽きてしまったようで私を突き飛ばして床に転がした。


「ふぅ…………こういうやり方なら貴方との行為もそこそこ楽しめるわね。
 また来てあげましょうか?」

 ドレスの乱れを治しながら嘯くフランチェスカ。
 私は首を横に振って拒絶の意思を示すと、冗談よ、と嘲笑われた。
 泣き出しそうになるのを堪えて、私は問う。

「どうして…………私の子を産みたくなかったのだろう。
 何故こんなことができるんだ?」
「貴方の子を孕みたくないのと、貴方が嫌がることをしたいのと、どっちを優先すべきか秤にかけただけよ。
 それに美談でしょう。
『乱心を起こして破滅を待つだけの王に最後まで寄り添い、情けをかけ続けた慈愛溢れる妻』だなんて戯曲になるほどよ。
 それに、貴方はともかく宗家の血には価値があるわ。
 歴史や伝統を重んじる田舎貴族なんかには特によく効く」

 自分の語り口に酔いしれるようなフランチェスカに憤りを覚え、皮肉をぶつける。

「王宮の中庭で間男や父親と一緒に痴態を晒した女が美談に上るものか」
「ああ……貴方は何も知らないのね」

 ゾクリとするほど、その声には悪意がこもっていた。

「あの後すぐにお父様の息のかかった者に助けてもらったの。
 裏切り者の護衛騎士には逃げられてしまったけれど……私の肌を見た者は馬車に乗せて王宮から離れさせたわ」

 なんのために? と聞くまでもなく、奴は私によく聞かせるようにねっとりと告げた。

「出て行った馬車は帰ってきていない。
 中に乗っていた連中も全員行方不明よ」
「なっ……!?」

 絶句した。

「崖から落ちたか、野盗や魔物に襲われたか……どうにせよ痛く苦しかったことでしょうねえ!
 ウフフフフ! かわいそうなみなさん!
 お父様を怒らせた愚かな王のせいで!」
「フラン……!!
 貴様ら……許されないぞ!!
 お前がやったのは虐殺だ!!」
「原因は誰にあると思ってるの!」

 靴の踵で私のふくらはぎを踏みつけた。
 鋭い痛みに思わず体が強張ってしまう。

「あなたもずいぶん怒っていたみたいだけれど、私だって怒っているのよ……
 まだ私の仕返しは終わっていないから。
 貴方の子供ができたら……女の子がいいわ。
 私にした仕打ちよりももっと酷いことをしている様子を貴方に教えてあげる。
 思い知りなさい……
 私に屈辱を与えたことは、貴方の命だけで賄い切れるものじゃないってことをねぇっ!!」


 呪詛のような言葉を残して、フランチェスカはこの場を去った。


「う………あ……ハハ…………」

 狂った時間が終わったことを知り、緊張の糸が切れ、意味不明な笑いが込み上げてきた。

「アハハハハッ! ハハハハッ……ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

 狂ったように笑って床で身悶えた。
 私は失敗した。
 私のせいで多くの命が失われた。
 誰がやったかは問題ではない。
 私さえ、我慢していれば失われずに済んだ命だ。

「アハハハハッハハハハッ!!
 アハハハハッ!
 アハハハ……う………ワァぁ……ワアアアアアアッッ!! アアアアアアア!! ンアアアアアアアアアアッッッッ!!!」

 部屋にこだましていた笑い声が嗚咽に変わっていく。
 何もかもうまくいかない。
 ささやかな願いひとつ叶えられない。
 生きているだけで他人に迷惑をかけて、不幸を振りまいてしまう。
 それが私の人生だというのならば……



 もう、疲れた。
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