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15、会話が続かない
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桃村そらは困っていた。
目の前の女の子と会話が続かなかったのだ。
言葉が通じていると思うのだが、何故だか
しゃべらずに目線は外さないのだった。
時間もどれくらい経っただろうか?
お腹もすいたし、喉も乾いてきた。
話してくれないなら、とりあえず
自分の身体がどうなってるのかとか
持ち物はあるのかとか色々見てみたくなった。
ベッドから降りようとした時、
ぐぅぅ~。
「「……。」」
あ、あれ?これは……。
「…お腹すいたね。ははは。」
「……。」
沈黙がこんなにも気まづいだなんて
思わなかった。
小さな痩せた女の子、しかもお腹すいた
女の子に俺はどうすればいいのか
さらに困ってしまった。
せめても俺の鞄やコンビニで買い込んだ
たくさんのものがあれば、この子も
俺もお腹が膨れるのに……。
「お、俺の荷物って…あるかな?」
「……。」
ダメもとで話しかけたら、ビクッとした後
ゆっくり手を出して部屋の片隅を
指差したのだった。
俺が買い物に行くときの見慣れたカバン。
肩掛けの手頃なサイズのカバンがあったのだった。
思わずガッツポーズしてしまったが
足早に部屋の隅にあるカバンを
取りに行こうとしたら、
「す、すみません。ごめんなさい。」
「えっ?何が?」
「……。」
また怯えている様子の女の子が
床に座り込み土下座をしていた。
異世界でも土下座あるんだと思ったのは
一瞬で、女の子をヒョイっと抱っこし
ベッドに座らせた。
「君が何で謝ってるかは分からないけど、
俺のカバン預かってくれてありがとう。」
「……。」
目は女の子の膝に乗せられた小さな荒れた
手に視線を落としていた。
コンビニの荷物は残念だけど
いつものカバンならあめ玉程度なら
入れてるはず。
目的のカバンを手に取りファスナーを
開けると女の子はビックリしたかのように
ジーっと見ていた。
「お腹すいたね?何かあればいいんだけど……。」
カバンをごそごそしていると
「えっ?ウソだろ?!」
「……っ。」
ガサガサするビニールの袋、コンビニ袋が
ビヨーンと出てきたのだった。
元のカバンに入るはずのない大きさ。
半信半疑でもう一度手を入れると、
日本で買った時と同じ状態、しかも
温たかいコンビニ弁当やホットコーヒー
冷たいジュース類もそのままだった。
コンコン
「カリン、精霊様は目を覚まされたか?」
ガチャ。
「「あっ。」」
「えっ? 」
精霊様?そんなすごいのがいるのか?
さすが異世界だ。
***
「もうし遅れました。わたくし
ケイル・クロプス・アキオスと
申します。精霊様におかれまして……。」
「ちょっと待って!精霊様って
もしかして俺の事なの?」
「はい。そうでございます。」
女の子同様、やせ細ったひょろっと
背の高い男性?
顔は美形なんだろうけど、日本人以外は
若く見え、外国人はホニョホニョって感じで
20代にも見えるし30代にも見える男性だった。
自分自身も今のこの新しい身体が
何歳なのか気になるけど、この男性の
年齢も気になると言えば気になる。
「あっ、俺の名前は桃村そら、
名前が"そら'で苗字が"ももむら"です。
よろしく。」
「ソラ・モモムラ様!!精霊様の
真名をお教え頂けるなんて、このケイル
我が国、いえ世界一の果報者でございます。」
「えっ?えっ、な…なんで?」
ケイルさんという男性と女の子は
胸に手を当てた後、両手を組み
なぜか涙を流していた。
グゥ~、グギュールルル。
「「「!!」」」
「も、申し訳ございません精霊様。
カリンすまないが、大至急食事の用意を頼む。」
「そのケイルさん?俺は精霊様じゃないし
人間だから、桃村 そらって名前だから
名前で呼んで欲しいな。」
「承知しました。モモムーラ様。」
「……。」
「"そら"でいいよ。」
「有り難き幸せ。このケイルめに精霊様の
お名前呼びを許してくださるなんて
なんと御礼を…いえ、御礼どころか
この我が身、精霊様に一生尽くします。」
「いやいや、そんな事しなくていいから
お願いだから普通に話してぇ!!」
数分間このやり取りが続いていた気がする。
「……。」
「……。」
「……。」
女の子は腰を低くしたまま、部屋を
立ち去ろうとした時、また女の子の
お腹から可愛い音、空腹を知らす音が
聞こえてきた。
コンビニ弁当が数種類とサンドイッチ
菓子パン、甘い飲み物など数種類あり
一緒に食べようと誘うと、かなり
遠慮しながら受け取ってくれたのだった。
半ば無理やり、ほとんどのものを
三等分して分けたのだった。
男性も女の子もなぜか、涙を流しながら
食べていた。
目の前の女の子と会話が続かなかったのだ。
言葉が通じていると思うのだが、何故だか
しゃべらずに目線は外さないのだった。
時間もどれくらい経っただろうか?
お腹もすいたし、喉も乾いてきた。
話してくれないなら、とりあえず
自分の身体がどうなってるのかとか
持ち物はあるのかとか色々見てみたくなった。
ベッドから降りようとした時、
ぐぅぅ~。
「「……。」」
あ、あれ?これは……。
「…お腹すいたね。ははは。」
「……。」
沈黙がこんなにも気まづいだなんて
思わなかった。
小さな痩せた女の子、しかもお腹すいた
女の子に俺はどうすればいいのか
さらに困ってしまった。
せめても俺の鞄やコンビニで買い込んだ
たくさんのものがあれば、この子も
俺もお腹が膨れるのに……。
「お、俺の荷物って…あるかな?」
「……。」
ダメもとで話しかけたら、ビクッとした後
ゆっくり手を出して部屋の片隅を
指差したのだった。
俺が買い物に行くときの見慣れたカバン。
肩掛けの手頃なサイズのカバンがあったのだった。
思わずガッツポーズしてしまったが
足早に部屋の隅にあるカバンを
取りに行こうとしたら、
「す、すみません。ごめんなさい。」
「えっ?何が?」
「……。」
また怯えている様子の女の子が
床に座り込み土下座をしていた。
異世界でも土下座あるんだと思ったのは
一瞬で、女の子をヒョイっと抱っこし
ベッドに座らせた。
「君が何で謝ってるかは分からないけど、
俺のカバン預かってくれてありがとう。」
「……。」
目は女の子の膝に乗せられた小さな荒れた
手に視線を落としていた。
コンビニの荷物は残念だけど
いつものカバンならあめ玉程度なら
入れてるはず。
目的のカバンを手に取りファスナーを
開けると女の子はビックリしたかのように
ジーっと見ていた。
「お腹すいたね?何かあればいいんだけど……。」
カバンをごそごそしていると
「えっ?ウソだろ?!」
「……っ。」
ガサガサするビニールの袋、コンビニ袋が
ビヨーンと出てきたのだった。
元のカバンに入るはずのない大きさ。
半信半疑でもう一度手を入れると、
日本で買った時と同じ状態、しかも
温たかいコンビニ弁当やホットコーヒー
冷たいジュース類もそのままだった。
コンコン
「カリン、精霊様は目を覚まされたか?」
ガチャ。
「「あっ。」」
「えっ? 」
精霊様?そんなすごいのがいるのか?
さすが異世界だ。
***
「もうし遅れました。わたくし
ケイル・クロプス・アキオスと
申します。精霊様におかれまして……。」
「ちょっと待って!精霊様って
もしかして俺の事なの?」
「はい。そうでございます。」
女の子同様、やせ細ったひょろっと
背の高い男性?
顔は美形なんだろうけど、日本人以外は
若く見え、外国人はホニョホニョって感じで
20代にも見えるし30代にも見える男性だった。
自分自身も今のこの新しい身体が
何歳なのか気になるけど、この男性の
年齢も気になると言えば気になる。
「あっ、俺の名前は桃村そら、
名前が"そら'で苗字が"ももむら"です。
よろしく。」
「ソラ・モモムラ様!!精霊様の
真名をお教え頂けるなんて、このケイル
我が国、いえ世界一の果報者でございます。」
「えっ?えっ、な…なんで?」
ケイルさんという男性と女の子は
胸に手を当てた後、両手を組み
なぜか涙を流していた。
グゥ~、グギュールルル。
「「「!!」」」
「も、申し訳ございません精霊様。
カリンすまないが、大至急食事の用意を頼む。」
「そのケイルさん?俺は精霊様じゃないし
人間だから、桃村 そらって名前だから
名前で呼んで欲しいな。」
「承知しました。モモムーラ様。」
「……。」
「"そら"でいいよ。」
「有り難き幸せ。このケイルめに精霊様の
お名前呼びを許してくださるなんて
なんと御礼を…いえ、御礼どころか
この我が身、精霊様に一生尽くします。」
「いやいや、そんな事しなくていいから
お願いだから普通に話してぇ!!」
数分間このやり取りが続いていた気がする。
「……。」
「……。」
「……。」
女の子は腰を低くしたまま、部屋を
立ち去ろうとした時、また女の子の
お腹から可愛い音、空腹を知らす音が
聞こえてきた。
コンビニ弁当が数種類とサンドイッチ
菓子パン、甘い飲み物など数種類あり
一緒に食べようと誘うと、かなり
遠慮しながら受け取ってくれたのだった。
半ば無理やり、ほとんどのものを
三等分して分けたのだった。
男性も女の子もなぜか、涙を流しながら
食べていた。
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