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10、忘れられた者たちとの出会い
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ケイル・クロプス・アキオスたちは
目の前の光景に息をひそめながら
驚いていた。
ケイル・クロプス・アキオスは
ルコニー王国の隣国にあるアキオス国の
第一王子であり、成りゆきでお世話役
となったのがカリンである。
ケイル王子は幼い頃からお忍びで
たびたび城を抜け出していた。
町や村などに行き人の暮らしを
覗き見ていたのだった。
長くてひと月、最短でも2~3日
普段から王位は弟たちに譲ると言っていた為
第一王子は王位継承権一位の座で
ありながら王位に興味はなかった。
人が困っているのを放っておけない性格で
川の氾濫や山崩れなどの災害、
魔獣による被害があれば率先して
動いていた。
アキオス国の国民はケイル王子に
親しみを感じながらもいずれ王位に
就くだろうと思っていた。
ケイル王子の振る舞いのおかげなのか
王妃と側室たちの仲もよかった。
ケイル第一王子が成人する前に
成人と同時期に王位を譲ろうと王は考えたが
ケイル王子はそれを断ってしまった。
早く王位を譲り比較的平和なアキオス国で
のんびりしたい王にとって誤算だった。
しぶしぶ王の政務に励む王であったが
子どもたちに王位を譲ろうとするのを
諦めなかった。
「生まれた順での継承権ではなく、
アキオス国と国民を思う気持ちが
大きい者がこの国を導け!!
そして、その為に自分を磨け!!」
と王妃、側室たち、子どもたちに
宣言する様になったのだった。
すると王子王女たちをはじめ
王妃や側室までもが自分のしたかった事、
研究や書き物、刺繍。大工、剣術など
さまざまな技術を極めていったのだった。
1~2等級は幼少期
3~4等級は少年から青年期
5~6等級が平均
7等級は騎士団に入れるレベル
8等級は国のあらゆる機関で優遇されるレベル
9~10等級は国宝級か、伝説級
この当時の王族の魔力は6等級~8等級であり
30代の王とケイル王子は8等級だった。
「お父様(王)はまだまだ若いし長生き
するから、継承権の心配する必要なんて
ないでしょう。」
と末の王女が言い出し誰も王位を
つごうとしなかった。
(1等級は寿命が80歳にも満たないが
10等級にもなると400歳前後になる。)
魔力も高く自分の力を過信し護衛もつけず
国の境にある村を訪れた時、
ケイル王子に事件は起きた。
山賊を装った魔術師たちに囲まれ
魔封じの道具を幾つかはめられて
しまったのだった。
ケイル王子は囚われ何年もの間、
辱めを受けていた。
魔力の強い子を授かるため薬を用いて
次々と混じり合わされたのだった。
偶然なのか必然なのかはわからないが
ある時足かせがわりの魔道具が
一つ壊れた事により、次々と
魔封じが壊れてしまった。
開放された魔力は部屋中の物を壊したが
首につけられてしまった隷属の首輪だけは
壊れなかった。
恐れをなした者たちはケイル王子に
近づかなくなり、パッタリとその行為すら
しなくてよくなったのだった。
毎日申し訳程度にくる食事さえ
少なくなり体力も奪われていった。
そして幼さの残る少女が恐る恐る
ケイル王子に話しかけてきた。
「皆居なくて、この位しか用意出来ず
も、申し訳ございません。」
硬くなったパンなのか、もともと硬いパン
なのかは分からないが、葉っぱがたくさん
浮いている温かなスープだった。
「これは君が作ってくれたの?」
「は、はい。すみません。もともとは
お洗濯する為、ここに雇われたので
お食事を用意はまだ苦手で、すみません。」
「君の他に、誰もいないのかい?」
「は、はい。」
私が魔力暴走を起こしたと思い
怖くなって逃げ出したのか?
「あっ、これここの鍵だと
思うんですが同時にしないと開かない
タイブだと思います。」
天井スレスレの高い位置と床スレスレの
極端に低い位置につけられた鍵穴。
牢屋によく使われる鍵だった。
今までは子ダネ得る為の者たちを
この部屋に通したあとは、厳重に
外扉だけはしっかり閉められていたはずだ。
薬の影響でその辺の記憶が曖昧だった。
入れ替わり立ち代りで、眠っているのか
そうでないのか分からない毎日だった。
月日は流れ首に嵌められた首輪のせいで
この館からは私だけ出れなかった。
窓や扉から出ようとすると身体から
力が抜け立っていられなくなったり
頭痛や吐き気が酷くなるのだった。
カリンという少女は成人を迎えた今も
なぜか私の世話をしてくれている。
館から出れない私を同情してくれている
からかもしれない。
館にある物を少しずつお金に変え
庭に小さな畑を作り野菜を植え
カリンは朝から晩までずっと働き
そして、そばにいてくれた。
外に出れない私の為、窓から見える所に
花まで植えてくれたのだった。
料理や洗い物も一緒にするようになり
力仕事全般する事にした。
木彫りの細工物を作るしか今の私には
思いつかなかった。
カリンに似合う木彫りの花の髪飾りや
小箱、スプーンやフォークを作ったら
すごく喜んでくれたのだった。
今ではスプーンやフォークの持ち柄に
彫りものをしている。
今では小さな子が喜びそうな木彫りの
人形や身近な動物、そして食器、
髪飾りを作っている。
ある程度貯まるとカリンが町に持っていき
お金に換えてくる。
売れ残りは薪がわりに火にくべようと
したが、カリンが嫌がりカリンが
使っている小部屋に飾ってあるらしい。
食卓の所々に売れ残りの木彫りが飾って
あるが、作ったのは私なのに
捨てようとしたら何故か注意され
プクっと膨れっ面になるカリンが
たまらなくかわいいと思っている。
窓から見える範囲の木は魔法で切り倒し
魔法で引き寄せ、少女だったカリン
…彼女が扉を開けた場所から木を
部屋に入れる。
月に一度は木を切り倒しているからか
この館の一番大きな扉がある場所
玄関は傷だらけだった。
内側からわざと扉を壊そうとしても
壊れなかった。壊そうとすると
ただ疲れるだけだった。
本来なら外でする薪割りも家の中で
いたから床だけはボロボロだった。
薪も少なくなり木彫りの材料も
心許なくなったので木を切る為
窓から見える範囲の木を選んでいた。
すると突然光の塊がこちらを目掛けて
飛んで来たのだった。
「カリン!!」
「ケイル様!!」
驚いた私たちはお互い庇うように
抱きしめ合い光がおさまるのを待った。
まぶたに眩しさを感じなくなった時
恐る恐る目を開けると、息をするのも
忘れるくらい驚いてしまった。
極上の絹にはちみつを塗ったような
滑らかな肌に長いまつ毛や眉毛
床に広がる星空を集めた様な艶やかな黒髪、
木の精霊なのか?
見慣れぬ服装だった。
目の前の光景に息をひそめながら
驚いていた。
ケイル・クロプス・アキオスは
ルコニー王国の隣国にあるアキオス国の
第一王子であり、成りゆきでお世話役
となったのがカリンである。
ケイル王子は幼い頃からお忍びで
たびたび城を抜け出していた。
町や村などに行き人の暮らしを
覗き見ていたのだった。
長くてひと月、最短でも2~3日
普段から王位は弟たちに譲ると言っていた為
第一王子は王位継承権一位の座で
ありながら王位に興味はなかった。
人が困っているのを放っておけない性格で
川の氾濫や山崩れなどの災害、
魔獣による被害があれば率先して
動いていた。
アキオス国の国民はケイル王子に
親しみを感じながらもいずれ王位に
就くだろうと思っていた。
ケイル王子の振る舞いのおかげなのか
王妃と側室たちの仲もよかった。
ケイル第一王子が成人する前に
成人と同時期に王位を譲ろうと王は考えたが
ケイル王子はそれを断ってしまった。
早く王位を譲り比較的平和なアキオス国で
のんびりしたい王にとって誤算だった。
しぶしぶ王の政務に励む王であったが
子どもたちに王位を譲ろうとするのを
諦めなかった。
「生まれた順での継承権ではなく、
アキオス国と国民を思う気持ちが
大きい者がこの国を導け!!
そして、その為に自分を磨け!!」
と王妃、側室たち、子どもたちに
宣言する様になったのだった。
すると王子王女たちをはじめ
王妃や側室までもが自分のしたかった事、
研究や書き物、刺繍。大工、剣術など
さまざまな技術を極めていったのだった。
1~2等級は幼少期
3~4等級は少年から青年期
5~6等級が平均
7等級は騎士団に入れるレベル
8等級は国のあらゆる機関で優遇されるレベル
9~10等級は国宝級か、伝説級
この当時の王族の魔力は6等級~8等級であり
30代の王とケイル王子は8等級だった。
「お父様(王)はまだまだ若いし長生き
するから、継承権の心配する必要なんて
ないでしょう。」
と末の王女が言い出し誰も王位を
つごうとしなかった。
(1等級は寿命が80歳にも満たないが
10等級にもなると400歳前後になる。)
魔力も高く自分の力を過信し護衛もつけず
国の境にある村を訪れた時、
ケイル王子に事件は起きた。
山賊を装った魔術師たちに囲まれ
魔封じの道具を幾つかはめられて
しまったのだった。
ケイル王子は囚われ何年もの間、
辱めを受けていた。
魔力の強い子を授かるため薬を用いて
次々と混じり合わされたのだった。
偶然なのか必然なのかはわからないが
ある時足かせがわりの魔道具が
一つ壊れた事により、次々と
魔封じが壊れてしまった。
開放された魔力は部屋中の物を壊したが
首につけられてしまった隷属の首輪だけは
壊れなかった。
恐れをなした者たちはケイル王子に
近づかなくなり、パッタリとその行為すら
しなくてよくなったのだった。
毎日申し訳程度にくる食事さえ
少なくなり体力も奪われていった。
そして幼さの残る少女が恐る恐る
ケイル王子に話しかけてきた。
「皆居なくて、この位しか用意出来ず
も、申し訳ございません。」
硬くなったパンなのか、もともと硬いパン
なのかは分からないが、葉っぱがたくさん
浮いている温かなスープだった。
「これは君が作ってくれたの?」
「は、はい。すみません。もともとは
お洗濯する為、ここに雇われたので
お食事を用意はまだ苦手で、すみません。」
「君の他に、誰もいないのかい?」
「は、はい。」
私が魔力暴走を起こしたと思い
怖くなって逃げ出したのか?
「あっ、これここの鍵だと
思うんですが同時にしないと開かない
タイブだと思います。」
天井スレスレの高い位置と床スレスレの
極端に低い位置につけられた鍵穴。
牢屋によく使われる鍵だった。
今までは子ダネ得る為の者たちを
この部屋に通したあとは、厳重に
外扉だけはしっかり閉められていたはずだ。
薬の影響でその辺の記憶が曖昧だった。
入れ替わり立ち代りで、眠っているのか
そうでないのか分からない毎日だった。
月日は流れ首に嵌められた首輪のせいで
この館からは私だけ出れなかった。
窓や扉から出ようとすると身体から
力が抜け立っていられなくなったり
頭痛や吐き気が酷くなるのだった。
カリンという少女は成人を迎えた今も
なぜか私の世話をしてくれている。
館から出れない私を同情してくれている
からかもしれない。
館にある物を少しずつお金に変え
庭に小さな畑を作り野菜を植え
カリンは朝から晩までずっと働き
そして、そばにいてくれた。
外に出れない私の為、窓から見える所に
花まで植えてくれたのだった。
料理や洗い物も一緒にするようになり
力仕事全般する事にした。
木彫りの細工物を作るしか今の私には
思いつかなかった。
カリンに似合う木彫りの花の髪飾りや
小箱、スプーンやフォークを作ったら
すごく喜んでくれたのだった。
今ではスプーンやフォークの持ち柄に
彫りものをしている。
今では小さな子が喜びそうな木彫りの
人形や身近な動物、そして食器、
髪飾りを作っている。
ある程度貯まるとカリンが町に持っていき
お金に換えてくる。
売れ残りは薪がわりに火にくべようと
したが、カリンが嫌がりカリンが
使っている小部屋に飾ってあるらしい。
食卓の所々に売れ残りの木彫りが飾って
あるが、作ったのは私なのに
捨てようとしたら何故か注意され
プクっと膨れっ面になるカリンが
たまらなくかわいいと思っている。
窓から見える範囲の木は魔法で切り倒し
魔法で引き寄せ、少女だったカリン
…彼女が扉を開けた場所から木を
部屋に入れる。
月に一度は木を切り倒しているからか
この館の一番大きな扉がある場所
玄関は傷だらけだった。
内側からわざと扉を壊そうとしても
壊れなかった。壊そうとすると
ただ疲れるだけだった。
本来なら外でする薪割りも家の中で
いたから床だけはボロボロだった。
薪も少なくなり木彫りの材料も
心許なくなったので木を切る為
窓から見える範囲の木を選んでいた。
すると突然光の塊がこちらを目掛けて
飛んで来たのだった。
「カリン!!」
「ケイル様!!」
驚いた私たちはお互い庇うように
抱きしめ合い光がおさまるのを待った。
まぶたに眩しさを感じなくなった時
恐る恐る目を開けると、息をするのも
忘れるくらい驚いてしまった。
極上の絹にはちみつを塗ったような
滑らかな肌に長いまつ毛や眉毛
床に広がる星空を集めた様な艶やかな黒髪、
木の精霊なのか?
見慣れぬ服装だった。
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