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8、エドリック異世界(日本)最終日

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お土産になりそうな食品や薬品、さまざまな
珍しい物を買い込み、エドリックは
カバンに詰め込んでいた。
アーロン王子は意外とグルメなとこもあるので
この国独自の調味料、デパートで
特産品フェアーをしていたので
日持ちする食品や目新しい物を
買い込んでいるうちに1人では
抱えれないくらいの荷物になってしまった。
これ以上だとせっかく手に入れた
お土産がルコニー王国に
転送されなくなってしまう。

昨夜からエドリックの周りを嗅ぎまわる
モノがいる事に気づいていたが
いざとなれば自分の身は守れると過信していた。
あとを追ってくる人物を人通りの少ない
小道に誘い込み待ち伏せした。
とっさに防御の魔法を使ったが、ここは
異世界(日本)魔法は発動する事はなかった。
「俺のあさみを何処にやった?」と
小声でボソボソ言いながら俺の脇腹に
いきなり刃物を突き刺してきた。
アサミ?……美容師のか?
「どういう関係だ?」
「おまえごときに答える必要ないが
よく聞け!!俺のあさみはなかわいいし
美容師として腕前もよく誰よりも
一番輝く存在なんだ。それなのに
おまえなんかとあった後、家にも帰らず
どこにも見当たらないんだ。どこに
隠しやがったんだ?」
「……。」
答える必要がないと言ったその口で
ペラペラ喋る男をジーっと見た。
これは、ただたんに危ない奴ではないのか?
目がギラギラしており嫌な笑みを
浮かべながらまだ何かを話していた。
「付きまとったうえ人を刺すとはな、
厄介な奴だ。」
刺された傷はさほど深くはないはず。
魔法は使えないからとりあえず
みぞおちに拳をうち眠らせたあと、
軽く手足を縛りメモ書きを置いて
血のついた刃物と一緒に、わかりやすい
場所に放置した。

人目に付かない場所に移動したエドリックは
あと一人異世界に転移出来る装置を見つめた。
アーロン王子でも滅多に作れない
ハイスターボールだ。
魔法陣に書く文字の多さと込める魔力も
半端なく必要となるらしく、やっと
出来上がったボールだった。
このまま帰っても良いのだろうか?
アーロン王子に役に立つ人間を
選べただろうか?
そう思っているうちに軽く眠ってしまったようだ。

「大丈夫ですか?どうされましたか?」
「………。」
高すぎず低すぎでもない耳にいい声が
響いた。薄明かりの道端にいつのまにか
眠ってしまったようだった。
刺された脇腹はズキズキ痛くなり
なんとなく寒気を感じた。声がする方に
顔をあげるとそこには驚くほどの
可憐(かれん)な者が俺に話しかけていた。
「私はここの医者ですので、体調が
悪いのでしたら診れますので……。」
「……すまない、かくまっ…いや、すまない
迷惑をかけた。」
立ち上がろうとしたが、ふらついてしまい
頭も心なしか痛く再びうずくまってしまった。
血を流し過ぎたのか?
帰ればすぐに傷を塞がないとヤバいかもしれない。
華奢(きゃしゃ)な身体、可憐な人。
つい見つめていたら折りたたみ式の車輪が
ついた椅子?に俺を支えようと頑張りながら
座らせてくれた。
声もだが柔らかな髪から花のような
良い香りがした。ここは楽園か?
"マスイ"とやらされ痛みはなくなり
傷口は綺麗に縫われた。
俺はいつのまにか異世界の話やら
かわいい人を口説こうと必死だった。
もうすぐ日付が変わる時刻。
彼と話していると楽しくて時間を
忘れてしまったようだ。

最後のボールを出そうとしたが
期限の7日が来たのか、自分の周りに
帰還の陣が敷かれていった。
このままでは…と思い思わず彼を
抱きしめてしまおうと思った。
彼は驚き後ろにひっくり返り
後頭部をぶつけてしまった様だった。
「俺と一緒に来て欲しい。」
倒れた彼を抱き起こそうと手を伸ばし
自分の腕の中に閉じ込めた。
キラキラ光りながら魔法陣は消え
元の世界ルコニー王国に戻ったが
腕の中に閉じ込めたはずの彼は消えていた。
もう少し早くに行動していれば彼も
連れて行けたのにエドリックはかなり後悔した。


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