【完結】思いついたら書いてたエッセイ。(主に介護職と子育てちょろっと)

兄と妹 1

高齢者専門マンションで働いていた時のお話です。
90代後半の男性と90代前半の女性の兄妹がいました。
軽い認知症はありましたが、お金の管理や着替えも自分で出来る要介護度1程度の兄、妹様は要支援の方。
妹様は、天気の良い日には事業所近くのスーパーなどに買い物行く程パワフルな方でした。
お兄様の方は、年々足も衰え杖を使用していましたが部屋での転倒などがありご家族様の希望もありマンション内車椅子移動となりました。
一階と二階が高齢者専門住宅、三階から一般のマンション、入り口別でした。
個人の部屋6畳から10畳のワンルーム個室、食堂は一階でエレベーター使用。

とある日、事務所に大きな荷物が届きました。
お兄様宛てです。
本来なら宅配物は事務所に届いたあと、個人様のところにヘルパーがとどけるのですが、あまりの重さにヘルパーだけでは無理だと思い、親切な配達員さんが台車で荷物を個人部屋に届けて下さいました。

「おお、デカイなぁ。僕に組み立てれるかな？」
ナニを買ったんやろ？
不思議に思いながら、聞いてみると
テレビショッピングで購入したモノらしい。
更に聞くと、
「足腰鍛えないとな。女とデート行くのも出来んからな。」
お、お兄様？！
杖から車椅子になった事に本人も気にしていたのか、購入したものはルームウォーカーでした。

別部屋に住んでいる妹様と、御家族様に説得され
ルームウォーカーは返品されました。