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10、厳戒態勢の入学式
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新緑の葉っぱと、色とりどりの花が揺れていた。
広い学園の敷地内に植えられているそれらの
花々を見て和む暇はなく、馬車から降り立った
俺らを取り囲むように、物々しい雰囲気の中
学生寮へと向かった。
入学式といえば満開の桜のイメージだったから
整えられた花壇の花やみずみずしい木の
葉っぱキレイだけど、なんだか
物足りなさを感じてしまった。
キオナ(中身はマリー姉上)もそう思ったのか
"やっぱり…ないね。"と寂しげに呟いていた。
入学式前日から学生寮に出入りする際にも
ボディーチェックなど厳しく、学園全体には
防御壁などのさまざまな魔法がかけられていた。
王城並みに新たに強化されたそうだ。
魔法は特定の場所でしか使えない様に
なっているそうだ。当日である今日、学園は
今までにないほどの警戒体制が敷かれていた。
こっそり王家の裏稼業の人たちも紛れているが
ベルウッド侯爵の者も堂々と紛れていた。
可愛くてキレイな花々たちも、威風堂々と
立ち並ぶイカツイ顔つきの者たちが
立ち並ぶと、なんだかせっかくの
花々たちは、さらにひ弱な存在に見えてきた。
王家とベルウッド侯爵たちの裏稼業の
者たちが勢揃いするなんて、ただごとではないと
思うのは学生だけじゃなく、教師陣も
ピリピリしていた。
裏稼業の人たちは、普段の仕事として侯爵家や
王家で基本使用人や護衛をしている。
マリーとキオナが剣術指導をしてくれた
エイダンもそのうちの1人で、表向きは護衛騎士
裏のお仕事…裏稼業では、表には出せない様な
監視だったり潜入や暗殺などもしていた。
邸宅内以外にも、全国各地を移動しながら
情報を集める諜報活動や裏稼業の者たちの
まとめ役もしているので、裏稼業の者たち
にとって駆け込み寺的な事もしていた。
信頼されていると言ったら言葉はいいが、
裏稼業バレバレな者やヘタな半端者からも
信頼されているからか、ならず者を手懐け
国家の転覆をはかっているというウワサを
立てられそうになった時期もあったそうだ。
ウワサを立てた貴族やその周辺の者達を
調査したところ、次から次へとその者の
悪事が出てきた上、杜撰(ずさん)な計画を立て、
国家転覆を狙っていた張本人だった。
ベルウッド侯爵を敵にしたその者たちを
洗いざらい曝(さら)け出し、自滅していった。
ベルウッド侯爵のウワサを流すどころじゃなくなったそうだが……。
不当な人身売買、使用人への不当な扱いや
虐待、または性的暴行などなど
元アクヤーク伯爵家は爵位剥奪、元伯爵家の
妻や子、親族たちの一部国外追放、その他は
犯罪奴隷落ちになったり、元凶だった
アクヤーク伯爵本人は処刑されたのだった。
ベルウッド侯爵家を恨(うら)んでいる
可能性は濃厚で、元アクヤーク伯爵に
心酔していた"バカマヌー"という
正体不明の人物が、ベルディア王国に
入国したかもしれないという情報が
もたされたのだった。
今回の学園に入学するオザーム王太子殿下、
友好国であるゾンブーク国から留学生としては
一番の大物(おおもの)がくるのだが、
カッツー・ショークパン・ゾンブーク
王太子殿下と侍従兼留学生ヴィオラと
トリコロールが入学するのだった。
正体不明の"バカマヌー"は性別も不明なうえ
想定できる危機を厳重に警戒しているからか
かなりのピリピリムードの中、新しい寮に
入ったマリーとキオナは驚きを隠せなかった。
「……!!」
キオナ(中身はマリー)と同室だった人物は
あの、オザーム王太子殿下だった。
マリー(中身はキオナ)の同室はヴィオラ
というカッツー王太子殿下の侍女?だった。
ヴィオラとトリコロールは
双子っぽいがまだ確認していないので、
大物(おおもの)の侍女の同室に
マリー(中身はキオナ)は驚いていた。
トリコロールは男子寮なので、マリーの
身体であるキオナは"今は"ヴィオラに
聞く以外、トリコロールの同室者が
誰なのかわからなかったのだ。
"カッツー・ショークパン・ゾンブーク"
ベルディアー王国の初代国王だった
カッツー国王と同じ名前のゾンブーク国の
カッツー王太子殿下。
黒い髪色に、黒い瞳。
名前の一致に戸惑うものの、髪や目の色は
日本人色だし、日本人離れした
顔立ちは整いすぎて眩しく感じた。
いかにもthe王子様って感じだ。
王太子殿下だから、次期国王って言うくらい
優秀な王子様なんだろうと、マリーとキオナは
少し気後れしていた。
「キオナ君だね。我が愛しの婚約者マリー穣の
双子の弟君(おとうとぎみ)、やはり似ているね。」
中身がマリーであるキオナは丁寧できれいな
ボウ・アンド・スクレープを
オザーム王太子殿下にした。
キオナ(中身はマリー)としては珍しく
とっさに言葉が出ないまま
ボウ・アンド・スクレープを
し続けたのだった。
苦笑いしながら、畏(かしこ)まるキオナ
(中身はマリー)に優しく声をかけながら、
緊張を解そうとしてくれていたのだった。
一方、その隣の部屋にはトリコロール、
カッツー王太子殿下の乳兄弟であり
侍従として同じ学年に留学生として
入学したトリコロールがいた。
ヴィオラと双子であり一緒に学び剣術の腕も
カッツー王太子殿下並に強い双子だった。
その同室は、ムーメイ・ナナッシーという
変わった名前のゾーンブック国からやってきた
人物だった。
大商人であるニッシーマーツーヤーに
養子として迎え入れられたそうで、
大商人の息子として計算も早く
見聞を広めるため留学してきたとの事だった。
ひとまずそれぞれに休憩した物の
会話らしい会話もなく、簡単な荷物整理をし
ヴィオラとトリコロールはカッツー王太子殿下の
もとへと足早にむかい、マリーとキオナは
入学式の会場となる一番大きな講堂に
向かったのだった。
広い学園の敷地内に植えられているそれらの
花々を見て和む暇はなく、馬車から降り立った
俺らを取り囲むように、物々しい雰囲気の中
学生寮へと向かった。
入学式といえば満開の桜のイメージだったから
整えられた花壇の花やみずみずしい木の
葉っぱキレイだけど、なんだか
物足りなさを感じてしまった。
キオナ(中身はマリー姉上)もそう思ったのか
"やっぱり…ないね。"と寂しげに呟いていた。
入学式前日から学生寮に出入りする際にも
ボディーチェックなど厳しく、学園全体には
防御壁などのさまざまな魔法がかけられていた。
王城並みに新たに強化されたそうだ。
魔法は特定の場所でしか使えない様に
なっているそうだ。当日である今日、学園は
今までにないほどの警戒体制が敷かれていた。
こっそり王家の裏稼業の人たちも紛れているが
ベルウッド侯爵の者も堂々と紛れていた。
可愛くてキレイな花々たちも、威風堂々と
立ち並ぶイカツイ顔つきの者たちが
立ち並ぶと、なんだかせっかくの
花々たちは、さらにひ弱な存在に見えてきた。
王家とベルウッド侯爵たちの裏稼業の
者たちが勢揃いするなんて、ただごとではないと
思うのは学生だけじゃなく、教師陣も
ピリピリしていた。
裏稼業の人たちは、普段の仕事として侯爵家や
王家で基本使用人や護衛をしている。
マリーとキオナが剣術指導をしてくれた
エイダンもそのうちの1人で、表向きは護衛騎士
裏のお仕事…裏稼業では、表には出せない様な
監視だったり潜入や暗殺などもしていた。
邸宅内以外にも、全国各地を移動しながら
情報を集める諜報活動や裏稼業の者たちの
まとめ役もしているので、裏稼業の者たち
にとって駆け込み寺的な事もしていた。
信頼されていると言ったら言葉はいいが、
裏稼業バレバレな者やヘタな半端者からも
信頼されているからか、ならず者を手懐け
国家の転覆をはかっているというウワサを
立てられそうになった時期もあったそうだ。
ウワサを立てた貴族やその周辺の者達を
調査したところ、次から次へとその者の
悪事が出てきた上、杜撰(ずさん)な計画を立て、
国家転覆を狙っていた張本人だった。
ベルウッド侯爵を敵にしたその者たちを
洗いざらい曝(さら)け出し、自滅していった。
ベルウッド侯爵のウワサを流すどころじゃなくなったそうだが……。
不当な人身売買、使用人への不当な扱いや
虐待、または性的暴行などなど
元アクヤーク伯爵家は爵位剥奪、元伯爵家の
妻や子、親族たちの一部国外追放、その他は
犯罪奴隷落ちになったり、元凶だった
アクヤーク伯爵本人は処刑されたのだった。
ベルウッド侯爵家を恨(うら)んでいる
可能性は濃厚で、元アクヤーク伯爵に
心酔していた"バカマヌー"という
正体不明の人物が、ベルディア王国に
入国したかもしれないという情報が
もたされたのだった。
今回の学園に入学するオザーム王太子殿下、
友好国であるゾンブーク国から留学生としては
一番の大物(おおもの)がくるのだが、
カッツー・ショークパン・ゾンブーク
王太子殿下と侍従兼留学生ヴィオラと
トリコロールが入学するのだった。
正体不明の"バカマヌー"は性別も不明なうえ
想定できる危機を厳重に警戒しているからか
かなりのピリピリムードの中、新しい寮に
入ったマリーとキオナは驚きを隠せなかった。
「……!!」
キオナ(中身はマリー)と同室だった人物は
あの、オザーム王太子殿下だった。
マリー(中身はキオナ)の同室はヴィオラ
というカッツー王太子殿下の侍女?だった。
ヴィオラとトリコロールは
双子っぽいがまだ確認していないので、
大物(おおもの)の侍女の同室に
マリー(中身はキオナ)は驚いていた。
トリコロールは男子寮なので、マリーの
身体であるキオナは"今は"ヴィオラに
聞く以外、トリコロールの同室者が
誰なのかわからなかったのだ。
"カッツー・ショークパン・ゾンブーク"
ベルディアー王国の初代国王だった
カッツー国王と同じ名前のゾンブーク国の
カッツー王太子殿下。
黒い髪色に、黒い瞳。
名前の一致に戸惑うものの、髪や目の色は
日本人色だし、日本人離れした
顔立ちは整いすぎて眩しく感じた。
いかにもthe王子様って感じだ。
王太子殿下だから、次期国王って言うくらい
優秀な王子様なんだろうと、マリーとキオナは
少し気後れしていた。
「キオナ君だね。我が愛しの婚約者マリー穣の
双子の弟君(おとうとぎみ)、やはり似ているね。」
中身がマリーであるキオナは丁寧できれいな
ボウ・アンド・スクレープを
オザーム王太子殿下にした。
キオナ(中身はマリー)としては珍しく
とっさに言葉が出ないまま
ボウ・アンド・スクレープを
し続けたのだった。
苦笑いしながら、畏(かしこ)まるキオナ
(中身はマリー)に優しく声をかけながら、
緊張を解そうとしてくれていたのだった。
一方、その隣の部屋にはトリコロール、
カッツー王太子殿下の乳兄弟であり
侍従として同じ学年に留学生として
入学したトリコロールがいた。
ヴィオラと双子であり一緒に学び剣術の腕も
カッツー王太子殿下並に強い双子だった。
その同室は、ムーメイ・ナナッシーという
変わった名前のゾーンブック国からやってきた
人物だった。
大商人であるニッシーマーツーヤーに
養子として迎え入れられたそうで、
大商人の息子として計算も早く
見聞を広めるため留学してきたとの事だった。
ひとまずそれぞれに休憩した物の
会話らしい会話もなく、簡単な荷物整理をし
ヴィオラとトリコロールはカッツー王太子殿下の
もとへと足早にむかい、マリーとキオナは
入学式の会場となる一番大きな講堂に
向かったのだった。
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