上 下
8 / 18

7、ベルウッドとベルブック

しおりを挟む
*オザーム王太子殿下目線*

私はプロポーズが成功した喜びに浸っていた。
妹のルカも"おめでとうございます。"と
言ってくれたし、初めてのやりとりだけでも
充分だったはずが、成功したプロポーズの後も
ベルウッド侯爵家の次女であるマリー嬢に
さまざまなな食べ物やお茶を勧めたのだ。
そして締めくくりに私自らマリー嬢に
ミルクティーなど数種類を使用淹れた。
量的にはかなり少ないはずなのに
もう、お腹がふくれたのか彼女と視線が
合わなくなってしまった。
日差しもキツくなり、それぞれの
テーブルに備え付けられている
大きなパラソル(3代前の王妃が提案し
制作したパラソル)を立てられてはいたが
やはりリエーターの1月とはいえ(初夏)
少々暑いので、室内のティールームに移動した。

ベルディア王国の国王・黒い髪・紫の瞳
シャルドン国王と深緑の髪・青の瞳の
アネモーヌ王妃に素早く報告した。
ベルウッド侯爵家の次女マリー嬢が
母上主催のお茶会にて古式のプロポーズにて
オザーム・フゥーリー・ベルブックの
プロポーズを受け入れて貰えたと。
証人はルカ・ジュネ・ベルブックと
エリカ・トレミエール……公爵家の次女
ペルス・ガルデニア……伯爵家の長男
イリス・クロキュス………子爵家の長女
ペルス・ネージュ…………子爵家の次男
ジャン・シアーヌ………男爵家家の次男
カメリア………エンタカ海産問屋の次女
アドニス……………タカモモ商会の長男
同じお茶会の円卓に居合わせた者だ。
速やかに書類での婚約も結びたいという事も
父上と母上、つまり国王と王妃に
報告したのだった。
お茶会が終わると同時に報告に上がったのだが、
国王はベルウッド侯爵と歓談していた。
隠す必要もないし、侯爵本人がいるのだから
お茶会での出来事を話した。
「わ、私(わたくし)めの大切なマリーが…
ま、まことですか?まさか……」
「ベルウッド侯爵、その場に居合わせた
複数の証人もいますし、我が妹のローズも
証人のうちの1人です。一口サイズの
サンドイッチを2回、その他にも
(少量ずつですが、数種類の)
お茶菓子を食べてくださりました。
古式ながらのプロポーズですが、
精霊か女神のような可憐さと美しさ、そして
小鳥が啄むように私の手から、何度も
食べてくださいましたよ。」
「……。」
侯爵の顔色が悪くなったが、仕方がない。
秘蔵っ子、稀に生まれる能力も高いとされる
裏家業の一つに、双子としてそっくりに
生まれた事を利用し、政敵や悪巧みしている
貴族などの家に使用人として潜り込み
情報収集するのだが、双子なら効率よく
潜り込ませることが出来るのだ。
オスカルとローズの男女の双子も
似ているのだが、若干顔の作りや髪色が
違うので似ている兄姉だと思ってしまうのだ。
だが、マリー嬢とキオナの双子は、身長も
体格、顔の作りから瞳と髪の色まで
同じと言っていいほど似ていたのだ。
"キオナ"の方が身体の弱い姉である
マリー嬢を庇う仕草が多かったが、
親が間違えるほどの似た双子だと
誰もが思うだろう。
ドレスとスーツを取り替えっ子すれば、
話さなければ気づきにくいかもしれない。
これは、人の魔力の"色"をよむ訓練を
した方がいいかもしれない。
マリー嬢は有無を言わさずとも
誰もが認める可愛さと儚さがある。
あまり他人の目に触れさせたくない
ベルウッド侯爵の気持ちがわかる。
10歳なら、昨年あたりからのお茶会に
参加も出来たはずなのに、昨年は
体調不良との事で断られたのだ。
本当に秘蔵っ子だった。
出会ってしまった私としては、もう
マリー嬢は特別可愛いのだけではなく
婚約者なのだ。あとは正式に書類をかわし、
婚約披露の発表をするのみ。
マリー嬢が可愛いのは当たり前なのだが
同時に弟のキオナも姿かたちの事に関して
可愛いと思えてしまうのが困りものだった。

帰宅後、ベルウッド侯爵家は家族会議と
なったのはいうまでもない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

伝説の騎士は伝説になってるけど、まだ現役です。

もちだもちこ
ファンタジー
森野えんり(36)は、会社帰りに買った本を公園で読んでいた。家に帰ろうとしたら意識を失い、気がつくと森の中?もしかして異世界?まさか…私の読んでた本の世界??? チートな四十路騎士と、三十(六)路女の不思議な旅…になる予定。 R15は保険です。 誰得かといえば自分得なので、好き勝手やってます。 妄想暴走しないよう頑張ります。 ※自小説の「森の薬師様と私」「転生して勇者の補佐をしろと言われました」のキャラが出てきますが、読まなくても大丈夫です。 小説家になろうにも同じ内容で投稿しています。

黒豹の騎士団長様に美味しく食べられました

Adria
恋愛
子供の時に傷を負った獣人であるリグニスを助けてから、彼は事あるごとにクリスティアーナに会いにきた。だが、人の姿の時は会ってくれない。 そのことに不満を感じ、ついにクリスティアーナは別れを切り出した。すると、豹のままの彼に押し倒されて―― イラスト:日室千種様(@ChiguHimu)

美貌の騎士団長は逃げ出した妻を甘い執愛で絡め取る

束原ミヤコ
恋愛
旧題:夫の邪魔になりたくないと家から逃げたら連れ戻されてひたすら愛されるようになりました ラティス・オルゲンシュタットは、王国の七番目の姫である。 幻獣種の血が流れている幻獣人である、王国騎士団団長シアン・ウェルゼリアに、王を守った褒章として十五で嫁ぎ、三年。 シアンは隣国との戦争に出かけてしまい、嫁いでから話すこともなければ初夜もまだだった。 そんなある日、シアンの恋人という女性があらわれる。 ラティスが邪魔で、シアンは家に戻らない。シアンはずっとその女性の家にいるらしい。 そう告げられて、ラティスは家を出ることにした。 邪魔なのなら、いなくなろうと思った。 そんなラティスを追いかけ捕まえて、シアンは家に連れ戻す。 そして、二度と逃げないようにと、監禁して調教をはじめた。 無知な姫を全力で可愛がる差別種半人外の騎士団長の話。

死んだと思ったら異世界に

トワイライト
ファンタジー
18歳の時、世界初のVRMMOゲーム『ユグドラシルオンライン』を始めた事がきっかけで二つの世界を救った主人公、五十嵐祐也は一緒にゲームをプレイした仲間達と幸せな日々を過ごし…そして死んだ。 祐也は家族や親戚に看取られ、走馬灯の様に流れる人生を振り替える。 だが、死んだはず祐也は草原で目を覚ました。 そして自分の姿を確認するとソコにはユグドラシルオンラインでの装備をつけている自分の姿があった。 その後、なんと体は若返り、ゲーム時代のステータス、装備、アイテム等を引き継いだ状態で異世界に来たことが判明する。 20年間プレイし続けたゲームのステータスや道具などを持った状態で異世界に来てしまった祐也は異世界で何をするのか。 「取り敢えず、この世界を楽しもうか」 この作品は自分が以前に書いたユグドラシルオンラインの続編です。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

慰み者の姫は新皇帝に溺愛される

苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。 皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。 ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。 早速、二人の初夜が始まった。

【R18】偽りの騎士〜鎧の下の身体〜

サディスティックヘヴン
ファンタジー
 聖堂騎士団に所属するブラッドは同室の分隊長シルバーの正体が、実は女であることを知ってしまった。  常々シルバーの活躍に嫉妬し、恨みを抱いていたブラッドは、その秘密を盾にし、シルバーを無理やり犯したのだった。

処理中です...