【本編完結】異世界で政略結婚したオレ?!

カヨワイさつき

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41、番外編 政略結婚から約2年過ぎた頃のお話 3

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「!!!」
ガタッという、今までにない衝撃。
ガタガタ、ガタン、ガゴンッ
超高級な馬車に乗っているオレたち。
今の今まで揺れなんか気にならないほど
(オレ、真夜中早朝?グースカ寝てました。)
ディオ様の上で過ごした馬車は、車輪が
整備が整っていない砂利道(じゃりみち)や
デコボコの土の地面むき出しの
悪路をはしる馬車の振動だった。
馬車にある小さな小窓からは、
先程まで見えていた青空が見えないほど
鬱蒼(うっそう)とした樹々に囲まれていた。
森林浴?森の香りが強くなっているのは
気のせいではないけど、ディオ様の
イタズラ?のせいでオレの下半身が
大変な事になっていた。
ムズムズ感が吹き飛ばすかのように
オレは深呼吸した。
煩悩(ぼんのう)煩悩、煩悩、煩悩。
馬車の中でまでいたしたくない。
たとえムズムズがおさまらなくてもイヤだ。
あれだけの事をしておきながら、
指だけだなんて!!とか、
いつもならディオ様の長くて太くて
すっごいご立派な熱杭で何度も何度も
……絶倫夫が本領発揮してくれるのに……。
あの時、なぜ最後までしなかったんだろう?
何か気にさわることしてしまったのか?
お外でするのは恥ずかしくて
今更だが、2人っきりではなく
周りには護衛もいたはず。
あんな事、恥ずかしすぎるだろ……。
今となっては、最後までしてくれなかったのは
なぜなんだ?という不安や、
むなし…じゃなくて、え~と
いつもされる事をされないのは
大変ムズム…む、むかつきます!!
ヤルならヤッてくれ!!
時間にして約2時間、つまり一刻。
ディオ様が、ボソッと呟いたあと
焦らしプレイ継続しながらの場所移動をした。
湿(しめ)りすぎたオレの下半身、
濡れてるのがこのドレスに滲(し)み出てないか
心配で無意識に自分のお尻あたりを
さわろうとした。
「……あとで。」
「!!」
ちょっと待てぃー!ってあとで、って
あとで、オレはナニされるんだ?!
興奮と期待?煩悩(ぼんのう)煩悩、煩悩……。
オレは心を落ち着かせようとした。

なんだかすっかりいつもと違う行動の
ディオ様に翻弄(ほんろう)される自分に
疲れた心を癒(いや)すかのように
プチ現実逃避した。
馬車から降りたらそこは広大な森に囲まれた、
小さな集落?ま、丸太小屋?!
いや、小屋と言ったら失礼だ。
規模的にはコンビニ6つ?ほどの
丸太小屋がデデンと建ち、その周りに
6、7、8、少し離れた所にももう一戸
コンビニひとつ分程度の丸太小屋が建っていた。
「わぁ~。」
自然と感嘆(かんたん)の声をあげ
笑顔になっていた。
そんなオレの表情をジーッと見つめる
ディオ様に気づかないまま、オレは
キョロキョロし、にんまりしていた。
「ここに、今日泊まれるの?」
「……いや、あと半刻(約1時間)歩いた所だ。」
「半刻(約1時間)。」
丸太小屋に、自然たっぷりの山、山、山だらけ。
「大丈夫だ。」
「???」
何が大丈夫なんだろう?
それは山のけもの道をディオ様が
私をお姫様抱っこしながら歩いた事だった。

「ディ、ディオ様、自分で歩きます。」
「嫌だ。」
「イッ嫌?」
「……あぁ。」
「……。」
護衛の方たちは慣れているからか
通常対応、だが村にいた村長の息子が
道案内してくれたのだが、半ば
呆れた様な生暖かい眼差しをしていた。
村長の息子、護衛、護衛、護衛
お姫様抱っこされたオレたちを挟む感じで
後ろにも護衛兼荷物もちがズラリ。
前後左右に護衛がはべり、たまに出てくる
可愛い小動物(後で知ったが弱い魔物。)に
癒されていたオレ。
オレが、このケモノ道を歩いてたら
確実に数分でバテる自信がある。
護衛たちが身体を鍛え、息切れもせず
涼しい顔で歩いてるのはわかる。
ディオ様は、事務仕事ばかりなのに
いつ身体を鍛えてるんだろうか?
細身なのに脱いだらすごい身体をもつ
ディオ様もまた、オレをお姫様抱っこ
しているのに、しっかりした足取りと
息切れすらしていない。
体力オバケ……絶倫夫、そうか!!
毎夜の激しい運動で、お腹も立派に割れ
程よい筋トレ状態になっているのかも知れない。
それに対してオレの身体は……。
悔しくない、悔しくて涙なんか出ないぞ。
「……するか?」
「えっ?」
ディオ様、全くわかりません。
結婚して2年とちょっと、もう少し
言葉数増やして下さい。
切実にお願いします。
それにしても、山奥に何しに来たんだろう?

       ***

「着いた。」
慣れとは怖いもんだ、と密かに思った。
毎回のことながらお姫様抱っこに慣れず
恥ずかしい気持ちはあるのに、ケモノ道の
同じ様な景色と心地よい揺れに
いつしか眠っていた、オレ。
ディオ様にクスッと笑われた気もするが、
森林浴とお日様の香りがするいつもの
ディオ様の香りに落ち着きすぎてしまった。
「……っ!!」
申し訳ない気持ちでいっぱいいっぱいに
なったオレは、言葉に詰まりながらも
ディオ様に謝ると、おでこにチュっと
口づけされた。
「!!!」
叫ばなかったオレを誰か褒めて欲しい。
しばらく固まっていたが
「あはは、本当に仲が良いですね。
こちらが鍵です。昨日、お掃除も済んでますし
ベットも指示通りです。」
「……。」
視線をオレに向けたたまま頷くディオ様。
あ、あのぉ…ディオ様?
村長さんの息子さんが説明してくれてるので
そちらに視線を向けて頷いてあげて下さい。
「あはは、えーっと台所の説明は、
護衛さんたちにした方が…イイですよね?」
「……あぁ「台所!!」
ディオ様の声にかぶせ気味に
台所と聞いて、どんな食材があるのかとか
山奥だからここはキャンプ飯的なものや
バーベキュー的な事できるのかもっと
オレはまた、村長の息子ににっこりした。
「休む。」
「!!!」
えっ?ちょ、ちょっと待ってぇー。
台所の説明とか晩ご飯の相談とかぁぁぁ。
オレのわずかな望みは叶わず、
立派な建物、予想以上に大きな舘の2階に
(丸太小屋では無い)連れ込まれてしまった。

このご立派な館も一応、嫌でも目に入ったが
オレがお泊まりしたいのは、隣にあった
可愛い小さな丸太小屋なんだよー。
メルヘンチックで、お菓子の家っぽい
丸太小屋だったんだよぉ。
部屋に入って、お城のベットより
少し狭い(キングサイズのベットより広め)
ベットのまわりには、この近くで
摘んだのか小さな可愛い色とりどりの
花がかざられていた。
山小屋、丸太小屋と聞けばワラに
シーツをかぶせたベットを想像したのに
普段とあまり変わり映えしない事に
なぜか涙が滲(にじ)み出た。

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