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仕方がない。仕方がないから分けられた。
オレのわがままかもしれないけど
納得出来ないまま護衛である第二王子
オリヴァー様の指揮のもと選ばれた
民たちだけ入室を許可されたのだった。
先程の女性と子ども、妊婦、女性、
弱ってる子どもを中心に、先程までいた
大きすぎるリビングに入室の許可をしたのだった。
熱を出している子どもは4歳か5歳位の
子どもで洗い呼吸を繰り返していた。
30人程部屋に入れ、熱を出している子どもを
ソファーに寝させ、臨月の妊婦さんもかなり
遠慮していたがソファーに座ってもらったのだった。

地震が起きたのか水が押し寄せてきたのかは
わからないけど、建物自体何度か揺れ
皆不安そうにしていた。
オレはなぜかお姫様抱っこのまま、
ディオ様がベットに腰をかけていた。
領主邸にある食料庫を民に解放するように
ディオ様は領主に伝令し、お城からも応援
に来るように伝令した。
邸の揺れがおさまった頃、領主邸と
教会に炊き出しをするよう指示した。
魔法通信によりアントニがミニエラと
一緒に行動している事を知った。
「ミニエラが…。」
「……!!」
ディオ様が自分のピアスに触れながら
漏らした言葉にオレは動揺した。
やはりあの時、見間違いではなく
ミニエラがいたんだ。
でも、なぜ?ミニエラ、パーラーが
また、何か企んでいたのか?
コレの事もパーラーなのか?
パーラーは、確か水や氷の魔法が
得意だったはず。
「本当か?」
「へっ?」
「パーラーが、水や氷魔法が得意というのは
本当なのか?」
ディ、ディオ様が長文しゃべった。
いやいや、驚く場所はそこじゃない。
オレの思考、またダダ漏れだったのか?
独り言しゃべる怪しい奴って、思われたら
どうしよう。かなり恥ずかしい。
あっ、早く返事しなきゃやばい。
「はい。昔ミニエラが熱を出した時、
水と氷を魔法で出して、ミニエラの
頭を冷やしてました。」
「……こんな感じか?」
コロン、コロン、じゃぁ~。と
空いていたカップに氷と水を出した
ディオ様だった。
「わあ、すごい。すごいです。ディオ様。」
まともな魔法見たの、オレ初めてかも。
しかも至近距離で魔法をみたから
ついつい興奮してしまった。
思わず拍手までしてしまった後
プフッと笑う声がした。
振り返ると第二王子のオリヴァー様だった。
「リアンジュ様が、リアンジュ様が
兄上を……プフフフッ。」
「……。」
ディオ様の白いうなじと耳、そして
顔がうっすら色づいていた事に
気づかないオレだった。
「せっかくの貴重な兄上の、プフッ
氷と水を熱が出ている子に活用しても
よろしいでしょうか?」
「ああ。何か入れ物はあるのか?」
「すぐにご用意します。」
いくつか準備した桶に氷と水が入れられ
ハンカチを濡らし子どもの額や目元を
冷やしたのだった。
少し大きめの入れ物には、暖かなお水が
入れられ、部屋にいる人達に使って
もらったのだった。それらで顔や身体を
拭いてもらうと、少し落ち着きを
取り戻したのだった。
オレは未だに魔法一つ使わず
贅沢暮らしし、あまつさえ
危険が迫るといち早く避難している。
やり直せるのか?
オレはある意味人生やり直しで
ここ、異世界でいるのに、何一つ
役に立っていない。
価値がないに等しい。
女性的だから、珍しい両生具有だから
大切にされるのが当たり前?!
このままだと着せ替え人形のままだ。
何か役に立てり事はなんだろう。

「ううっ……ッ。」
ザワッと隣室の様子が変わった。
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