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2、第一王子
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「ご婚約おめでとうございます。」
「「「「「おめでとうございます。」」」」」
一斉に頭を下げられたものの
2人の表情筋はピクリとも動かなかった。
同じような顔に同じような口上が
永遠に続くかのように2人を通り過ぎていた。
ディオ・ハウ・グアーラ13歳。
グアーラ国の第一王子。
今日この日、晴れ渡った空に虹がかかった
おめでたい日に、3公爵のうちの一つ、
カルセッサー公爵家の子どもである
リアンジュ・ラルカ・カルセッサーと
婚約の儀式をした。
ディオ自身恋心うんぬんは、自分が
王族として生まれついた時からないに等しかった。
何の感情も湧かなかった。
王家にとって、国民にも恥じないよう生き
国のため、国民の為になる人と
婚姻を結ぶものだと思っていた。
そんな事は幼き頃から当たり前だったので
何の疑問も持たずに過ごしていた。
感情を表に出す事は恥ずべき言葉だと
教えられていたので、物心ついた時から
笑う事はなく怒る表情も見せず
淡々と簡潔に話をするのがディオだった。
周りからは感情がない、または冷酷非道
とも陰口をささやかれていた。
婚約者であるリアンジュを守るため
リアンジュに害を及ぼした者は
排除しようと努力していた。
婚姻に関しての好きか嫌いかは物語の中の話だけ。
政治的な婚姻こそが全て。
幸いな事に王家に生まれたので
帝王学を中心に充分過ぎるほど教育され
衣食住には困らなかった。
住む事にら困らず、衣服も着心地は悪く
重い服ばかりだが生きている間は
困らないほどある。
ディオにとってそれが当たり前で
与えられた物は好き嫌い言わず
黙々とこなした。
食に関してはとくに興味はなく
腹が膨れればいいとの認識だった。
空腹なら水で充分という認識だった。
第二王子と合同での魔物、魔獣討伐での
遠征には軍事用の携帯食がかかせないが
味の改良と討伐した魔物、魔獣肉の
利用に保存魔法が利用されているが
仕事の合間に、保存魔法の改良、
魔石への魔力込めるのも仕事に
組み込んでいた。
食べ物に塩や甘味料などの調味料の割合や
それにかかる費用など、細かな計算をし
試食を作らせ、主に第二王子である
オリヴァーに試食させていた。
オリヴァーが気に入れば、考察し
取り入れるようまた、書類作成
するのであった。
年々味が良くなる軍事用の携帯食や
冒険者向けの携帯食に、第二王子は
もちろん、部下や冒険者にまで
ありがたがられていた。
王族、きらびやかな衣装、華やかな場所
見栄えの良い食事、色々な欲望の為
命を狙われたりは当たり前だった。
自分の魔力と剣の腕を磨き、言葉巧みな
者たちから自分といずれ王家の子を産む
伴侶となる者たちを守るため
力をつけなければいけなかった。
この世界ではなぜか女児に恵まれず、
年の差婚や身分差婚が多くなっていったのだった。
女性の数も少なかったが、それ以上に
希少な存在がリアンジュだった。
数万人に1人、又は数十年に1人の
割合で生まれてくる両性具有は
平民や貴族、身分にこだわらず
大切にされていた。
魔力なども高確率で高く生まれることからか
両性具有で生まれた場合、王族や
高位貴族に嫁ぐのが当たり前になっていた。
リアンジュもそうだった。
その当時わずか1歳にも満たない
リアンジュを抱っこし婚約の儀式を
行ったディオ第一王子。
2人揃ってお人形のように整った顔の
婚約の儀式は誰が見ても政略的で
幸せそうには見えなかった。
リアンジュの父である公爵もまた、
頭を下げ目線もどこを向いているのか
わからない状態での婚約の儀式だった。
ディオ第一王子は生まれた時から
魔力量が多く成長するにつれ
コントロールも上手くなっていった。
魔法・魔術が得意だったからか
成人とともに魔法・魔術省の総帥となったディオ。
冷静沈着の第一王子は、魔物の討伐や
盗賊などの討伐までこなし、第二王子がいる
騎士団との連携で治世をしいていた。
第三王子もまた頭が良く誰とでも
すぐに打ち解けられる特徴を活かして
第一王子が最も苦手とする社交を
請け負っていた。
コミュニケーション能力の持ち主といえば
いいが、王妃に最も似た顔立ちで女顔、
見た目からか軽薄に見え恋多き王子と
世間では言われていた。
現国王は先王の言いなりである意味
先王の傀儡(かいらい)の王であった。
先王は我が国グアーラ王国とベルク国、
シーバハル国から1人ずつ
妃を娶り国を安定させていた。
グアーラ王国の貴族からではなく
魔力が強い平民出身の巫女を王妃としたので
貴族からは猛反対を受けたが、
それを押し切り結婚に踏み切ったのだった。
数年後には各3公爵と5侯爵から各家から
側室や側近として1人ずつ選出させ
先王に差し出す事で、帰属からの
不満を減らしたのだった。
我が国グアーラ国を狙っていた2カ国のうち
ベルク国は鉱山で潤った国であり
シーバハル国は海に面していて
海軍が中心で水属性魔法の使い手が多い国。
そんな3カ国を婚姻により協定を結んだ
先王は賢王(けんおう)として国民から人気だった。
王妃が平民出身の巫女だったことも
人気の一つであった。
まるで相思相愛だったかのように
世情を操作し第一王妃として子どもも
2人もうけた。第二王妃と第三王妃にも
1人ずつ子をもうけた事により
他国にも仲良しである事をアピールしたのだった。
現王も先王と同じく三カ国から妃を
娶ろうとしたが年齢が釣り合う年頃の
女性に恵まれなかったため
交換留学などの交流を盛んにする
という形で三カ国と社交をしていた。
そして先王の側近を現王につけられ
政治を行っていた。
***
冷酷非道とウワサされているが、実は
不器用で過保護、しかも心配性
ただ表情筋が死んでいるだけの第一王子。
「ディオ様、リアンジュ様がまた
倒れられました。命には別状はございません。」
「……。」
「公爵邸の本宅にある使用人部屋近くの
階段下に倒れていたらしいです。
こちらが家令からの報告と家令補佐からの
報告です。」
「……明日の朝、迎えに行く。」
「……はっ?」
ディオの側近であるキオナは
了解の"はっ"ではなく明らかに
疑問系の"はっ?"だった。
わずかに眉を動かしたディオだったが
自分の妻になる予定のリアンジュが
すごく心配だったのだ。
リアンジュとの婚約が決まったと同時に
信頼のおける部下を数名、公爵邸に
潜り込ませていたはずなのに、
なぜか今回のような事件が起きてしまった。
これまでに何度か未遂事件はあったが
1週間も目を覚さないという事は
初めてだった。
それまでは、未然に防ぐ形で
毒見役はもちろん、厨房、メイド、
洗濯メイドまでの数多くを派遣していた。
未遂事件に関わった元使用人たちは
潜り込ませた家令補佐ツテに
解雇し、処分していた。
婚約をしたので城に連れてくるという
手段もあったが、わずか一歳にも満たない
リアンジュを城に連れてくるのは難しかった。
まだ、力が足りなかった。
不特定多数が出入りする城では
身を守る術を持たない乳幼児では
警備上の都合などもしかり
あまりにも危険だった。
婚約期間中は生家で過ごすのが基本で
子どもに興味がない公爵本人も
そこは許可はしなかったのだ。
乳母を手配した公爵家の家令も
乳母とその子どもを住み込みで
雇い入れているが、王都にある城に
行く事に対してはなぜか難色をしめしていた。
警備、護衛を兼ねた庭師の妻が
リアンジュの乳母になったのだが
乳母である自身もなかなかの魔力の
持ち主で光属性と水属性の2種類。
癒しの魔法をつかえたのだった。
リアンジュに対して我が子同然に
愛情深く育ててくれた乳母には
ディオ自身も感謝していた。
他からの紹介状(本物)を持って
公爵邸に雇い入れてもらおうとした者の中には
(仕込みをされた使用人)リアンジュに
危害を加えようとした者もいたので
遠慮なく処分や処罰していた。
ある者は魔法省の部下たちに下げ渡し
攻撃魔法の的にしたり、医師や薬師たちの
薬の実験に使ったり、犯罪を犯した
者たちの使い道は色々あった。
自ら処罰対象の者たちを使った事も
あるが、なぜぎゃあぎゃあ言うのか
分からず、犯罪者たちの声を防音処置をし
処罰をしていたのだった。
周りからはディオが行(おこな)うやり方に
恐れをなしていた。
護衛も増やしたつもりだったが
リアンジュの叔母であるパーラーも
厄介な人物で公爵本人がいないのをいい事に
まるで公爵夫人のように振る舞っていた。
それだけならまだよかったのだが
報告によると、リアンジュに嫌がらせを
しようとしたり顔を合わせると嫌味を
言ったりしていた。
パーラーが主犯格だとわかっていたが
処分するには、ディオの力が
まだ弱かったのだった。
リアンジュに与えられていた部屋は
まるで男の子のような色使いで
ぬいぐるみなどもなく殺風景な部屋で
生活していた。
リアンジュ自身も堅忍質直(けんにん-しっちょく)
で何事にも我慢強く堪え忍んでいたのか
飾り気がなくまっすぐな気性をしていた。
ほとんど口を開かないので周りからは
リアンジュが喋れない子だと
思われている節があった。
もともと感情表現が乏しいリアンジュが
さらに表情の変化もあまりなく、
幼少期を過ごしたのだった。
公爵本人は亡くなってしまった妻を
今でも愛していた。愛する妻が子どもを
産んだ事で亡くなったからか
子どもが妻の命を奪ってしまったと
考えるようになりリアンジュに対して
冷たく当たるようになっていった。
当然親子の情は無いに等しかった。
「リアンジュ、今度こそ守ってやる!」
ディオは心の中で握り拳を作っていたが
表情筋が仕事放棄をしているのか
表情はほぼ無表情だった。
「「「「「おめでとうございます。」」」」」
一斉に頭を下げられたものの
2人の表情筋はピクリとも動かなかった。
同じような顔に同じような口上が
永遠に続くかのように2人を通り過ぎていた。
ディオ・ハウ・グアーラ13歳。
グアーラ国の第一王子。
今日この日、晴れ渡った空に虹がかかった
おめでたい日に、3公爵のうちの一つ、
カルセッサー公爵家の子どもである
リアンジュ・ラルカ・カルセッサーと
婚約の儀式をした。
ディオ自身恋心うんぬんは、自分が
王族として生まれついた時からないに等しかった。
何の感情も湧かなかった。
王家にとって、国民にも恥じないよう生き
国のため、国民の為になる人と
婚姻を結ぶものだと思っていた。
そんな事は幼き頃から当たり前だったので
何の疑問も持たずに過ごしていた。
感情を表に出す事は恥ずべき言葉だと
教えられていたので、物心ついた時から
笑う事はなく怒る表情も見せず
淡々と簡潔に話をするのがディオだった。
周りからは感情がない、または冷酷非道
とも陰口をささやかれていた。
婚約者であるリアンジュを守るため
リアンジュに害を及ぼした者は
排除しようと努力していた。
婚姻に関しての好きか嫌いかは物語の中の話だけ。
政治的な婚姻こそが全て。
幸いな事に王家に生まれたので
帝王学を中心に充分過ぎるほど教育され
衣食住には困らなかった。
住む事にら困らず、衣服も着心地は悪く
重い服ばかりだが生きている間は
困らないほどある。
ディオにとってそれが当たり前で
与えられた物は好き嫌い言わず
黙々とこなした。
食に関してはとくに興味はなく
腹が膨れればいいとの認識だった。
空腹なら水で充分という認識だった。
第二王子と合同での魔物、魔獣討伐での
遠征には軍事用の携帯食がかかせないが
味の改良と討伐した魔物、魔獣肉の
利用に保存魔法が利用されているが
仕事の合間に、保存魔法の改良、
魔石への魔力込めるのも仕事に
組み込んでいた。
食べ物に塩や甘味料などの調味料の割合や
それにかかる費用など、細かな計算をし
試食を作らせ、主に第二王子である
オリヴァーに試食させていた。
オリヴァーが気に入れば、考察し
取り入れるようまた、書類作成
するのであった。
年々味が良くなる軍事用の携帯食や
冒険者向けの携帯食に、第二王子は
もちろん、部下や冒険者にまで
ありがたがられていた。
王族、きらびやかな衣装、華やかな場所
見栄えの良い食事、色々な欲望の為
命を狙われたりは当たり前だった。
自分の魔力と剣の腕を磨き、言葉巧みな
者たちから自分といずれ王家の子を産む
伴侶となる者たちを守るため
力をつけなければいけなかった。
この世界ではなぜか女児に恵まれず、
年の差婚や身分差婚が多くなっていったのだった。
女性の数も少なかったが、それ以上に
希少な存在がリアンジュだった。
数万人に1人、又は数十年に1人の
割合で生まれてくる両性具有は
平民や貴族、身分にこだわらず
大切にされていた。
魔力なども高確率で高く生まれることからか
両性具有で生まれた場合、王族や
高位貴族に嫁ぐのが当たり前になっていた。
リアンジュもそうだった。
その当時わずか1歳にも満たない
リアンジュを抱っこし婚約の儀式を
行ったディオ第一王子。
2人揃ってお人形のように整った顔の
婚約の儀式は誰が見ても政略的で
幸せそうには見えなかった。
リアンジュの父である公爵もまた、
頭を下げ目線もどこを向いているのか
わからない状態での婚約の儀式だった。
ディオ第一王子は生まれた時から
魔力量が多く成長するにつれ
コントロールも上手くなっていった。
魔法・魔術が得意だったからか
成人とともに魔法・魔術省の総帥となったディオ。
冷静沈着の第一王子は、魔物の討伐や
盗賊などの討伐までこなし、第二王子がいる
騎士団との連携で治世をしいていた。
第三王子もまた頭が良く誰とでも
すぐに打ち解けられる特徴を活かして
第一王子が最も苦手とする社交を
請け負っていた。
コミュニケーション能力の持ち主といえば
いいが、王妃に最も似た顔立ちで女顔、
見た目からか軽薄に見え恋多き王子と
世間では言われていた。
現国王は先王の言いなりである意味
先王の傀儡(かいらい)の王であった。
先王は我が国グアーラ王国とベルク国、
シーバハル国から1人ずつ
妃を娶り国を安定させていた。
グアーラ王国の貴族からではなく
魔力が強い平民出身の巫女を王妃としたので
貴族からは猛反対を受けたが、
それを押し切り結婚に踏み切ったのだった。
数年後には各3公爵と5侯爵から各家から
側室や側近として1人ずつ選出させ
先王に差し出す事で、帰属からの
不満を減らしたのだった。
我が国グアーラ国を狙っていた2カ国のうち
ベルク国は鉱山で潤った国であり
シーバハル国は海に面していて
海軍が中心で水属性魔法の使い手が多い国。
そんな3カ国を婚姻により協定を結んだ
先王は賢王(けんおう)として国民から人気だった。
王妃が平民出身の巫女だったことも
人気の一つであった。
まるで相思相愛だったかのように
世情を操作し第一王妃として子どもも
2人もうけた。第二王妃と第三王妃にも
1人ずつ子をもうけた事により
他国にも仲良しである事をアピールしたのだった。
現王も先王と同じく三カ国から妃を
娶ろうとしたが年齢が釣り合う年頃の
女性に恵まれなかったため
交換留学などの交流を盛んにする
という形で三カ国と社交をしていた。
そして先王の側近を現王につけられ
政治を行っていた。
***
冷酷非道とウワサされているが、実は
不器用で過保護、しかも心配性
ただ表情筋が死んでいるだけの第一王子。
「ディオ様、リアンジュ様がまた
倒れられました。命には別状はございません。」
「……。」
「公爵邸の本宅にある使用人部屋近くの
階段下に倒れていたらしいです。
こちらが家令からの報告と家令補佐からの
報告です。」
「……明日の朝、迎えに行く。」
「……はっ?」
ディオの側近であるキオナは
了解の"はっ"ではなく明らかに
疑問系の"はっ?"だった。
わずかに眉を動かしたディオだったが
自分の妻になる予定のリアンジュが
すごく心配だったのだ。
リアンジュとの婚約が決まったと同時に
信頼のおける部下を数名、公爵邸に
潜り込ませていたはずなのに、
なぜか今回のような事件が起きてしまった。
これまでに何度か未遂事件はあったが
1週間も目を覚さないという事は
初めてだった。
それまでは、未然に防ぐ形で
毒見役はもちろん、厨房、メイド、
洗濯メイドまでの数多くを派遣していた。
未遂事件に関わった元使用人たちは
潜り込ませた家令補佐ツテに
解雇し、処分していた。
婚約をしたので城に連れてくるという
手段もあったが、わずか一歳にも満たない
リアンジュを城に連れてくるのは難しかった。
まだ、力が足りなかった。
不特定多数が出入りする城では
身を守る術を持たない乳幼児では
警備上の都合などもしかり
あまりにも危険だった。
婚約期間中は生家で過ごすのが基本で
子どもに興味がない公爵本人も
そこは許可はしなかったのだ。
乳母を手配した公爵家の家令も
乳母とその子どもを住み込みで
雇い入れているが、王都にある城に
行く事に対してはなぜか難色をしめしていた。
警備、護衛を兼ねた庭師の妻が
リアンジュの乳母になったのだが
乳母である自身もなかなかの魔力の
持ち主で光属性と水属性の2種類。
癒しの魔法をつかえたのだった。
リアンジュに対して我が子同然に
愛情深く育ててくれた乳母には
ディオ自身も感謝していた。
他からの紹介状(本物)を持って
公爵邸に雇い入れてもらおうとした者の中には
(仕込みをされた使用人)リアンジュに
危害を加えようとした者もいたので
遠慮なく処分や処罰していた。
ある者は魔法省の部下たちに下げ渡し
攻撃魔法の的にしたり、医師や薬師たちの
薬の実験に使ったり、犯罪を犯した
者たちの使い道は色々あった。
自ら処罰対象の者たちを使った事も
あるが、なぜぎゃあぎゃあ言うのか
分からず、犯罪者たちの声を防音処置をし
処罰をしていたのだった。
周りからはディオが行(おこな)うやり方に
恐れをなしていた。
護衛も増やしたつもりだったが
リアンジュの叔母であるパーラーも
厄介な人物で公爵本人がいないのをいい事に
まるで公爵夫人のように振る舞っていた。
それだけならまだよかったのだが
報告によると、リアンジュに嫌がらせを
しようとしたり顔を合わせると嫌味を
言ったりしていた。
パーラーが主犯格だとわかっていたが
処分するには、ディオの力が
まだ弱かったのだった。
リアンジュに与えられていた部屋は
まるで男の子のような色使いで
ぬいぐるみなどもなく殺風景な部屋で
生活していた。
リアンジュ自身も堅忍質直(けんにん-しっちょく)
で何事にも我慢強く堪え忍んでいたのか
飾り気がなくまっすぐな気性をしていた。
ほとんど口を開かないので周りからは
リアンジュが喋れない子だと
思われている節があった。
もともと感情表現が乏しいリアンジュが
さらに表情の変化もあまりなく、
幼少期を過ごしたのだった。
公爵本人は亡くなってしまった妻を
今でも愛していた。愛する妻が子どもを
産んだ事で亡くなったからか
子どもが妻の命を奪ってしまったと
考えるようになりリアンジュに対して
冷たく当たるようになっていった。
当然親子の情は無いに等しかった。
「リアンジュ、今度こそ守ってやる!」
ディオは心の中で握り拳を作っていたが
表情筋が仕事放棄をしているのか
表情はほぼ無表情だった。
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