上 下
48 / 57

おもてなし

しおりを挟む
デザートは、ほぼ仕上がっていた。
あとは、会場に運び入れるだけだった。

「ヴィル、シヴァーディー、
ちょうど良かったわ。あなた達を
さがしていたのよ。」
何かあったのだろうか?
魔術師と魔術師団特別筆頭の、
肩書きがあるし、各国の来賓と
何かが起きたのかと、俺は
シヴァーディーと、目配せした。

「あらあら、なあに?
目で合図しちゃって、可愛いわねー。」
「お前たちを探していたのは、
別に深い意味はない。」
あまり話さない国王が話した。
深い意味……。
多少は何かあるんだ…。

「厨房からの食事形態の変更届けに、
あなた達の名前があったから、
ビックリして来ちゃった。」
「お、王妃……。」
シヴァーディーも、俺も驚いた表情を
していたんだろう。
国王と王妃は、してやったぞ!!って
感じの表情にも見えたが、言葉を
選ぶとしたら…皆がいる場所だから
にこやかな表情をしていた。

「国王と王妃が揃ってここにいるなんて、
大ごとですよ。主役が居なくても
大丈夫なんですか?お付きの方々とか
困ってると思いますよ。しかも、ここの厨房の
皆も、国王と王妃に対して、どう接すれば
いいのか対応困ってますよ。」
俺は淡々と話した。
「晩餐会直前で、今1番忙しい時なんです。
よろしければ、速やかにあるべき場所に
お戻りください。」

「あなたぁ~。ヴィルが冷たいわぁー。」
「ヴィル、私たちの事は大丈夫だ。
少しの時間なら、私たちの身代わりを
置いてきたし幻惑魔法も掛けているから、
よほどの事がなければバレないよ。」
国王よ。分身の術を使ったのか?本当に誰かを
影武者として置いて幻惑魔法を
かけたのか?どうなんだろう?

「私たちは我が子の顔を見たかったのと
驚く表情も見れたら嬉しいなぁって
思ったり、いろいろよ。用件としては、
晩餐にあなた達も出席しなさいって事よ。」

「恐れながら、私はいない方が
よろしいかと思います。」
俺は頭を下げた。
「俺…私は破壊王子とか色々な人から
忌み嫌われてますので、デルラン王国の
国の代表としては、相応しくはありません。
国として酷評になりかねませんので、
申し訳ございませんが不参加で
お願いします。」
「ヴィル様が行かないなら、わたくしも
場違いですので……。」
「おバカ2人は、強制参加だ。」
国王は、少し厳しい表情をした。

「新スール公爵兄弟、アリメラ、
オリービアも参加なのよ。」
「お楽しみも、あるから今から
早急に準備してくれ。衣装も、
準備済だ。」
「でも…私は…。」
「ヴィル、お願いよ。あなたは私たちの
可愛い子で、忌み嫌われてない。
魔力暴走も数年は落ち着いていたし、
今はもう、安定してるでしょう。」
「……。」
「総料理長、この2人とあと……。」
国王は、誰かを探していた。

「あっ、君がそうなんだね。名前は、
ミリであってるかな?」
「…は、はい。」
ミリ?ミリがどしたんだ?
ミリは、震えていた。
「総料理長、忙しいところすまないが
ヴィルと、シヴァーディー、あとミリも
連れていくが、大丈夫か?」
「はい、大丈夫でございます。」
「すまないな。料理、楽しみにしてるぞ。
皆の者、騒がして済まなかった。
まだ始まったばかりだが、
体調に気をつけて、皆頑張ってくれ。」
総料理長は、頭を下げそれにならい
皆一斉に頭をさげた。
「ありがとうございます。」
しおりを挟む

処理中です...