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ヴィル王子の料理 2
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19歳。女性。
シヴァーディーも驚いているようだ。
「お城の臨時雇いで、応募してきた者か?」
「えっ、あ…はい。年は19歳で成人して
ますし、ギルドによれば性別も書いておらず
やる気がある者とだけ、記されているって
聞いたので応募しました。」
「19歳…ミリ、女性…たしかに性別は
特に示していないが、その身なりは
どしたんだ?」
「は、はい…、す、すみません。」
「だーかーら。ミリちゃん、変に
かしこまらなくていいし、へりくだり
過ぎたら、こちらが凹むのよぉ~。
自分を卑下しすぎたらダメよ。」
「は、はい。」
「シヴァーディーとりあえず、
ケーキを仕上げながら話そうか?
皆も…総料理長、それで、いいか?」
「はい、ヴィル王子、お力添え
ありがとうございます。」
「今日の夕食分からとりかかるぞ。
オーブンは180度で、13分から15分
焼いてくれ。ギリギリ、焼き目つくか
付かないかくらいでいい。」
「はい。」
「生クリームは、あるか?ココアやチョコ系は?」
「はい、あります。」
俺は次々と指示を出し、果物や木の実の
カットの仕方まで、口を出してしまっていた。
「ミリ、これを袋に入れて、木の実を
袋の上から叩いて、細かくくだいてくれ。」
「は、はい。」
「お前は、これなら出来るか?体調は、
大丈夫か?」
初めて見る顔の者を中心に、以前からいる
料理人に指示をさせたり、なるべく
細かく指示を出していた。
「総料理長、焼いてる間に、今居る人数の
3分の1の者に小休憩させろ。」
「はい。」
「残りの物は、こういう形の食器と、
似たような食器、小さい皿とあと、
大皿を何枚か出してくれ。手が空いた者は
洗い物をしてくれ。」
「はい。」
「ヴィル様、私は何をしたらいい?」
「シヴァーディー、冷気を出せるか?
生クリームや果物、焼き上げた生地を
冷やして欲しい。」
「お、や、す、い、御用よ。」
「ま、魔力でするのですか?魔術師様…?」
ミリが、驚いていた。
「あぁ、俺はたまに冷たい飲み物が欲しい時
とか、魔力使うしシヴァーディーの
入れた"香茶"は最高にうまいぞ。」
「「「「「「……。」」」」」」
「あらあら、まあ。やだぁー。
シンディー照れちゃう。んもぉ。
皆の前で……。うふっ。」
この時、俺は知らなかった。
魔術師の"香茶"がなぜ、美味しいのか?
魔術師が気に入った相手、好意に思う
相手を想いながら入れる事から、
プロポーズ相手や、恋人に入れる
特別なモノという、一般的な常識が
あったのだ。
俺は皆の前で、ジヴァーディーが
"香茶"をいれてくれる相手、恋人宣言
したようなものだった。
「生クリームは固まる寸前、果物は、
荒切りしたものを、半分凍らすくらいにしてくれ。」
「はーい。」
焼き上げたケーキ生地を
綺麗な布を敷いた台の上に
ひっくり返すように置いていった。
「シヴァーディー、これを冷やしてくれ。」
「はーい。」
次々と返され、半分凍った生クリームを
生地にのせた。
「ミリ、袋の中の木の実はどんな感じだ?」
「あ、あの、これでよろしいでしょうか?」
「あー、ちょうどいいかんじだ。よく
頑張ったな、えらいぞ。ミリ。」
「ずるーい。ヴィル様、私も頑張ってるわよー。」
「あぁ、シヴァーディーも、えらいえらい。」
「対応違う。」
「当たり前だ。か弱い女性と、体力有り余ってる
女装のお前と、対応変えるのは当たり前だ。」
「ひっどーい。女装?失礼しちゃうわね。
私、体は男だけど、心はヴィル様のものなの。」
「いらん。俺は普通の女がいい。」
「ぷっふふふ……。」
「あっ、す、すみません。」
「わぁ、ミリちゃん、よく見ると
笑顔可愛いわあー。ねぇねぇねー、
そう思わないヴィル様?」
「そうだな、確かに笑顔、いいな。」
「やっだぁー、焼けるぅー。」
「す、すみません、こ、恋人どうしなのに、
私、お邪魔ですよね。」
「はっ?誰が誰と恋人なんだ?」
「……。」
「私とヴィル様とが、そう見えちゃうのよね。
しかも、さっき、私の"香茶"褒めて
くれたからね。」
「なんか、ダメなのか?シヴァーディーの
".香茶"文句なしに美味いぞ。皆に
入れてあげたらどうだ?」
「うふふ。ありがとうヴィル様。
天然なところまで、すんごく大好きよ。」
興味深々でみている、料理人たちと
ミリの前で、俺はこの後、ジヴァーディーから
"香茶"の意味を教えられるのであった。
「……。」
やばい。恥ずかしい。
恥ずかしすぎる。
変な目で見られるのは、当たり前か。
シヴァーディーの"香茶"他の者にも
言った気がする……。
「シ、ジヴァーディーとは、そんなんじゃなく
と、友達?親友、仕事仲間?
なんかそんな感じで、決して恋人
じゃないからな。」
「ヴィル様、宣言しなくても……。
シンディー、凹んじゃうわよー。」
「凹め。」
シヴァーディーも驚いているようだ。
「お城の臨時雇いで、応募してきた者か?」
「えっ、あ…はい。年は19歳で成人して
ますし、ギルドによれば性別も書いておらず
やる気がある者とだけ、記されているって
聞いたので応募しました。」
「19歳…ミリ、女性…たしかに性別は
特に示していないが、その身なりは
どしたんだ?」
「は、はい…、す、すみません。」
「だーかーら。ミリちゃん、変に
かしこまらなくていいし、へりくだり
過ぎたら、こちらが凹むのよぉ~。
自分を卑下しすぎたらダメよ。」
「は、はい。」
「シヴァーディーとりあえず、
ケーキを仕上げながら話そうか?
皆も…総料理長、それで、いいか?」
「はい、ヴィル王子、お力添え
ありがとうございます。」
「今日の夕食分からとりかかるぞ。
オーブンは180度で、13分から15分
焼いてくれ。ギリギリ、焼き目つくか
付かないかくらいでいい。」
「はい。」
「生クリームは、あるか?ココアやチョコ系は?」
「はい、あります。」
俺は次々と指示を出し、果物や木の実の
カットの仕方まで、口を出してしまっていた。
「ミリ、これを袋に入れて、木の実を
袋の上から叩いて、細かくくだいてくれ。」
「は、はい。」
「お前は、これなら出来るか?体調は、
大丈夫か?」
初めて見る顔の者を中心に、以前からいる
料理人に指示をさせたり、なるべく
細かく指示を出していた。
「総料理長、焼いてる間に、今居る人数の
3分の1の者に小休憩させろ。」
「はい。」
「残りの物は、こういう形の食器と、
似たような食器、小さい皿とあと、
大皿を何枚か出してくれ。手が空いた者は
洗い物をしてくれ。」
「はい。」
「ヴィル様、私は何をしたらいい?」
「シヴァーディー、冷気を出せるか?
生クリームや果物、焼き上げた生地を
冷やして欲しい。」
「お、や、す、い、御用よ。」
「ま、魔力でするのですか?魔術師様…?」
ミリが、驚いていた。
「あぁ、俺はたまに冷たい飲み物が欲しい時
とか、魔力使うしシヴァーディーの
入れた"香茶"は最高にうまいぞ。」
「「「「「「……。」」」」」」
「あらあら、まあ。やだぁー。
シンディー照れちゃう。んもぉ。
皆の前で……。うふっ。」
この時、俺は知らなかった。
魔術師の"香茶"がなぜ、美味しいのか?
魔術師が気に入った相手、好意に思う
相手を想いながら入れる事から、
プロポーズ相手や、恋人に入れる
特別なモノという、一般的な常識が
あったのだ。
俺は皆の前で、ジヴァーディーが
"香茶"をいれてくれる相手、恋人宣言
したようなものだった。
「生クリームは固まる寸前、果物は、
荒切りしたものを、半分凍らすくらいにしてくれ。」
「はーい。」
焼き上げたケーキ生地を
綺麗な布を敷いた台の上に
ひっくり返すように置いていった。
「シヴァーディー、これを冷やしてくれ。」
「はーい。」
次々と返され、半分凍った生クリームを
生地にのせた。
「ミリ、袋の中の木の実はどんな感じだ?」
「あ、あの、これでよろしいでしょうか?」
「あー、ちょうどいいかんじだ。よく
頑張ったな、えらいぞ。ミリ。」
「ずるーい。ヴィル様、私も頑張ってるわよー。」
「あぁ、シヴァーディーも、えらいえらい。」
「対応違う。」
「当たり前だ。か弱い女性と、体力有り余ってる
女装のお前と、対応変えるのは当たり前だ。」
「ひっどーい。女装?失礼しちゃうわね。
私、体は男だけど、心はヴィル様のものなの。」
「いらん。俺は普通の女がいい。」
「ぷっふふふ……。」
「あっ、す、すみません。」
「わぁ、ミリちゃん、よく見ると
笑顔可愛いわあー。ねぇねぇねー、
そう思わないヴィル様?」
「そうだな、確かに笑顔、いいな。」
「やっだぁー、焼けるぅー。」
「す、すみません、こ、恋人どうしなのに、
私、お邪魔ですよね。」
「はっ?誰が誰と恋人なんだ?」
「……。」
「私とヴィル様とが、そう見えちゃうのよね。
しかも、さっき、私の"香茶"褒めて
くれたからね。」
「なんか、ダメなのか?シヴァーディーの
".香茶"文句なしに美味いぞ。皆に
入れてあげたらどうだ?」
「うふふ。ありがとうヴィル様。
天然なところまで、すんごく大好きよ。」
興味深々でみている、料理人たちと
ミリの前で、俺はこの後、ジヴァーディーから
"香茶"の意味を教えられるのであった。
「……。」
やばい。恥ずかしい。
恥ずかしすぎる。
変な目で見られるのは、当たり前か。
シヴァーディーの"香茶"他の者にも
言った気がする……。
「シ、ジヴァーディーとは、そんなんじゃなく
と、友達?親友、仕事仲間?
なんかそんな感じで、決して恋人
じゃないからな。」
「ヴィル様、宣言しなくても……。
シンディー、凹んじゃうわよー。」
「凹め。」
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