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夕食前 1

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デルラン王国。
ショーオ・フォレス・デルラン、50歳
デルラン王国の国王と、
ハル・フォレス・デルラン、32歳。
元、ハルルーン王国の第一王女は、
子どもの前でもイチャイチャするほど
仲が良かった。

王家ではめずらしく、お互いが一目惚れで
しかも即婚約し恋愛結婚をしたのだった。
我が子にも、政略結婚じゃなく恋愛結婚を
しろっと教えてきた国王と王妃だった。

国王と王妃は、末の息子ヴィルと
スール公爵のオリービアの
恋の行方が心配だった。

お互いが惹かれあっている、魔力過多の
末の王子ヴィルと、隠の気に浸食されやすい
オリービアの魔力。
オリービアの魔力の性質は、ヴィルの魔力を
吸い取り陰の気を陽の気に変える事が
出来る大変珍しい魔力体質だった。

ヴィルとオリービア、お互いが惹かれ合うほど、
まわりを明るくさせる陽の気に最近、
デルラン王国は包まれていた。

さらに2人をくっつけようと画策した
国王と王妃は、偶然同じことを思いついた。
それぞれ惹かれあってる2人に、質問表を
手紙形式で送っていた。

お昼前にヴィルが部屋に来ていた。
その数分後に、オリービアは
国王と王妃、ヴィルがいる部屋に到着した。

「オリービア、先程ぶりだね。」
「ヴィル様…。」
「うんうん。見つめ合う2人。
初々しくて良いわね、ショーオ。」
「そうだね。まるで出逢ったころを思い出す
よ。あの頃も今も、いやさらに可愛いハル。
私のハル、愛してるよ。」
「もぉー。やだー。」

「「……。」」
ヴィルとオリービアは、お互いに顔を
見合わせていた。

こうなると、ヴィルの両親は長かったからだ。
数分後、質問表をやっとの思いで提出した
2人は、目の前で読まれるという
恥ずかしい思いをしていた。

「きゃー、質問1の彼女を気に入っている
ところを3つあげよ。に対して、ヴィルったら、
やだぁー。"3つ?そんなの一つしかない。"
"彼女の全てが好きだ。"って書いてるわ、
ショーオ。うわぁー。すごい、すごくいいわ。
私も言われたーい。」
「ハル…。私はいつも、ハルが好きだし
いつも愛してる。ハルの全てが好きだよ。」
「やだぁー、ショーオ。私もショーオの事が
大好きだし、私の方が愛してるのよ。」
「いやいや、私の方がハルを数億倍
愛してるよ。」
「やだぁ~、好きと愛してるが止まらないわ。」

「「……。」」
こんな感じで質問に対して、いちいち
長い長い、いちゃつきがつづいていた。

「質問2なんか、彼女の嫌いなところを
3つあげよってきいてるのに、
"嫌いなところなんかない。"って
言いきってるわ。もぉー。すごいわ
すごすぎよ。」
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