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眠り
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朝早くからヴィル様の計らいで
いつもの私のお世話をしてくださる
メイドさん達が、部屋に入ってきた。
もともとは、お母様とは別の部屋を
用意して下さっていたんだけど……。
誰もいない一人部屋は、なんとかかんとか…
14歳の未成年だから、なんとかかんとか…
ここにきてから、なんだかお兄様達は
過保護になり、何かしら理由をつけて
表向き?防犯上あまりよくないとかで
お兄様達が反対した。
お城の中だし、防犯面しっかしてそうなのに
変なお兄様達だわ……。
お城に私とお母様、お兄様2人、
ふた部屋を、お借りしてる状態で
あの日、私を救ってくださった日から
私、オリービアは今日もお城の
たくさんの方々に
お世話になっていた。
魔術師や医師が近くに居る、
快適な部屋。
毎日、ヴィル様から魔力を貰い
私は今日もまた、あの怖い夢を
見る事はなく、安心して眠れている。
あの日、ヴィル様に触れるまで
気が狂いそうなくらい、暗闇から
無数に伸びる正体不明の手に
捕まえられていた。
まとわりつく暗闇と手。
私は闇に囚われ飲み込まれかけていた。
そう、あの時私は息絶えるハズだった。
途切れかけの意識、暗闇の中で
いつもは私の名前を呼ぶのに……。
強い魔力に闇が反応した。
あまりにも強すぎる魔力に、
私は驚愕していた。
私を掴んでいた無数の手と暗闇は
魔力を手に入れようとしたのか
私の身体を動かし、大きな魔力に
近づいた。
怖い。怖いけど闇の奥に追いやられた
私の意識は、これで私は"死"という
行先不明な世界に開放されるんだと
怖さ、不安、安堵…よくわからない
感情に支配された。
私の手を使い闇は、大きな魔力を
吸い取ろうとした。
何かに触れた瞬間、手から激しく熱い魔力が
とめどなく流れ込んできた。
焼けつくような熱い魔力は、
ビリビリしながら私の全身に
行き渡り、まるで身体中の血が
沸騰するような錯覚が起きた。
怖い、怖いはずなのに
なぜか安心感があった。
ピリピリがおさまると、今度は
あたたかい優しい魔力になり
私の中の闇は薄れていった。
もう、私の名前を呼ぶ闇はいなくなった。
あの日から、私はヴィル様のそばで
毎日快適な生活と安心して眠れるようになった。
今は何も返せないけど、ヴィル様の
お役に立ちたいと心から思っていた。
今日は、ヴィル様との約束の日。
早朝にメイドさんに囲まれながら
湯あみをし、肌触りの良いバスローブを
着て、マッサージにウトウトしていた。
いつの間にか、寝てしまった私に、
薄化粧を施されていた。
ソファーに座り直すと髪の毛を
手慣れた手付きで、ハーフアップに
結い上げてくれた。
髪飾りの種類も多くありすぎて
途中で何度か意見を求められたけど
分からないので、すべて任せてしまった。
数種類のドレスをクローゼットから
出してくれたメイドさん達。
どれも、可愛く美しいドレスの中から
これが着たいって思ったドレスがあった。
薄紅色で、裾や袖口になるほど
深みのある紅色に染まったドレス。
ヴィル様色のドレスだった。
いつもの私のお世話をしてくださる
メイドさん達が、部屋に入ってきた。
もともとは、お母様とは別の部屋を
用意して下さっていたんだけど……。
誰もいない一人部屋は、なんとかかんとか…
14歳の未成年だから、なんとかかんとか…
ここにきてから、なんだかお兄様達は
過保護になり、何かしら理由をつけて
表向き?防犯上あまりよくないとかで
お兄様達が反対した。
お城の中だし、防犯面しっかしてそうなのに
変なお兄様達だわ……。
お城に私とお母様、お兄様2人、
ふた部屋を、お借りしてる状態で
あの日、私を救ってくださった日から
私、オリービアは今日もお城の
たくさんの方々に
お世話になっていた。
魔術師や医師が近くに居る、
快適な部屋。
毎日、ヴィル様から魔力を貰い
私は今日もまた、あの怖い夢を
見る事はなく、安心して眠れている。
あの日、ヴィル様に触れるまで
気が狂いそうなくらい、暗闇から
無数に伸びる正体不明の手に
捕まえられていた。
まとわりつく暗闇と手。
私は闇に囚われ飲み込まれかけていた。
そう、あの時私は息絶えるハズだった。
途切れかけの意識、暗闇の中で
いつもは私の名前を呼ぶのに……。
強い魔力に闇が反応した。
あまりにも強すぎる魔力に、
私は驚愕していた。
私を掴んでいた無数の手と暗闇は
魔力を手に入れようとしたのか
私の身体を動かし、大きな魔力に
近づいた。
怖い。怖いけど闇の奥に追いやられた
私の意識は、これで私は"死"という
行先不明な世界に開放されるんだと
怖さ、不安、安堵…よくわからない
感情に支配された。
私の手を使い闇は、大きな魔力を
吸い取ろうとした。
何かに触れた瞬間、手から激しく熱い魔力が
とめどなく流れ込んできた。
焼けつくような熱い魔力は、
ビリビリしながら私の全身に
行き渡り、まるで身体中の血が
沸騰するような錯覚が起きた。
怖い、怖いはずなのに
なぜか安心感があった。
ピリピリがおさまると、今度は
あたたかい優しい魔力になり
私の中の闇は薄れていった。
もう、私の名前を呼ぶ闇はいなくなった。
あの日から、私はヴィル様のそばで
毎日快適な生活と安心して眠れるようになった。
今は何も返せないけど、ヴィル様の
お役に立ちたいと心から思っていた。
今日は、ヴィル様との約束の日。
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着て、マッサージにウトウトしていた。
いつの間にか、寝てしまった私に、
薄化粧を施されていた。
ソファーに座り直すと髪の毛を
手慣れた手付きで、ハーフアップに
結い上げてくれた。
髪飾りの種類も多くありすぎて
途中で何度か意見を求められたけど
分からないので、すべて任せてしまった。
数種類のドレスをクローゼットから
出してくれたメイドさん達。
どれも、可愛く美しいドレスの中から
これが着たいって思ったドレスがあった。
薄紅色で、裾や袖口になるほど
深みのある紅色に染まったドレス。
ヴィル様色のドレスだった。
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